シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「はぁ…………」
「うん、美味しい。流石はこーくん……って、どうしたのさそんなため息ついて」
「いや……まぁゲームでちょっとあってな。苦労して攻略したものの報酬が絶妙に使いづらかったり念願の装備が制限の関係で使えなかったり……」
「うわぁ1番心に来るやつじゃないか、それは残念だったね……」
まぁもう今回の1件で暫くシャンフロにインする気は完全に失せた、気晴らしに何かしたいとは思うが正直何も思い浮かばないからどうしようもないんだよな。
はぁ、とため息をつきながら我ながら良い感じに仕上がったちゃんとした中華料理店で出されるようなパラパラの炒飯を口に運ぶ……うん、美味い。
「たまには気分転換も必要かなぁ……」
「そういうことだよこーくん、何かで失敗したなら別の何かで埋め合わせれば帳消しだって前に自分で言ってたじゃん。あ、おかわりお願いできるかな?」
「はいはい」
そういえばかなり小さい頃の話にはなるがキョウにそんな話をした覚えが確かにあるな、でもその話したのって多分小学校上がりたてとかその辺の時期だったと思うんだが……よく覚えてたなこいつ。
とはいえ言われたことに何も間違いはないし曇り空だった心にはほんの少しだけだが陽の光が差し込んできた。米粒ひとつ残さず綺麗に平らげられた皿を受け取ってキッチンに向かい炒飯を再び皿に盛りながら俺は密かにキョウに感謝した。
◇◇◇◇
「あぁ、そういえばこれやりたいなと思ってたんだっけか」
シャンフロのゲームチップを本体から抜いてパッケージにしまいこみゲーム棚に収納しつつ他のゲームパッケージを見ながら気分転換になるゲームを吟味しているとある1つのタイトルが目に留まった。
――――――――――その名も「Record:beast」。
大まかなカテゴリとしていえばロボットアクションゲーム……なのだが、俺がプレイしていたゲームという時点で少々お察しかもしれないが随所随所に音ゲー要素が含まれたゲームだ。
舞台は「突如空から降ってきたレコード盤がモンスター化して、なんだかんだで文明がほぼ全損したパラレル時空の地球」だ。俺たちプレイヤーは「レコーダー」を名乗りレコード盤……「レコンド」を乗りこなし、自身が所属している国以外の数多の国々と時に敵対関係に、時に協力関係になって戦いに身を投じていくという何というかこう……火薬かオイル臭いタイプのゲームだ。
さてこのゲーム、個人的な評価どころか大衆から見ても神ゲー……とまではいかないが良ゲーの部類だったりする。そもそものゲームシステムが割とよく出来ているしUIも悪くない、グラフィックも美麗、逆に悪いところはどこかと聞かれたら……
基本の操作自体は普通に動かせるのだが攻撃なんかのモーションはリズムゲーの処理が一瞬挟まる。因みにパーフェクト判定だとダメージにバフがかかるしグッド判定だとデバフ……あまりにも早かったり遅かったりするとそもそも攻撃が不発に終わることすらある。まぁレコンドの操作にあれこれ言及し出すと小1時間どころか2時間は行けるので今回は割愛するが、敢えて一言で説明するなら「レコンドの制御が恐ろしく難しい」だな。
一人前のレコーダーになるにつれ攻撃を絶え間なく発生させ1つの
そしてこのゲーム最大の魅力は対人戦……「国内戦」と「世界戦」だ。まずこのゲーム大前提としてキャラクリ時点で所属国家を決める必要があり、そこからレコンドを操作する時のバフやデバフがアバターに付与される。で、所属可能な国家全てに独立したランキングが存在している……そのランキングを決定するのが「国内戦」だ。もう1つの「世界戦」は国同士の戦争の中でのキルレートやら何やらで算出され、月1で公開されるもの。こっちは正直あまり気にするものではないな、何せ他国との戦闘がなければほとんど意味を為さないので。
「まぁ、過去の思い出をほじくり返して浸るのも程々にして新しい思い出でも刻みに行きますか」
久々のプレイだ、初見ゲームとはまた違ったワクワクを味わえるのは間違い無いし…きっとあの絶望の2連撃を拭い去ってくれるだろう。
◇◇◇◇
「………………よう、久々だな「ハクアレンコ」。元気にしてたか?」
「GURURURURURURURURURU…………!」
ログイン処理を行い久々に「Record:beast」としての「ビャッコ」になった俺は自身のレコンドが格納された厩舎に向かい、そこにいた相棒に向かって朗らかに声をかけた。
「ちょっと操作勘取り戻すついでにそこら辺走りますか……っと、改めて思うがピーキーな構築してるなほんと」
かつて俺がこのゲームをプレイしていた時ふと「武装防御最低限以下にして、ワンパン火力と速度に全てを振り切れば最強のレコンドが生まれるのでは?」という最高に
性質上の問題から一撃喰らったら速度は半減、2発目以降からはワンチャン掠めただけで勝手に自壊を始めるという飴細工か何かのような脆さのレコンドではあるが……極論当たる前に、そもそも認識すら許さずに相手の方を撃墜してしまえばいいだけなので何も問題はない。………うん、このレコンドの成り立ちを振り返るのも1度やめにして、周りに目を向けてみようか。あぁ、人がたくさん…おや、何人か見た覚えがある方々がいますね。具体的には数ヶ月前のランク戦を走ってた頃におやつにしてた方々が。
「さぁてそんじゃあまぁ……散歩は予定変更といこうか。随分とギラギラした目を向けているお仲間さんが周りに群がってきたことだし、な……!」
ノータイムで飛んできた挑戦状を速攻で受け、ハクアレンコに乗り込む。さぁ数ヶ月ぶりの国内戦、ブランク山盛りとはいえどこまでやれるものか……!!
本格的な戦闘描写は次からだよ。