シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

18 / 184
2話目ぇ!!


兎の死生観がシビアすぎた話

「自身よりレベルの高いモンスターを「ヴォーパル」武器を装備した状態で倒す」ことを条件に、全ての街に存在する特定のエリアに出現するヴォーパルバニーの案内でバニー型モンスターの国「ラビッツ」に向かう。

この際ヴォーパルバニーは喋る事なく走り続けるので見失わないようにする事。

そこで彼らの国を襲うモンスター「兎食の大蛇」を倒す事で魔法【エンチャント・ヴォーパル】を獲得することができる。

 

 効果としては武器に「自身よりレベルの高い相手に対してクリティカルに補正が入る」と言う効果を付与するものであり、対ボスモンスターなどでは非常に有用であるため本格的にこのゲームをやり込むのならば必ずクリアすべきユニークシナリオである。

 初心者へのオススメは跳梁跋扈の森に出現するヴォーパルバニーから手に入る「致命の包丁」で貪食の大蛇を倒す、というもの。

 余談であるが大量のヴォーパルバニー達で構成された兎の国は兎好きのプレイヤーならば是非スクリーンショットの準備をしてほしい。

 ラビッツ内でセーブすることは可能だがクリアした時点でリスポーンポイントが変更されるため、現状ラビッツを訪れることができるのはこのユニークシナリオただ一度のみであるからだ。

 

 

これが俺が後に気になって調べた結果出てきたユニークシナリオ……「()()()()()()」の概要だった。

 

 

 

 

「今ラビッツは貴方と()()1()()の話題で持ちきりなんです、かたや天を覇する龍王に果敢に挑み逆鱗に一撃を穿つだけでなくあまつさえ砕こうとするその意志、かたや夜を体現したかのような黒狼に弱き身でありながら果敢に挑み一撃も喰らうことなく理想的な致命の一撃を当て続ける技量。まさにヴォーパル魂、憧れます」

 

「そのもう片方は知らないけど俺の場合は最後の最後にブレスにこんがり焼かれたけどな」

 

「それはあまりにも相手が悪すぎたんです、龍王は食後の運動感覚で世界を焼くことすら可能な最強種、神代の加護を持った開拓者さんでなければ今ここで私と話すことすら叶いませんから」

 

この兎、一見クールそうなのにめっちゃ饒舌だな……何とか追いついて捕まえようとしたらいきなり「お会いしたかったです」と話しかけられた時は正直死ぬほどビビった、バグで突如曲が二つ重なって密度が単純計算で二倍になった時くらいビビり散らかした。

というかもしかしてこのヴォーパルバニーってモンスター扱いじゃなくてNPC判定?

スタスタと落ち着き払いながら前を歩く垂れ耳(ロップイヤー)のヴォーパルバニー(仮)に歩幅を合わせつつ話を聞いてみれば、一生褒めちぎられている。ジークヴルムの呪いはNPCとの会話で補正がかかるらしいがそれの影響かもしれない。蛇蝎の如く忌み嫌われるような扱いを受ける可能性を懸念していたが、どうやら杞憂だったらしい。

 

「それに、その身に焼きついた呪いは天覇の龍王が貴方を英雄と認めたことの証のようなもの。パ……父上が是非貴方に会いたい、との事でしたので私がそれに従って会いに来た、というわけです」

 

「はぁ……そりゃまぁ光栄で、えーっとぉ……」

 

「あぁ、言い忘れていましたね。私の名前はオルトです。よろしくお願いいたします」

 

…………こりゃ凄い、このゲームのAIは()()()()()()()()()のか?

敬語を使わないと返事をしてくれないチュートリアルキャラクターとかを見た身からすると感動的だ、それが正しく使われるとここまで人間らしくなるとは。

 

「…………っつーか気になったんだけど、俺結構ヴォーパルバニー倒してるんだけどそういうのはあんまり気にしない感じ?」

 

「えぇ、勿論です。そもそも私たちから積極的に襲いかかっているんですから、殺されようと自己責任です。殺し殺され、自然の摂理の中での敗北者にかける慈悲などありはしませんよ」

 

「死生観があまりにもシビアすぎやしないか?」

 

「ビャッコさんのような開拓者の方々はそのような考え方をお持ちになられる方が多いですよね、私たち(ヴォーパルバニー)からすればこの死生観がデフォルトのようなものなのですが」

 

「あれ……?俺、名乗ったっけ……?」

 

「兎の情報網ってやつですよ。…………そろそろ完全に人目に付かない場所に着きます、着き次第【門】を開きラビッツに行きますね」

 

「あ、はい」

 

どうにもすることができないので大人しくオルトについていく、すると小さな建物と建物の隙間……地図上であればほんの少しの空白にしかならない空き地。

その場所に存在した奇妙な魔法陣の中心をペチペチ叩き始める。

 

「少々お待ちください……あぁもう、お姉ちゃんなら何にもないところから【門】なんて簡単に開けるのに……!【座標転移開門(テレポートゲート:オープン)】!」

 

「うおおっ?」

 

恐らく魔法と思われる単語を呟いた瞬間地面がせり上がり、門が現れる。

 

「それでは、この中に入ってください」

 

門を開けて入るオルトにくっついて俺は何やら妙に霞がかった門を潜った。

 

 

 

 

◇◇◇◇

「うっわ、もふもふしとる」

 

門を潜ればそこはもふもふまみれであった。

 

「ラビッツを訪れる方はとても多いのですがここ、「兎御殿」を訪れる方は夜の帝王に認められた鳥の方に続いてビャッコさんが2人目ですね」

 

「へーーー……」

 

そこら中にヴォーパルバニーがいる、控えめに言ってこいつら全員が敵対したらどんな猛者でも確実に殺されるだろうなという感想を抱きながらオルトに再び付いていく。

どうももう1人このユニークシナリオに辿り着いている人間が居るらしく、どこに居るのか聞いてみれば既に件の「カシラ」との謁見を終わらせていて、今は眠っているとのことだ。まぁそのうち会えるだろ。

 

「そろそろ到着です、長い間歩かせてしまい申し訳ありまけん。私が兎御殿直通の【門】を開けられればここまでのご足労をさせることはないのですが……」

 

「いや、いいよ別に。色々見れて楽しかったし」

 

「…………そうですか?あぁ、この先が父上の居る場所です」

 

めちゃくちゃ喋るけどめちゃくちゃ礼儀正しいなほんと……。

オルトに視線を向けていたので目の前のクソでかい扉に気づかなかった。前を向けば兎どころか俺のような人間と比較してもなおデカい扉の前でオルトが俺に視線を投げかけてくる。

 

 

…………ふむ、ではオルトの言う父上とやらに謁見式と行きますか。

 




3話目は午後10時くらいかなぁって
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。