シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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ヘイト貯めすぎとの感想がありましたのではっきりと申し上げておきますとこのゲームにおけるビャッコは紛れもない邪悪サイドです




あと至極どうでも良いことなんですがコミカライズ見ました?僕は慌ててティッシュを取りに走り出しました…鼻血ですよ?(目逸らし)


殺戮舞踏曲

「うーん、グラップルがウリらしいけど残念。速度特化のハクアレンコに勝てるわけもなし……はい爆散っと」

 

あっこらハクアレンコ、左腕をもぎ取ったくらいじゃ気が済まないってか?真芯を捉えた鋭い爪がピンポイントでゴリラ型レコンドの搭乗口……要は、レコーダー本人にダイレクトアタックを決める。一体誰がこの子にそんな物騒なことを覚えさせたんだ、俺か。確かにランク戦だと下手にレコンドを破壊して悪足掻きの余地を残したり時間を無駄にかけるよりもさっさとレコーダー本人を仕留めにかかった方が効率がいいと判断して後半からはもっぱらダイレクトアタックを仕掛けてたような気がする。

かと言って獲物を甚振るかの様にオーバーキルを積極的に狙った覚えはないし仮にそんな心持ちなら恐らくとうの昔に師匠が化けて出てきて頭をぶん殴られる気がする。じゃあやっぱりこのオーバーキル症はこいつ独自の性質じゃ……深く考えない様にしよう。

 

「いやぁにしてもっ、増援が来てからは本当に補足されにくくなったと言いますか……これ下手したら例の灰鴉(グレイヴン)とやらも俺のこと捕捉できてないんじゃ……」

 

みんな向こうで暴れ散らかしてるウチの後方支援(陽動)部隊に気を取られすぎでは?戦場にアサシンが居ないとは一言も言われてないんだからもっとこう……警戒をと言いますか。

グッと踏み込み爪を展開、捻りを加えながら突っ込んでいけばあら不思議。レコンド製の合い挽きミンチの出来上がり……もしかして今の環境って低耐久高機動型のレコンドが主流?なんかみんな豆腐みたいに柔らかいんだけど。

 

『くっそ、俺達全員殺し切るつもりか……!!なら巻き込み覚悟のホーミングミサイルで……!!』

 

「あーー、ごめん。それ多分振り切れるわ」

 

『えっ』

 

正直数分前にこれの数百倍規模の爆弾をなんとか処理(爆発)したからなんかもう何とも思わんわ。ホーミングだからなんだというのか、要は捕捉出来ないほどの超高速で動き回れば勝手に誤作動起こして誤爆かましてくれるだろ。

 

スラスターを2つ噴かして加速し一気に音を置き去りにする。さてここで面白テクニックだ、音刃は……可変式っ!

グッと身体を丸めて体制を整え……今。

 

刃踊(ブレイドダンス)……白亞一閃」

 

一気に勢いをつけて腕を横凪に振り払い音刃を展開、抜刀術の要領で振り抜いた刃の長さをノーツコンボで操作し伸ばして範囲内の全てを切り裂くクソコンボ。これを発見した後のランク戦の勝率は異常だった、何せみんなリーチ外だと高を括る中振り抜かれた音速の刃に膾斬りにされてくれるので。

…………って、あーあ。後方支援組なーにをこっちにミサイル撃ってるんだ、折角機能停止で済ませた亀型レコンド君の原型がこう……車道で轢かれた亀みたいな可哀想なことに……あーあ。

 

『あー、あー。こちら後方支援部隊、聞こえてるか?』

 

「問題なく……と言いたいところだけど正直そっちが派手すぎて本命が俺のことを捕捉しきれてない気がする」

 

『そりゃ困る……奴さんを釘付けにすることこそが今回の俺達の役回りの大部分を占めてると言っても過言じゃない、何とかして見せろやファッキン野郎』

 

おうコラ言ってくれるじゃねぇか。

 

「はいはいりょーかい……じゃあまぁ、やるか」

 

手段は簡単、死ぬほど動き回って死ぬほど殺し回れば流石に捕捉してくれるだろう。喜べハクアレンコ、大虐殺の時間だぞぉ!

 

「まぁずは先駆けいっぱぁつ!!!」

 

駆け出した先に偶々いたカエル型のレコンドを掴んで潰して放り捨て、そのまま跳躍。居合いは1度しか出来ない?刀が4本あれば同時に4回撃てるだろ?

 

つまりこういうこと。

 

刃踊(ブレイドダンス)、……賽子断ちッ!」

 

威力と精度が落ちるが当たれば結局致命傷の同時4連撃、周囲のレコンドは大体刻めたか……?む、高耐久レコンドはやっぱり耐えるか。仕方がない、直々に手を下してやるとしようか……哀れな奴等め、音の刃の錆になっていれば自分のレコンドを見捨てる羽目になんぞならなかったろうに。

 

「二足歩行型レコンドの欠点その1ィ!両腕持っていくと使い物にならなぁい!」

 

目の前にいるチンパンジー型レコンド……確か妨害とかが得意なんだっけ?速度の前には罠など無意味、ちりたまへ。とはいえ邪魔くさいその腕はこちらの方で除去させていただきますね――あらよっと。中空から音刃を突き立て、肩を抉り取る様に両腕を吹き飛ばす。……おや、もうちょっと余裕がありそう?よろしい、お前の核をぐちゃぐちゃにしてやろう。

両腕を失って盛大にバランスが崩れたチンパンジーを前に蹴り倒しそのまま核の位置している部分に猫パンチ、あまりにも威力がおかしい気がするが多分大丈夫だろう。

 

「流れ作業と行きたいところだけど……効率重視、ちゃんと考えて立ち(殺し)回らなきゃ駄目だよな」

 

『GuRUUUUUaAAAAAA…!』

 

まぁ落ち着けハクアレンコ、大丈夫だ獲物は逃げない。逃げても追いつける。

グッと地面を踏み締め蹴り出す、一気に速度が跳ね上がって景色が形を失い色だけになって伸びていく。感覚でそれらしい色の何かに向かって爪を振り抜けば確かな手応え、これはワンキル取ったろ(確信)。

地を駆け抜けソニックブームが俺達の背後を抉り抜き半壊のレコンドを全壊まで連れていき、視界が慣れてきて撃墜の精度が上がっていく……あっあいつちょっと距離遠いな、ハウリングブレットを()()()()当たらないかな?繰り出した咆哮は破壊を齎す死となって数十メートル先に居たレコンド……何となくでしか見えなかったけどあれなんだろ、狐型かな。なんか尻尾がやたらデカかったし多分狐型だろ。

 

「ちっ……邪魔ァ!」

 

直線上にいた犬型のレコンド……いやもう邪魔今すぐ退いてほしい、仕方ないから君と君のレコンドは半壊どころか修理も出来ないレベルまで粉々にしてあげよう。

 

「爪!スタンプ!からの尻尾ォ!」

 

まず音刃を振り抜いて四肢を斬り飛ばした。そのまま接近して横っ腹を殴り飛ばして吹き飛ばす……おらっ猫パンチだありがたく受け取れ!

そしてそのままの勢いで跳躍、尻尾による薙ぎ払いで顔面を思い切り張り倒してフィニッシュだ、あっレコーダーの息がある!念入りにやらないと(使命感)。

 

「ま"っ」

 

『GUUUUUUUUUA"A"A"AAAAAAAAAAAA!!!!』

 

「ナイスだハクアレンコォ!」

 

レコーダーがのそりと這い出てきた瞬間叩き潰された、いやごめん、ナイスとは言ったけど流石にそこまでするつもりは無かったんだ……ええぃ俺は3秒以上前の過去を振り返らない男、今更儚く散っていたあの哀れなレコーダーや粉々に砕いてきたレコンド達に思いを馳せるつもりはなし、それでは虐殺続行ォ!

再び加速して目についた蜘蛛を解体開始、うーんやっぱり脚は一応全部引き抜いてあげなきゃかなぁ。

 

◇◇◇◇

――――――――改めて、敵じゃなくて本当に良かった。

 

男……もとい今回の作戦における総司令官、撃破時間は率直にそう思った。

 

目の前に広がる地獄絵図。風が吹き、レコンドの駆体のどこかしらが原型を失っていく。正直言ってあまり見続けていたい光景ではない。

たった今頭を潰された犬型レコンドも、数秒前に四肢を切断されて身動きが取れない中胴体を踏み抜かれ大破していったあの狐型レコンドも、ついさっき腕をもぎ取られた上で心臓(レコード)を自分ごと貫かれた哀れなレコーダーも……たった一頭の()()にどれほどの恨みを持っていくのだろうか。自分達も1度は経験したがあれはそう味わいたいものではない。

己の相棒が無惨な姿で自分の目の前に転がっている姿に心を折られ引退していったレコーダーは数多くいた、彼らの気持ちは十分に理解できる。何せ自分も1度は引退の意思を固めかけた人間だから。だがログアウトするたびに、ログインするたびに彼の脳裏に浮かぶ相棒の姿を振り切ることは出来なかった。彼は国内戦ではなく世界戦……国家間同士の争いに精を出す様になった。

 

特に思うところはない、強いて言うなら国内でもし仮にあの化け物と出会ってしまったら、そう怖くなっただけのこと。

 

「他の奴らは割り切れてねぇ奴が多かったが……俺は案外、吹っ切れてるんでな」

 

――――――――精々暴れ回ってもらおう。

 

そう思う彼の目には紛れもない恐怖が浮かんでいた。

視線の先、白い死の風が吹き荒れる戦場で暴れる虎は……不気味に笑っていたから。

 




ブラックリスト ビャッコ
使用レコンド ハクアレンコ

プレイスタイルは相手のレコンドを使用不可まで追い込む、またはこのゲームでは禁忌とされる「プレイヤー殺し」が主体。
このゲームでも類を見ないダーティープレイヤー(邪悪)である。
通報は頻繁に行われているものの効果はなし、運営が紛れもなく定めたプレイヤースタイルの1つを忠実にこなしているからとの予想。
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