シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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門番にしては戦闘力高くない?

オルトが【再構築(イノママニ)】を使って作り出した足場を伝って降りていくこと数十秒、普通に飛び降りれば確実に死ぬしロープなら降りるのにそこそこの時間を要するような深さの地下空間に辿り着いた俺達は地下空間でありながらも明度がきちんと確保されていることに少し既視感を覚えた。

 

「なんというか……あそこを思い出すな」

 

「一気にSFじみてきたけど……あそこって何?」

 

「涙光の地底湖の上にあった研究所的なところ、あそこも電気通ってたりセキュリティ生きてたりしてたんだよ」

 

あそこはメッセージ送信とかマップ開くのとかが制限されてたがこっちでは……普通にできるのか。やっぱりここはどちらかと言えば軍需工場、研究所的なあそこと比べればその辺のセキュリティは甘いのだろうか。

にしてもここもあそこも電気ではない何かよくわからない謎パワーを動力源にしているんだろうか、どうやって光源確保してるんだ?とはいえ今のこの世界の文明では絶対に再現できない電灯と同レベルの光で照らし出された直線の廊下……そしてその最奥の扉の前にオイカッツォの言う「ウェザエモンっぽい奴」は居た。

 

「直線フィールドはいつの世もクソフィールドの名誉を与えられるんだよなぁ……アラミース、あそこまで届くか?」

 

「威力を絞れば届くだろう、だが一撃で仕留めるのは不可能であろう」

 

「いやいやアラミース、当てられるなら充分だよ……俺達が何とかして時間を稼ぐからその間に距離詰めてフルボッコにする」

 

いつ防衛機構的な何かが起動して動き出すのかさっぱり分からない為さくっと作戦を相談し即興ではあるが連携を組み上げる。

俺と俺の首に纏わりつくオルトと、頭にエムルちゃんを載せたサンラクが構える。そしてアラミースが例の発動から着弾までがやたらと速い斬撃派を放った瞬間……バフをガンガンに積みまくった俺達2人が駆け出した。

 

「よっしゃ行くぞ3人ともぉぉぉお!!」

 

「【加算詠唱(アッド・スペル)】」

 

「おうよ!行くぞエムルゴーゴーゴー!!」

 

「ぴゃぁぁああ!!!」

 

掛け声の返答は近づいた瞬間攻撃をすると言う意思を込めた魔法と高笑い、そして悲鳴だった。

爆速で駆け抜け接近する兎2匹と人2人(俺、サンラク、オルト、エムル)を感知したのかそれ……漆黒のボディに4つの(アーム)を搭載した人型のゴーレムが駆動を開始する。……4本腕、あの研究所にも似たようなやつがいたな?ただこちらはオイカッツォが言う通りシャープな造形……デカいゴツいアイツと比べて攻撃しやすそうだな?まぁ向こうも向こうでミサイルやらレーザーやら出してきたが。

 

上の2本が前へと突き出され何やらシールド的なものが展開され距離による威力減衰があったとしてもそこら辺のモンスターならワンパン可能だろうアラミースの一撃が霧散する。えらく上等な防御システム備えてるじゃないすか、それ囮なんですけどね。斬撃波を盾としてサンラクが飛び込み何やらスキルを発動する、次の瞬間四腕ゴーレムが何もない背後の虚空を振り返り……あ、今の【水鏡の月】か。良いなぁ便利そう、今度エルクに入荷してないか聞いてみよう……いやいや、今はそんなこと考えてる場合じゃないか。

 

「オルト、エムルちゃんと一緒に」

 

「了解です」

 

オルトをエムルちゃんがサンラクから離脱したのとほぼ同タイミングで降ろし更に速度を上げて四碗ゴーレムへと真っ直ぐ突き進む。

この手の直線は慣れているぞ?何せやってるゲームがゲーム(音ゲー)、ノーツレーンは真っ直ぐだ……まぁ偶にノーツレーンが急に曲がったり明らかに届かせる気の無い位置にノーツ配置したりレーン間隔が狭すぎて凄まじい認識難を強いてきたり……あ、そういえば左右上下全方向からクソデカノーツが同時に降ってきて押し潰されて死んだ(失敗)したこともあったな。おのれ直線、思い出すだけで腹が立つ思い出がたっぷりあるぞこの野郎。

 

「壁ダッシュと空中駆けは音ゲーでも偶に必要!」

 

今日日音ゲーなんてものは半分アクションゲーだしな。下から()()()()()ノーツを捌くには飛ぶしか無い時だってあった。

遮那王憑き起動。一気に地面を蹴り抜いて距離を稼ぎ続いてムーンジャンパー起動。上方向への跳躍に補正がかかる……これだけじゃ空中駆けは出来ない。だからこうする。

 

「すまん沼潜の短刀君……()()()()()()()()()!!」

 

インベントリアを操作し沼潜の短刀を足元に出す。既に跳躍した俺の足元……つまり空中に出てきた沼潜の短刀を蹴り抜き一気に四碗ゴーレムの後方へと躍り出る。

 

サンラクはまだ……なら俺がヘイトを稼ぎきる!……と思っていた時期が私にもありました、ええ。

 

「なーるほど……!扉に近いやつ最優先って感じィ!?」

 

4本の腕が全て同時にこちらを向いた。次の瞬間掌が光り輝いてレーザーが放たれる……こいつも搭載してやがんのか。まぁどれもこれも素直に俺を狙ってくるような感じなので回避自体は楽なのが救いか。これが回避先に置きにくる様ならもう少し難しかったが……見切りは音ゲーマーの嗜み、例えそうなったとしても捌き切ってみせるが。

 

「俺ばっかり見ちゃって……横から変態が通るから、そっちも注意すれば?」

 

「だぁぁぁれが変態だぁぁぁぁぁあ!!」

 

壁を駆け抜け接近したサンラクが四碗ゴーレムの頭に向かって殴りかかり、スキルエフェクトが弾ける。ぐらりと一瞬体勢を崩した四碗ゴーレムに待ち受けているのは当然だが……

 

「乾坤一擲!!」

 

「黄、緑、二重混合【拳気「若草衝」】……ポイントストライカー!」

 

空を切り裂き、主人のスタミナ全てを喰らい尽くして放たれた黄金の槍、そして若草色の闘気を纏った拳。

 

「タイタン……ブラスト!」

 

トドメに叩き込まれるハンマーの衝撃は四碗ゴーレムの頑健な身体を揺らし、黄金の槍が更にその衝撃を推進力に突き進みとうとう頑丈な身体を貫いた。装甲を食い破った槍は勢いそのまま俺とサンラクの方向に……あれこれ不味く無い?

 

「「うぉおあっぶねぇぇ!!」」

 

「む、すまん鳥の人に狐面の人」

 

「貫かれてたら焼き鳥とキツネ焼きって言って笑ってやるのに」

 

「こんな有機物ですら無いのをネギと呼べるか!金属ネギってか!?」

 

「ぶふぅ!ぷ、くくく……金属ネギマ……ふふふっ」

 

変な角度から跳弾してペンシルゴンに着弾したぞオイ。顔を背けて笑いを堪えるペンシルゴンを軽く睨みつつ火花を散らし始めた四碗ゴーレムの背中を蹴り飛ばす。最早踏ん張ると言う思考にも至らないのかあっさりと膝立ちになったこいつに待ち受けていたものはあまりにも容赦のない至近距離からのアラミースの一撃。

紙か何かを突き破るかの様に至極あっさりと、極限まで研ぎ澄まされた剣閃が四碗ゴーレムを襲い全身にヒビを走らせあっという間に砕け散った。

 

「そう我こそは剣聖! 吹き荒ぶ旋風(ワイルドウィンド)!」

 

「スキップでお願いします」

 

「えぇえ!?」

 

もっと短いの考えてきなさい、長ったらしい口上は嫌われるぞ。

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