シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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一体目は複数とは限らない。哀れな鳥頭に合掌を

ヴォーパルバニー達が住まう国ラビッツ、そしてラビッツを治める王たるヴァイスアッシュの住まいである兎御殿……の、手前に刻まれた魔法陣から門が出現する。

 

「あっぶねぇぇぇぇ!なんとか逃げ切れたぁぁぁ!!」

 

「本当になんとかでしたね…………」

 

その門から飛び込みの体勢で俺とオルトが現れて、【座標転移開門】が完全に消えてなくなったところでやっと一息つく。オルトにMP回復用のポーションをいくつか渡しておいてよかった、恐らく事前に渡していなければ【再構築】と【座標転移開門】は使えなかったな。

………………にしてもこれ以降あまりこういうチェイスはしたくないな、精神的負担がキツい。

正直に言うと本当に危なかった。

鉛筆とサンラク(外道二人)といういつ爆発するか分からない爆弾を抱えながらPK共、それとあの鎧騎士というどういう爆発をするのか分からない爆弾を同時に処理しなければならないという場面は正直かなり心臓に悪い。

というかペンシルゴンがどうもサンラクや俺とは別でなんか碌でもないこと企んでそうな気がする、どうせサンラクもあの様子じゃ暫くは表に出れないだろうし俺もラビッツで過ごすとしますか。いつまでかと聞かれたらそりゃまぁ、喋るヴォーパルバニー(オルトとサンラクの兎)の話題を完全に塗りつぶすくらいのビッグニュースが出てくるまでかな?

 

「はぁ…………叶うことなら俺の事は話題になってませんように」

 

頼むぞ、最悪サンラクならいくらでもバレていいんだあの様子だと既に派手にバレてそうだが。

 

「時刻…………真昼か」

 

………………飯を食べよう、じゃないとリアルが疎かになりすぎて大変なことになる。

かつて音ゲーのやりすぎで救急搬送寸前になった記憶が蘇る、クッ落ち着け俺!今はそうならない様に気をつけてるだろうが!

 

「悪いオルト、俺ちょっと疲れたから寝るわ……起きたらヴァッシュ師匠(せんせい)の訓練を本格的に受けるから……」

 

「私も少し休みましょうか……ビャッコさん、おやすみなさいです」

 

ヒラヒラと手を振りつつ個人にあてがわれた部屋に入りそこに備え付けられたベッドにダイブ、セーブを行い俺はシャンフロからログアウトした。

 

◇◇◇◇

「ごちそうさまでした」

 

「はい、お粗末さま」

 

昼食は普通に牛丼だった、昨日の残りな。

さて…………と、爆弾2人からメールが届いてやがる。どんな内容かは知らんがまぁまず間違いなく片方は碌なもんじゃないだろうなと思いつつメール開封。

 

件名:よくも置いていったな

差出人:サンラク

宛先:ビャッコ

本文:てめぇよくもあのまま俺を置き去りにしようとしてくれたな、今度会った時ぶちのめしてやる。あとなんか鉛筆から碌でもなさそうな誘い来てないか?

 

うーん、十割恨み節。悪かったとはそりゃ思うよお前1人だけ置いてって悪かったな。次おんなじ状況になった場合も俺は迷わずこの選択をすると思うが。ところで鉛筆から碌でもなさそうなお誘い?まぁとにかくもう1つを見てみないとわからんか、開封。

 

件名:してやられました

差出人:鉛筆戦士

宛先:ビャッコ

本文:いやはや、例えるなら雑魚A〜Dとはいえよくもまぁ高レベルプレイヤーから逃げ切ったね。

なんか話を聞くにビャッコ君も兎抱え込んでるらしいじゃん……これから大変になるねぇ。

あとそのうちちょっと話したいことあるからカッツォ君も呼んで円卓で会おう、日程は後程。

 

 

 

…………ふむ、円卓ねぇ?わざわざ俺やサンラク、そして我がクソゲーフレンド最後の1人、カッツォを呼ぶってことは碌な事じゃなさそうだな。

何より怪しいのはわざわざシャンフロ外、それもおそらく鉛筆の影響を最も受けほぼあいつの庭たる円卓で行うほどのちょっと話したい事……ねぇ?

そもそもカッツォもシャンフロ始めてたのか?てっきり格ゲーの大会だとかバグまみれの格ゲーにのめり込んでるものかと思っていたんだが。

 

と、思っていたらその件のカッツォからメールが飛んできた。

 

件名:おいコラ

差出人:カッツォノボリ

宛先:ビャッコ

本文:なんか鉛筆戦士から俺とサンラク宛に明らかに悪巧みの匂いしかしないお誘いきたんだがお前ら何したんだ。

面白そうだから俺は話を聞くが当然お前もサンラクも逃げないよな?

 

俺、カッツォノボリ、サンラク、ペンシルゴンの4人でペンシルゴン発案の何かしらの計画。

わぁ、怪しさがマキシマムどころかハイパーマキシマムしてるなぁ……いやまぁそれと同等クラスで興味もあるんだが。どうも巻き込まれたクチっぽそうなやつから逃げるなとまで念押しされればこちらも逃げづらいというものだな。

 

「取り敢えずカッツォとサンラクにはまともに返信してと」

 

ペンシルゴンにはどんな返信をしてやろうか、私生活を握りました的な感じのメールにしてやろうかな……いやそれはやりすぎか、普通に返そう後の報復が怖い。

 

 

◇◇◇◇

「おはようっと」

 

「おはようございますビャッコさん」

 

ラビッツのやけにもこもことしたベッドの上で目を覚ました(ログイン)してオルトに挨拶しながらベットから起き上がる。悪巧み(仮だがほぼ確定)計画と恐らく俺がサンラクと同じユニークを抱えていることがバレたという問題が噴出したわけだがまぁそれはそれ、当初の目的であるラビッツから元の街に戻る為のランドマーク更新という目的を果たせたから笑って許そう。

これでようやくシナリオを進めることができる、というわけだ。トストスと音を鳴らしながら前を歩くオルトに追従しながらさて「訓練」とはどんなものかと考えつつ兎御殿の廊下を進む。

 

「ここは私達が修練を、その中でも特に実践的な戦闘訓練を行うときに使われる闘技場……兎呼んで「ヴォーパルコロッセオ」と呼ばれる場所です」

 

「すまん、目の前で鳥頭(サンラク)が大量の犬だか狼だかに食い殺されてるのを見るとそっちに感想を示せねぇわ」

 

広さ的に言えば直系20〜30メートル程の円形闘技場、特にこれといった障害物のなさそうな場所……で、何やら5、6体の犬だか狼だかにサンラクが食い殺されている。

 

「恐らく鳥の人も訓練を受けているんでしょうね……あれはマジョリティハウンドと呼ばれる()()()()()()()()()です」

 

「いったいめ」

 

「そういう()()()のモンスターですから」

 

なるほど?あいつも可哀想になぁ。というかアイツ鳥の人なんて呼ばれてんのか、いやまぁ確かに鳥頭だからわからんでもないが。あれ?となると……

 

「なぁオルト、俺ってヴォーパルバニーからなんて呼ばれてる?」

 

「狐面の人ですね」

 

…………うーん、まぁ!鳥の人って呼ばれるよりマシだろ!多分!

 

「ここでは10体のモンスターと戦え、と父上が言っておりました。なお「致命(ヴォーパル)」武器以外を使用する事は許されていません」

 

「なるほどねぇ……んじゃまぁ俺も試しにやってみますか。おーいサンラク!!俺にも変わってくれーー!!」

 

「あぁ!?………………ビャッコかよ、良いけど!」

 

おい一瞬の間は何だったんだ。まさか狐面だから認識できなかったとか言わないよな?

若干そこに後ろ髪を引っ張られるような感覚を抱きながらヴォーパルコロッセオにサンラクと入れ替わりで降り立つ。安心してくれ、初見攻略というものは音ゲーでもよくある事だ。10体全部初見で攻略するくらいの気合いを見せなきゃなぁ!!

 

「それでは一体目を出しますわ!!」

 

サンラクの兎が声を張り上げる。そういや名前を聞いてないな、今度聞いておこう。

 

「さてさてさてさて、どうせ一体目(複数形)なんだろうが……あ?」

 

「キュルララララララララララララ…………」

 

それはとても金ピカだった。どこか嫌な龍を想起させる頑強そうな()を全身に纏う竜、馬鹿みたいにぶっとい後ろ脚で二足歩行を実現し前脚は拳を握っている。

郡ではなく個、孤高の格闘家のような風体をしたそれは地面に向かって拳を叩きつけ吠えた。

 

「キュルラララララッッ!!!!」

 

「…………あれ、群体じゃないんだ」

 

「そりゃこれが一体目ですから」

 

「なるほど……鳥頭さん?」

 

「どういう事だエムル」

 

「そりゃサンラクサンの相手は何度も言った通り()()()()()()ですわ?狐面の人が同じとは限りませんわ」

 

「えぇ…………」

 

心中お察しするわサンラク。というかあの兎エムルって名前なんだ…………なっ?

 

 

 

 

結論から言えば俺は死んだ。

外から見てた3羽……間違えた、1人と2羽に聞いてみたところ肘からなんかジェットエンジンを吹かして俺の頭をあの金ピカ武闘派竜は200度ほど回転させたらしい。

………………なるほどこれは大変だ。

 

 

ユニークシナリオ「兎の国からの招待」、実戦的訓練一戦目。

必ず一体のみでポップし、プレイヤーに対して超高速で拳を繰り出した上で襲いかかってくるモンスター、「ドラクルス・ペクニプロス」……レベル78。

 




何ですかみなさん、拳を振り抜いてくる竜に見覚えがあるって?何を根拠にそんなこというんですか!!
ちなみに作者が1番モンハンの中で好きなのはブラキディオスです。

ドラクラス・ペクニプロス
とある樹海における中堅枠、大きさは大体小型バスくらい。
肘から自らと共生関係にある「蟲」にエンジンとして働いてもらい超高速と化した拳を相手のど頭に叩き込む。
ドラクラス、というからには「竜感染」済みであり感染した因子はまぁ皆様お気づきでしょうがどこぞの英雄譚大好き龍王。………とみせかけて実はそうではない、実際にはありとあらゆる竜因子に感染しておりその結果その身が黄金に近くなった。何で黄金に近くなるのか?竜という存在は須く「龍王」の模倣、世界が概念として産んだ菌糸達が自然ととった形なのです。故になり損ないたる「竜」達の因子が一つの肉体に集結した時それは「龍王」に近づくのです。
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