シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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刹那、されど永き時の墓守に終止符を望む 其の十七

ビャッコとサンラクが墓守のウェザエモンの対処を再開し、その戦線から離脱したオイカッツォに与えられた今回自らに課せられた役目となる()()を見た率直な意見としては「足の生えたダンプカー」であったわけだが、改めてそのダンプカーの全容を見た上で次に抱いた感想としては「跳ね回る戦車」であった。

墓守のウェザエモンの纏っている鎧のカラーリングに合わさるようにデザインされたのかこちらも同じく白と黒……モノクロの鋼鉄の体躯は見上げるほどに巨大かつ勇猛で、その隙間から窺えるのはその体躯を支え暴れる為の人工筋肉と思しき夥しいチューブの束。

キャバリー・クライシスという少々特殊な形式の格ゲーを嗜んでいたが故にゲーム内限定ではあるものの乗馬の心得は他の3人の誰よりもあるプロゲーマーと言えど、ぱっと見た感想やら何やらを踏まえて乗りこなす云々を考える以前の問題として「どう乗れと?」と言わざるを得ない怪物がそこにはいた。

 

「これがミサイルやレーザーを撒き散らしながらエリア中を走り回る?」

 

「私の人生の中でもぶっ飛ばされるボウリングのピンの気持ちを体験したのは稀有だと思うよ」

 

そりゃそうだ、と溢しつつもオイカッツォは目の前で今まさに動きださんとする巨大な機械馬……騏驎を観察する。

 

「サンラクとビャッコが粘ってるのに、俺だけ残機回復要員なんてあり得ないよねぇ……! あった、搭乗口!」

 

そう言って駆け出すその先は騏驎の後脚。大雑把に……悪く言えば雑にSF要素を組み込んだそこら辺のゲームとは違い、狂気的な量の設定をパンパンに詰め込んだ上でそれら全てをほんの少しも腐らせることなく完璧に再現しきった上でゲーム性が両立しているこのゲームだからこそ、その設定を崩さない範囲で攻略の為のヒントを出すとするならば、一体何を運営側は設置するだろうか。果たしてオイカッツォの予想は的中した……見つけ出したるは整備員用の梯子。

サンラクとビャッコが諸事情により技量などに振らざるを得なかったが故に、ポイント振りの結果サンラクとほぼ同速、ビャッコの少し下ほどの速度を得るに至ったオイカッツォは騏驎の主人と同じ青い光を灯すツインアイが今まさに主人と斬り合っている半裸(サンラク)上裸(ビャッコ)を捉えるより先に梯子を駆け上がりその背へと昇り切る。

 

「馬には轡が必要だよねぇ……? 縄傀儡【蛇】!」

 

オイカッツォがその背に取り付く成功率を更に上げる為に口に出したスキルは修行僧(モンク)のものではない。縄と僅かばかりの魔法のみを頼りに未知を暴き出し、この世界の暗闇を照らし出し、隠された叡智を探し求める探究者達の職業(ジョブ)。それ即ち考古学者のスキルによるものである。

スキルによって本当に命が宿ったが如く蛇の様な挙動で騏驎の首に固く固く巻き付いた縄を凄まじい握力で握り締め、さながら馬に轡を取り付けたかの状態になったオイカッツォが高らかに叫ぶ。

 

「まさか副業(サブジョブ)の考古学者をこんな使い方するとは思わなかったよ……キャバリー・クライシス全国三位のテクニックを見せてやるよ暴れ馬っ!」

 

 地響きと轟音の嗎をゴング代わりに、オイカッツォの長い長いロデオが始まる。

 

 

 

「ちょっ、思ったより……ひょわぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

…………訂正、地響きと轟音の嗎と実に情けない悲鳴がゴング代わりとなりオイカッツォの長い長いロデオが始まった。

 

◇◇◇◇

「なぁおいそこの発起人(ペンシルゴン)さんよぉ!自分から言い出しといて始まってからずっとそれ弄ってるのはどういうつもりなんですかねぇ!!?」

 

「あーーーもう分かってるって!!最後の準備してるの!そろそろ終わりそうだから黙って!!」

 

――――――対価の天秤。

それはシャンフロ内において最大手のNPCが運営する商会である「黄金の天秤商会」が所有しているユニークアイテムである。

レベル99に到達したプレイヤーとして、廃人狩り(ジャイアントキリング)とまで称される様になるまで、最前線に立ち続け多種多様なユニークを見てきたペンシルゴンをして「ぶっ壊れ」と評さざるを得ない破格も破格のアイテム。

 

「おいおい、総計3000万マーニ分のアイテム叩き込んでまだ行けますって? とんだ大飯食らいさんめ」

 

ペンシルゴンがこれまでのプレイで集め溜め込んできたアイテムに加え、果てはトレードや売買……そしてちょっとした()()の結果集めた高額アイテム、時価にして総額3000万マーニという大量のアイテムを左皿にデータとして載せた天秤は、当然の結果ではあるが左皿が地につくかつかないかのギリギリまで大きく傾いてしまっている。

 

「レートは10万で1ポイント、頼むよ天秤ちゃん……『天秤は均衡を保つ、価値を数値に、万夫不当の力を』! だったよね?」

 

ユニークアイテムにはつきものの、あまりに設定に忠実すぎが故の面倒くささ……この天秤においては使用用途毎に用意された呪文。ペンシルゴンはこの地獄の盤面において切り札となりうる効果を発動させる。

 

 

ユニークアイテム「対価の天秤」。

NPC商会「黄金の天秤商会」が商売の象徴として秘していたユニークアイテム。

左皿……「捧げの皿」にアイテムを投入することで、その()()に応じて右皿……「恵みの皿」から様々な恩恵を得ることができる。

それは単純に左皿に乗せたアイテムを売却した場合の金額と同価値の金貨であったり……一時的という大きな制限こそあるもののレベル上限を超えた数値の()()()()()()()()()を付与するものであったり。

 

「私の全財産、追加ステータスポイント。合計300ポイント……持ってけ泥棒!」

 

ペンシルゴンの眼前に表示された3つのウィンドウ。タフネスに特化した格闘タイプのそれと、何がしたいのかわからない技量と幸運に特化した変態タイプのそれとまだギリギリ理解はできるもののやっぱり何がしたいかわからない幸運と敏捷特化のそれに先駆けとして50ポイントずつが叩き込まれる。

 

◇◇◇◇

「おおお!!?」

 

「なんっだ、これ…………!?」

 

突如として墓守のウェザエモンの太刀筋が先ほどよりはっきりと見える様になった。……というかスローになったような感覚に俺と何故かサンラクが同時に素っ頓狂な声を上げる。だがすぐさまにそれは違うということに気がついた。

 

「なーるほどねぇ……!さっきから何やってんのかと思ってたけど、これか……!」

 

さっきまでと比べればあまりにも格段に動きやすくなった体で墓守のウェザエモンの太刀を回避する。次の瞬間体の内側から何かが湧き上がってくる様な軽い衝撃と共にずっと感じていた息切れよ感覚が消え失せる。

 

(ステータスが上昇してる……!上がったのはSTRとAGI、それにSTMか……!)

 

「そこ代われビャッコォ!」

 

「ちょっ、サンラク!!?」

 

サンラクが突如俺の目の前に飛び出し、無理矢理スイッチした。え?何で?何か考えがあるのか?咄嗟に後ろに下がってサンラクに譲る。

 

「袈裟斬り、斬り上げ、回転斬り」

 

横にステップして袈裟斬りを避け、確か……『湖沼の短剣【改ニ】』だったかで斬り上げをパリィし、三歩跳び下がって回転斬りの範囲から離脱。一連の攻撃の流れが終わった一瞬を狙って一気にサンラクが肉薄し右の短剣からスキルエフェクトを撒き散らしながらある1点に向かって真っ直ぐにその刃を突き出した。

 

「――――――ッ、成る程!手か!!」

 

澄んだ蒼水晶を思わせる、一見すぐに砕け散ってしまいそうな太刀を握りしめる手……正確には指か。荒々しい螺旋のエフェクトが回転斬りから硬直していたウェザエモンの指先を撫でる様に斬りつけ多段ヒットが入る。

確かにウェザエモンは信じられないくらい硬い。普通に攻撃していれば沼潜の短刀やさっきサンラクが握っていたようなレイピアのような低耐久武器はあっさり耐久値が消し飛んでしまうだろう。何故その思考にすぐ至らなかったのか……そうだよな、クソ硬い装甲で全身固めてるやつの弱いところなんて関節と末端だよな。

 

「ただそれだけじゃ足りない」

 

それでもサンラクは確かに後ほんの少しでウェザエモンの緩みかけた手を完全に太刀から引き剥がすことができる。どうすれば良いか?こうするんだよ。

 

「そこ退けサンラク!喰らいやがれロボ武者ァ…龍気練熱斬(ドラゴニック・ブースト)ォ!!」

 

サンラクに向かって退避を指示し、そのままウェザエモンに肉薄しスキルを発動する。龍気練熱斬は同じ相手に繰り返し攻撃した回数を参照し、そこから弾き出された結果に応じて攻撃速度と威力、そして()()を敵に加えることが可能なスキルだ。

今まで何度も斬りつけ、叩きつけてきた攻撃がまるで鉄を鍛えるかの様にこの一撃を鍛え上げる。

【黒染矛双】の持つ効果も相まって凄まじい攻撃力と衝撃と速度を得た渾身の一閃をウェザエモンの指先を太刀の柄ごと巻き込んで叩き込む。

 

「おっしゃ、もぎ取ったぞ……!」

 

「ナイスだビャッコ……!」

 

吹き飛ぶ様に墓守のウェザエモンから今まで即死の一閃を放ち続けた大太刀が離れ遠くへと飛んでいく。それをサンラクが見逃すわけもなく、手にしていた短剣2振りをすぐさまインベントリに入れて地面に突き立ったウェザエモンの太刀を確保した。

 

「はっはぁ! 剣を持たない剣士などルーのないカレーと同義! ざまぁみろ白米野郎!」

 

「福神漬けが付け合わせにあると良いなぁ……あ、お前にそんな付け合わせ(別技)は要らないからな?」

 

…………ふむ、何となく分かってはいたがサンラクのあの様子を見るに恐らくアイテムとしてあの太刀はインベントリに収められないらしい。まぁ別に構わないだろう、俺達の目的はウェザエモンから刀を奪い取ることだ、こうすることであの超速居合も広範囲即死の落雷も封じ込めることができている。さぁ白米武者、第2ラウンドはここからだぞ。今のお前にできることなんぞせいぜいがあの雲の腕による範囲攻撃だろうが

 

大時化(オオシケ)

 

「はくまいさぁぁぁぁん!!?」

 

おいこらお前付け合わせ(別技)は要らないって俺は事前申告したぞ!?畜生流石は主食、俺達のいうことなんぞクソ喰らえ、しっかりお供を引き連れてやってきたわけか……うん、落ち着けマイブレイン。

今の俺が移動系スキルを全開にしても同速度が出せるか怪しい程の超速接近からの()()()()。なんとか回避に成功したもののあの掌に掴まれた後のことがどうなるかは嫌でも想像がつく。掴んだ後の挙動がどうなるかは知らないが恐らく投げに繋がるんだろうな、動きにほんの少し柔道の面影が見えた。…………ただし柔道にあんな技は無いしそもそも掴んで力を込めた瞬間に死にそうな攻撃だったが。

初見一回で避けられたのは紛れもない幸運……だったが、位置が凄まじく悪い。

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

「………………」

 

騏驎とカッツォの激しいロデオをBGMに俺達4人の間に沈黙が広がる。まずいまずいまずいまずい回避に夢中でよりにもよってサンラクとペンシルゴンに位置が被った……!

 

(オオ)……」

 

「うへぇ!」

 

「やっぱりかよ!」

 

「分かってるねぇ!!」

 

こういう時相手がやって欲しくないことを的確に把握してちゃーんとその技をやってくれるのは強キャラの優しさだなぁ……捨てろ今すぐにそんな優しさは不燃ゴミと一緒に捨てちまえ。

ターゲットをペンシルゴンに変更した墓守のウェザエモンの掴み攻撃を力任せにウェザエモンの太刀を振り抜いたサンラクが背中を斬りつけることで何とかヘイトを奪い取れないか試みる。舐めプより酷いぞ自分の武器で斬られるのは腹に据えかねるだろう。恐らくこれなら……

 

「……時化(シケ)

 

「うぐぉ!」

 

嘘だろその状態から捕まるのかお前。サンラクの喉をウェザエモンが鷲掴みにする、ナイスだサンラクお前のおかげで少なからずペンシルゴンは救われたぞ……えっ?

 

「うべ!!?」

 

「速すぎだろお前!!?」

 

フルダイブVRは言ってしまえば電気信号により作られた夢を見ている様なものなので、瞬きは必要ない。が、そこは人間の本能として誰しもが無意識の内に瞬きをしてしまう。極限の戦闘下でもだ。

つまり何が言いたいかというと、瞬き1つの間に掴まれたサンラクが地面に叩きつけられポリゴンと化したという狂気的な速度に驚愕しているのだ。0.5秒もないだろう、目を閉じて開いた瞬間にサンラクが投げられて首が凄まじい角度に折れ曲がっていたぞ?

あっウェザエモンが刀拾った。ん?俺とペンシルゴンの位置近いな?

 

――――――こいつはやって欲しくない行動をほとんど確実にやってくる。

 

入道雲(ニュウドウグモ)

 

「あいぇぇぇえい!!」

 

安置はお前の背中ァ!!

 

ペンシルゴンと2人して全力ダッシュで背後に走り抜け、そのついでにサンラクに再誕の涙珠をポイ。

危なかった、あれで雷鐘が来てた場合サンラクが落ちるところだった……!

 

「今のが入道雲以外だったら全滅もあり得たよ!」

 

「刀持ってる方がモーション知ってる分まだ対処出来るな……!」

 

「同感、あれは断風よりタチが悪い」

 

リーチが短くなる?そうだね、それでも断風と同等かそれ以上の速度で放たれる上に剣を振るラグがない攻撃はちょっと、洒落にならないレベルで本当にきつい。やっと付け焼き刃がマシになってきたところを粉砕され、攻略チャートを更に見直さなくてはならなくなるのは心に来る。

 

「やってやるよ、命懸けのチャンバラと洒落込もうじゃないか……! ってそれただの殺し合いだな」

 

断風(タチカゼ)

 

「つぁぁあい!!」

 

「突っ込みがキレキレだねウェザエモン!芸人向いて」

 

大時化(オオシケ)

 

待ってそれ刀持ってても出せるの?

 

「黒衣武装【戦角】!」

 

間に合った!!間に合わせてやったぞコラァァァァ!!咄嗟に発動した戦角は完全にパリィ、とまでは行かなかったが確実に掴み、殺しにくる腕を弾くことには成功した。

 

未だ止むことのない地響きはオイカッツォが踏ん張ってロデオを続けていることの何よりの証、ここでへばっちゃ間違いなく終わった後には三方向から末代まで煽られる。

 

◇◇◇◇

「んんんんああああああああ!?」

 

戦術機馬【騏驎】の上に乗ることには成功したオイカッツォではあったが、その数秒後に自身の下準備と()()が限りなく無駄に近いものであったことを悟らざるを得ない状況になった。

 

「カ、カッツォ君大丈夫!?」

 

「だだいじょわぁぁぁぁ!!」

 

「え、何語?」

 

固定具を使わずにジェットコースターにしがみついたってこうはならない、もはや振り落とされるとかそういう次元ではない。例えるなら小学校にも上がっていない保育園児が手心など一切加えることなく自らの持てる全力を持って振り回す人形になった気分、とでもいうべきだろうか。乗りこなすなど烏滸がましい、以ての外である。ただただオイカッツォに許されたことは振り落とされないように祈りながら縄に全力を持ってしがみつくことのみ。

 

(やばっ……遠心力が……っ!)

 

左へ放り投げられた、そう思った直後に凄まじい勢いで右側へと吹き飛ばされ、かろうじて騏驎の背に復帰したかと思えば今度は真上へとかつて今この場にいる4人で遊んだバカゲーにおいて天へと射出されたサンラクの様に凄まじい勢いで跳ね上げられてその状態で振り回される。

そしてなにより騏驎の背への着地に失敗する度にほんの少しではあるもののダメージが入るため、ただしがみついていればいいというものでもないのだ。ペンシルゴンからあらかじめ渡されていた再生(リジェネ)効果を付与するアイテムを使用していなければさらに死亡回数を増やしていただろう。

 

(ただで、さえ……2デスしてるんだ。サンラクやビャッコと違ってこっちは1デスでも致命傷になりかねない)

 

ペンシルゴンがオイカッツォが死んだ瞬間に蘇生しているからこそなんとかなっているが、10秒以上騏驎を放置すれば、待っているのは今まさに自分が身をもって体感している大質量がフィールド中を暴れ回る混沌(カオス)である。

シェイクされてまともな風景が認識できない視界の中で、それでも縄を離さないオイカッツォはどうにかして騏驎の動きに対応できないものかと思考をフル回転させる。

 

(クソ、こういうのはサンラクの得意分野だってのにさ……!)

 

オイカッツォ……もといプロゲーマー魚臣 慧はそのプレイスタイルからよく勘違いされるが、その実態はガチガチの理論派である。相手の情報を可能な限り集めた上で「この場合何をするか」「どう追い込めばこの技を出すのか」「それに対してどう行動するのが最善手か」を予め考えてから実戦でそれを当てはめていく訳で、「とりあえず突撃」からその場で作戦を構築するどこぞの悪食鳥頭や「とりあえず回避すれば何とかなるから突撃」からその場で相手の行動パターンを読み取り作戦なぞ必要なしと言わんばかりに向かってくる攻撃を避け、自分の攻撃のみを当てていくなんていうどこぞの偏食脳筋狐面とは真逆のタイプなのだ。

その点において言えば今回の墓守のウェザエモン攻略はオイカッツォにとっては凄まじく相性の悪いものであった。

情報自体がオイカッツォの満足がいくほど充実していない上に、その特性上リハーサル無しのぶっつけ本番。ペンシルゴンはそのことも了解済みであったが故にウェザエモンよりかは()()()()な騏驎の対処を任せたのである。なおマシなだけであって楽なわけでは一切ない。

 

(どうする……こうも大暴れするとはね、姿勢制御なんて無理ゲーじゃない……?)

 

ボウリングのボールに弾かれるピンの気分を味わうことができるらしいが、背中に乗っていてもやたらめったら適当に振り回されるヨーヨーの気分も味わえるとは思っていなかった。このままではそう遠くないうちに縄、考古学者が使用できる武器「ロープ」の耐久力が限界を迎える。…………余談ではあるがこのロープ自体、耐久値が少ない武器ではある。しかし今回カッツォが採用しているのはそのロープの中でも2番目に固いロープ……つまりは隠し玉である。

 

「あいたぁ!」

 

と、腰を騏驎の首に強く叩き据えられた瞬間、オイカッツォは天啓を得る。

 

(……ああそうか、俺自身が踏ん張りきれないから振り回されるわけで)

 

 

 

 

 

天秤が輝き、縄が踊り、半裸と上裸が舞うフィールド。墓守のウェザエモン挑戦から20分経過まで、あと2分。

 


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