シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
◇
「いやぁ……お前らー、よーく見とけ?あれがお前らの姉弟子だぞー」
「虎堂さん、あれ多分人の皮を被った化け物の間違いです」
姉弟子になんてことを言うんだい君、あれは紛れもなく人類で君の3つ年上の一般的な女子高生だよ、うん。
たった今多分一撃叩き込んだ衝撃で
「にしてもちょっとなんかあり得ないくらい強くないか。俺がいなかったここ何日かに何かあったりした?」
「…………あったにはあったんですけど…………」
「けど?」
「俺の口から伝えるのはちょっと気が引けるかなぁ、って……」
何言ってるんだお前。割と可愛がっている後輩(男)の頬をこねくり回しながらキョウの方を見れば何故だか妙に見られている感じがする、いやまさか、あの剣道バカがそんな大会真っ最中に他のことに気を散らすなんてあるわけないし気のせいか。
「ちょっ!虎堂サン勘弁してくださいよ!!?俺ちっちゃい時からずっと言ってますよね!?」
「いやぁ悪いとは思ってる。思ってるんだけどお前の頬がモッチモチなのが悪い」
「モッチモチなのは俺も割と気に入ってるから褒めてもらって嬉しいんですけど視線が!!!!見られてる!!」
見られて……あぁ確かに、お前どっちかと言うと身長低いし顔立ち女の子寄りだからこういう人前だと流石に恥ずかしいよな、それは悪かった。
「あーー……確かに人前だと恥ずかしいよな、これからは身内しかいない道場とかだけにするわ」
「…………本音を言うなら道場……というより、京極サンがいない時の方がありがたいかなぁって」
「?なんか言ったか?」
「あ、何でもないです……というかそろそろ昼休憩ですよね?昼飯、出てる子達に持ってかないとですよ!!」
「確かに。よっし行くか!ほらみんなー!!担当の子達分の荷物持ったかー!?ある程度時間あるって言っても短いことには短いからさっさと行くぞーー!!」
「「「「はい!」」」」
ここでサポートに回っている面々はこれから先が期待され、この特有の空気を感じてもらう目的で連れてこられた子達だ。さっきまで頬をこねくり回していたこいつも多分遅くて2年、速くて1年で多分全国まで行けると思う。今中2で始めた時期から考えると正直遅咲きではあるんだけどよく腐らず頑張ってきたなと個人的に目をかけ練習やら打ち込みに付き合っていたりする。まぁ、そもそもこの子達しか来てないわけもなく受験生だったりのような何かしらの事情がない限りは
そしてそれ全てを引率するのは
事前に決めておいたそれぞれの担当に昼飯やら何やらを手渡す。本音を言うなら少しくらい喋っても良いだろうと思うがここは我慢して連れてきた子達を伴いさっさと引き上げた。
何やらやたら見られていたが何故だろうか、緊張をほぐす為にも話しかけろということか?いやいやキョウがこの程度で緊張するわけもなし、大丈夫でしょ。
◇◇◇
「負けちゃった……悔しいなぁ。…………悔しいなぁ……!!でも、京極ちゃんが勝ち残ってる。私にできることは応援……よし!切り替え!切り替えt」
「勝つ…………勝つ…………絶対に勝つ…………こーくん、こーくん。私、絶対優勝するから」
「ひえっ」
敗北し散々悔し涙を流した後、何とか気持ちを切り替えることに成功した若き芽と呼ぶべき少女剣士は何やらありえないほどの殺気とでも呼ぶべき気配を纏った同窓の剣士を見た瞬間恐怖した。何あれ怖い、絶対戦いたくない。無理。
少しだけ涙が溢れてきたがこの涙は悔し涙ではないことだけは確信した少女は可能な限り気配を消してその場を立ち去った。
「勝つ。絶対、勝つ。僕は――……私は、今回、勝たなきゃいけない」
どこぞの楽観視を続ける鈍感男は気づいていない。自分の幼馴染で、姉弟子の少女が抱いている感情を。ついでに言うならその重さとドロつきっぷりも。
龍が牙を剥き、背を向けた虎に忍び寄る。
全てを叩き潰し「龍宮院流もクソもない」と評される圧倒的暴力とも呼ぶべき剣を以て今大会に大きな大きな爪痕を付けることとなる少女は今。
「勝つ……勝つ……美味しい……こーくんの握ったおにぎり……美味しい……」
想い人手製の握り飯を頬張りほんの少しだけ見に纏う覇気を緩ませていた。
尚側から見れば猛獣か何かが何故かほっこりとした空気と殺伐とした空気という相反するものを同時に背負っているようにしか見えなかった模様。
ほっぺたモチモチ君は
ふっつうに強いです。あと女子にも男子にもモテます。誰とは言いませんが何となくヤバい気配を察知しているので狙われている人間にはそれとなく警告を出しています。
なお警告されてる本人は何も気づいていません