シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜 作:トレセン暮らしのデュエリスト
「やっと本命のお出ましか」
いやぁ長かった、ここまでに築き上げたレコンドの屍……と、レコーダーの屍の山は1つ2つで済むものではないだろうな。見上げる先には凄まじい勢いで迫ってくる灰色の大鴉……あれが噂に聞く「最凶」か。
さぁこっちはテンション爆上がりでもうそろそろメーターを振り切りそうだ、冷めるのだけは御免だぞ?
「いざ尋常に死ねぇ!」
繰り出した音刃の居合は未来予知でもしているかの様に回避され、意趣返しとばかりの鋼鉄の羽の一斉掃射が繰り出される。空一面が灰色の羽に覆い隠され、その1本1本が敵味方問わずと言わんばかりに容赦なく降り注いでくる。
「俺が言えた口じゃないが味方も関係なしか……!?」
いや違うなこれ、周囲を確認してみたら周りにアルセリアのレコンドが1体もいない……まさかあいつが出張った瞬間に退避した?どんだけ判断が速いのかあるいは……
しかも逃げ場を的確に潰す為にかなり弾幕の密度が高い……が、その程度で押し潰されるほど
「逃げ場がないなら作れって話だよなァ!!!」
機銃掃射……いや、機
迫り来る鴉の羽目掛けて刃を一閃、案の定回避を試みた鴉に「予想通りの動きをしてくれてありがとう」と感謝の意を表しつつ一気に接近しショルダータックルを敢行し無事直撃、ハッハーこんなもんかよ最凶さんよぉ!!?
「堕ちろ鴉野郎、盛大に歓迎してやる」
『……………言ってくれますね……!』
あれこれ無線の声質的に女性じゃね?フリーチャンネルだからレコンド乗ってる奴って勝手に接続されるんだよな相手の情報手に入るし……どうでもいいわ死に晒せ。
動きを一瞬鈍らせた隙を見逃さず足を掴んで引き摺り落としそのまま首筋に噛みつこうと……だぁーーーくそったれ!体格差で弾き飛ばされた!
ハクアレンコは虎型レコンドなだけあって中型だ、小回りは効くし移動性能も素晴らしい、耐久性に難ありだがもうここまで振り切ってしまうと耐久ってなんだっけと言わざるを得ないが立派な中型レコンドだ。問題は鴉の方だな、何で鳥型レコンドの癖して大型枠に入ってるのか意味がわからん他と同じく小型であれよ、そしたら今ので止め入ってたのに。
「ぐっ……おっ、おおおおおおおおおおおお?」
やばい掴まれた、しかも2本足で腹をがっちりグラップされてて外せる気がしない……!
『超高空からの落下を味わってください……!』
「オメーも一緒に落としてやろうか……!?」
『鴉は神の使い、天上から人々を見下ろし知見を得るものですから……貴方の死は十分に知識足り得るのでお断りさせていただきますね』
「言ってくれるじゃねぇかァァァァァァァァァァァァァァァア!!!!?!」
パッと離されて超高空……大体高度3000mくらいかな?から落下、あの女ふざけやがって遠回しに煽ってきやがったぞ!意地でも吠え面かかせてやる……!
『そっちは大丈夫かファッキンタイガー』
「高度数千メートルからの落下を大丈夫というなら多分大丈夫、それより向こうの本隊の動きは?」
『上々だ、後はどれだけお前が今やり合ってる化け物を拘束できるかにかかってる』
「とは言ってもこの高度からどうやれって言うんだ……!?」
がぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ落下のGまで無駄に再現しやがって身動き取りづらいことこの上ないわクソが!
だがこの程度ならキレこそすれ投げ出したりはしない、そもそももっと悪条件の中で音ゲーやったこともあるんだぞこっちは。
「やっててよかった「ミュージックフォール」……!」
嵐の中を錐揉み回転しながら音ゲーするとかいう控えめに言っても頭のネジがぶっ飛んだバカゲーだったがあれのおかげでVRにおける三半規管と空中姿勢の取り方を学べたと言っても過言ではない……別名「空戦音ゲー」で培った技術を存分に発揮させてもらおう。ちなみに何故空戦なのかと言うと落下する中他プレイヤーの妨害をかましながら音ゲーするからだ、制作元は何を考えてこのゲームを作ろうと思ったのやら。
ハクアレンコの関節の可動域は他のレコンドに比べてはるかに大きい、まぁその理由は俺が兵装の8割のついでにデフォルトで引っ付いてる装甲もひっぺがしたからなんだが。その拡張された可動域をもって体を思い切り捻って空中姿勢を安定させる……ぐっ、思いの外生身とレコンドの差が大きくて苦戦するな、ならばいっそ落下に身を任せて……!!?
「だぁぁぁぁぁぁぁぁぁあっぶねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!???」
あのクソ鴉こっちが空中でもがいてる中遠慮なく撃ってきやがった!自分でも間違いなくやるだろうからキレるにキレられん!だが乱射してきたその羽は……!
「俺に足場を与えたのと同義ィ!」
『――――――――――!?』
襲いかかってくる羽の嵐、なんて素晴らしい足場なんだ礼をしなくては。と言うわけで素早く身を踊らせて羽の弾幕をすり抜け真下にある羽を踏み付けスラスター起動、いざ行かん……空を踏み締め駆けるは雲ってなぁ!
「速度を突き詰めれば虎だって空を駆けられるんだよなぁ……!」
対戦環境下じゃ練習不足で解禁してなかった隠し玉、名前はまだない。完全な空中での二段ジャンプが出来ないだけであって何かしらの踏み台さえあればシステム的にはこういう挙動になるらしい……半分グリッチみたいなもんだがまぁ仕様ってことで許してくれ、例えその踏み台が
「必要な条件は3つ!一定以下の重量であること、一定以上の速度であること、最後は気合いと慣れだぁぁぁぁ!!」
『最後根性論だし実質4つじゃないですか!?』
ナイスツッコミだ灰鴉、遠慮はいらんからさっさと噛み砕かれてくれ。起点となった羽の足場から空駆け、コツは体が上昇の最高点になった瞬間にほんの一瞬ブースターを全開にすることだな、音により押し除けられた空気の塊が足場判定となってこの挙動を可能にしているわけだ。
さてと
ドッグファイトといこう。
本文の補足
・アルマジロの時は完全空中二段ジャンプしないと死んでたのでクソほど条件整えないとダメだった
・今回の場合は空中に浮かぶのと移動さえできたらいいのでブースターを蒸かして滞空してるだけ、厳密には「地面」と同等の扱いに何故かなっている「空気の塊」を踏みつけているだけなのでこれを実際の地上でやるとぴょんぴょんぴょんぴょん飛んでるだけになる