奇跡を日常に   作:ユイトアクエリア

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ようやっと3話目ですね


シラナイアノコハ -疑念-

 

「...祥子?」

 

その姿を見たのは、ジャケット撮影の帰り、無気力にお疲れさまでしたとスタジオを出た時だった。

記憶と同じ色の髪、2つに縛ったシルエットは幼い頃よりだいぶ伸びているが、それでも見てくれは一緒。

 

「祥っ...?」

 

しかし、声を掛けるのは躊躇われた。

隣によく似た少女を見たからだ。

 

「姉妹...?でも、そんな話は一回も...」

 

しかし、いま目に映る景色は本物である。

故、祥子に姉妹がいるのは事実である。

 

「もしかして...」

 

実家があった孤島に来ていた時も、入れ替わっていたりしたのだろうか。

 

「...やめよ」

 

あまりにも過ぎた邪推、考えない方が良いに決まっている。

今見たことは考えないことにして、踵を返して帰路に着く。

 

「...あら、初華?」

 

後ろから声をかけられて、思わず足が止まる。

振り返ると、安堵したような顔の祥子がいる。

 

「やっぱり初華だった、久しぶり」

「祥、子...うん、久しぶり」

「...だれ?」

 

祥子と一緒にいる少女は、私を見てもピンと来てない。

勝手に安堵して、少し笑みが浮かぶ。

 

「睦は会ったことないよね、三角初華、私の...友達?」

「何で疑問形なの?傷つくよ?」

「あぁいやその...ごめんなさい」

 

まともに謝られてしまうと、ちょっと揶揄った自分が申し訳なくなって、「いいよ、冗談」と返す。

 

「睦...ちゃんで良いのかな、初めまして」

「初めまして...あれ、もしかしてSumimiの...?」

「...うん、知ってるんだね」

 

歯切れが悪くなってしまったのは、この際見逃してほしい。

祥子に見つけてもらうために、頑張っただけだから。

 

「それより、二人はどこか行こうとしてた?」

 

曇った表情を悟られないように話題を変える。

 

「あぁ...その、これから音楽スタジオに...」

「音楽スタジオ...?」

 

祥子は確かに音楽をやっていたという話は聞く。

だけど、今姉妹で、スタジオに?

何を怪しいと思ったか分からないのに、頭の中で疑問符が浮かぶ。

 

「私、祥子とバンドするの」

「え、バンド?」

「睦!...まぁ、隠さなくてもいずれバレたことだし、話しちゃう方がいいかもね」

 

どうやら、祥子はバンドを組むために遠くに行ったようだった。

でも、メンバーの収集率はそこそこ...らしい。

 

「睦ちゃんはギター担当なの?」

「うん。祥子の隣でギターを弾けるのは私だけだから」

「...そっか」

 

見つけてもらうために始めた付け焼刃のギターじゃ、親族には勝てない。

誰よりも、祥子が求める音が奏でられるんだから。

 

「じゃあ、そろそろ帰るね。バンド、頑張って」

 

その場にいたくなくて、少し強引に帰ろうとする。

 

「...初華!」

 

大きめの声で呼ばれ、足を止められた。

 

「...っ、なに...?」

「...今度、音合わせしない?」

 

そう言いながら笑った彼女の顔には、曇りなんかなくて。

 

「...うん、もちろん」

 

そう返した顔は、きっと自分の中で一番笑えてるんだろうと、勝手に思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1stライブは今日だよ
ようこそ。AveMujicaの世界へ――
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