シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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飛び込んだ台風の目の中で

「相変わらずクソほどめんどくさい事してくるんだな鉛筆さんよォ!!」

 

「鉛筆だなんて呼ばないでよビャッコ君、ここでは『アーサー・ペンシルゴン』って呼んでよね!!」

 

フェイクにディレイ、正直なところストレスが溜まる行動以外をしてこないコイツはやはりどちらかと言えば疫病神か何かの類なんだろうなと思わせてくれる。しかもこいつ、俺が遊んだ限りだと剣を使うような性格じゃない……つまり舐めプしてやがる。

 

「はーーーーっ!!舐めプしながらくるとか煽ってるんですかァ!?煽ってますよねええええ!!」

 

「よくそんなに動けるね……レベル幾つなの?泥掘り倒したあたりなら大体20かそこらだと思うんだけど……」

 

「レベルパワーは正義!レベリングしまくってたら32になってたよ!!」

 

「うわ思考が脳筋!鳥頭(サンラク君)みたいに馬鹿になるのはそこの覆面だけにしてくれますぅーー?というか何で君も上裸……いや待って、その火傷跡何?」

 

「誰が鳥頭だ誰が!!」

 

「え?金ピカドラゴンに消し炭にされた時に付いたやつだけど……」

 

「…………なるほど?どうやら君もリスキル対象に入ったらしい」

 

「なんで?…………っつおぉあっぶねええええ!!」

 

疑問符はどこからどう見ても「当たったら毒になるよ!ちゃーんと避けてね!」と主張しているナイフが飛んできたことにより吹っ飛ばされた訳だが、果たしてどうしたものか。

正直もうめんどくさいしコイツ(サンラク)ならどうにでもなるだろうからさっさとオルトを連れて離脱したいところなんだがどうも鉛筆がそれを許してくれないらしい。距離を離せばナイフが飛んでくるし、かといって強行突破しようとすれば俺の倍近いステータスの暴力を持って確実に殺される……うん、流石はユナイト・ラウンズを世紀末に塗り替えた危険人物だわ、やり口がいやらしすぎる。

 

(ただまぁ逃げ切ればどうにかなりそうなところはあるんだよなぁ)

 

そう、ラビッツは俺を除いた1人以外未だ誰も訪れることができていない場所である、ということが俺にとって最大のアドバンテージだろう。最悪死ぬまではどんだけダメージを喰らってもいいから裏路地に逃げ込めばこっちのものだ、いくらガチプレイヤーだろうが知らない場所に行かれてそれを捕捉する手段はないだろう。

 

「っつーか何でサンラク狙ってる訳?俺から見たらこんな半裸の変態通報案件になったとしても殺されるような目に遭うことはないと思うんだけど……害鳥駆除?」

 

「誰が害鳥だテメェ!」

 

「んー、ウチの(トップ)からサンラク君に伝言(メッセージ)があったんだよね。諸々開示するか開示したくなるまで殺され続けるか……って。()()()()()()()()()()……ユニーク絡みじゃないとあり得ないしねぇ」

 

………………何てこった、お前かい例の「もう1人」ってのは。そして困ったことに俺も確かに無関係では無くなってしまったな、今ここで突発的に〜とかじゃなくて普通にこの騒動の発端だろう「喋るヴォーパルバニー」は俺と今行動を共にしているオルトも同じなのだから。

 

だがその頭とやら……随分と馬鹿じゃないか。

 

「20点、脅し文句より先にその脅しでどうなるのか考えるべきだったな」

 

「え、サンラクちょっと高くないかそれは。めちゃくちゃ甘く見て5点でしょ、どう考えてもおつむが足りてないでしょこれは」

 

「辛口だねビャッコ君、私は諸々込みで10点で赤点評価なんだけど」

 

「俺を知らないで初心者を脅すならそんなもんだ……ろうっ!」

 

「あー、そこ考慮しわすれてたなぁ……まぁだとしても馬鹿もいい所だろ、何のために人類は言葉を獲得したんだか」

 

狐面と鳥頭(変態2人)に言われたくないって言うんじゃないかな愚弟は。私だってそういうもん」

 

「「誰が変態だぁぁ!!」」

 

くそっ、正直上裸ならまだ半裸よりかはマシだと思ってたのに!

いやもう正直めんどくさいなぁ。仕方ない、オルトに手伝ってもらっ…………あ。

 

「オルトッ!!!まだいけるか(制限時間は)!!!??」

 

「すみません…!そろそろ、限界かと……!」

 

オルトにも制限時間があることを忘れていた!

そろそろ本当に限界なんだろう、人から兎に変わりつつある自分の体を隠そうとしているが隠し切れるわけがない。鉛筆との戦闘ですっかり忘れていた、明らかにレベルやステータス、スキルや装備で劣っているんだ。例え2人であっても勝てる見込みは今のところゼロに近しい。

しれっとサンラクに攻撃とヘイトを押し付けて距離を稼ぐ、すまんサンラク生贄になってくれ。会えたらラビッツで会おう。

 

「オルト!()()()()()()()()()()!!」

 

「…………!はい!」

 

俺の意図を正しく汲んでくれたのだろうオルトがすんなり俺の腕に掴まる。すまんな、秘法とか何とか言ってたような気もするが盛大にバラしてくれ。

 

「じゃあなサンラク!鉛ぴ……じゃなくてペンシルゴン!俺は先に抜けさせてもらうぜ!………オルト!()()()()()!」

 

「【再構築(イノママニ)】……!」

 

ぼふーーん!と何度聞いても間抜けだと思えるような音と共に煙が立ち上る。煙の中から俺と俺の右腕に掴まったオルトが迫り上がる地面を蹴って一気に門に近づく。いやマジで離すなよオルト、お前の正体は既にバレた。全力で走るのではなく「逃走に全力を注いだ」場合こうしてもらった方が安全なんだよ。

 

「あああああああああああ!!!?貴方も!!?」

 

「はぁ!!?ってことは、エムルの言ってたもう1人って……!!」

 

なんか後ろから驚愕の声と叫び声が聞こえるんだが、何だ?サンラクはまぁ確定として、もう1人……そういえばなんか居たな。多分目当ては兎だな?

 

「逃げ切れるなんて、本気で思ってる訳じゃないよねぇ!!」

 

思ってるからこうして逃げてるんだよばーか!

 

「プレイヤーの方は割とどうでも良いけど、あの可愛らしい兎ちゃんにもしも危険が及ぶと言うのなら……止めるわよ、廃人狩り(ジャイアントキリング)!」

 

えっ何あいつジャイアントキリングなんて呼ばれてんの?ウケるんですけど。

 

まぁ良い、兎にも角にもまず街に飛び込まねば。オルトの【座標転移開門】は特定の場所でしか発動できないんだ、さっさと雲隠れするに限る……!

 

「いやまぁ、サンラク君にってメッセンジャー()私1人なんだけどさぁ……まぁ、ビャッコ君が知ってる訳ないか。()()()1()()()()()なんて一言も言ってなかったりするんだよねぇ」

 

ヒューーーーーーッ!!野生のPKが現れやがった!

ダメだ赤い帽子の小鬼どもを思い出す、なんでレベル50どころか40にも達してないやつにあの鉛筆はこんなに用意周到なんですかね!?どんだけサンラク警戒してるの!?

 

そう叫びたいのを全力で堪え門前に立ち塞がる集団を睨みつける。現れた追加プレイヤー共は一様に真っ赤なネームを頭上に表示している。

さて、【再構築】はどうやらMP切れで使えないらしいしどうしたもんかな。

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