シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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アンケートにご協力いただき誠にありがとうございました。

評判が良ければこれからも続けようと思います。


刹那、されど永き時の墓守に終止符を望む 其の二十一

墓守のウェザエモンが居合の構えを取った。

そのことに俺は「え?結局ただの断風なの?」と思った。

少々面食らいながらも取り敢えず今のステータスなら正面切って受け流すことぐらいできると考えて俺は咄嗟に【金龍】と【赫竜】を交差させて必殺の居合を受け流そうとした。

 

現世鏡(ウツシカガミ)……断風」

 

「は?」

 

断風の前にウェザエモンが何事かを呟いた。

次の瞬間俺の首が宙を飛び、続いて上半身と下半身が両断されたのが吹っ飛んだ首から俯瞰視点で見えた。最後に薄れゆく視界の中見えたのは2()()()()()()()()()だった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 

「――――――――ッ!!!?」

 

今、俺は何をされた?

 

最初に浮かんだのはそんな疑問だった。

確かに俺は防ごうと刀を交差させた筈だ。だというのに俺は首を吹っ飛ばされ、上半身と下半身が泣き別れになった。なんとか最後に認識出来たのは何故か俺の背後に立っているウェザエモンと最初から俺の目の前に立っていたウェザエモン………………?

 

考え得る結論は1つ、あの化け物はスキルか何かであの一瞬分裂し同時に断風を放ちやがったのだ。冗談じゃない、何処の世界に分裂しながら即死攻撃を同時に放つ馬鹿がいるんだ。

 

「…………ッ、そんなこと考えてる場合じゃないだろ俺!」

 

目の前でサンラクが必死に攻撃を避け、受け流し距離を離す光景を見て現実に自分の意識を引き摺り戻す。しゃんとしろ俺、今するのはやられたことに対する考察じゃない!

 

「すまんサンラク!待たせた変われ!」

 

「いや!あと10秒待ってくれ!」

 

は?どういうことだ?

答えはすぐに分かった。10秒後墓守のウェザエモンが超高速……いや、もはや神速としか形容できない速度でサンラクに接近し凄まじい一太刀を大上段に浴びせたのだ。しかもサンラクの動きが完全に止まっていた、モーションキャンセルまで備わってるのか……!

サンラクに接近し再誕の涙珠を投げつけ蘇生する。

 

「さぁ来やがれウェザエモン!今度は俺が」

 

断風(タチカゼ)

 

「ふぁあっ!!?」

 

現世鏡(ウツシカガミ)大時化(オオシケ)

 

「うるぁい!!」

 

雷鐘(ライショウ)

 

「うぉぉぉっ!!」

 

超速の即死居合を回避した直後襲いかかってくる2本の腕。掴まれれば即死間違いなしのそれを咄嗟に黒衣武装を起動して弾き、続いて俺を貫かんと降り注ぐ雷の雨をドリフティングフットで避け全力で距離を離す。

 

入道(ニュウドウ)……」

 

「全員警戒!範囲攻撃が来……!」

 

(グモ)。………曇天(ドンテン)!」

 

今まで薙ぎ払いを続けてきた巨大な雲の腕が更に広がり、上から叩き伏せる為に迫ってくる。幸いなことに背中が安置なことには変わらないらしく背中に向かって全速力で駆け抜けスタミナを回復する。クソッタレ、覇貫炎燼(バルカンエンジン)天覇宣言(バスターコール)使ってるのに攻撃の隙すら与えてくれないのか。

 

刻忘(トキワスレ)……断風(タチカゼ)

 

「はっ!?」

 

ガクンっと世界が一瞬止まったような感覚、ラグ?このゲームが?だがそれは間違いであったと即座に気付かされる。

いやいやどうなってるんだ、勘で回避したがたった今()()()()()()()()が通過していったぞ?

 

正直今のを回避できたのは間違いなく奇跡だ、

首狙いの斬り払い、脚を吹き飛ばそうとする逆袈裟、頭のてっぺんから下まで確実に両断しようと振り上げられた斬り上げ。

頭がそれを理解するよりもなお早く体が先程までの戦闘とこれまでの経験則から反射し行動を実行に移してくれる。というかしれっと新技出してきたなお前、初見殺しまーだ積んでやがんのか畜生!

 

(オオ)…………!」

 

なんだ大時化(オオシケ)か!?!ばっちこいだよ黒衣武装で弾き返してやる!

 

()……」

 

「いや違うんかーーい!!」

 

大時化じゃない!じゃあ何だ!?新技か!

上下左右、下手をすれば面制圧………!なんだか知らんがやってやるよこんちくしょう、初見のノーツは見切るもんだ!

 

(ギト)!!」

 

ウェザエモンが太刀を鋭く2回振り抜き顎門を閉じるかの如く納刀する。次の瞬間俺の頭上に特大の大顎が出現した。

 

「意地でも死なねぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

迫り来る大顎を【金龍】と【赫竜】で止め、弾く。

 

(今で何秒経過した?この一連の動きに終わりはあるのか?)

 

その答えはすぐさま提出された。

 

斉天戴世(セイテンタイセイ)、世の戴く天を斉し終極と為す」

 

「はっや……!?」

 

俺は今全力で移動中だったんだぞ!?

全神経が警鐘を鳴らす、これは――――さっきサンラクが喰らった攻撃…………!

 

晴天(セイテン)転じて我が窮極の一太刀、しからば此れなるは曇天(ドンテン)雨天(ウテン)荒天(コウテン)も……全てを斉する天の一太刀。我、神をも断つ……【天斉(テンセイ)】」

 

脚がドス黒い墨に塗りつぶされたかのように変色し、縫い付けられたかのように動けなくなる。

 

「…………くっっそ」

 

最後に俺ができたことといえば咄嗟に黒衣武装を発動しパリィしようと試みたことぐらいだが……顕現した黒き鎧装は刃が触れた瞬間爆散した。

脳天に刀がめり込む感覚がやけにリアルだ、頭蓋骨が抵抗をあっさりと諦め脳という器官の破壊を簡単に許してしまう。次の瞬間体がポリゴンへと変貌し、俺の意識がバツンッと切れて視界がブラックアウトする。

 

「――――――――ッ!」

 

再誕の涙珠を当てられ、俺の意識が復活する、目の前に立つのはたった今俺のことをものの見事に両断してみせたウェザエモンの姿。

 

ありったけのスタミナを使い潰す勢いで全力でウェザエモンから距離を離しつつ俺とサンラクを真っ二つにしてみせたあの一撃に対して全力で考察を開始する。

 

天斉(テンセイ)、だったか……?あれはダメだヤバすぎる)

 

なんとかギリギリで帝蜂特殊武装:腰帯(エンパイアビー:タスクフォースベルト)は破壊されなかったらしいがほとんど無傷だった筈のこれの耐久値が既に1割を切ってる、サンラクがつけていた筈の腰装備が無いところを見るにあれは全壊し、何やら頭でパリィできる装備だかは兜の角がへし折れていて半壊状態、パリィには運用できそうにも無いな。

 

(装備の破壊に……防御力無視ってところかな。しかもさっきの攻撃を喰らった感触……あんまりにもあっさり過ぎる、神ゲーがそんな死に方を雑にするとは思えないし……即死効果ってやつか?)

 

決して誇れるものでは無いだろうがこの戦闘中だけでも既に数十度は斬り裂かれているので斬られた時の感触は覚えてしまった。あの一撃は少なくとも普通に当たった時や首やらなんやらをぶっ飛ばされた時のようなクリティカル時のオーバーキル感があまりにもない、必要な数値だけを確実に刈り取ってくる感覚。

例えVITが一桁だろうが何億桁であろうが等しくプレイヤーを殺しにかかってくる攻撃。あの一撃の前では例えどんな対策をしても先ほどの俺と同じく豆腐か何かを切る感覚で両断してしまえるだろう。

 

(けど、一番ヤバいのはそれじゃない。あの阻害だ)

 

回避行動やら何やらの一切の抵抗を許さない謎の金縛り。あれの発生条件とまでは言わずとも対策を考えなければこの戦闘そのものを終わらせるトリガーだろう最後の斬り捨てを攻略できない。

 

(俺の手持ちの再誕の涙珠は3つ、生命の神薬の方はそのままフルで持ってるが……)

 

少なくともリトライ回数が8回という現実はかなりキツい。あと8回以内に対処法を考え実行に移さねばならないからだ。その8回のリトライの何度かを確実に死が大前提となった特攻に使わねばならない。

そう判断した瞬間、凄まじく見覚えのある構えを取る墓守のウェザエモン。

 

「おうビャッコ、悪い話と悪い話とどっちから聞きたい?」

 

「大体察してるからいいが一応聞いておこうか、なんだ?」

 

「1つ目、ありゃ多分攻略するまでやり直しが続くこと。2つ目、俺の蘇生アイテムがカツカツ」

 

「全部予想通りで助かるよ……絶望感がいくらかマシになる」

 

「しからば、天の窮極を超えぬ限りこの身は斃るることあらず…………斉天戴世(セイテンタイセイ)

 

「イかれてやがんなぁ畜生……!」

 

断風(タチカゼ)(ラン)

 

即死の一閃が嵐となって吹き荒ぶ。それら全てを全力で回避しながら俺達2人は一体何度最後の一太刀に辿り着くことが出来るのかを懸念しなければならなくなった。

 




斉天戴世

ウェザエモンの技を更に拡張した強化版晴天大征。
吹き荒ぶ荒天の嵐
()を覆い潰す曇天の雲
大地の怒りが八岐の竜と化し万物を飲み込む
竜の怨念たる死の灰
等しく恵と死を授ける大海の試練


現世鏡

本当にヤバイ技(技とすら呼べない)その1。
どういう原理か神代の科学者達すら匙を全力で投げ捨てた技。本来なら2人揃うことで初めて実行出来るはずが認識パワーでウェザエモンは1人でできるようになった。刹那博士は頭を抱えた。

刻忘

本当にヤバイ技(技とすら呼べない)その2。
時間が動くことを忘れた(つまり停止した)間を縫って攻撃するような、超高速の連撃。だったのがウェザエモンへの認識パワーでマジで時が一瞬止まるようになってしまった。
刹那博士は頭を抱えた後に一周回って本気で調べたところどうも体がマナ粒子によって超加速し一度光速を超越して肉体が分解、超光速の世界へ到達したタイミングでその際肉体が再構築されると時間が止まるので(ここで再度頭を抱えた)攻撃を複数行い再びマナ粒子により分解、再構築の手順を踏んで時間を動かす、という最早物理学とはなんなのかレベルのトンチキ技だった。

禁句:炎炎
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