シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
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「…………、………………。は、はは。はははははははは!!!」
高らかに叫んだ宣言と俺の取った構えを見て、ほんの一瞬硬直したバッドテイルは目の前の光景を咀嚼して飲み込んで理解したのか高らかに笑った。
「掲げた正義を……ねぇ?そうかい、構わないぜジャスティスダイル。お前がいくら御託を並べ立てようが……真の正義は俺だ!」
「言ってろ黒狐、その減らず口を聞けない体にしてやるよ」
「ふふ……やれるものなら、ね!!」
「!!!」
次の瞬間黒い雷がその場に残りバッドテイルの姿が消え去った、……
黒の軌跡を追う、間に合わないと頭の中の冷静な部分が客観的に断じる。大人しく攻撃を喰らう?ナンセンスだと頭の中の焼け付くような激情が叫んで否定した。故に頼るべきは己の直感のみだ!!!!
「…………ここォォォォォォ!!!!」
「なっ、がっ!!??」
勘のみに全てを託し周囲一帯を蹴り払う、足に何か柔らかいものがめり込む感触を感じた……ことを認識した次の瞬間頭が考えて命令を下すよりも早く体が反応した。
「裁きの!!時間だァァァッ!!!!」
すぐさま足を振り抜くベクトルを横方向から縦方向に切り替え地面に直撃するように仕向ける。衝撃と轟音が真下から響き開いたクレーターには黒い電光を走らせたバッドテイル……スタン状態、追撃、カウンター、誘われてる?
「知ったこっちゃ、ない!!!」
右拳を振りかぶり全力をもって叩き込む、受け止められて引き寄せられバランスが崩された、風切り音――――
(狙いは顎か)
一刻どころかコンマ0.数秒の猶予すらない、だが安心してくれ1ヶ月以内に既にそんな感じの攻撃を常時繰り出してくる怪物とやり合っている。
「お前の全てを踏み砕いた上で、お前に勝つ………!」
何となく膝だろうなと思ったので顎付近に左手を添えて……やっぱり膝か。掴んで向こうのバランスも思い切り崩してやる、お互いが派手にすっ転び即座に地面を削るようにしながら立ち上がり加速、高速移動を繰り返しお互いの隙を突かんと一瞬の膠着状態に入った次の瞬間バッドテイルが突っ込んできたのを視認、迎撃に入る。
「「くたばれェッ!!!」」
拳がぶつかり合い、キャラクターに設定されたステータス値からこの激突の勝者が示されるわけだが……残念だったな、追撃は俺が貰う!!
「【
「しまっ……」
拳を弾き飛ばし、一切ブレることのない軌道でバッドテイルの顔面に俺の一撃が入った。そして凄まじい速度で吹っ飛びビルの壁面を貫通し中を盛大に荒らして止まったバッドテイルをまっすぐ見据えて俺は告げる。
「「
「その程度の速度、俺は見切るぞ」
◆◆◆
「ふ、ふふっ。あははっ」
笑いが抑えきれない、口に手を当ててもどこかの感覚がイカれたかのように笑いが止まらない。
思い起こすはつい数瞬前の攻防。膝を叩き込んだと思ったらいなされ、逆に体勢を崩されものの見事にカウンターを喰らってしまった。高速化した戦闘の中でも当たり前のように反応し競り勝ったジャスティスダイルは宣言通り1ラウンド目とは全くの別物へと変貌を遂げたのだと理解したバッドテイルは突っ込んだことにより降ってきた瓦礫を押し除けながら今後のプランを練っていく。
(フォクスライは解放済み、機動力はもう問題ない。手数で火力はカバー可能……1度退く?論外、継戦あるのみだね。にしても、面白い。全くの別物)
攻防から読み取れたのは素手の戦闘に不慣れそうなところであろうか、その癖にカウンターは妙に上手いところから察するに護身の類を修めているとバッドテイルは判断した。
そしてその上で自分を打ち倒し、正義を示すと宣言した……この時点で勝敗云々強さ云々を抜きに一先ず好ましいプレイヤーであるとも判断した。
立ち上がりコンディションチェック、一切問題なし、体力差だけが如何ともし難いが知ったことかと獰猛に彼女は笑った。その理由は実力もそうであるが何よりも。
「オレが使うフォクスライに反応できる時点で……いや、そもそもそれ以前から分かり切っていたことだが、お前、相当
今までの動きや言動、ロールプレイとして堂に入り違和感を感じさせないそれは間違いなくジャスティスダイルを理解した本物のギャラヒロオタクであると判断したからである。他の、それこそミーティアスあたりならまだ分からなくもないがどちらかといえば間違いなくニッチ寄りな作品のヴィランのロールプレイをここまで高レベルの精度で行える以上間違いなく同類だと判断したが故の笑み。
「まぁ、ジャスティスダイルは1番好きだな」
「良いね、私はバッドテイルが1番好きだよ」
「知ってる」
おや、この会話どこかで、というかつい最近したような?
そんな気もしたが今はどうでも良かった。
今はただ、この戦いを。
◆
拳を振るう、拳を振るう。脳天をかち割らんと放った手刀を捌かれお返しと言わんばかりに迫ってきた肘を受け止め今度は膝蹴りを腹に叩き込む。これはもろに直撃した。
「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「こっちの台詞だぁぁぁぁあ!!!!」
体力比6:4の有利状況、このままのコンディションを……いやそれどころか上がり続けるボルテージを持ってすればこいつを確実に仕留められる!!止まるな思考止めるな動きを!!!!考える前に動けいや考える前に動いたら死にかねん思考と行動に一切のタイムラグを挟まずに戦えっ!!
フォクスライに
フォクスライ発動中は黒雷を纏いイーヴィルアイは眼が光るのが合図、そこを見落とすことはまぁ無いが問題はぁ……!!?
「分かってても対処できるものと出来ないものがあってだなぁ!?」
「啖呵の割にはッ、随分ッ、手緩いねェッ!!!?」
言ってくれるぜこの野郎くたばりやがれ。
首筋を狙った手刀を放つ、手首を掴まれ封殺されて逆に体勢を前に崩された。仕方がないのでもう片方の手で顎を狙った掌底を叩き込もうとしたらガラ空きの腹に膝を叩き込まれその影響で伸ばした手が止まる。
ええぃくそ、こんなんではせっかくのリードがまたもや奪い返される……燃えろカフェイン回せ脳みそ!!!!せっかくあったまってきてるのに不完全燃焼で良いのか!?
「っなクソァ!!!」
ホールドされた腕を力任せに振り解き後ろ回し蹴り、ガードされたものの後退させることには成功した……ならばこうするまで!!
「【罪武器:
黒い槍を手元に呼び出し構える、大本命が欲しいのは山々なのだがあれだけ探しても見つからなかったのがクソッタレポイントである、やはり乱数とはかくも悪しきものであるのだ。
「喰らえっ!!!!」
投擲、どうせ避けられるだろうが避けられやしないのがエンヴィディアだ、地の果てまで嫉妬に狂った槍はお前を縫い止めんと追い縋るからなァ!!!
槍を投げるとほぼ同時に接近、槍を弾いている真っ最中のバッドテイルの懐に入り込み両の拳を握りしめる。
「どちらか片方にしてくれないか……!?」
「いやでーーーすっ!!!」
左右の脇腹に同時に拳を叩き込み、怯みにより捌く手が止まった結果槍がクリーンヒット、これで体力比5:2の有利対面なわけだが……すぐひっくり返されそうな感じして怖いんだよね、さっさとトドメ刺さないとヤバそうで仕方ない。
(泥臭い殴り合いだしさっきみたいな派手な戦闘にはならんが……このラウンドは意地でも取りに行かなきゃいけない以上エンタメがどうのこうの言ってられねぇ、さっさとケリをつけさせてもらう!!!)
「【イーラ】!!!」
赫い大剣を呼び出し、規格外の質量を叩きつけてHPを完全に吹っ飛ばす。悪いな、みっともない戦いになっちまって。
彼女にフラれた結果全てのモチベが消失し書けてませんでしたごめんなさい、頑張ってペース戻します。