シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
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俺は、何をしていたんだろうか。
先程のラウンドのアレは……何だったのか。ロールプレイはまぁ、出来ていたと思う。少なくとも基本はそういうふうに立ち回れていた、だが肝心のプレイ面ではどうだ?読み合いに負け押し合いに負け、最終的に一瞬の隙を狩られてあっさりリーサルまで持っていかれた……無様、無様という他ない。
「あぁ、クソ、クソ……!!腹立ってきた……!!」
誰に怒っている?簡単だ、俺自身だ。ジャスティスダイルを扱う以上、大好きなキャラを使う以上あんな無様な負け方はもう2度と許されない。だから改めて決意表明をしよう、絶対に負けない、負けるわけにはいかない。俺が、いや、私がジャスティスダイルであろうとするならば。
「やってやるよ……!!」
まずは……
「覚悟しろよバッドテイル、お前は俺が……!」
◇
(興醒め……興醒めも良いところだね)
どうしても落胆が出てしまう。いけない、こんな感情を抱きながら戦うのは失礼だ……自らを律するんだ
最初は少しは期待していた。だが結局蓋を開けてみれば緩い攻撃に読み合いも凡庸、やたらと攻撃に対しての反射回避は上手かったがジリ貧に持っていくことで容易に潰せた。……だからこそ、期待していたよりもはるかに低いレベルのジャスティスダイルであったことに落胆しているのだが。
罪武器の扱いもお粗末だった、あのタイミングで戦斧を晒す必要はなかっただろうに何故出したのか……あの時点では向こうが有利だったから有利さを広げようとした?わからないわけではない……けど、武器を扱うということはある意味自由度を縛ることにもつながる。唯一本当に驚いたのはリアル側に攻撃する手法を取られたことぐらいか、とは言っても
(道場で受けた修練に比べればよっぽどマシ、骨が数本折れた状態でも修練を積むなんてザラだったしね)
筋肉と筋肉の間を貫手でこじ開けられるというのは初めての体験だったがなるほど効果的だ、これから取り入れていこう。
「どうせならシルヴィとやり合ったあの顔無しカボチャと戦いたかったが……無理そうだし、諦める他ないね。となればシルヴィご執心の「K」か……まぁ、マシだね」
あの1番星を追い詰めた凶星と溶岩の腕を持つ男……残念ながら片方はシルヴィとの激戦でグロッキー、あれでは戦えても満足はできないだろう。Kは……腹の具合が良いのか悪いのか知らないが少なくとも基本はやり合いがいのある男だ、期待できる。
それにはまずさっさとあのジャスティスダイルを叩きのめさないといけないわけで……手早く終わらせるとしよう。
第2ラウンド開始、
(東のメインストリートか、索敵しつつゲージ稼ぎを狙いに行くべきか。……とは言っても戦闘区域が南の方だったからゲージ稼ぎに関しては期待できなさそうだけどね)
どちらかといえばバッドテイルの能力解放を狙っていくべきか、
解放条件はジャスティスダイルと同じく特定NPCの確保……大体は地下に潜っているマフィアタイプのNPCなのは把握しているし何ヶ所かそれっぽいところを回ってみようか。
「待っていなよジャスティスダイル、君は私が……」
◆◇
「「必ず倒してやる…………!!!」」
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これで5本目……まぁ、もうこれ以上時間かけてもいられないな。
NPCの腹に大穴を開けて罪武器を回収、2ラウンド目開始からこれで大体5分と少しか。……練習じゃ大体回収できて3本とか酷ければ1本も回収できないなんてことも多かったから上振れを引いたらしい、何にせよ助かるな。
「さて……開戦のゴングを鳴らすとしますか」
今俺がいるのは街の中心に必ず存在する巨大な塔……ケイオースタワー、その最上階だ。ゴングには余りにもお誂え向きなランドマーク……さぁ来やがれバッドテイル。俺は、ここに、いるぞ!!!
天井を突き破り屋外へ、そして更に上へと登る。ゴングは派手に鳴らさなきゃな!!!
「【
てっぺんの尖塔部分を踏み締め跳躍、大罪の名を冠する武器を顕現させる。
「【
紅の大剣、憤怒を宿したそれは刀身に黒い溶岩が流れ全てを焼き尽くす。破壊力は全罪武器の中でもトップクラスの代物だ、どれくらいかって?すぐわかる!!!!
「うぅぅぅぅぅらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁッ!!!!!!」
頂に憤怒の大剣、その先端を突き当てた次の瞬間ケイオースタワーが憤怒に耐えきれず崩壊していく。斬ると灼く、2つを同時に行うこの大剣の一撃にたかが建造物が耐えられるわけはない……今回の場合は突きだし本来こういう運用する想定されてないとは思うがまぁご愛嬌ということで。
元ケイオースタワーの現瓦礫に着地した俺は1度引き抜いたイーラを再び瓦礫に突き刺しケイオースシティ全てに響き渡るくらいの声量で叫んだ。
「来い!!!!バッドテイル!!!!!」
瓦礫が音を立てて崩れる音、どこかで燃え盛る炎の音、近くで聞こえる悲鳴、風を何かが切る音……来たな?
「――――――勝負だ」
「受けて立とうじゃないかっ!!!!!!」
上空から降ってくる黒い影、正体なんてハッキリしている。シルエットから察するに既に攻撃体勢と見た、回避か?防御か?答えはこうだ。
「攻撃こそ最大の防御ォッ!!!!」
イーラを引き抜きぶん投げる、大剣としてのシンプルな質量を押し付ける。
「こんなもの!!!」
「やってくると思ってたよ……!」
投げつけたイーラが容易く捌かれ処理された、だがそれこそ俺が望んでいたことでありお前にとってのミスだ。イーラを投げると同時に踏み込み跳躍、イーラの対処に一瞬だけ意識が割かれていたバッドテイルに肉薄し顔面に向かってハイキックを叩き込んだ。
「がぁっ!??」
まだだ、まだこんなものではない。ハイキックを決めた方の脚を体を捻ることで無理矢理照準を合わせ今度は脇腹に蹴りを入れ、地面が割れる勢いで着弾させる。
こちらも素早く着地し一気に距離を詰める。着弾の衝撃で立ち込めた土煙が風圧で吹っ飛び中から立ちあがろうと上体を起こしたバッドテイルの姿が露わになった……死ねッ!!!
「おおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!」
全力で振るった右ストレートがバッドテイルの顔面に直撃、また宙を舞うバッドテイルに狙いを定め左脚を軸に回転し右脚で垂直の後ろ回し蹴りを叩き込んだ。
「ごっ…………!!???!」
肋と肋の間に深く足がめり込む感触、確実に2〜3割は削ったという確かな手応え。硬直の影響で追撃に入れないのが惜しいが……ここは盛大に啖呵を切らせてもらうとしよう。
「
「言ってくれる!!!!」
安心しろよ、カフェインもちゃんとキマり始めて頭が恐ろしいほど冴えてきた……数段ギアを上げる!!!!
突っ込んできたバッドテイルの攻撃を避け逆にクロスカウンター、怯んだ隙を逃さず関節を極めにかかる。
「ぐっ……あ"ぁ…………!!!!??!」
「このままへし折ってやる……!!」
現実とは違う為実際にへし折れることはあり得ないのだが脳内では実際に折れたと
「…………舐めるなァッ!!!」
強引に外され距離を取られる、とは言っても極めた関節部位は中々どうして動かせないらしく右肩を左手で押さえている。
(この隙にラウンドを奪い取る!!!!)
「掲げた正義を……貫く時だ!!覚悟しろバッドテイル!!!!俺は……!私は!!!!ジャスティスダイルだッ!!」
右足を半歩引き重心を深く落として中腰に、右腕を折り曲げて手を顔の横に沿うように持っていき左腕を伸ばしてまっすぐにバッドテイルを捉える……ジャスティスダイル特有の構えを取り俺は高らかに宣言した。