シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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狐面VS道化蜘蛛

「うん、まぁこんなもんで良いだろ」

 

蜂vsカブトクワガタinハイエナの俺という戦いを終えてボスがいるらしい巨木近辺にて。

————————————

PN:ビャッコ

LV:35

JOB:戦士(二刀流使い)

500マーニ

HP(体力)45

MP(魔力):1

STM(スタミナ):60

STR(筋力):50

DEX(器用):20

AGI(敏捷):75

TEC(技量):30

VIT(耐久力):5(5)

LUC(幸運):48

 

スキル

 

・スピンスラッシュ

・スラッシュラッシュ

・ナックルスラッシュ

・ジャンプレッグLv.9

・ロターテムーブ

・レペルカウンター

・クライムエッジ

・アクセルLv.8

 

装備

右:致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)

左:沼潜の短刀

頭:ジークヴルムの呪い

胴:ジークヴルムの呪い

腰: 戦士のベルト(VIT+2)

足:戦士のズボン(VIT+3)

アクセサリー:ウカの孤面

————————————

 

 

スキルは増えているし懐なんてヒェッヒエで風邪ひきそうなくらいの素寒貧だがまぁここで手に入れた素材やらを売って多少あったまる事を期待しよう。まぁそんな事は今どうでも良いから傍の方に全力で蹴り飛ばすとして。見てほしいこのレベル35に見合わぬステータスを。ラビッツで得た48のステータスポイントを注ぎ込んだ結果である。「そういえばステータス振ってないな」と思い出してステータスを振ってみたらこれだ、やはりあの首輪は壊れアクセサリーだったな。

 

さて。ステータスを振るという準備も終えたしボス戦行ってみようか。…………ん?

 

「あれ、入れない」

 

「どうやら他の開拓者の方が戦っているようですね」

 

ほーーん?先客ねぇ?どうも4人でのパーティーらしいな、ちょっと見てみますk…………えぇ?

 

「なんか潰された」

 

「なんか潰されましたね」

 

うっわえげつない、上から丸太やら岩やらを落としてるのか。なんなら追加で……何だありゃ糸玉か?あっ、一人捕まって追加で降って来た岩に潰された。にしてもパーティー構成が悪いな、全員近接職っぽいぞあれ。

 

 

 

「――――――――うん、情報提供感謝。念仏とかは覚えてないけど合掌だけはしとくか」

 

「これも自然の摂理ですからね」

 

2人で手を合わせて南無南無しておく。どうも最後の1人が俺たちのことに気づいたらしかったがその直後に蜘蛛にむしゃむしゃされていた。今後蜘蛛にトラウマを持つのは間違いなさそうだ。

 

「さて、気を取り直して行ってみようか。あ、オルト留守番ね」

 

「えっ…………」

 

何だその残念そうな顔は。やっぱりお前隠れ戦闘狂だろ。

 

◇◇◇◇

「そりゃまぁ新しくプレイヤーが来たら体力なんて全回復してるよな」

 

どうせ先ほどの彼らも大してダメージを与えていなさそうなので誤差の範疇だろうが。

こいつの名はオルト曰くクラウンスパイダー、道化(クラウン)らしくピエロのメイクっぽいド派手カラーリングの巨体を揺らしながら威嚇行動をとって敵意をむき出しにしている。

 

「……………あ、やっぱりあったな」

 

周囲をぐるっと見渡して確信、これ初見殺しだぁ……あの近接職の方々はお気付きになられただろうか、気付けなければこれはおそらくアホほどめんどくさいボスになっている。

向上したAGIと獣の子の補正をフルに活かして走り出せば何やら驚異的な跳躍力で上の巣に退避するクラウンスパイダー。うんうん、そりゃそうするよね。けど残念俺が行きたかったのはお前のところじゃない。

 

「薄暗い樹洞内部の壁面にこんなもん仕掛けるとか……このエリアボスとの戦闘ステージ作った制作者は性格が悪いな」

 

螺旋階段のようにせり出したこれぞまさしく上を取ったという絶対的アドバンテージを持つクラウンスパイダーを引き摺り落とすための足掛かりとなる下剋上への道。このエリアの真のバトルフィールドは上だ、地面はあくまで入り口の延長に過ぎないんだろう。

 

「オルトは端っこのこの辺で留守番頼む。自分の身の安全だけ確保しててくれ」

 

「了解です。………………ご武運を」

 

なんか盛大な間があったな。どんだけ戦闘したいんだお前……それでも俺は心を鬼にしてオルトを戦闘に参加させない!これはある種けじめのようなものだ、オルトに頼り切りではこの先恐らくやっていけない…………いやまぁ本音を言うとあんまりこういうのをNPC頼りってそんなにゲームの楽しみ方としては好きじゃないって言うか………うん、以上二つの理由から俺は今回オルトを戦闘に参加させません!以上!

というわけで螺旋階段(仮)を駆け上ること約数分、オルトが白黒の点になった辺りで俺は上部に張り巡らされた巣に辿り着いた。クラウンスパイダーが俺に気づいたらしくその体躯に相応しい太さと頑丈さを持った蜘蛛糸を踏みしめながらこちらへ近づいてくる。…………が、やっぱり地上に比べるとそこそこ遅いな。

 

「大方ここら辺に遠距離職でも待機させて地面に叩き落として下で近接職がボコる事が正解の設計なんだろうが…………」

 

生憎当方狐面の上裸マン故、そんなもんはない。それに火がついていたりビヨンビヨン撓んだりしないし綱が一本ではないのだ、この条件下であればやることなんて一つくらいしか見つからない。

 

「サンラク曰く!縦の糸には粘着力がない!!」

 

以前サンラクと遊んでいた時に聞いていたことなんだがここで生きてくるとは。横に張られた糸にだけ注意した上で踏ん張りを意識すれば足場としては上等すぎるな。こちらへ近づきつつあるクラウンスパイダーに向かって全力でダッシュ。

 

「綱渡りなんぞ踏ん張れさえすれば誰にでも出来るんだよなぁ!!」

 

素足よりかは幾分上等だがそれでも初期装備だけあってカスみたいなもんだ、だが踏ん張る事はできる!今度もうちょいまともな防具買おうかな……いやでも中身が豆腐みたいなもんだしなぁ……

 

「気にしてられねぇ!ほーら落ちやがれぇ!」

 

下から上へ、糸が振動で撓むタイミングを見極め斬りあげる。こういう状況下だと下から上へ跳ねるようなイメージで斬ったほうが案外うまいこといくんだよな……

 

「行ってらっしゃーーい!!」

 

顔面に叩き出したクリティカルは思いの外効いたらしく案外あっさりと落ちていくクラウンスパイダーを眺め、グシャアッ!というあまり聞きたくないような音を聞いた事を確認して状況の把握に努める。んーなるほど、天井から糸で大量の丸太を巣に干渉しないように吊るして攻撃手段にしてたのね。そのほかにも岩やら何やら殺意が極まってるなぁ。

これを食らうのが自分だったかもしれない、という想像はやめておこう。

 

「かったいなこの糸…」

 

現在糸が切れないかどうかの検証中、流石に自分の足場まで斬るのはゾッとするどころの話ではないので内心ビクビクしていたがそんな事もなく狙った糸を解体できてよかった。なんか悪さできそうな気がするしそのアイデアも喉の辺りまででかかっているが家主のお帰りだ、帰っていただこう。

 

「あそーれ」

 

再び叩き落とす、戻ってくるために伸ばしていた糸をぶった斬ってな。…………おう、先ほどと同じく落下ダメージを確認……あっ、アイデア今出たわ。

 

 

 

 

 

ではここで突然ではあるがクイズだ。家主がガチガチに整えた防犯グッズ(物理)が目の前にあります。何したくなりますか?

 

俺の場合は「それを家主に叩きつける」だ。

 

いやぁ、我ながら性格が腐り散らかしてると思う。丸太やら岩やらを遠慮なく落としたり何とか復帰しようとしたところを丁寧に蹴り落としてやったり……下でワサワサしてるクラウンスパイダーが少し可哀想になって来たレベルだ。 

 

プレイヤーがキャラクターを操作するゲームにおいてバグと正常の狭間に位置する技術……それこそがハメ技。

 弱者が強ボスに勝つための最低最悪の外法でありボスの何もかもを否定してサンドバッグへと変えてしまう悪魔のごときテクニックだ。

 何度も地面に叩きつけられながらも、健気に巣へ戻ろうとする姿は哀れみを覚える……いや、一昔前のカートゥーンアニメのギャグみたいでウケる、とか思ってないよ、ほんとほんと。キツネウソツカナイ。

 

なんかもう遠慮なくドカドカ落としまくってたらそのうち動かなくなった。追加でもうちょい丸太を積み上げたらボス討伐のリザルト画面が表示されて無事エリア突破。

 

………………何というか、満点の勝利と最高の結果なのに後味悪いなぁ。

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