シャングリラ・フロンティア〜音ゲーマー、神ゲーに挑まんとす〜   作:トレセン暮らしのデュエリスト

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さぁ帰ろうぜみんな!シャンフロに帰還する時間だ!


全ては袖の下の中身次第

「おうファッキン野郎、何で勝ってんだテメー」

 

「どうにかこうにか勝って生還してきた奴に言う第一声がそれとかどうなってんだ」

 

あの後ズタボロの状態で何とか帰還した俺は取り敢えず作戦前のミーティングに使われていた場所に戻って他のサーバーに急襲を仕掛けていたメンバーや後ろで砲弾をばら撒いていた後方支援()メンバーと合流を果たしたわけだが、何故こんな罵倒をされなければならないのか。

 

「どうせお前ら俺が負けるの前提でワンマンアーミー状態で送り込んだはいいけど何か勝ってるし帰ってきたからそれ以上何も言えないんだろ?」

 

「くっっそ……何も言い返せねぇ自分の語彙力の無さに不甲斐ない……!」

 

「総司令官殿!ぶっちゃけ俺達みんな死ぬと思ってたんでこれはもう仕方ないっすよ!」

 

「何なら自信満々に「任せろ」とか言ってたX慈救斎が出オチで死んでいったことの方が最高に笑えますって!」

 

「あれ面白かったよな、まさかあんなブービートラップに引っかかって即死するとは」

 

「それ以上その話をすんじゃねぇ!」

 

こっちもこっちだったが向こうも相当愉快なことになっていたらしい。具体的にもう少しその辺の話を聞いてみたいものだが……まぁ、それは後にしようか。それよりも俺は今の状況について問いただしたい。

 

「んでさぁ……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

うん……なんか拘束されてるんだよね、俺達。俺は鎖でガッチガチに金属製の柱に括り付けられているしハクアレンコの方はレコンドを大人しくさせる効果を持った特殊なケージ……なんて名前だったっけ、「蓄音機」?だったか何だったかに入れられて無力化させられている。

 

「お前、自分が何したか忘れたとか言わないよな……?」

 

「いや何したって言われても、お前らに言われた通り派手に暴れ回っただけだけど」

 

「暴れすぎだよ馬鹿野郎」

 

指示に従って罵倒される……なるほどこれがブラック企業に就職すると毎日ログボ感覚でもらえるとかいうやつか。

とはいえ暴れすぎだと?そんな馬鹿な、そこまでエグいことは……(思い起こされる頭蓋粉砕、プレイヤーへの直接攻撃、核破壊etc etc……)ない、うん。そんな事実はない!だがそこからどうして拘束に繋がるのかがさっぱり分からん、どういうことなんだか。

 

「まぁ率直に言うとだな、今回のお前の行動から大量の通報が届いて運営が対処しようとしてるんだわ」

 

「垢BANするってことね……辞世の句でも読めばいいのかな?季語はそうだな……爆発、粉砕……うーん良いのが思いつかない」

 

「垢BANとまではいかない、精々「監獄」にぶち込まれてしばらく出てこれないだけだ」

 

監獄……確かありとあらゆる国で色々問題を起こしたプレイヤーが集められる特別な隔離サーバーだったか、そこから出るには物理的に立ち塞がる化け物……もとい看守を倒さなければいけないとか何とか。設定的にはその看守共は元々豊かな王国だった監獄をぐちゃぐちゃの地獄に変貌させ、それを何とかしようと言う形で各国のダーティーなプレイヤーを放り込み対処させている、だったかな。

 

「いや正直な話これからログインするかどうかも怪しいし別にそれでも……」

 

実際このゲームにログインしたのは凄まじく落ち込んだシャンフロに対するモチベーションの回復の為だ、そして偶々ストレス発散に最高に噛み合ったゲームだからこそ今このゲームをプレイしているのであって、モチベさえ戻ればこの世界のビャッコは再び姿を消してしまう。

正直十分楽しめたしもうモチベも回復した、そろそろシャンフロに戻ろうかなと思ってたから寧ろ吹っ切れる理由を貰えたとすら思えてしまう。

 

「残念ながらお前を逃すわけにはいかなくなった。お前にはこれからもちょくちょく戦闘に参加してもらいたい」

 

「何言ってんだオメー」

 

………………いやマジで何言ってんだお前?

取り敢えず詳しく事情を聞いてみるとどうやら

・今回の俺が相手側に与えた損害が自分たちの想定の大体3倍くらいいったのでこれからも相手戦力を削る為に戦闘してほしい

・今回俺がぶちのめした何人か、それこそ灰鴉(グレイヴン)のようなランカーが俺を相当目の敵にしているとの情報が入ったので良いスケープゴートになる

・あわよくば死んでほしい

とのことだ。前2つに関しては納得できるが最後の1つは諦めないしブレないね君等……が、しかしだ。

 

「それぶっちゃけ俺に対するメリットなくない?そもそもシャンフロでロボが使えなかったり何だったりあってふらっと来ただけだから監獄ぶち込まれるのも大したデメリットになってないって言うかさぁ……」

 

「監獄行きを免除するという形で提案しようと思ったがそれが効かないとなるとどうしようも……いや待て、お前今なんて言った?シャンフロで、ロボ?」

 

「あーごめん、聞かなかったことにしといて」

 

やっべガバった。そうじゃんシャンフロはなんだかんだ神ゲーなんだからこっちでもやってる人間は絶対にいるに決まってるじゃん。

どうやって誤魔化そうか脳裏で全力を以て対処を考えている中、ぼそりと総司令官……撃破時間殿は呟いた。

 

「ユニークモンスター……は材料になり得るか?」

 

「は?」

 

不敵な笑みを浮かべて目の前にいる男はこう言い放った。

 

「ユニークモンスター、「深淵のクターニッド」。奴に繋がるユニークシナリオを俺は知ってる。これが交渉材料にならないかと聞いている」

 

「………………詳しく聞かせてもらおうじゃねぇか、話はそれからだし……何より拘束を解いてくれ」

 

事態は急速に変わっていく。

 

◇◇◇◇

 

「俺が見つけたユニークシナリオ……名前を「別れ難き深淵の都(ルールイア)」というんだが、フィフィティシアの貴族街に住む老人から受注できたユニークシナリオだ。軽く内容を説明するとその老人、「クタル・ルールイア」からの依頼で「深淵の都」……ルールイアに行ってほしい、というものだ」

 

「ふぅん…………」

 

「俺は受注までは済ませたんだが、そこからは進めていない。そしてその老人から話を聞く限りでは深淵の都、ルールイアには「深淵の盟主」がいるって話だ」

 

深淵の盟主……確か天覇のジークヴルム、夜襲のリュカオーン、冥響のオルケストラと並んで名前が明かされているユニークモンスターだったな。深淵、なるほど確かにこれが厳密には別のユニークシナリオだったとしても「本命」に繋がるシナリオである可能性は高そうだ。が、その本命たるユニークシナリオEXに実際に繋がっているかどうかの……

 

「決定打が足りない」

 

「決定打?」

 

「ユニークモンスターと直接関わることが出来るユニークシナリオは後ろにEXが付く。つまり俺にこれ以降もちょくちょく戦闘させたいというのなら「ユニークモンスターに繋がるかもしれないユニークシナリオ」じゃなくて「ユニークモンスターに繋がるユニークシナリオEX」を交渉材料として持ってきて欲しいんだよ」

 

まぁ何と言うか、つまりはだな。

 

「俺とハクアレンコに戦闘して欲しいって言うのなら。まずはその「忘れ難き深淵の都(ルールイア)」をクリアして、ユニークシナリオEXを発生させてくれないと交渉材料足り得ない」




ところで皆さんお忘れでしょうか、次回はとうとう100話です。つまり?記念話です
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