シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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ごめんなさい…ごめんなさい…受験なんです…


刹那、されど永き時の墓守に終止符を望む 其の九

「うおおおおおおおおっ!!?」

 

「ふ、振り落とされそうです……!」

 

しっかり掴まってろよオルト……!

さて、現在俺は神代の鐵遺跡の地下……のさらに地下で超高速落下をオルトと一緒に体験している真っ最中である。いやぁ、まさかあんな古典的な落とし穴があるとは思わなかった。取り敢えず考えた奴はまず間違いなく懐古厨だな……?いやこれは流石に偏見か。

 

さて、ここからどうするか。オルトの【再構築】も少し考えたが俺たちが今落ちている穴はとてつもなく狭い。どれぐらい狭いかと聞かれれば…うん、学校とかにある様な机、あれの1個半ってとこだろうか。これだけ狭いと【再構築】を使ったら圧死してしまうだろう。下に生成して着地……は落下ダメージを喰らうな、却下。

 

(ただオルトがいる以上はいそうですかと死ぬ訳にはいかないな……!)

 

NPCはリスポーンしない……つまり俺が死ねばほぼ確実にオルトは巻き添えを喰らって死ぬ。それだけは意地でも避けなければいけない――――ん?

 

「うおぉあっぶねぇ!?!」

 

突然目の前の壁から……なんだこれ?手すり?恐らくだが手すりがせり出して来た。にしても怖すぎるだろ、もうちょい壁寄りなら顎に直撃してお陀仏だったぞ。

だがこれならいける!生き延びられる……!

 

「掴んだ瞬間折れるとか笑えないからやめてくれよ……!?」

 

タイミングを見極めろ、さもなくば手が無くなるだろう。一定の間隔で手すりが目の前を通過する、そこを…………

 

「今!!!!」

 

掴み取る!あっ、折れた。

 

「ぐっ……おおおおおおおお!!?」

 

ほんの一瞬だけ体が重力の影響を受け、再び無くなる。しかもバランスを崩して頭から落ちていく羽目になった。いや待って死ぬって!オルト諸共死ぬ!死ーーーーーー

 

『安全機構発動、反重力安全装置(アンチグラビティセーフティシステム)起動』

 

「お、おおおおお?」

 

凄まじい速度で落下していく俺とオルトがゆっくりと減速していく。本来の重力の向きとは真反対の方向へベクトルが向いて俺達は最下層と思わしき場所へ到達した。

 

「へぶぁっ」

 

ただし落下体勢は変えられなかったので顔面からの軟着陸だったが。

 

◇◇◇◇

神代の鐵遺跡。現在の旧大陸における神代における文明を感じさせるエリアたる『去栄(きょえい)残骸遺道(ざんがいいどう)』や『無果落耀(むからくよう)古城骸(こじょうがい)』などと比べれば随分と質素で小規模ではあるが少なくとも神代文明に生まれたであろうエリア。

工場跡地たる残骸遺道や戦場跡地であったであろう古城骸とは違い今なお何の目的があって建造されたのか不明でありライブラリと呼ばれるクランが調査を続けている。

 

 

 

世界観的な解説を行うのであれば、まず大前提としてここは通常攻略される上層部は()()()()である。神代文明におけるこのエリアの役割は「マナや魔力などの研究解明」及び「刹那理論の補強」の2つであり、それを実行する為の研究場と実験場は下層部にある。

 

――――――『涙光の地底湖』。大陸の傷が膿んで産まれた地底湖である。ここにはマナを多く含んだ生物が多様に存在しており、それらの生物を捕獲分析することで刹那理論の補強やマナ研究を大きく進めることに成功した。

そしてその地底湖(実験場)の生物を分析する為に造られた研究場が今まさにビャッコが落ちてきた(降りてきた)場所である。

ここは本来世界の楔が3本以上外れないと行くことができない場所であった。しかしビャッコは神代文明最強の焼却機構の呪いと機構の物質を使った刀を所持しているのである。7つのサーバーが独自に判断を下し入室を許可されたここは未だ明かされる必要のない世界の記憶を断片的にではあるが保有している。

 

◇◇◇◇

「…………いや、マジで何だこれ」

 

目の前に広がる光景は……何というか、ぶっちゃけて言ってしまえば「実験室」の一言で済むんだろうが。ここに至るまでの道のりの荒れ具合を見ると異質さが勝っていると言える。

さっきのシステム音声や俺が入った瞬間灯りが灯ったことを考えるとどうもここはまだセキュリティとかが生きてるみたいだしな……警戒だけはしておこうか。

 

「オルト、基本的に俺のそばから離れるなよ……離れろっていうまでだ」

 

「了解です」

 

正直俺より未だレベルの高いオルトにそういう心配はあまり必要ないかもしれないがそれでもNPCたるオルトを死なせる訳にはいかない。最悪身代わりになってなんとか脱出してもらうしかない。

 

慎重に辺りを見回しつつ進んでいく。…………うわ、なんだあれキッショい生物の……ホログラムか?

 

「Ωねぇ……」

 

上に表記されたこれは名前だろうか、随分無機質な名前だなぁ。識別番号みたいな感じだ。

…………薄々思っていることなんだがここ今の俺の段階で来ていい場所か?神代とやらの気配を濃厚に感じるここはどう見てもエンドコンテンツ、であればやりこんだ廃人プレイヤーが訪れる様な場所なのでは?

 

「うわやっばいな、ワクワクすると同時にちょっと怖くなってきた」

 

最初から警戒はしていたが全くの無駄に思えてきたぞ。どうせレベル50に達してない俺の警戒なんてエンドコンテンツの前ではあっという間に蹴散らされるだろうしな。

 

「さっき落ちてきたところはなんか上見た感じ閉まったっぽいし……取り敢えず進むしかないよなぁ」

 

 

 

 

で。

 

「はっはっはっ、どう思うオルト……あれは俺達に友好的だと思うか?」

 

「神代についてそこまで詳しくはありませんが少なくともそれだけは絶対にないでしょうね」

 

だよなぁ、背中から明らかにビームとかその手のものをブッパしてきそうなコード伸ばしてたり明らかに精密作業とかではなく戦闘用の4本腕を持ってるもんなぁ。

図体の割に妙に静かな動きでそいつはどこかに消えていった、見つかったら確実に殺されるやつだな。

 

「たーーだ、そっちに道があることは分かった……なんとか脱出路を見つけないとな。それにしても……」

 

――――このエリアではメッセージを送ることができません。

 

…………カッツォとサンラクにメッセージを送ろうと思ってたんだが、どうなってるんだこれは。もしやジャミングとかそんな感じの無駄セキュリティまで生きてやがんのかここは。世界観に忠実なことで。じゃあこれも世界観的に動いたりしないかな?目の前に広がるクソデカモニターを見て、周囲を見回し安全確認。少なくともさっき見たあいつの気配もなさそうなので近寄る。

 

「このクソデカモニター弄ったら地図くらい出ないかな……」

 

キーボードとかは無さそうだな、タッチパネル的な操作なのかな?あっ、へぇー。空中で手を振ったりしたら動くシステムなんだぁ……えーと地図、地図は……これかな?いや違うな、なんかどう見てもなんかの資料だ。

 

「ちょっとくらい読んでもバチは当たらんか」

 

好奇心というのはどんな人間にも宿るものだからな、ここまで練られたゲームの設定なんて見たくないわけがない。

えーと、タイトルは【二号計画(セカンドプラン)におけるマナと魔力の適合】?

初手からよく分からない単語が出てきてしまったがニュアンスでいけるだろうか。

 

 

 

二号計画(セカンドプラン)におけるマナと魔力の適合

 

二号人類となる彼らは我々と違いマナを貯蔵する「封臓」を備えることでこの惑星での恒久的な活動が可能となる。魔力については一定の適性をデフォルトで付与し、それ以外に背景(バックボーン)という形で追加の適性を施すものとする。魔力の許容量は個々人の意思で拡張し、魔法に関しても習得適性を定めていくものとする。

 

 

 

 

うーむ、前半の文章はてんで何を言ってるか分からん。魔力関連は多分ステータスポイントとかのことを指してると思うんだが……ん?となると俺達プレイヤーは二号人類とやらの枠組みに入るのか?

それじゃあNPCとかはどうなるんだ……?

 

「取り敢えずもうちょい読まないとなんとも言えな――――」

 

『侵、ニュウ者ハッケン、発見。タダチニ撃滅を開始』

 

「――――――――――っ!!」

 

咄嗟に横跳びをして回避、ついさっきまで俺が立っていた位置には確実に潰されるサイズの手……というかいつの間に来やがったお前は。

 

叩きつけた手で俺が死ななかったことを認識したらしいそいつ……いや、ゴーレムがゆっくりと俺の方を向く。目が光って……あれそれってビーム的な……

 

「うおおおおっ!?」

 

アクセルでAGIを強化してビームから脱出する、いや待って咄嗟にスキル使ったけど使ってなかったら多分今のでオルト諸共死んでなかったか今の!?

 

『撃滅!ゲキメツ!撃メツゲキ滅ゲゲゲゲゲゲゲゲゲGEGEGGGGGGGGG』

 

「お前どう考えてもぶっ壊れてるじゃねーか!」

 

なんとなく「護衛」とか「防衛」みたいな感じを想像してたのに周囲の被害お構いなしで四碗を振り回し始めやがったぞこいつ!

 




研究室で分かること!
・二号人類の「封臓」関連
・ABCD計画関連
・[情報規制済み]及び[情報規制済み]関連
・神代において確認された始原獣概要
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