シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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今回試験的な形であるアンケートをとらせていただきます。


刹那、されど永き時の墓守に終止符を望む 其の二十

メインサーバー「リヴァイアサン」へアクセス、プレイヤー:サンラク、及びビャッコのログデータを参照。

隠しパラメータ「歴戦値」を計測、現時点でのレベルにおける基準値を大幅に満たすモンスターデータをロード。

 

現在サンラクとビャッコを迎撃する墓守のウェザエモンではない「()()()()()()()()()」は演算を続行する。

 

───これまでの戦闘リザルトを計測

 

───平均値を上回るスコアを算出

 

───WM(ワールドマスター)権限による「晴天」ロックの限定解除に問題はないと判断

 

───MS1申請……認可

 

───MS2申請……認可

 

───MS3申請……認可

 

───SS1.2.3.4.6.7……決議申請

 

───可、可、可、否、可、可

 

───結論、「晴天」ロックの限定解除を実行

 

 

 

調律の神が世界の均衡(バランス)を保つ為に取り付けた神代最強の英雄を縛り付ける五つの枷。

その内の2つが今、人知れず緩み外れた。

 

 

 

 

己が誓いを踏み躙る墓荒らし(プレイヤー)を許すことは無く。墓守のウェザエモンの「晴天大征」は未だ真なる天を統べるに至らず。

 

 

 

 

 

 

しかと見よ。此れが真なる「晴天(斉天)」なり。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

「行くぞビャッコォ!インスタント「盾・台・跳」式天誅ゥゥゥゥ!」

 

「任せろこの野郎!」

 

サンラクが吠える、俺が応える。本来であれば誰かを盾に奇襲をかけ、前の1人が刺されることを前提に2人目が追加の奇襲をかける……ことを更に予知した上で1人目を踏み台とし奇襲をかけられた3人目が2人目に対し上空奇襲式天誅を叩き込む技術ではあるのだが今回においてはそれを実行することが非常に難しいのでインスタント……研究が進んだことにより2人目が3人目を迎撃するルートを辿るインスタント「盾・台・跳」式天誅を採用した。

 

俺の後ろをサンラクが追走する、当然ウェザエモンが俺を迎撃する為に断風を放ってくる訳だが……残念、避けられるんだなぁこれが。

首を狙った一撃を伏せることで避け踏み台として良い感じになった俺の背中をサンラクが踏み抜き墓守のウェザエモンへ攻撃したところをウェザエモンがそれを迎撃する。

 

「自立型の台なんだなぁこれがぁ!!」

 

全てのヘイトがサンラクに向けられたタイミングで素早く体勢を立て直しアサシンピアスを発動、紅に染まった刃を装甲の間に捩じ込む。

クリティカルを示すエフェクトが示され、焔を彷彿とさせる刃紋がグツグツと煮え滾るマグマの様に更に緋く輝き、その次の瞬間俺のHPが削れていく。削られた(HP)を代償として俺の速度が上がり力が増していく。

 

帝蜂特殊武装:脚甲(エンパイアビー:タスクフォースレッグ)の効果もさることながら本当に覇兎【金龍】と【赫竜】の調子がすこぶる良い。どうせ使えないのに未練タラタラでレベリング中に練習していた甲斐があった。【赫竜】で体力を削り、【金龍】で削った体力を回復する。え?VITは削れたままじゃないかって?当たんなきゃどうってことは無いよね。つまりセーフ。

 

「おっし、【赫竜解放状態】突入……!」

 

ただ一つ文句を付けるとするならば【赫竜解放状態】に対した追加効果が無いことだろうか?まぁこの状態にならないと話にならないだろうから我慢するとしよう。

 

「体力少なめ、死にかけの火は燃え上がるもんだろ……!覇貫炎燼(バルカンエンジン)!」

 

体力は一桁一歩手前、レベル差は気にする必要なし。これならぶっ飛んだ出力を出すことができる。効果時間はそれなりに長めの5分となっているが……正直な話。

 

(こんだけ暴れ散らかしてる化け物が時間終了で大人しくくたばるとは到底思えない)

 

もっかい全体攻撃?断風を超える更なる超速フレームの即死技?もしくはそれらのどれにも属さない全く未知の攻撃か?少なからずこいつが大人しく時間終了でハイ終了と白旗を上げるとは思えない。蒼炎を纏った刀身が虚空に蒼い軌跡を描きながら振るってくる即死の5連撃を勘で回避しきり、振り下ろされた最後の一太刀を受け止め――――――

 

「ゔるぇっ?」

 

た瞬間に凄まじい速度で【金龍】と【赫竜】が地面に叩き伏せられた。…………不味い、何か分からんが俺の五感が全力で叫んでいる。即ち、阻止しろと。

 

壊震波海(カイシンハカイ)

 

「ううううううううううっ!!?」

 

ウェザエモンが大太刀を使って【金龍】と【赫竜】を押さえつけ、地面にめり込んだと認識しただろう瞬間に脚を振り上げる。そして振り上げた脚を両の刀が交差している一ヶ所に向かって振り下ろし全体重をかけた刹那。

ドゴン、と少なくとも刀から出てはいけない音が【金龍】と【赫竜】から放たれた。この動き、武器破壊の――――耐久値――――待って信じられないほどゴリゴリ削れてる!武器破壊技なんて搭載してんの!!?

 

このままじゃ確実に刀身がへし折れる、どうする?どうする――――こう、する!!

 

「ブレイブナックルゥゥゥゥッッ!!」

 

刀から手を離し、押さえつけている脚を全力で殴りつける。くっっっそ駄目か!?いや落ち着け、こうすれば良いんだ!

 

「力比べしようぜぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

黒衣武装【戦角】発動、ウェザエモンに向かってショルダータックルを敢行する。普通なら絶対に押し負けるだろうが……本来であればパリィに運用されるこのスキル、物体を()()という形でスキルが適用されるならば……!

 

「そこをどけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

「…………ッ!」

 

ウェザエモンの体躯がぐらりと揺らぐ、ほんの少し浮いたその隙を見逃さず刀を蹴り飛ばし開放する。

駄目押しにサンラクが何やら格闘系スキルを繰り出したのを確認し刀を二振りともきちんと回収する。

 

「てっめぇ……!よくも刀を折ろうとしやがって……!仮にも武士っぽい見た目なんだから武士道見せろよ!」

 

刀は武士の魂だぞお前!

 

「アンデッドだかサイボーグだろうが知ったこっちゃねぇ、刀へし折ろうとしたお礼参りだこの野郎自壊すら待たずに斬り殺してやんよテメェ……!」

 

「…………ァ、」

 

「!!?」

 

……謝罪の言葉か?いやまぁ流石に違うか。

ただ立ち尽くし、静かにその手に握りしめた大太刀を持ち直す墓守のウェザエモン。この野郎が「声」を発することは確かにこの戦闘中何度かあった。技名だったり騏驎の召喚だったりにな。だがこれは違う。明らかに明確な意思を持って発せられた言葉だ。

 

「……ァ、リス。………………ヴァイ、スアッ……シュ……?」

 

「なんだって?」

 

何故ここでヴァッシュが出てくるんだ……?

 

「そ、の、断片……アリス、は……紡が、れた、か。しかし、て、も、う一方の断片は……」

 

それはユニークモンスターという括りに入れられたモンスター、「墓守のウェザエモン」としてのものでは恐らく無いのだろう。これは……「シャングリラ・フロンティア」という()()に存在するキャラクターとしての「墓守のウェザエモン」の言葉。ヴァッシュの話、ペンシルゴンが考え導き出した考察。それらを総合して俺は無意識に「中身()が失われても機械の身体(ガワ)によって動いているモンスター」だと勝手に結論づけていた。しかしその結論とは裏腹に俺とサンラクの目の前には確固たるAI(意識)によって言葉を紡ぐ鎧武者の姿があった。

 

「アリス……?」

 

「……誰のことだ一体」

 

「悠久は、果てな、く……我が身、朽ち果、て、彼ら、の……行く、末、見ざれ、ど……確かに、「フロンティア」は、為され、成さ、れた……」

 

「おいおいおい、この盤面で()()は無いだろう……!」

 

「ちょっと勘弁してくれ……!」

 

墓守のウェザエモン、お前を攻略することに全神経を向けている今の俺の脳みそが考察にまで脳のリソースを割けると本気で思ってんのか?少なからずペンシルゴンの読みは当たっていたが、多分これは俺の読みも当たっている。絶対に何かが起こる。この会話イベントが終わった直後に。間違いなく!

 

「行くぞ……「二号計画(セカンドプラン)」の、申し子よ。我が、誓いを……踏み躙る…であれ、ば……我が、「晴天大征(セイテンタイセイ)」…………否、「斉天戴世(セイテンタイセイ)」にて、潰えよ」

 

ぞくり、背筋に電流が走る感覚。この感覚を体験するのはこのゲームでは2度目だな……天覇のジークヴルム、奴と相対した時以来だ。

(虎堂)の意識と(ビャッコ)の意識がリンクして、たった一言だけを全力でこちら側の電脳の神経に叫び続ける。

 

即ち、「死ぬ」と。

 

「ははっ、やっば」

 

次の瞬間、俺達は墓守のウェザエモンという……神代における最強の英雄の本気を身を以て体感させられることとなる。

 




Q.斉天と晴天って何が違うの?

A.晴れるだけの()じゃないよね?雨も降るし風も吹くし火山灰に覆われたり津波に覆われたり…「晴天大征」を超えた真なる絶技。後はちょっと干渉できる範囲が増えた、時と空間とか。


壊震波海(カイシンハカイ)
大波を砕き割るくらい強く踏み込む…要は踏ん張り技。火砕龍は本当に火砕流を耐える形で刀を突き刺し踏ん張るけどこっちは蹴りに近いスタンスだから攻めよりの守りに入る技。けど踏み込みで持続的に物体の耐久値を削り取るなんてことはウェザエモン以外不可能。
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