コードギアス 反逆のルルーシュ loyal knight 作:ボートマン
「……はぁ」
黙々と作業をしていたカイルは溜息を吐きだしていた。
「(まさかこんなことになるとは……)」
カイルは何故自分がこの状況になったのか思い出す。
ブリタニア人が住む租界。
租界に住む多くのブリタニア人がアッシュフォード学園。
学園の敷地内にあるクラブハウスと呼ばれる施設にカイルは訪れていた。
「失礼します」
クラブハウス内にある生徒会室に入ると、見慣れたメンバーが揃っていた。
「待ってたよカイル!」
入ってきたカイルに駆け寄るのがカイルの保護者である、会長の“ミレイ・アッシュフォード”。
ある事件で両親を失ったカイルの保護者として引き取ってこの学園に通う手続きなどをしてくれた恩人だ。
「よ!カイルも呼ばれたのか?」
そうカイルに呼びかけるのはクラスメイトである少年“リヴァル・カルデモンド”。
「え?それじゃ皆も?」
「そうだよ。私達も会長に呼び出されたの」
カイルに同調するように答えたのは同じクラスメイトである少女“シャーリー・フェネット”。
「ミレイちゃん、カイル君は役員じゃないけど大丈夫?」
不安そうにミレイに質問するのは眼鏡をかけた少女“ニーナ・アインシュタイン”。
「大丈夫大丈夫!カイルは生徒会補佐だからね!」
いつの間にか聞いたことのない役職をつけられ、カイルは同情するように見るルルーシュを見る。
「ルルーシュ、変な役職をつけられたから助けてくれ」
「無理だ。こういう時の会長に何言っても聞かないのはお前が知ってるだろ?」
「………はぁ。それで俺は何を手伝えばいいんですか?」
それからカイルはミレイから大量の部活の予算審査書類を手渡される。
そして、急遽集められた生徒会メンバーと一緒に作業に取り掛かるのであった。
「こ~らカイル!あんたも手を止めないの!」
思い出していたカイルにミレイは棒状にした紙で頭をポンポンと叩く。
「ちょ、叩かないでくださいよ」
「だったら手を止めずにちゃっちゃとしなさい。早く予算審査を済ませないと、どこの部活にも予算が下りないんだから」
「そんなことになったら」
「馬術部とかマジ怒り!またここに突入してきたりして!」
「おいおい、そんなことがあったのかよ?」
外を見れば噂をすればなんとやら。
馬術部が見えて通り過ぎていた。
「いや~あの時はびっくりしたよ」
「本当にあの時は大変だったね~」
「はいはい!話を脱線させないの!そういうことを起こさないためにも早く予算審査を済ませるの」
「それにしても、こういうのって締め切り前に済ませるものじゃないのか?」
「確かにカイルの言う通り、予算審査は締め切り前に終わらせるはずだが」
そう言ってルルーシュはじろりとミレイを見る。
「あはは……実は今日思い出してね」
「それに付き合わされる俺って……」
「まあ、カイルも諦めて俺達と一緒に頑張ろうぜ」
「ならさ、諦めて教室に行くというのは?」
「それいいな。今からでも」
「ガァァァッツ!!」
カイルの言葉にルルーシュが悪乗りし、話がどんどん脱線しているとミレイから大きな喝が入った。
突然の喝にカイルを含めた生徒会メンバーはビクッと肩がはねた。
「またガッツの魔法ですか?」
「は~い、これで貴方たちは頑張りたくなります」
「はぁ……かかりませんよ。そんなインチキ魔法じゃ」
普段からガッツの魔法をしているのかルルーシュとリヴァルは慣れた様子だった。
「俺は早く終わらせたいのでかかったことにします」
「会長、私もかかったことにします」
カイルは作業しながら応え、シャーリーは挙手して明るく応えた。
「うむうむ!肉体派の二人は素直でよろしい!」
応えてくれた二人にミレイは満足そうにする。
「会長、そこは鍛えてるって言ってくれないと」
「そうじゃなくてさ、立派じゃん? 」
にやにやとするミレイの視線はシャーリーのとある部分へ。
「この間の女子寮のバスルームで確かめた。トップとアンダーのバランスがいいよね」
「ほほぅ」
その言葉にリヴァルも同じ部分に視線を注ぎ、言葉の意味を知ったシャーリーは顔を赤くしながら体を抱くようにして隠す。
「な!?何言っているんですか変態!」
シャーリーの罵声を皮切りに和やかな笑い声が生徒会に漏れる。
「やれやれ……これ間に合うか?」
「さあな……」
そうしてどうにか予算審査を終わらせ教室に向かうと、教室内は何やら騒がしそうにしていた。
「毒ガステロだってよ」
「え~本当?」
「しかもシンジュクってそう遠くないところだぜ」
話の内容から朝見たシンジュクゲットーのニュースのようだ。
教室内ではシンジュクの毒ガステロに関することで話題になっていた。
カイルは自分の席に座り、ぼーっとしていると一人の少女が目に入った。
数人の女子生徒に囲まれている赤い髪の少女。
「(何処かで見たような。何処だ?ここ最近で見た気が………あ!)」
ルルーシュ共に乗り込んでしまったトレーラーで見た少女に面影を感じる。
「おやおや~何を見てるんだカイル?」
そこへからかうようにリヴァルが後ろの席から話しかけてきた。
「別に珍しい人がいたからさ」
「確かにな~。最近病欠でいなかったからな」
そこから頼んでないがリヴァルが症状について話し出した。
あの少女の名前は“カレン・シュタットフェルト”。
体が弱いらしく、前の学年でも何度も休んでいたようだ。
名門シュタットフェルト家のご令嬢で、穏やかな性格から男子にとっては高嶺の花のような存在だそうだ。
「それで惚れちゃったの?」
「そんなんじゃないよ」
「どうかな~?お?」
そこへ教室に戻ってきたルルーシュも同じようにカレンを見つめていたようだ。
リヴァルがカイルと同じようにからかうように話しかけていた。
「(どうやらルルーシュも気づいたようだな。それにしても……)」
ここでカイルはある疑問が浮かび上がる。
何故ブリタニアの学園に通う彼女がテロ活動を行うのか。
「(下手に聞くとあの場にいたことがバレるな。聞くにしても慎重にしないといけないが、そこらへんはルルーシュと相談するか)」
そう考えていた矢先、まさか厄介な事態になるとは思ってもいなかった。