シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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あけましておめでとうございます!!元旦から投稿していきますよぉ!!


状況終了

まぁ、最初の予定的には一番対処が簡単そうなやつ…………そう、明らかに俺のことを低レベルプレイヤーと舐め腐っているPK共の中でも特に俺のことを舐め腐っていそうな大剣持ちの脇でもすり抜けるつもりだった。

大剣は一発一発の火力が高い割に大振りで隙が出やすいのが基本、まぁここにスキルの補正とかもかかればまた何か結果は変わるかもしれないが。なんなら見るからに物理特化ですよとでも言いたげな装備をしているので魔法も使えないと見える。これで使ってきたら?末代までの恥だよ。

ともかく、最初のプランとしては先手取って不意打ち決めてすり抜けて全力で門の中に駆け込むというのが俺の予定だった。何故「だった」をここまで強調するのか?

二つ程予想外が起きたからだよ。

まずサンラクがなんかこっちに来た、いやまぁそれはまだいい。問題はもう一つだ。

 

「えぇ…………?」

 

すり抜けようと考えていた大剣使い、その体がなんかこう……「ゴシャッ」とか「メキャッ」とか、ともかくそんな感じの音を立てながら「く」の字にへし折れた上に突然カタパルトに取り付けられて発射されたみたいな挙動をしてポリゴン撒き散らしながら門の先へと吹っ飛んでいった。

というか俺とサンラクのすぐ隣を通過していったあからさまにヤバそうな衝撃波、あともう少し俺が左に寄っていたなら間違いなく俺もカタパルト発射体験をする羽目になっていたな。

 

「なんだ!?」

 

「一撃だと!?」

 

「誰がやりやがった!」

 

門の向こう、大通りまで派手に吹っ飛んで爆散してポリゴンを撒き散らす大剣握ったPK。こいつら……仮称としてA、B、Cとでも呼ぶか。ABC達からしてもそれが想定外事象ということは明らか、あれじゃ落ち着いてこっちを攻撃する余裕もなさそうだ。というか混乱っぷりが見てて面白い、小物臭さなんてステータスあったらお前らカンストどころか上限突破してるんじゃねーの?

 

(さて…………あれはヤバいな、ネームは赤くないから鉛筆(外道)のお仲間さんでは無さそうだが……)

 

どう見てもハイレベル……その中でも恐らく上位のプレイヤー。大剣使いを仕留めたであろう剣は禍々しい程にドス黒く、それに対し纏った鎧は眩く美しい純白。剣を振るったままの体勢を維持したままのプレイヤーを直視する。背のマントには……何だありゃ、狼が剣を咥えてるのか?いやまぁそれは良い。

 

…………そもそもの問題として今この場において明確に味方なんて呼べるのはオルトくらいしか存在しない。少なくともプレイヤーの中において絶対的な味方は存在しない。サンラク(鳥頭)もまぁまず間違いなく俺を囮に逃げることを考えているだろうしな。敵の敵はなんとやら、少なくとも眼前で展開されている今の状況に最も適した言葉は「共喰い」だな。

 

(いやまぁ、今がチャンスってやつだな!)

 

「あっ!てめぇ、待ちやがれっビャッコ!」

 

「誰が待てと言われて待つんですかー!??バッカじゃねーの!!鳥頭(変態)!」

 

「好きでこんなになってるわけじゃねーんだよ!!」

 

はいレッツゴー。チャートは組んだ、あとはそのチャート通りに事を運ぶだけ…………!

 

いやぁすみませんねお兄様方、ところで自分より格下だと思っていたやつが突然突っ込んでくると大体みんな驚くんですかね。初心者が訳も分からず引き連れるだけ引き連れてモンスター押し付けられた経験がないのかな?……無いか普通は。

減速なんて甘っちょろいことはしない、何なら武器も構えんぜ俺は。強いて言うなら右腕に魔法を放つ機構(オルト)が備わってるくらいかな?

 

5.「待てやコラァァァァ!!」

 「きゃぁあああーーーっ!死ぬ死ぬ死にますわぁぁぁぁ!!!」

サンラクがなんか叫んでる兎を担ぎながら俺に追従して走ってくる。

 

4.慌てたように先程大剣使いを「く」の字に折り曲げた下手人たる鎧騎士が走ってくる。いやはっや、明らかに重装備なのになんでそんな速いんですか。

 

3.ようやっと事態を把握し始めたPK諸君の手に力が込められ武器が構えられる。

 

2.一瞬減速、何故かって?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

1.「死にやが「えっなにあれ」は?」

 

「っ!?」

 

「てっめ……!」

 

「にゃっ!?」

 

「ビャッコ、さん……!?」

 

減速、急停止。視線をあらぬ方向へ全力で逸らしたいわばフルパワーよそ見。

この状況下で、今目を逸らす程の事があったのかと。不意に急ブレーキをかけた車の車内にいる人間が前に投げ出されるかのようにこの場にいる全員が一瞬俺の視線を追って……待てやおいこらサンラクてめぇ普通は引っかかるもんなんだぞなんでお前だけこっちをガン見してやがる。

俯瞰視点から見ればあまりにも単純明快で滑稽に見える手段な訳だが、どいつもこいつも(ロール)(プレイ)にのめり込み、そして何が起きるか分からないゲームの中だからこそ……例えば突然アホほど強いモンスターが湧いただとか、例えば突然隕石が降ってくるだとか、例えばモンスターを数百体単位で押し付けられるとか……最後のは俺の実体験だが。こういった手段は割とあっさり引っかかってくれる奴が多い、クソゲーで対人要素がある音ゲーだとこれは特に有効だったな。何せありとあらゆる理不尽に敏感な男達だ、対面に立つものが勝負の真っ最中だというのにそこに意識を外すほどの「何か」があるのか?確かめねばってな。

 

 

 

「オルト、ポーションだ。ちゃんと回復させとけ……!」

 

「は、い………………!!」

 

棒立ち、即座に加速。実はスタミナも結構ギリギリでしたなんて口が裂けても言えないなぁ…

この場の全員(一人を除く)の意識が俺に戻ってくる数秒、限界まで距離を開ける。

一歩目、地面を踏み締めて跳躍。二歩目で一気に距離を詰めたPKの頭を足場に二度目の跳躍。

さぁさぁ君達、誰も届かない所まで俺は行かせてもらうよさようなら!

 

「【再構築】!!」

 

「まーーじで便利だねぇその魔法……!!」

 

もう何度目のお世話になるのか分からない【再構築】発動、三と四歩目で()()()()()空気を踏み締め門前へ。

 

「おっしゃ成功!!ナイスアシストだぞオルトォ!」

 

「光栄ですが、まずは街中に入る事を優先してください……!」

 

有能兎が相方で助かるよ!!

 

「あ、おい!」

 

「すまんおっさんども!!今回は特例ってことで見逃してくれ――――!」

 

門番のおっさん二人にそう言い捨てて街中に突入、あれ?なんかすげー見られてるような気がするんだが……気のせいかな?…………にしてもサンラクは大丈夫かね。置いてきたのもアレだけどさぁ…………当初の目的は助けることだろ?ははは、外道を助けても意味を見出せないんだゴメンネ。

 

 

◇◇◇◇

(あっっっんの野郎!一人だけさっさと離脱しやがった……!…………だが!)

 

「隙だらけなんだよバーーーッカ!!」

 

一歩踏み込み近づいてきていた鎧騎士に肉薄、二、三歩目で剣を「駆け」抜け四歩目で跳躍。プレイヤーキラー達を飛び越して全力で街中へ向かう!

取り敢えず申し訳ないので「悪いね」とだけは言っておいた。

 

「おうさっき許可は得たから入って良いよなぁ!返事なんぞ聞かねーけどよぉ!」

 

「え、あっ!」

 

ビャッコが普通に通り抜けられたあたり問題ないと思っていたが無事それが証明されたようでよかった、これで止められたならお気持ちメールだった……それにしても

 

「サイガ-0、ね……名前だけでも覚えておくか」

 

踏みつけた時に一瞬見えたプレイヤーネームを脳裏に刻み込んでおく。え?他のPK達?…………あれ?何て名前だっけ?

まぁ良いか、正直あれはどうでもいい類の奴らだしな。

 

俺は振り返ることなくサードレマに駆け込んだ。

 

 

 

 

 

駆け込んだ直後再び轟音が鳴り響いた。

こっわ、確実に例の「サイガ-0」だろ今の…

 

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