シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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目次にも書いています通り不定期更新となります、毎日更新再開は3/11からです。


ピールオブスケイルズ舞討曲、リズムを追い求めて

覇王る却火(ドレッド・バルカン)、控えめに言って頭がおかしい。何がって聞かれたら間違いなく「全部」と即答できるくらいには頭おかしい。下手すればまだジークヴルムと戦った方がまだ絶望感少ないし怖くもないし勝ち目があるとすら言える。

 

「グルァァアAAAAAAAAAAA‼︎‼︎‼︎」

 

「うおおおおおおっ!!!!?」

 

超高速で接近、()()する翼を俺に押し付け挽肉に変えようとしてくるあまりにも凶悪な挽肉マシーン、なんとか回避すれば今度は後ろ脚で強引に軌道修正しながら跳躍、覇王る却火がその大顎を持って俺を粉砕しようとしてくる。モーションを一つするたびに轟く飛行機のエンジン音ですらこんな音はしないだろうと思えるほどの超大音量の咆哮の中を掻い潜り、避けながら何とかしてたった一枚の鱗を引っぺがそうと足掻き続ける。

 

仮眠のおかげで思考は冷静だ、ただ処理能力を今のところ全て回避に専念しなければ俺は即座にミンチにされる。少しずつ思考のリソースを覇王る却火対策に回していくしかないか……!

まず大前提、速すぎて攻撃が当てられない。ジークヴルムの時も似たような状況下ではあった、スペックの差が違いすぎたという点だな。ただジークヴルムは大柄故にそこまで攻撃が速いわけでは無かったし攻撃を当てる隙もあった。だが覇王る却火は違う、速すぎるのだあまりにも。しかも…………

 

「冗談だろ、まだ加速しやがるのか……!?」

 

何とこいつ戦闘開始からどんどん速度を上げていくのだ。開始数十秒時点であればまだそこまで速くはなかった、いやまぁそれでも現実の公道で走る乗用車とかバイクとかよりよっぽど速かったが。ただしこの野郎はどうもエンジンが時間差であったまるタイプらしい。

この手のゲームの経験が乏しい俺でもわかる、こういう手合いは時間が経てば経つほど手がつけられなくなっていくタイプだ。

ヴァッシュが設定した鱗を一枚剥がすとかいうちょっと苦労するかな?程度の認識は一瞬で覆されたわけだ、あっちょっと待って更に加速するんですかそうですか!!

 

「うぉぉぉぉぉあっぶねぇぇぇぇえ!!」

 

地面に放射状のヒビが入る。翼の回転数(ケイデンス)が更に上がり…………急接近。畜生更に加速しやがった。ドレッドバルカン…………めんどくさ、爆走改造車(ドラッグカー)だがどう考えてもそのうち速度超過でコロッセオの壁を突き破りそうだ。先ほどからアクション自体はさほど変化が無い。噛みつき、薙ぎ払い、加速からの翼プレス……いくつかの派生も確認はしたが攻撃の速度以外は大したことはない。

唯一の救いと言えば向こうもどうやらエンストのようなモーションは用意されているらしくこちらのスタミナ管理が容易というところがまだ人の心をギリッギリ保っているラインだろう。

だからってそれに甘え続けるわけにもいかない。目標は生き延びることではなくその鱗を引っぺがす事なのだから。

ただ…………うん、どう考えてもこれは…… 

 

(ダメだな、隙を窺うだとかパターンを覚えるタイプとかじゃない。多分初見攻略しないと2回目以降のチャレンジで()()()

 

今のドラッグカーの速度と次回挑戦時の初速には恐らく……というかまず間違いなく大きな差が生まれる。そしてその変化に対応しきれずに死ぬ。いうなればソフランだな、慣れればどうにかなるかもしれないがそんな悠長な事もしてられない。

 

あぁ、これだけ見ればクソみたいな理不尽難易度だ。けど俺はこういうシチュエーションの方がよっぽどやる気が出る、燃え上がる!

 

「次なんてねぇ……!いつだって、どんなゲームだって…………!」

 

初見攻略は蜜より甘い!!突発的に発生する新ギミックはやめて下さい!!

今俺はゲームを最高に楽しんでる状態だ。が……正直まだエンジンがかかり切っていないような気もする。泥掘り(マッドディグ)の時もあっさり諦めたし、ここに至るまでの挑戦でも何度か「あぁ、まぁ死んでも良いや」なんて思ったことがある。

いやいや、何を言っているんだ俺よ。APしたりトロコンした音ゲーとかならともかくだ、未攻略未挑戦のゲームで手抜きなんて、剣道で似たようなことやってみろ師匠に一万回の素振りをプレゼントされる。

 

完全初見攻略(ALL PERFECT)してやる…………!」

 

エンジンが俺の方もやっとかかってきた気がする。鱗の一枚剥がすだけなんだ、まずはその方法を模索するべきだろう。

どんどん加速し手がつけられなくなっていく暴走ドラッグカー、攻撃の発生速度や威力、接近速度は時間が経てば経つほど凶悪になっていく。ここまで来ると「どこまで速くなるんだろう」と若干気になるが今はそこではない。

いやぁ、ここまで速くなるとは正直思わんかったな。強キャラなのはとても理解したからもうそろそろ打ちやめにしてもらっても……あっエンジン音(呼吸音)、そうですよねまだまだ速くなりますよねクソッタレが!

 

「えーーーと、エンジン音これで8回目……発生はゆっくり伸びて今大体15秒ちょいか……」

 

何でもないかもしれない情報からひょっこりとんでもないのが飛び出してくることだってあるわけだ、だからこそ一つずつ情報を拾って相手の動き(譜面とリズム)を少しずつ理解していく。

 

「グルァァアAAAAAAAAA!!!!」

 

「うるせぇよ!」

 

 

 

 

攻略の糸口、未だ見えず。

 

 

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