シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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聖義Ⅵ:故に彼等は正義を叫ぶ

◇◇◇

放たれた紫電の斬光、高らかに叫んだその技名は先程赫い凶星が流星に向けて放ったそれと似ているようで違うもの。会場がどよめく中でそれの元を知っている3人組と1人は。

 

「ねぇ君ら2人はどうしてこうあれを参考にしてコピーしようとしたがるの?しかも何ちゃっかりオリジナル技みたいな感じで名前変えてるの?」

 

「うるせ――……ロマンだよロマン」

 

「ちょっと待ってサンラクもやったの!?あれを!?」

 

「しかもサラッと2連撃に変えてたよ」

 

「2連!?」

 

「何の話をしてるの!?」

 

「大丈夫大丈夫こっちの話だよ夏目ちゃん」

 

「何が大丈夫なの!?」

 

未だ混乱の渦に囚われる者が1名、そしてある者は。

 

『私あっちともやりたい!!』

 

『今度にしろ』

 

今にも飛び出さんとする勢いで机から身を乗り出し左右を固めるゴリラ2頭に肩を掴まれ引き摺り戻されていた。

 

『もう……冗談(ジョーク)に決まってるでしょ?』

 

『お前が言うとジョークに聞こえないんだよシルヴィ!にしても……この戦局、どう見る?』

 

アレックス、元最強が現最強に問う。その問いに現最強……蒼き流星はにっこりと笑ってこう言った。

 

『白鰐の彼も言ってるでしょ?世界線(ユニバース)が違うのよ。だから……私達があの戦いの行く末を先に知ることなんて出来ないの!』

 

まぁランに勝って欲しい気持ちは勿論あるけどね。そう付け足した彼女は再びモニターに視線を移し繰り広げられる激闘に魅入る。

 

 

 

それはまるで、目を輝かせてページを捲る読者の様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

確実に、明確に、間違いなくクリーンヒットした天断風がバッドテイルのHPバーを削る。惜しむべくはあれだけ大仰に技名を叫んだ割に判定的にはただの通常攻撃だから大したダメージにはなってないことだが……この技にはある特殊効果が付与されている。何かって?

 

「テンション上がってきたァァア!!!」

 

テンション上がるんだよ!!!!

 

即座に蹴り、斬り払い、切り返し。それら全てを回避され超近接戦闘へ移行。咄嗟にイーラを展開し初手の発勁を受け止めバッシュ……これも駄目か!?

 

「なら徒手空拳(ステゴロ)しかないよなぁッ!!!」

 

「それは、得意分野だよ……ッ!!」

 

体力4割、向こうは3割――――多少の無茶は効く、だからこそ。

 

「押し通す!!!」

 

「隙だらけだ!!」

 

お互いの拳を捌き合う一瞬の膠着状況、組み手の様相を呈するそこに垂らすスパイスは俺が見せつける()だ。

 

大振りの拳、見逃すはずがない明確な隙。

当然のことながらお前は俺の放った拳を冷静に捌きカウンターに繋げようとする。そして更にその先のカウンターにまで警戒をしているだろうな。わかっている、わかっているからこそ。

 

「こういうのは、効くだろ?」

 

「な…………!!??!」

 

左で殴る。その際右半身を隠し右手を抜刀の姿勢へ。左に意識が割かれたほんの一瞬、手元で展開したスーペルビアを()()()()

超接近式抜刀術、幕末のシステムの穴を突いたこの技を使うことになるとはなっ!!

 

「檻の中の猛獣共を狩る一撃!!」

 

ランカー狩りの為の1度きりの騙し、2回目以降はどういうわけだか普通に対処された。あそこまで対人性能が上がった奴らがMMOなんかに足を運んでみろ間違いなく「アイテム足りないから近くのやつ斬り殺そう」とか言い出すぞ多分。……さてこの技術が応用出来るシーンは意外と少ない。そもそも滅多にやらない対人ゲー、ついでに罪武器の展開システムが限りなく幕末に近いこのゲームだからこそ出来たコンバートスキルと言うべきか。まぁ、だから何だ。存分に味わいやがれ。

 

抜き身の刃が深くバッドテイルに食い込み大量のポリゴンをそこから撒き散らしている。体力バー……2割6分!!

 

「このまま詰める!!」

 

「そう易々と……詰められるものと思うな!!」

 

殴り合いの応酬の果てに生まれた超近接戦闘状況をバックステップで解除される、逃げの一手か?ステータス上追いつくのは容易い、そして聖邪の眼(イーヴィルアイ)の発動すら間に合わない距離での戦闘において優位に立ち回れる俺が……それを許すと本気で思ったか!!?

 

迅雷黒狐(フォクスライ)!!!」

 

黒い迅雷が奔り、俺の背後を捉えた――――なるほど、速度で無理やりテンポを上げようって腹づもりか!!?だがーーーー甘い!!

 

「捕らえたァ!!」

 

「――――――ッ!!」

 

攻撃を喰らう、だが俺の体は揺らがない。そして振り抜かれた脚を確実に捕らえた。

脚を引き寄せバランスを崩させつつ拳を腹にめり込ませる、カチ上げ、更に蹴り上げて上空へ運――――!!

 

「おおおおおおおおおおぉぉぉぉおぁあああ!!!!!」

 

「馬鹿言え……!?何をどうすればそんな挙動が……!!?」

 

振り上げ、蹴り上げんとした脚をポールか何かのように滑らかに、鮮やかにバッドテイルがすり抜ける。聖邪の眼(イーヴィルアイ)……じゃない!!エフェクトがない!!正真正銘の人力だと!?無茶苦茶も大概にしろやテメェ!!!

 

「っぐうっ!!?」

 

「私の番だ……!!」

 

喉を突かれた、システム外の硬直、無視しようとしてもほんの一瞬動きは止まり、それを見逃すバッドテイルではない。鳩尾を起点とした3連打、俺の体が揺らぎ、スタンする。

 

「くそっ…………たれぇ"!!!!」

 

「これでフィニッシュだ!!!!」

 

奴の左脚に白い光が集い始める、ウルト、硬直、直撃?硬直、硬直、負け、負ける?俺が?ジャスティスダイルが??

 

 

 

 

――――――約束を果たせずに?

 

 

 

 

 

 

「ふっっっざけん、なァァァァァ!!!!!」

 

硬直が解ける。予定調和の敗北なんてものはこの混沌の街には相応しくない。ヒーローにも、ヴィランにも、等しくそれを引っ掻き回す権利があると言わんばかりのタイミング。

 

白には黒だ。

 

 

 

 

「それは見果てぬ黒の先ィィッ!!!!」

 

踏み外した外道からでも、手を伸ばし、望み、踏み外した道からでしか追えない道があるってもんだよなぁ!!!

 

「――――それは、純白の先にある!!!!」

 

黒い、黒い粒子が辺り一帯を染め上げんと唸りを上げながら俺の右脚へと集まってくる。

強く、強く地面を踏み締め、繰り出すその一撃は。

 

正義執行:黒(ジャッジメント:ブラック)!!!!」

 

純白の正義(ホワイト・オブ・ジャスティス)!!!!」

 

純白の一撃と激突した。

 

 

 

 

 

 

 

 




前回からまた1ヶ月開けたってマジ…?(切腹)
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