シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
レコードを駆けて、ビートを刻め。
古来より人々は音楽という文化を育んできた。
童謡、民謡、クラシック、アニソン、ボーカロイドなどなど……例を挙げ始めれば全くキリが無いほどに世界は音楽で満ち溢れていた。
しかし、その音楽という文化は
突如空から飛来してきた謎のレコード盤達……そこから溢れ出す音楽はレコード盤を核として意志を持ち、具現化し暴れに暴れ回った。それらの行動目的はシンプル、即ち「自分達以外の音楽」の破壊であった。それだけであればまだ良かったのだが、彼らはその為に一切の障害を無視し、破壊し、時として人の命すら躊躇いなく奪う。結論から言えば2次被害という形で世界の半分が焦土に包まれ挙げ句の果てには国と国同士の戦争が勃発、3次被害という形で総人口も6割減するという……控えめに言って、半分詰みな状況下まで人類は追い詰められていた。ここで疑問に思われる点として、人類は抵抗しなかったのか?というものが挙げられる。
この質問に対しては抵抗はした、がその全てが無駄であったという回答を返すことが出来る。従来の通常兵器では彼等の外装に傷一つ入れることすら叶わず、唯一音響兵器のみが多少の効果を示したのみ……だがそれも殆ど気休め程度の物でしかなく、人類は抵抗の手段を見出せず壊滅の道を辿っていた筈であった。
しかし人類はここで活路を見出した。人類の手により奇跡的に鹵獲された一体のレコード……通称「レコンド」を分解、精査したところレコンドにはある性質があることが判明したのである。
その性質とは破壊した「音源」、つまりは「音楽」の蓄積である。
この「音源」はレコンドに対し凄まじいまでの効果を発揮することが確認された――――――――そして奇跡はまだ終わっていなかった。
ほんの一握りの人類が示した
これが現在の世の起源……「レコンド:リスタート」である。
それから数百年の月日が流れた今、人類の文明は過去をとっくの昔に通り越し更なる発展を遂げていた。
では世界は平穏無事を保っているのか?そんな訳がない。レコンドを兵器とした上で、かつての地獄も忘れ世界中で再び争いの火種は舞い上がっている。
そんな中でも特に燃え盛る業火の中には2つの国家が存在する。
レコンドを兵器と見做し、他国へ積極的に侵略を仕掛ける「レコンガイヤ連邦国」。
レコンドを共存可能な生物と見做し、今この星の中で最も安全とされる「アルセリア共和国」。
この2国間による戦争は苛烈を極め、数々の戦場で兵士達が日々殺し合いを続けている。
◇◇◇◇
硝煙の匂いとレコンド達の喧しくも聴き心地の良い鳴き声を感じながらむくりと起き上がった彼女は自らの相棒が繋がれた厩舎を訪れる。
「ん?「
「夏休みなので時間が有り余ってるんですよ……おはようございます」
その呼び方恥ずかしいからやめて欲しいのに……ほんの少しの羞恥を持ってそんな考えに至る彼女は少し苦笑しつつ挨拶を返し、厩舎に繋がれた相棒を見つけて小走り気味に近づく。
「おはようレイン、よく眠れた?」
「Gukokokokokokokokoko」
レインと呼ばれた烏型のレコンドが彼女の返事に鳴き声で返す。
レイン――――――そう個体名称がなされたこのレコンドは、比喩でも誇張でもなんでもなくこの世界に於ける「最
烏は烏でも更に特別な………3本足、つまりは八咫烏型のレコンド。唯一無二であり、基本的に他のレコンドは様々なレコーダーを乗せるのに対しレインは唯一彼女のみを乗り手として認める。
大型の体躯に見合わぬ超高速飛翔と、そこから繰り出されるブレード状の羽根の機銃掃射、3本の足によるホールドで超高空から地面に叩き落とすなどなど……強い点を挙げればキリがない、その強い点全てを完璧に把握し使い熟すことが出来ることこそが彼女の強み。
レインの
『救難信号、救難信号。
「――――――お仕事だよレイン。行こう」
耳につけたデバイスからそんな無線が聞こえた。即座に彼女の表情は引き締まりレインを輸送機に誘導、他の乗り手やレコンドと共に輸送機に乗りアスタルテム大戦場に向かった。
「うう〜〜……さっむ、アスタルテム付近の空はかなり冷えるんだなぁ……防寒装備にしとけば良かった〜〜」
そんな泣き言を言いながら輸送機により
どうせ襲撃をかけてきた敵軍の乗り手とやらも大したことは無いのだろう、であれば自分は航空支援に徹するべきか。そんなふうに考えた彼女がレインに装備させた高域索敵音叉を起動し、続いて視覚共有によるステルス飛行への対策を取ろうとした時…………ふと、下を見た。
「ん……………………あれ?あれって……」
下では大量の音波ミサイルや音弾が放たれレコーダーを乗せたレコンド同士が戦闘を繰り返している、その中で一際目立つ箇所があった。
「………………確かアルセリアレコーダーランキング第4位の「ダイアるんばー」の……「アクレクワトロ」?」
通常であれば一対の腕のみなのが、機動性を捨て去る代わりに武装によって更に追加で三対の腕……つまり8つの腕を持つに至ったゴリラ型のレコンド、背面に搭載したブースターで無理やり接近しつつホールドからの4本の腕でタコ殴り、さもなくばレコンドそのものをバラバラに引きちぎられるという恐怖の戦法を取ってくるとして割と恐れられているレコンド。ホールドを無理矢理捩じ切ってくる上にそのままホールドされ返されることすらあり得るので彼女的にもあまり戦いたくない相手である。
しかも厄介なことにそれだけしか能がないのかというわけでもなく、カウンターなどの待ち戦術に逃げの判断などのレコーダー本人の実力により機動性の無さを一切感じさせない巧みなバトルスタイルを実現している。
そんなアクレクワトロが一方的に蹂躙されている、そんな光景が視覚共有により送られてきていた。
『えげつねぇ、こんなに接近されて掴めないなんてことあるかよ!?』
『動きが捉えられない!ダイアる、自力でどうにかならないか!?』
『やりたくても無理な相談だなこりゃあ"っ』
「――――――っ」
そんな無線が流れてきた直後、ダイアるの駆るアクレクワトロの左腕全てが捥ぎ取られダイアる自身も
『うわぁぁぁぁぁぁぁあっ!!?な、なんだよこれっ、今どんだけの速度で動いてると思ってるんだよ!?』
誰かの悲鳴が聞こえた、その直後恐らくそのレコーダーが乗っていたのだろうレコンドが細切れになって消えていった。
『くっそ、俺達全員殺し切るつもりか……!!なら巻き込み覚悟のホーミングミサイルで……!!』
『あーー、ごめん。それ多分振り切れるわ』
『えっ』
放たれたホーミングミサイルが割り込んだ無線の言う通り目標を見失い地面に着弾、次の瞬間ミサイルを放った亀型のレコンドがお返しのミサイルが何処からともなく降り注いだことによって吹き飛んだ。
「あれは……まさか――――――」
先程自分が放った高域索敵音叉が次々と味方の戦死を伝える。その度に超高空で動く点が1つ。
視覚共有の精度を更に高め全力で注視する……そして、とうとう見えた。たった今犬型のレコンドをレコーダーごともの言わぬスクラップに変えた白色のレコンド。そのレコンドは正確な姿を捉え切ることの出来ぬまま再び消え、今度はその数百メートル離れた位置に居た蜘蛛型のレコンドをスクラップにし始めた。
そして彼女は正体に辿り着いた。
かつて戦場において「白い死」とまで称されたレコンガイヤ連邦のレコーダー、そしてそのレコンド。
「うっそ……本当に、「
驚きに目を見開く、無理もない。「ハクアレンコ」のレコーダーはとうの昔に引退していると聞いてきたのだから。
次に彼女を駆り立てたのは純粋な衝動。
即ち、あの獣と戦ってみたいという欲求。
その欲望に従って彼女はレインを急降下させる。その顔つきは凄まじく凶暴であり……アルセリアレコーダーランキング第1位、「グレイ」、「最凶」にふさわしいものであった。
◇◇◇◇
ハクアレンコ。あまりにも特化型すぎるが故の操縦難度の高さとそのレコンド構築、その超特化型レコンドが共和国側に齎した大損害は今尚両国に語り継がれる伝説となり、武装の構築レシピが残る虎型レコンドである。
まず真っ先に挙げられるハクアレンコ最大の特徴といえば、本来搭載すべき装甲を必要最低限以下まで削り取った上サブウェポンなどの武装も主武装以外をほぼ全て削り取った上に手にした
結果的に生まれたのは主武装とサブウェポンを捨て去ったことによる消音性と元から超高速な虎型が軽量化により更なる速度を得た……正に死の風と化した訳である。
武装は爪に取り付けられた「
これを再現したところNPCメカニックからは「これ本当に大丈夫なの?……レコンドもレコーダーも」とお墨付きを得ることが出来た筋金入りのピーキービルドである。
だがこれだけなら操作性には何の問題も無かったのである。ハクアレンコ最大にして最高の難点、それは脚部に取り付けられたスラスターにある。
――――――「音源増幅式加速装置」。レコンドが持つオリジナルの音源を増幅し加速する装置である。これは基本的に亀型などの鈍足レコンドが主に採用する歩行補助装置の様なものであり、時折超重武装により機動力を失ったレコンドの移動装置としても採用されている。
さて、虎型がこれを採用するとどうなるのか。虎型レコンドの音源は全レコンドの中でもトップクラスの加速率を誇る怪物である。正直言って1つで充分、2つもつければあまりの速度に制御しきれず吹っ飛ぶ。
それをハクアレンコは
脚部にそれぞれ2つずつ、正気の沙汰とは思えない狂気的な加速を実現させるカラクリがこれである。それらを解放した時ハクアレンコの脚はあまりの音圧により常に周囲の物体を削ることで白煙に包まれ、まるで雲を駆け抜けるかのように見えることと「
「消音性」と「速さ」を得る為に狂気的な装甲及び武装削減と狂気的なスラスターの過剰搭載、「
だがしかし、それは並のレコーダーが扱った場合のみに限定される。つまるところ「ハクアレンコ」には一切の関係がない。
◇◇◇◇
「は、ははっ……!嘘でしょ!?どうして平然と空中で切り返しができるの!?」
『ぐぅ……久々にやるとキッツイなこれ……!』
レインは超高空からの羽状ブレードによる機銃掃射を敢行、それをあっさりとスラスターを噴かし回避しきったハクアレンコが空中を文字通り
『喰らいやがれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!』
ハクアレンコが口を開け、そこから咆哮と共に全てを破壊する音波が放たれる。それをバレルロールで回避したレインに待っていたのは再び宙を駆け抜けたハクアレンコが展開した音刃であった。それをなんとか回避して見せたレインが見たのは、スラスターを全てバラバラのタイミングで展開し生み出した音の
「冗談でしょ……!それをされたら空戦レコンドの立場が無いんですけど!?」
普段は運用しない翼のブースターを既に使っているだけでグレイとレインからすれば異常事態である、そしてそのブースターをレインが限界を迎えるスレスレまで噴かしハクアレンコの追撃を逃れ切りそのままの勢いで宙返り、落ちていくハクアレンコに向かって不規則な軌道で移動しながら攻撃を仕掛けていく。
再び咆哮を増幅させ抵抗を試みるハクアレンコだったが、完全にそれを読んだグレイとレインがほんの数センチズレていれば当たっているギリギリを飛行しその3本の脚で蹴りかかる。
「そのまま堕ちなさい……!」
だがそれは叶わない。地面まであと数メートルというところで8つのスラスター全てをフル稼働させたハクアレンコが無理矢理脱出しその勢いのまま地に脚をつけて加速する。周囲をソニックブームで破壊しながら進む様は正に「白い死」、そしてそれを超低空飛行で追う「最凶」。
レインが再び機銃掃射を敢行、それを読んでいたのか咆哮でその全てを撃墜したハクアレンコが空を蹴り抜き破壊の咆哮を叩き込もうと突っ込んでくる。
距離を詰め、唯一にして最強の一撃を叩き込まんと空を蹴り抜き迫りくる
今神獣が激突する。
禁句 アーマード・コア
禁句2 ゾイド
禁句3 エースコンバット
このお話はシャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜で合ってますよ。(これが言いたかったが為にこの話を考えたまである)
超平たくいえばポケ◯ンのハイパーボイス、尚余程耐久が高くないと一瞬でバラバラのスクラップと化す。基本的にレコンドの武装というものはレコード盤から供給される音源が全ての動力源となっており、武装や装甲が少なければ少ないほど武装の威力は増し装甲の耐久性も増すという特徴がある(それでもハクアレンコの様に武装を2つに絞り装甲も必要最低限以下というのは頭がおかしい)。結果ハクアレンコに搭載された咆哮破壊砲は基本的にどんな攻撃でも1発は耐える亀型レコンドすら一撃で破壊可能な威力を持った。
欠点として威力はある癖に速度が遅い為大体普通にあっても当たらないことが挙げられるがハクアレンコは超高速軌道で的に接近して噛みついてそこから咆哮破壊砲を叩き込むことでそれを解決している。なんで音速を超えた速度で動いてるのに噛めるんだ。