シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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上裸と愉快なお友達達〜撒き散らされる爆弾を添えて〜

そのエリアは過去に何があったかを語る墓標であり、その墓標には大きく遺された爪痕があり。遥かな過去を今に語り継ぐ神代の残滓でもあった。

墓標の語りかける手段は言葉ではなく遺物や遺跡。出土するそれらからは確かにこの地に神代の文明が息づいていることを示していた。

 

――――――ここは去栄(きょえい)残骸遺道(ざんがいいどう)。遥か昔に文明が栄え、去り、残骸が道を遺し形成されたエリア。

未だ深い闇の中に埋もれたままの世界観……神代の時代に何があったのか。何故神代の文明はそのほぼ全てが失われ、僅かな断片が各地に散らばっていったのか。分からない、分からないことだらけだ。が…………まぁ何というか、このエリアの光景を見れば何となしではあるがヒントが貰えている感じはする。

 

「…………どう思うよ、ビャッコ」

 

「んーーー、はっきり言うとめちゃくちゃ現実離れ(ファンタジー)してるな。これは」

 

上を見上げ、()()を睨み付ける。エリア全体をドームの様に覆い尽くす「大きい」の一言では到底済ませることのできないサイズの超巨大な()()()()()……それを見て俺は思わず感嘆の声を上げた。

背骨と肋骨に覆われていて月明かりがあまり通らないので薄暗いが……あれは多分全部人工のものだ。リアリティ最重視のゲームだと明暗補正なんかも一切かかっていないことが多いがこのゲームにそれがないことを俺は今とてつもなく感謝したくなった。

小中規模……いや、多分だがサードレマあたりならあっさりと収まる上にそこからまだもう少し余裕がありそうだ。そのレベルの大きさの骨の材質は間違いなく生物由来のものではない、金属と金属を組み合わせて作り上げた比喩表現無しの「骨組み」だ。

 

未知の多いこの世界、そしてこのエリアで分かることは主に2つ……1つ目、こんなぶっ飛んだ代物を作ろうとしたこと、というか作る必要があったこと。2つ目、完全に破損してはいるもののここからは「遺機装(レガシーウェポン)」と呼ばれる物体が時折出土すること。本来であれば「魔力運用ユニット」とやらと並行して探すはずだったんだろうな……今回の場合は最初からサンラクがビィラックに「稼働する遺機装(レガシーウェポン)」を見せていたから省略されて「魔力運用ユニット」のみを探すイベントになったんだろう。

いや、そんなことを考えるよりも……神代文明がどうして滅んだのか、何故滅んだのか。はっきりと答えることは出来ないがまず間違いなく「何かヤバいやつと戦っていた」のは確実と言っていいだろう。

 

(これ作らなきゃ勝てない様なヤバいやつがいた……下手すれば今もいる?勝てる気しねぇなぁ。今回の場合だと重要になってくるのは多分「二号人類」じゃなくて「バハムート」の方か……?)

 

「おーーーい、ビャッコーー?」

 

「――――――ッ、悪い。ちょっと考察に思考が舵を切ってた」

 

「まぁさっきあんなにキャラの濃い考察厨とエンカウントしたらな。それよりもお客様だぜ?……デラックスキングメジェド合体解除ーーーーーーッ!」

 

「なるほど、ぱっと見工場っぽいこのエリアに出てくるゴーレムは()()()()タイプか……!」

 

俺達の方へゆらゆらと近づいてくるゴーレム。その腕はバーナーと化している訳だが、明らかに食材を炙ったりする様な生半可なものではなく確実に金属とかを溶かす様な工業用バーナーであることが容易に分かる。何で分かるかって?バーナーから出てきた炎がそこに落ちてたスクラップを瞬き1つの間に完全にドロドロ状態まで溶かしていたから。

 

「オルト、魔法詠唱の準備頼む」

 

「了解しました」

 

さて、ぱっと見タフネスさが売りっぽそうですねお客様……構うものか!お前の住所の変更手続きはしてやるよ、天国で構わねぇよなぁ!!!

 

 

ウェザエモン戦を経てレベルアップした今の俺がどこまでやれるのか……そう考えて沼潜の短刀と雲斬氷刀を構える。サンラクも兎月を取り出して臨戦体勢だ。おっしゃ覚悟しやが……ん?

 

「…………風?」

 

一陣の風が鋭く、短く吹いていった。はておかしいな、さっきまで無風だったと言うのにいきなり強風?

 

「ははははは! 彷徨える神代の鉄巨人よ、永き彷徨いにこのアラミースが幕を引いてくれよう!」

 

待ったお前なんか嫌な予感するぞ!?

直感に任せてその場から全力で飛び退く、その次の瞬間。

 

「 【従剣劇(ソーヴァント)独奏(ソロ)」・至高の一閃(プライマルスラッシュ)】!」

 

「あっぶな!!?」

 

先程まで俺がいた地点は間違いなくあの攻撃の軌道に入っている。少しでも遅れていたらあれに巻き込まれて死んでいただろうな……斬撃のエフェクトが文字通り()()

下手人(アラミース)と片腕バーナー君との距離は大体5メートル程だろうか、だというのにも関わらず一瞬あの断風を思わせる恐るべき発生速度からの着弾、威力の程は片腕バーナー君が爆発四散し素材すら消し飛ぶという形でしっっっかりとアピールしてくれた。ところでアラミース君俺が避けなかったらあのまま死んでたんですけどどういうお心積りだったんですかね?

 

「ふふふ……乙女よ、それに君達よ安心し給え、この僕「吹き荒ぶ旋風(ワイルドウィンド)」アラミースがいる限り、如何なる敵も障害足り得こうとうぶぁ!?」

 

「アホか! アホかおどりゃはぁ! 作業用ゴーレム一体倒すのに対竜規模の技を使っとるんじゃないわ! この……っ、アホォ!」

 

奥さん冗談でしょ?対竜規模?下手しなくても俺の全身消し飛んでましたね?手綱ぐらいきっちり握っててくださいよ奥さん……

 

「アラミース、この際俺のこと殺しかけたのは黙っているから、頼む。あの規模の大技は流石に控えてくれ」

 

「乙女、乙女よ。もう1発喰らったら流石に不味いとぉおふっ、に、2発目ぇ……了解したぁ……」

 

既に一撃頭に拳骨代わりのスレッジハンマーを叩きつけられていたアラミースがトドメの2発目を喰らい軽く死にかけていたが了承してくれた。

 

「………………ビィラック、もう1発いってくれ」

 

「あ"?何でじゃ」

 

「恍惚としてる」

 

「………………」

 

「乙女の……乙女の1撃ィ……1度ならず2度……!あっちょっと待ってくれたまえ乙女流石に3度目は不味い。本気で不味お"っふ」

 

3発目が脳天に振り下ろされた。アラミースは悶絶しながら嬉しそうにしてた。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

「遅かれ早かれここには来るつもりだったけぇの、わちは色々この場所について調べてあったんじゃ」

 

「へぇ、そうだったんだ」

 

「まぁ見りゃ分かる通り、このエリアでは兎にも角にもアホみたいにゴーレムが湧く。それも2種類のな」

 

「具体的には?」

 

「まず1つ目に神代の頃からのゴーレムじゃな。全体的に動きが鈍臭いがやたらと頑丈じゃ、まぁ伊達に神代の頃から動き続けてるだけのことはあるっちゅうことじゃ」

 

「ふーむ……ところで2つ目は?」

 

()()()()()()()()を素材に生まれてきたゴーレムじゃ。こいつらはガラクタから出来てるだけあって脆いが何をしてくるかわからん」

 

「なるほどねぇ……最初から言えよその辺のことはよぉ!!!」

 

半泣き状態でマジックエッジをそこら中に乱射するエムルちゃん、その隣でいつもより少し焦りを滲ませた表情で詠唱を行うオルト。ついでに制限を早々と解かれてウッキウキの高笑いで剣を振り回すアラミース、俺の近くで武器を展開するサンラクとビィラックを確認した後目の前でジャガイモに脚生やしてサイズ感をスイカ一玉位のサイズにパンプアップされた「玉ゴーレム」とでも呼称するべきそれに容赦なく蹴りを叩き込みつつ叫ぶ。

 

「もっと早い段階で言いやがれビィラック……!それはそれとして、サンラク!そっちは大丈夫か!?」

 

「何とかなぁ!」

 

おら喰らいやがれ連鎖爆発の嵐を!そこら辺にいた玉ゴーレムを引っ掴みセット、はいシューーート!!蹴りを入れた玉ゴーレムが他のゴーレム達にぶつかり合い更に連鎖は広がっていく。

 

「んー……9コンボ?サンラクはどう?」

 

「俺さっきので11コンボまで繋がったわ、さーてこれで多少は波が……波、が……」

 

――――――わらわらと追加されていく玉ゴーレム達(推定25体ほど)

 

プラスマイナスプラスだからノーダメですってか?ふざけやがってこの野郎!

 

ぱっと見ならば可愛らしい見た目をした奇妙な外見のクソゴーレムが息つく暇を与えることも無く大きく口を開けた様な感じの穴から玉ゴーレムをポコポコ量産している姿にイライラする。

園児がこねくり回して何とか形になったみたいな見た目してんのに頭結構良いぞこいつ……!

 

飛び道具持ち2人(オルトとエムルちゃん)、そしてやることはちょっとアレすぎる最高レベル(アラミース)をきっちり玉ゴーレムで固めて身動きを取れない様にしてやがる……だが!

 

「サンラク!」

 

「分かってるよ!ビィラック、俺に掴まれ!」

 

「よっしゃ!」

 

ビィラックがサンラクの背に飛びついたのを確認した瞬間俺はクソゴーレムへと全力疾走を開始する。玉ゴーレムは確かに脅威ではある、あるが……流石に生産ラインが1つだけじゃ俺たち全員を封殺することはできないらしい。

比喩表現抜きに地面が玉ゴーレムで埋め尽くされる程の絨毯爆撃を仕掛けられているオルト、エムルちゃん、アラミースと比べてこっちにはまだ幾つかの穴がある。しかも俺には……!

 

「遮那王の御加護があるんだなぁ!!」

 

スキル「遮那王憑き」、八艘飛びの進化系だ。30秒間に限り跳躍系のモーションが強化されるのだが……今の俺ならば穴と穴の隙間を飛んで肉薄することも可能ってわけだ。

 

「脆いんだってな、そりゃ遠距離持ちは封じたくなるだろうさ……!」

 

ほぼ無限に近い自立するC4をばら撒く上に本体も動き回るし頭はやけに良いし。割とガチの高スペックモンスターだが……そこからこいつの対策も容易に割り出せる。

 

「サンラクはビィラックを運ぶ為の運転手、俺は……目的地までの障害物を確実に取り除くアシスト!」

 

ビィラックを乗せたサンラクも俺と同様に玉ゴーレムの穴を縫ってこちらへ近づいてくる。しかしやはり良いAIを積んでるのだろうクソゴーレム、即座にこちらの穴を潰して近づけない様にしやがるが……俺が来てる時点で手遅れだよ。

 

致命(ヴォーパル)剣術……【半月断ち】、肆式!」

 

以前よりも判定が甘くなり、威力の増した半月断ちを今まさに穴を埋めんとする玉ゴーレム共に向かって叩きつける。ちゃんと踏み心地の良い足場は用意してやったぞ……かましやがれ!

 

「頼むぜ打撃手(ストライカー)!」

 

「ぶっ飛ばせ!!」

 

「ゴーレムの弱点はぁ……いずれも核じゃあ! マテリアルデストロイ!!」

 

ゴーレムの核は神代産だろうが現代産だろうが大抵はその体の中心にあるらしい。ビィラックの対物攻撃に補正がかかるというスキル込みで振るわれたスレッジハンマーは正確にクソゴーレムの真上から真下へ振り下ろされ……振動。

 

快打(クリティカル)じゃあ!」

 

「言ってる場合か……!全員退避しろ!」

 

「おりょわっ!?」

 

退避を促しもっともクソゴーレムに近かったビィラックを抱えて全力で距離を取る。

その数瞬後背後で轟く爆発音……お前も自爆するのか。

 

「いやまぁ垂れ流してる玉が爆弾なんだから本体も爆弾であって然るべきなのか……?」

 

「なんか落ちてきちょるぞ」

 

「え?どこ?」

 

「…………っと、ナイスキャッチ。んーーなんか埴輪みたいな……アイテムだよなこれ」

 

えーと何何?

 

 

・爆土の偶像

自然発生するゴーレムが稀に生成する小規模な己の分け身。

キャノンボールゴーレムが生成した偶像は強い衝撃を与えることで小規模な爆発を起こす。

爆土の偶像の踊りが最高潮に達した時、土の中より炎が生ずる。

 

 

「要するに手榴弾かぁ……」

 

なんてタチの悪い最後っ屁だ。キャッチ出来てなかったら全員吹き飛ばされてた疑惑まであるぞ?

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