シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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刹那、されど永き時の墓守に終止符を望む 其の十六

「なんつーか、ゲーム内でログインし直した気分だ」

 

「あ、それ分かる」

 

「何となく分かるわ」

 

ログインする時って意識が体からぐいーーっと離されて無重力空間に放り投げられる感じなんだよな。そんな何とも言えない感覚をゲーム内で再び味わいながら俺達は大まかな地形こそ秘匿の花園と一致しているが、目に映る光景は全くの真逆と言える場所に立っていた。

一面を彩るように咲き誇っていたあの鮮やかな紅色の彼岸花達は元からそこになかったかのように全て消え失せて、今や土なのか泥なのか石なのか全く定かではない……強いて言うならばその全てをごった混ぜにした上で判別不能にしたかのような曖昧で平坦な地面が広がっているのみ。

空なんか見てみろよ、これが仕様だと知らなければ「デバックサボったの?」と言いたくなるぞ……色調が反転したらしい、普通黒い夜空に白い星が輝くものだが、()()夜空に()()星が輝いてやがる。

今は間違いなく夜中だ、だと言うのにこの異様な夜空は真っ昼間のように明るい。幻想的な風景……とは流石にお世辞でも言えないな、どちらかと言えば不気味だ。

 

「さて…………空も不気味だが、俺としちゃあっちの方がよっぽど()()()()()()だな」

 

 

「正位置」のエリアにポツンと生えていたあの枯れ果てた大木は「逆位置」と言うべきこの場……「反転の墓標」においては全くの別の姿に変わり果てていた。

 

命を一切感じることが出来なかったあの枯れ木はこの反転した空間では()()なるらしい。

白銀にほんの僅か朱色を帯びた花弁……その花弁そのものの重み自体に耐えることが出来ず散っていき桜吹雪が生まれるほどに咲き乱れる桜の花を目一杯湛えた大樹。綺麗だとは思うがその光景はどうしても時を忘れてしまったように見えて、何故だか異様な空よりも不気味だと感じた。

そしてその根元には「正位置」の方では恐らく風化しきってなくなってしまったのであろう簡素な墓標……そして、何よりも存在感を放つのは。

 

「……あれか」

 

「……あれだろうね」

 

「……あれだよ」

 

「……あれかぁ」

 

錆びているわけでは無い、寧ろ日頃から手入れしているのかと思うくらいには綺麗だ。ひび割れ風化しているわけでも無い、一切の年月を感じることが出来ない新品のような鎧だ。

だと言うのに、何故()()()()()から永い永い「年月」を感じてしまうのか。

それは自身に降り積もっていた白銀の花弁にも、今まさに舞い散る朱色混じりの花弁にも構うことなくそれら全てを押し除け静かに立ち上がる。

成る程、確かにペンシルゴンの言う通りだ。これはロボ武者と形容するほかないだろう。

 

(…………所作が美しいな)

 

そう思ってしまったのにも無理はない。

直ぐに抜刀が出来ないように刀を右に、そして刃先を外に向けて置いている。礼儀と礼節を弁え、きちんとしたものだ。立ち上がるのにも、粗雑に見えて細かい手順を省略することなく完璧にこなしている……正直これを見せられたら剣道の場なら思わず拍手してしまいたくなるぞ俺は。

 

「………………」

 

一切肌を露出させることのない全身を覆う白と黒……モノクロの機械装甲。顔すらも完全に覆い隠したそこにはロボアニメのロボによくあるヒロイックなツインアイカメラ。立ち上がった瞬間その双眸に青白い光が灯り、身体の各部からほんの僅かな駆動音を立てながら()()は立ち上がった時に手にし、腰に差していた刀を抜刀する。

立ち上がったことで初めて分かる全容から窺えるのは、所々日本風な甲冑の意匠が見える。その背丈は……俺よりデカいな。大体……うん、2メートル半といったところか。

 

「さて…………お手並み拝見と行こうか」

 

サンラクが俺達3人を手で制し、歩み出る。

 

相対するは「遠き日のセツナ」の恋人であり、ユニークモンスターであり、ヴァッシュ曰く「死に損ない」である……「墓守のウェザエモン」。

お互いが一歩進むたび、距離が縮まっていく。まるで早撃ち勝負だ。お互いの()程圏内に入るのはいつか、どちらが先手を打つのか、一体いつ()()のか。サンラクの緊張とモチベーションが猛烈な勢いで燃え盛っているのが何となく分かる。

 

「っ!」

 

「…………来るぞ」

 

互いの距離は1メートル。そこで()は居合いの構えを取った。

対するサンラクはそれを見ても臆することなく進み……

 

「墓守のウェザエモン、いざ尋常に…………」

 

断風(タチカゼ)

 

見た目とは裏腹に見事に錆切ったようなザラついたような声、その声が呟いた瞬間超神速フレームの当たれば即死のトンデモ居合が放たれた。目を凝らす、余りの早業に腕が見えなくなる。線にしか見えない光の筋……太刀筋!刃の輝きに乗って濃厚な即死の気配がこちらにも押し寄せてくる。

 

狙いは首だ。

 

そう思い至った瞬間、サンラクは「勝負!」と叫びながら何やらスキルのエフェクトを纏い頭を屈める。その数十センチ上の空気を文字通り()()()()蒼水晶のような刃。それに一瞥もくれることはなくサンラクが一気に墓守のウェザエモンに肉薄した。

 

ここに俺達の短くも長いように感じる戦いの火蓋が切って落とされた。

 

◇◇◇◇

「マジで初見一発で避けたよサンラク君……」

 

「俯瞰視点だから実際に体感する速度とはまた違うんだろうけど……あれ、とんでもないな」

 

「俺達はどうする?」

 

暴風圏、否、この場合は多分()()()と呼ぶべきか。

その発生源たる墓守のウェザエモンに肉薄し戦闘を開始したサンラクから……いや、正確にはそのサンラクが相対しているウェザエモンから放たれる太刀筋を見ているオイカッツォが手短にペンシルゴンに問い掛ける。

狂気的な笑みを浮かべながらサンラクは現在様々な角度から墓守のウェザエモンに対してアプローチをかけているわけだが……そのどれもに一切の反応を示すことがない。例えば足払いは効くのか、硬い硬いと聞くが結局その装甲は具体的にどれだけ硬いのか。装甲と装甲の間、にあたる関節部分は、手指は、ツインアイは潰せるのか、そもそもH()P()()()()()()()()()()()()()()()…………喰らえば即死は免れない刃を超高速で繰り出し続けるウェザエモンとの戦闘に対して「ワンチャンス」の隙間を見出さんと試行錯誤を繰り返し足掻くサンラクの顔には変わらず笑みが浮かんでいる。

…………いやあれ余裕とかそんなんじゃないな、半分引き攣ってる顔だ。…………あの顔には凄まじく覚えがある、というか自分も時たまあんな感じの顔になる。どういう時かって?あまりにぶっ飛んだ難易度に「一周回って笑うしかない」時だよ。

 

「私は「準備」を始めるから、カッツォ君はあらかじめ持たせたアイテム持ってスタンバってて。ビャッコ君はサンラク君が殺られた時すぐにスイッチできるようにスタンバってて」

 

「了解……!」

 

「任された……さて、モーション見せてくれよ〜サンラクゥ…………」

 

駆け出していくオイカッツォからさっさと視線を外しつつペンシルゴンがその場でアイテムをインベントリから取り出した。

何だあれ、天秤?

 

「頼むよ天秤ちゃん……!この戦いは君にかかってるんだからね……!

 

ウェザエモンの太刀筋を見ながらチラとペンシルゴンの表情を窺う。そこには一切の余裕などなく、だがしかし勝利を一ミリたりとも諦めてはいない笑みを浮かべたペンシルゴンがいた。

 

「俺は俺のやるべきことをやるだけだな。…………っ、思ってたより早かったな?もうちょい見ておきたかったんだが」

 

視線を戻した瞬間、サンラクが致命的な一太刀(ダメージ)を受けてポリゴンと化し爆散した……大体2分と少しってところか。

 

「よっしゃ、お仕事開始ってな……!」

 

全速力でウェザエモンに向かって走りながらインベントリから戦角武刀【黒染矛双】を取り出しつつ()()()()に声をかける。

 

「サンラク!俺がスイッチするから立て直しとけ!あと情報寄越せ!」

 

「無理ゲー!避けろ!」

 

「なるほどわかりやすい…………!」

 

要はこいつに対する有効打は今のところ存在しないってわけだ……!

というか今俺が身をもって体感したわ。恐らく以前遭遇したあの四碗ゴーレムの装甲程度なら一撃で粉砕可能なくらいには助走をつけて【黒染矛双】を振るったっていうのにこいつの装甲には罅の1つも入らない。

 

「断風」

 

「胴ぉぉぉぉぉぉぉっっ!!!?」

 

あ、これやばいわ。俯瞰視点よりも更に数段速い。抜き放たれた剣が描く青白い光の軌跡……もとい刃。ほとんど勘だけで上半身を全力で反り上げて回避する。あっウェザエモンさんそれ切り返しもできるんですか凄いっすねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!

 

「おぉぉぉぉサンラクより早く死んでたまるかァァァァァァァァァァァァァァァア!!」

 

ドリフティングフット起動。文字通りドリフトするかのような挙動をしながら切り返された必殺の刃から逃れ少しだけ距離を取る。クソッタレスタミナ管理を少しでもトチればその瞬間全身を切り刻まれてもおかしくないぞ……!

 

「断風」

 

「どぉうぇぇぇぇぇい!!?」

 

嘘だろお前ついさっきまで5、6メートルは離れてたろ!!?

どんなからくりを使ったのかは定かではないが超高速移動を持って俺に肉薄してくる墓守のウェザエモン、再び放たれた即死の一太刀は間違いなく俺の胴を今度こそ両断しようと振り抜かれていた。

 

「ぐっ、お"ぉぉぉぉぉお!!」

 

ビビるな!見ろ!見ろ!太刀筋を、読め!

目を見開く、太刀筋を読む。相手の動きを先読みしろ……戦うのは常に己の心だ!

 

「ふんぬぁっ!!」

 

上体を全力で逸らし両手と頭を地面に付けて回避、次にやってくる行動に対して最速で反応する為に最小動作で体勢を立て直す。

 

「読めてんだよその太刀筋はよォ!」

 

返す刀が凄まじい速度で振り下ろされる、それを読んでいた俺はバックステップで頭をかち割らんとする刃から逃げ切った。

 

「サンラクすまん変わってくれ!」

 

「任されたァ!!」

 

そのままサンラクとスイッチ、安全圏まで退避しスタミナ回復に努めちらりと【黒染矛双】の耐久値を確認する。

 

(良かった、思ったより耐久値は削れてない。だったらこのまま運用を続けていく方針で良さそうだ)

 

「因みに生存時間は?」

 

「えーと……大体1分半ってとこかな?最後の一撃は逆に何で避け切れたのか聞きたいよ俺は……」

 

カッツォよ、人は頑張れば体が動かなくても脳は大体どんなものでも反応するんだ。フルダイブVRは脳が直感的に操作するゲーム、つまりは脳の反応速度さえあれば今のも避けられる……まぁ俺も正直無理だと思ってたけど。それにしたって……

 

「…………ほんの少しの間打ち合って分かったのは……正直本当にあの状態のウェザエモンには勝てる気がしないってことかな」

 

「…………そんなに?」

 

その問いに俺は頷く。正直な話マジで勝てる気がしない。大前提としてあの超速即死居合、あれを回避できなければお話にならない時点でかなり無理ゲー感漂うのだが……それに加えて全範囲攻撃やら超巨大な腕による薙ぎ払いやらが加わるとなればそれはもう半分プレイヤーに攻略させる気がないと言って差し支えないだろう。

ペンシルゴンの言う()()()()が無ければ匙を投げたくなるな。まぁ投げるわけがないんだが。

 

「モーションはどんな感じなの?」

 

「………超高速、それに攻撃と攻撃の間に無駄な動きが一切ないから甘え行動なんてものはないに等しい。技のリキャストタイムも体感かなり短いし……あ、そうだ。俯瞰視点で見てる断風(タチカゼ)と実際に喰らってみる断風(タチカゼ)、大体2倍くらい速度が違う」

 

「…………そんな化け物相手に30分、かぁ。キツすぎでしょ」

 

俺もそう思う。さて…………デス数は全員を合算して一体どれだけになるのやら、大体10……いや、せめて20以下になればいいんだがなぁ。目の前で再びサンラクが胴体を真っ二つにされる光景を見ながら俺はそう思った。

 

◇◇◇◇

そんなこんなでおよそ7分が経過した。

 

雷鐘(ライショウ)

 

「来るよ!」

 

「そりゃもうわかり切ってるよ……!サンラクお前意地でも死ぬなよ!」

 

「応よ……!!」

 

1秒5発、そしてその全てが即死ダメージが約束された落雷。その雨が降ること5秒間。計25発というあまりにもとち狂った秒間火力(DPS)を叩き出す死の雨の中をドリフティングフットを使ってなんとか掻い潜る。あまりにも高いDPSだからこそ全力で回避に努めることで回避することができる……この辺は音ゲーに近しいものを感じるな。どうも他の3人も死んでいないようだ。…………にしても

 

「とんでもない曲芸してんなオイ」

 

見遣る方向は現在即死の攻撃をひたすら回避し続ける半裸の変態(サンラク)

スキルエフェクトが途切れた瞬間放たれた突きを恐らくパリングプロテクトか何かで軌道をズラし、タックルを決め、サンラクが避けた先を狙った攻撃を腰を捻ることで対処した上で袈裟斬り。そこから回転するように肩から右腕を斬り落とさんとする刃を避け、返す刀による斬り上げをバク転で飛び越える。

曲芸か何かをやってるとしか思えない挙動ではあるが、ウェザエモン相手ではそれら全てが大真面目に実行されていると言うことを身をもって体感しているので何とも言えない。先ほどのバク転も恐らくただジャンプするだけでは着地の瞬間情け容赦なく着地狩りを狙われ、そこから一気に押し切られて殺されていただろう。ほんのコンマ1秒たりとも無駄にはできない、例えスタミナが削られたとしても死ぬよりかはよっぽどマシだということだ。

 

「機関銃を避ける方がまだイージーだ……………っ!」

 

「スイッチするぞ!」

 

「頼んだビャッコ!」

 

流石にこれ以上はスタミナと集中力の問題でサンラクが保たないと判断し俺がスイッチする。

ほれほれウェザエモン、まだ俺殺されてないんだわ実は。いい加減殺したくないですかぁ〜?

 

入道雲(ニュウドウグモ)

 

「ひゅーーっ!遠慮ないっすねぇ!!?」

 

目の前にあるものの悉くを薙ぎ払わんとする雲の巨腕が顕現する。はっはっはっ、何回か見たから知ってるぜ……それは背後が安置なんだろ!?

 

「分かってれば怖くなーーー」

 

断風(タチカゼ)

 

は?

 

「パリングプロテッ………………」

 

あ、間に合わない。最後に見えた景色は何故か俯瞰視点で見下ろせる()()()……あ、首チョンパされたのか。ここで俺の意識が一瞬ぶっ飛び次の瞬間意識がまた戻ってきた。

 

「ぐっ……調子乗りすぎたかな。生存時間どう?」

 

「大体1分ってとこかな?ところで初リスポーンの気分はどうだった?」

 

「400万マーニか……まさかたかがリスポン一回にここまでの大金かかってるとは思えんかったなぁ」

 

俺は確かにHPが全損し、死んだはずだ。にも関わらずここに未だ立っているのは俺がポリゴンと化して爆散する前にオイカッツォが投げつけたとあるアイテムが関係している。

それこそが消費アイテムの中では堂々たる最高額、ポリゴン化してから10秒以内に「投げる」もしくは「叩きつける」などによる接触で如何なるプレイヤーだろうと無条件で体力を全回復してくれる所謂完全蘇生アイテム、「再誕の涙珠」。

 

「運命神?の涙だが何だか知らないけど今はとにかくありがたいなぁ……!」

 

どんな手練手管を使ったのか、全く定かではないがペンシルゴンが()()()()()数なんと驚き12個だ。この時点で400(万)×12……4800万という恐怖の額になるわけだ。1人3個持った上でまだ足りんと言わんばかりに体力半分回復の上での蘇生、ライト版とでも言うべきかな?「生命の神薬」を上限いっぱいの5個持った総合にして37もの追加残機を以てして俺達はこの核爆弾を直撃させても割とケロッとした感じでいそうなデンジャラスモンスター、墓守のウェザエモンに挑むわけだ。

お前は死なない?俺達も死なねえよ……少なくともタダで死ぬようなタマのやつはこの場において1人もいないだろうしな。

 

「クッッソ……サンラクと俺とカッツォで回しはしてるけど、正直かなりギリギリだな……!ペンシルゴン、何分経ってる?」

 

「大体8分ってとこかな、誰も脱落していないという形であれば歴代最高記録だよ」

 

「俺達が欲しいのは勝利なんで脱落云々に興味は無いかな……にしても、まだ10分経ってないの控えめに言っておかしいでしょ」

 

「だからこそ20分……多く見積もっても30分っていう結論が出たんじゃん」

 

うーーん……後に控える残り2セット、何なら更に難易度が上がることが確約された20分間、か……

 

「それただのクソゲーじゃん」

 

「4人で、しかもゾンビ戦法なんてことしてるんだしクソゲーって思ってるのはむしろ向こう側かもね。そんな頭があるのかどうかが問題だけど」

 

そりゃそうだわ。……というかさっきからペンシルゴンは何してるんだ?天秤とウィンドウをずっと行ったり来たりで戦闘にも碌に参加してこないが。視線に気づいたかペンシルゴンがニヤリと笑みを浮かべる。

 

「これは「対価の天秤」っていうユニークアイテムでね、ちょっと頑張って説得して借りて来たのさ。効果は……おっと不味い、10分経過だ。カッツォ君!用意してて!」

 

「サンラク!変わってやるから1回体勢を立て直しとけ!」

 

ダメージを通そうなんだなんて最初から考えちゃいない。サンラクからヘイトを奪い取り、こっちに注意を引かせることだけが狙いだ。サンラクを追いかける背中に向けてアサシンピアスを放つ。サンラクのヘイトが無事こちら側へと移り、離脱を確認したところで墓守のウェザエモンへと視線を向ける。

 

「ほらよロボ武者、第2ラウンドのゴングを早めに鳴らしてくれ……まぁ何が言いたいって言うとさ、早くお馬さん出してくれ。我らがプロゲーマー殿のロデオの練習に付き合ってくれよ」

 

「…………質量転送(エクスポート)及び展開(サモンコール)、戦術機馬【騏麟】」

 

10分前から聞いていたが、あまり聞き続けたいとは思えない錆び付いた声が唱えると同時に5人しかいないフィールドの上空、いや、「空白」に墨で描かれたような幾何学模様……いや、()()()が展開され、そこから3Dプリンターで物質を生成するように超巨大な質量がこの場へと転送(召喚)された。

 

「馬……?」

 

「形状的にはそうとしか言いようがないし」

 

「足の生えたダンプカーだろどう見ても!」

 

「私それ言ったよねぇ!?」

 

「ダンプカー……?ダンプカーというよりこれは戦車の類じゃ……!?」

 

召喚を終えた瞬間墓守のウェザエモンも攻撃を再開した為に転送されたその姿をほんの少ししか見ることしか叶わなかったが、それだけでも「足の生えたダンプカー」の例えが決して誇張ではないと理解できた。いやあれ誇張というか過小評価まであるぞ、俺には「暴れ狂う重戦車」にしか見えん。

どうなってるんだ一体、軽く5メートルは越してるぞ。本当にオイカッツォの奴、大丈夫何だろうな……?

 

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