シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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音ゲーマー、神ゲーに挑むってよ
貴方はなんのためにノーツを叩きますか?


曲が佳境に入る。それに伴い曲調は更に上がっていき、少し先から襲いかかるノーツの量も増えていく。

世界の端(描画距離の外)から色取り取りのノーツが形容し難い挙動を持ってして俺に向かって突っ込んでくる。

それを俺はノーツブレイカーと呼ばれるこう……なんというか、某大作SF映画に出てくるような感じのグリップからビームが出てる感じの剣……剣なのかこれ?まぁ兎に角、剣と言えるのか怪しいそれをノーツに向かって振り下ろし、斬り上げ、突き刺し、時折り向かってくるロングノーツ(始点と終点が決まっているノーツ)をなぞる様に捌いていく。

 

「おっしゃノーミス!パーーフェーークト!!

このまま大人しくしてやがれクソ曲がァァァ!!」

 

思えば地獄の様な挑戦だった。様々な難関と戦った思い出が胸に去来し、曲はまだ終わっていないと言うのに口角が上に上がっていくのを感じる。この曲が()()()終わってくれればこの世界(ゲーム)に収録されている全曲をAP(オールパーフェクト)することができるのだ、集中しろ俺。

 

「さぁこいクソッタレ…………!!」

 

曲はラスサビ、最後にして最大の難関がやってくる。一瞬時が止まった様に譜面が文字通り止まる、それに合わせて居合のようにノーツブレイカーを構える。

 

『――――――滅ぶ世界に、貴方の姿を見た、私は止めない。私は叫ぶ。即ち――――』

 

曲が再開する。

 

『戦えと!!』

 

…………来るッ!!

 

世界が動く、譜面が加速し……ノーツが襲いかかる。

ここからは運。何故ならこの曲の最後のノーツは突如このゲームで確認されているバグが複数重複したハッキリ言って訳のわからないノーツになる。

最低で二つ、確認した限りの最高は六つ同時重複。

 

地獄の乱数勝負、直近28回の挑戦の重複は六つが8回、四つが9回、三つが11回。最低重複は一度も訪れてはいない。

 

「良い加減…………!!上振れろや女神様ァーーーーーーーーッ!」

 

全力でノーツブレイカーを振り抜く。狙う重複の組み合わせはたった一つ。「当たり判定が数メートル離れるバグ」と最もシンプルな「透明化バグ」。目の前に当たり判定が来て、尚且つパーフェクト判定でそれを迎え撃つ……失敗すればそこまで、再び乱数との戦いに臨むだけだ。

そこまで辿り着くのにこのストーリー専用故に課された謎に出てくる前座の5曲をフルコンしなければならないという追加の苦行もセットされる訳だが…………うぉぉぉぉやりたくねぇぇぇぇ!!!

 

だがその賭けに俺は勝った。振り抜いたノーツブレイカー、確かな感触と共にパーフェクトのSEが目の前に表示され……続いて派手な効果音と共に『ALL PERFECT!!』の一文が頭上で燦然と輝く。

 

「あぁ、ありがとう!貴方のお陰で私は助かり、世界も救われた!本当にありがとう!」

 

ストーリーが進む。APした者だけ許される真エンディングだ。涙を流しながら前から駆け寄ってくる少女に向かって満面の笑みを浮かべながら俺は全力の力を持ってしてノーツブレイカーを投擲する。あぁ、俺はゲーム制作者に礼を伝えたい……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()になぁ!!

 

「くたばりやがれこのクソ女がァァァァァァァァァァァァァァァア!!!」

 

ノーツブレイカーが直撃して怯んだこのゲームにおける最低最悪のヒロイン(史上最低の汚物)「アプル」の顔面に向かって全力の飛び蹴りを叩き込む。当然当たり判定が働いている為数メートル先まで吹っ飛ぶアプルに対して更なる追撃を加えていく。

 

ただストーリーシーン故にダメージ処理は無く、そこにいるのはただただ死体蹴りを喰らいながらこれまでを振り返る姿…………控えめに言ってそれはホラーの部類では?どうでもいいわ死に晒せ。

 

「なんでそもそもお前はわざわざ1人でラスボスに飛び込んで強化しちゃうんだよ!!馬鹿なの!!?いやちげーわお前馬鹿なんだわ死ねよこのクソ(アマ)ァァァァァァァァァァァ!!というか何で曲の真っ最中に声かけてくるんだよ!雑音なんだよマジで!!悪霊とかより尚タチ悪りぃわ!!!!」

 

「貴方との旅は辛かったけど、楽しかったよ……!」

 

「お前が悪化させた異変と強化した元凶が無ければもっと楽だったかなぁぁぁぁ!!?」

 

◇◇◇◇

アポカリプス・ワールド・オンライン《終焉世界で唄を唄う》というクソゲーがあった。

 

VRゲームというカテゴリが生まれ、そのカテゴリの中におそらく最速で参入した音ゲー、アポカリプス・ワールドのオンラインリメイク版。

リメイク元たるアポカリプス・ワールドの一般評価は控えめに言って神ゲー、音ゲーの最高峰などなど、未だにファンも多くオフラインゲームであるにも関わらず大会なども頻繁に行われ、新曲やストーリーの追加などと言ったコンテンツ拡大も行われている。

それに対してリメイクされたアポカリプス・ワールド・オンラインの一般的な評価はクソゲーの一言に尽きる。

別にリメイクと言っても譜面の改変やストーリーがないというわけではない。ただあまりにも酷かったのは「ノーツのほぼ全てがバグり、透明化ノーツ、譜面の外に飛び出すノーツ(何故か当たり判定がある)、本来そこにあるように見えて実はそこから更に数メートル離れた位置に実際の当たり判定が存在するノーツ」などなど、誇張もギャグも一切合切を抜いた純然たる事実(なお先程あげたノーツはほんの一例)と「元のストーリーは良かったのに何故か追加されたストーリーがクソすぎる」というリメイク元すら馬鹿にしていると思える追加ストーリー。

具体的には「ヒロインが押してはいけないと言われた謎のボタンをポチり、出てきた全ての元凶()を何故か再び押してはいけないと言われたボタンをポチり強化、世界が今度こそ崩壊するとなった時にプレイヤーにその原因の全てを丸投げしプレイヤーが元凶()を何とかしようとしたタイミングで何故か「私が生贄になれば世界が救われる!」ととち狂った事を叫びながら元凶に突撃、ヒロインを助けた所「どうして助けたの!!?私が死ねば良かったのに!」とプレイヤーを罵倒。そのまま世界が滅ぶ」という破綻し矛盾したシナリオだった。なんなら元凶()さんは静かに封印されていたのにそれを引き摺り出したというバックストーリーが明らかになった後「クズ」「間抜け」「邪悪」「元凶さんに謝れ」「リメイク元とキャラは同じなのに確実に魂の形が違う」「第二のフェアカス」とまで称されたヒロイン及びストーリー。

ストーリーにおける最終楽曲、『崩壊する世界で君と』をAP達成する事で解放される真エンディング、そしてエンドロールに入るまでのおよそ2分のみアプルに攻撃を加えられる通称「報酬の約120秒」の為だけにプレイする、その価値がこのゲームには確かに存在した。

 

リメイク元たるアポカリプス・ワールドからのあまりの豹変ぶりに制作元が「このゲームは私たちが作ったものではありません」とまで言わしめた音ゲージャンルにおける最高峰のクソゲーたるアポカリプス・ワールド・オンライン、通称「アプクソ」を凡そ3週間ほど……人生の内大体80時間ほどだろうか、を焼却処分した後の燃えカスにした上でドブに捨てて漸く全曲APというトロフィーを得て無事トロコンした俺は、いつも難曲をクリアした時に感じる達成感とは別ベクトルの達成感を感じていた。

 

ただまぁ、一つだけ確信を持ったうえで言えることが一つだけある。

 

「こんな音ゲーがあってたまるか畜生」

 

アポカスから追加されたタイトル曲、「崩壊をあなたと共に」と共に流れる戦犯リスト(エンドロール)をお前らマジで許さねぇという思いを込めて睨みつける。お前らのせいでリメイク元も若干燃えたんだぞクソッタレ!!!!

 

 




時系列的には
フェアリア・クロニクルと同時期にアポカリプス・ワールド

フェアカス降臨

アプクソ降臨
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