シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「うーむ、さっきまでのボーナスタイムを思うと寧ろ返して欲しくなかったまであるなこれ」
手元に帰ってきた【金龍】を見て思わずそうぼやいてしまう。先程まで狼に突き刺さっていたのを強引に引き抜こうとしたらダメージ判定が飛び出て、しかもグリグリやってるだけでクリティカル判定が与えられていたんだから叶うことならあのままずっとグリグリしてたかった。
まぁそんなことが出来る訳もなく普通に抜けて弾き飛ばされたんだが。とはいえかなりのダメージは与えられたらしい、ポリゴンは未だにあの傷をつけた場所から溢れ続けているし動きも体感鈍くなってきた。
まさか偶々刺さったやつ引き抜こうとしただけで普通に殴ってる時より削れると思わなかったし若干モヤモヤするが今は勝ちに貪欲に行こう、明らかに判定届いてないのに何故か反応してくれたノーツが連続して続いたとでも考えれば幾分か気は楽になる。
(後は合体……【覇天却火】をどのタイミングで切るか、だな)
覇兎の二振りの合体ゲージを消費することで形作る【覇天却火】、十分強いのだがここには1つ大きなデメリットがある。それ即ちゲージの溜まり具合の渋さ……より正確に言うならば両方ゲージをマックスにするのがめんどくさいんだよな。
HPを積極的に削る関係上俺は割と【赫竜】で斬り掛かることが多い、そもそも俺は右利きで刀を振りやすいってのもあるが。で、HPに関してはそもそも削ったままなのが俺的にはベストコンディションなので【金龍】の方で態々HPを回復するメリットがあんまりないのだ。勿論今みたいな長期戦闘になれば嫌が応にも【金龍】でもクリティカルは飛び出てくる、というかさっきグリグリしてたのでゲージ溜まり切ったわ。ここで初めて考える必要が出てくるのが合体ゲージの切り所である。
まず合体ゲージが溜まり切るともう1つボーナスが加算される……こういうことは説明欄に書いてほしいがビィラックに確認を取った所「刀の意思が最高潮に高まった時対刃刀として本来の形を成すんじゃからのう、当然二振りに別れてる時でもその意思に合わせてお前さんへの恩恵も上がるに決まっとるじゃろうが」といった回答を頂いた。マジで武器説明欄に記載しろ、というかせめてフレテキで言及しろ。で、今の状態の方がバフのかかり具合が良い訳なんだが……ダメージ倍率としては【覇天却火】の方が上なんだよな。
これはとても難しい問題だ、手数でダメージを稼いでいくか一撃で出来る限りの大ダメージを叩き込んでいくか。さながら歩や桂馬なんかで堅実に追い詰めて行くかはたまた飛車や角行で大きく攻めて行くか悩ましい判断を迫られている気分だな。
「くっそ…………にしたって硬すぎだろお前!!?」
いかん、どう考えても【覇天却火】切って出来る限りダメージ与えた方が良い気がしてきたぞこれは。
なんというか……うん、毛皮というより鋼鉄殴ってる感じの方が強いわ。ジークヴルムの奴ほどとは言わんが大概イカれた防御力してるぜ間違いなく。
「UUUUUUUUUUUUUUOOOOOOONN!!!!!」
「だああああああ硬ええええええ!!!」
鼻先切りつけようが関節部位切りつけようが何処狙ってもガッチガチってどうなってるんだ一体!
半分ストレスが溜まるクソ要素としての側面が見えてきたぞクソッタレ……が!俺はお前にはまだ攻撃を仕掛けていない箇所がある。
「まあ問題は
いやあもうどうなってやがんだこいつ、戦闘特化にしたって色々極まりすぎてる。俺が仕掛けた攻撃を覚えているのかどうかは定かじゃないが大体戦闘が始まって3時間くらい経った辺りから俺のモーションに合わせて行動を決めている節がある、なんとかかんとかゲージは溜め切れたからマシとは言え特に【赫竜】の方は警戒されてる感が半端じゃないなこれ、クリティカルが出そうな軌道の攻撃は意地でも回避ないし迎撃で対処される。まぁある程度はそれも加味した上で攻撃するからなんだかんだクリティカルは出せるんだが、さっきからは若干それも込みで回避行動を取られてる気がしなくもない。が、ダメージは少しずつでも蓄積されてるはずだ、やってやれぬことはなしって言うしな……!それに!!
「さっきの【金龍】の攻撃は間違いなく響いてるんだろ!?動きがすっとろくなってねぇかぁ!?」
いくら速くとも、いくら硬くともやはり先程の背中イジメは中々に応えるものであったらしくモーションの精彩が少しずつ荒くなってきている。特にあれだけ猛威を振るっていた氷を纏わせて仕掛けてくる攻撃の頻度が明らかに落ちてきているし放ったとしてもかなり雑だ。
「UUUUUUUUUU………OOOOOON!!!!」
「…………!とはいっても脅威には違いないな……!」
狼が尻尾で地を薙ぎ払う、それと同時に高速で地面が凍り付いていく。垂直跳びで回避した瞬間凍てついた地面から特大の氷の塊……いや、氷の槍が飛び出してきて俺を確実に貫こうと迫ってくる。
ギリギリで氷の側面部分を握り締め串刺しだけは回避するがそこはやはり後隙を狙っているのか狼が急接近、氷ごと俺を噛み砕こうと大口を開けている……チャアアアアアアンス!!!
「態々ご苦労様!助かるよ全く……!」
割と苦労しそうとか思ってたけど向こうから突っ込んできてくれたわラッキー!乱数の神は普段は一瞥もくれねえが珍しくこっちを向いてくれてるらしい。
迫り来る牙と真っ暗い闇の中、あれにまともに飛び込めば待ち受けるのは確実な死……まあそれは最悪の中での最良のパターンか、ちなみに最悪の中の最悪は牙でぐちゃぐちゃにされてからゴクリコースな。じゃあチャレンジ行こうか、「沼潜みの短刀君どこまで行けるかなチャレンジ」を!ルールは簡単口の中に沼潜の短刀君をぶん投げて何処まで行くか、あと体内も硬いのかと言う検証だ!なんで沼潜の短刀君が犠牲になるのか?1番使い勝手がいいから。
「ギリギリまで引きつけて……ここっ!!」
「UOOOON!!???」
限界ギリギリまで狼が近づくのを待つ、下手に遠くで投げると反応される可能性があったし何より口に綺麗に入ってくれるかどうかも不安だったからな。入ってくれて良かったし……中々良い感じらしい、見ろよあんだけ攻撃されても割と平気そうだった狼がのたうち回ってやがるぜ、良い働きしてるぞ沼潜の短刀君!無事なら拾ってやるからな!
「おっしゃ状況好転攻めてくぞ…………ぉ!!!?」
なんだ?周囲の空気が変わった?というか狼の存在感が跳ね上がった?
ゆらりと顔を上げる狼、口からは恐らく体内で今も頑張っている沼潜の短刀君が齎したであろう傷から出て来たと思しきポリゴンと白い何か……冷気?
周囲の気温が低下しているのか、俺の吐く息も白くなっていく。白い大地は文字通りの銀色と化していく。
「OOOOOOOOONNN……!!!」
『ユニークシナリオ「白銀へ至る道」を開始します』
「…………………………えっ?」
白銀へ至る道 発生条件
・白銀公への一定以上のダメージ
・歴戦値及び野生値が一定以上
・被弾が5回未満
・出身が獣の子
出身が獣の子じゃない場合は別のユニークシナリオが発生するよ、「白銀の意思」って言うんだけど