シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
しれっとオルトがエムルちゃんについていく直前「ほとぼりが冷めたらエイドルトの門のところに帰って来てくれ」と頼んでおいて正解だった、さもなければ死に戻るかどうにかしてラビッツに戻る方法を考えなければいけないところだ。
さて、ラビッツに無事帰還したが今回はすぐに出ないといけない、目的地は雲上流編の雲海地だ。オルトも留守番させておく。
何故いくのか?自分の仮説を証明する為さ。というわけでシクセンベルトに到着、さっさと雲海地に向かってしまう。
「さて、見えて来たな……雲のドーム」
アクティブソナーを使えるオルトを今回は連れて来ていないので死ぬほど苦労したぞおい……とはいえドームが見えているならそろそろゴールに近いだろう、さっさと向かうとしよぐえぅ。
一歩足を踏み出した瞬間雲に隠れていた石に蹴躓いた、クッッソ……クソステージが。
◇◇◇◇
「さて……無事とは言えないが、辿り着いてやったぜこの野郎」
目の前に広がるのは巨大な雲の塊……だと思っていたドーム。触れればダメージを受けるこの雲の中を調べようとした馬鹿はそうはいないだろう、この中に何があるのか本気で調べようとしてドームの中に突っ込んだ馬鹿の上澄みは氷ダメージで消し飛ぶのがオチだろうが。
まぁ俺もこの検証が失敗すれば無事その上澄み馬鹿の認定を受けるのだが……まぁ、その時はその時だな。
「
雲斬氷刀をブスリと雲のドームに突き刺し、斬り開く。
すると雲が割れ、本来なら雲という機体の法則に従って即座に埋められるはずのそれが凍り付いたかのように斬り口を晒したままになった。俺の予想が合っていたことに静かにガッツポーズをしつつ雲が塞がらないようにと雲斬氷刀で雲を斬りつつ進んで行く。
――――――肉を裂き、命を裂き、雲をも斬る。即ち万物をも断つ。
雲斬氷刀のフレーバーテキストには確かにこう書かれていた。何気なく「そういうものだ」と流していたし雲上流編の雲海地に存在していた雲のドームも「フィールド特有の目印とかそんなもの」程度の認識だった。
だがあの地下工房で見かけた地図を見た瞬間俺の頭の中で稲妻よりも速く点と点が繋がって像を結んだ……まぁ雲斬氷刀の方は若干不安だったが。
「にしても…………随分と分厚い雲なことで。これじゃ強引に突破しようとしても無理に決まってるわな」
もう何度も雲斬氷刀で雲を裂き進んでいるが中々終わりが見えない、しかも後ろの方で若干音が聞こえることから察するに雲が少しずつ閉じ始めているだろうから引き返すのにも面倒……つまり進むしか道はないに等しいってことだ。そもそも今回ドームの中にお邪魔しようとしている理由は以前オルトからドームの内部にはモンスターがいる、と聞いていたからだ。そもそもあの時はドーム全てが雲で出来ているだろうから中で湧くモンスターもちょくちょく雲から襲いかかってくるトビウオくらいなものだろう、そう思っていた。勿論
だが地下工房で見かけた地図からその予想が覆された訳だ、もうこれは神様が俺に「そこに行け」と言っているとしか思えない。(過言)
え?でもお前レベルせいぜい90手前だったよね?本当に勝てるの?勝てる訳ねーだろアホか。今回の目的は取り敢えず行けそうな場所だから行ってみる、程度のものだぞ。ゲームだからこそ何度死んでも許される、それ故に殺されることを前提にして適正レベル外のエリアを平気で訪れることができる。まぁ何だ、ピクニックと書いて自殺と呼ぶほうが正しい可能性があるがまぁきっと気のせいだろう。
(あ、装備外さないと。半分死ぬのは確定してるしこんな所で装備とかアクセサリー落としたくないわ)
こんな所で死んだらまず間違いなく装備回収なんてできやしない、というわけでウカの狐面と
「うっわ、さっむ」
ドームの中は外と同じように雲が地面を覆い尽くしているのかと思っていたがそういうわけではなく、本来の土が剥き出しになっていた。ただ問題は……死ぬほど寒い、というか吹雪いてる。これは上裸に中々優しくない環境……いや、滝行全裸でやるよりよっぽどマシか。あれは酷かった、隣で俺の2倍近く滝に打たれ続けているのに平気そうな面をしているジジイ2人の手前ギブアップする訳にもいかず結果的に滝の水圧(物理)に負けて溺れた思い出が……はっ、師匠をジジイ呼ばわりなんてしたら殺されかねない、この話はこれで終わらせよう。
銀世界、マジで一面銀世界だ。常に雪と強風が吹き荒れているし天井が物理的に閉ざされているおかげで凄まじく暗い、勿論ゲームという形で明度補正がかかっているはずなんだがそれを以てしても暗いとはな。景色は殺風景と言って差し支えないだろう、所々に何やらキラキラした花が咲いているが正直千紫万紅の樹海窟を見た後だとそこまで幻想的な風景とは思えない。
さて問題はオルトが言う例の100レベ越えモンスター、
ザザザザザザザザッ(目の前の雪から飛び出して来た3頭の狼)
――――アオーーーーーン………………(遠吠え)
……………ドドドドドドドド(遠くから聞こえてくる雪を踏み締める大量の足音)
はっはっ。
「オッケー
グルルルルルルルルルルル(唸り声)
あっやばい。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉせめてなんかあるかくらいの確認はさせてくれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
全力で逃走、足場最悪とまでは言わないがそれでも油断すれば雪に足を取られる状況下だがなりふり構っていられない、下手をしなくとも俺はアイツらの餌になるぅぅぅぅおおおおおっまえ全力疾走をアップ感覚で追いついてくんなぁぁぁぁやめろ噛もうとするな噛もうとするな!!というか後ろから一生音が聞こえる!音が!音が!
俺を食い殺さんと牙を剥く死神3頭から全力で逃走、おや、何か前方の雪が盛り上がっているが何だってあんなピンポイントに雪が積も………………あれ、潜伏してる
「こんだけ視界終わってる中で咄嗟に判断出来るわけがねぇだろぅがおぼぇ」
リンチなんて言葉が生温く感じるぜ、レベル90手前のプレイヤーに叩きつけて良い暴力じゃねぇ。飛び入りエントリーしてきたもう3体の
このクソ狼共……!何が何でも吠え面かかせてやる……!!
本来生物が住めるはずのない環境…ぶっちゃけると亀の傷口部分に何故か住めてしまった先祖達が適応、進化した結果生まれた控えめに言って頭がおかしいレベルの強さを誇る狼。
厄介な点としてワイバーン数匹程度なら無傷で単独撃破可能なレベルの戦闘力があるにも関わらず基本的にスリーマンセルの分隊のような形で行動する点が挙げられる、その場合ならリュカオーン相手でも数分程度ならおやつにならずに済む(なお勝てるなんて一言も言ってないし逃げ切れるわけもない)。
多分100話到達記念くらいで詳細な設定ゲロるんじゃないかなぁ…