コードギアス 反逆のルルーシュ loyal knight   作:ボートマン

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stage8

『まもなくです。まもなく時間となります!』

 

時刻は既に夜。

 

この日、ブリタニア軍がクロヴィス殺害の容疑者であるスザクの移送が行われていた。

 

その様子はキャスターによって生中継されている。

 

『ご覧ください!沿道を埋め尽くすこの人だかりを!この民衆はクロヴィス殿下殺害の容疑者である名誉ブリタニア人枢木スザクを、今か今かと待ち構えています!』

 

そして、軍に移送されるスザクの姿が映される。

 

沿道にいる多くのブリタニア人はスザクを見るなり、非難の声を次々と浴びせている。

 

「(嫌なものだな)」

 

無実である幼馴染に浴びせられることに不愉快な気持ちになり、ハンドルを強く握ってしまっていた。

 

『カイル、行くぞ』

 

「ああ」

 

ルルーシュの合図にカイルは用意したクロヴィスの御料車を起動する。

 

御料車は大通りの中心を前進する。

 

上空には軍のVTOLが数機飛んでいるが、不審車両には通すように指示されているのか、こちらには攻撃する気配はなかった。

 

御料車は何事もなく前進していると、数機のKMFとそれに囲まれている装甲車が見えた。

 

「(ここからが正念場だな)」

 

ちらりと車内を見る。

 

所々に張られたガムテープ。

 

むき出しされた状態にある配線コードや計器類。

 

この車は外側だけは立派なだけのハリボテだ。

 

ハリボテの御料車は目の前のKMFと一定の距離をとって停車する。

 

周囲は突然クロヴィスの御用車が侵入したことにざわめき始めている。

 

「出て来い!クロヴィス殿下の御料車を穢す不届き者が!」

 

目の前のサザーランドに搭乗する軍人が機体のスピーカーを通して命令してきた。

 

「(あれがジェレミア)」

 

純血派というブリタニア軍はブリタニア人で構成すべき主張する一派。

 

そのリーダーが目の前の“ジェレミア・ゴッドバルト”。

 

スザクにクロヴィス殺害の罪をかぶせ、軍部を掌握して成り上がろと画策している男だ。

 

そして、天井からコンっと音が鳴る。

 

「(合図だ)」

 

ルルーシュからの合図にカイルは車内のスイッチを押す。

 

すると御料車にかけてあった国旗が燃え上がる。

 

燃え上がった国旗の奥には黒衣をまとう仮面の人物が立っていた。

 

突如現れた仮面の人物に民衆は息をのむ。

 

「私は、ゼロ」

 

ゼロと名乗る存在に周囲がざわつく中、ジェレミアは慌てることなく不敵に笑っていた。

 

「もういいだろゼロ!君のショータイムはこれでおしまいだ!」

 

ジェレミアは持っていた拳銃を空へ発砲する。

 

その合図と同時に上空に待機していたサザーランドが御料車を囲むように降下する。

 

絶望的な状況にたいし、カイルは慌てることなく次の合図を待つ。

 

「さあ、まずはその仮面を外してもらおうか」

 

自身が優位になったことでジェレミアは仮面を外すよう命令する。

 

一方のゼロは右腕を仮面へ伸ばすも、仮面を通り過ぎて高く掲げられる。

 

そして、高く掲げて指を鳴らすと同時にカイルは取り付けてあるレバーを引く。

 

すると御料車後部のハリボテがパージされる。

 

そこには半球状の装置が積まれていた。

 

「何いぃ!?」

 

「ジェレミア卿、あれは!」

 

ジェレミアと装甲車の背後に位置する女性軍人は、積まれた装置を見て驚愕していた。

 

「(やはりな。中身を知らないお前たちにとってはこれは毒ガスのカプセル)」

 

仮面の中でルルーシュはジェレミア達の反応を見てほくそ笑む。

 

ルルーシュの予測通り、クロヴィスは一部の軍人以外にはこれを毒ガス装置と説明したのだろう。

 

その証拠がジェレミア達の反応だ。

 

これの中身を知っていればあんな反応はしない。

 

「(だからこそ奴等は迂闊な真似はできない)」

 

これが毒ガス装置だと信じているからこそ、ジェレミア達を抑えることができるのだ。

 

今のジェレミア達にとってはこの場にいる一般市民が人質に取られていると思っているはずだから。

 

それでもテロリストに屈するわけにはいかないという意志なのか。

 

ジェレミアはゼロへ銃口を向ける。

 

「撃ってみるか?これが何か知っているなら、撃てばどうなるかわかるはずだが?」

 

「っく!わかった、要求は何だ?」

 

渋々と銃を降ろし、ゼロの要求を問いだす。

 

「交換だ。これと枢木スザクをだ」

 

「笑止!この男はクロヴィス殿下を殺害した大逆者だ!引き渡せるはずなかろう!」

 

「違うな。間違っているぞ、ジェレミア。犯人はその男ではない。クロヴィスを殺したのはこの私だ!」

 

ゼロは堂々と自身がクロヴィスを殺したことを告白する。

 

その告白を皮切りに市民達は動揺し始める。

 

何しろ自分が犯人だと名乗り出たのだ。

 

「イレブン一人で大勢の市民の命が救えるんだ。悪くない取引だと思うのだがな?」

 

「こいつは狂っている!クロヴィス殿下の御料車を偽装し、愚弄した罪!その命で贖うがいい!」

 

取り囲むサザーランドがアサルトライフルを構えだす。

 

「いいのか?それなら公表するぞ、“オレンジ”を?」

 

オレンジという聞き覚えのない単語にジェレミアが困惑する。

 

その隙を逃がさず、ゼロは靴を鳴らす。

 

その合図を受けて、御料車は少しずつジェレミアとの距離を縮め始める。

 

「もし私が死ねば公開されることなっている。そうされたくなければ」

 

「何のことだ!貴様は何を言っている!」

 

距離を詰めた瞬間、ゼロの仮面の一部がスライドして左目を露わにする。

 

その左目に妖しく光り輝く赤い紋章があり、戸惑うジェレミアを射抜く。

 

「私達を全力で見逃せ!そこの男もだ!」

 

「………いいだろう。その男をくれてやれ」

 

まるで人が変わったかのようにジェレミアはゼロの要求に応じる。

 

「ジェレミア卿、今何と!?」

 

「その男をくれてやれと言っているんだ!」

 

計画にない行動をするジェレミアに純血派のメンバーは慌てふためいている。

 

「(ここまではルルーシュの計画通りだ)」

 

ひとまずジェレミアの命令に従い、スザクの拘束が解かれ装甲車から降ろされる。

 

ゼロとノワールは御料車を降りてスザクに近づく。

 

周りの市民がスザクを解放したことに非難の声をあげるが、カイルとルルーシュにとっては知ったことではない。

 

「ゼロ、そろそろ時間だ」

 

「では、話はここを切り抜けた後だ」

 

ゼロは懐から棒状のスイッチを取り出すと、先端のボタンを押す。

 

すると御料車に積まれていたハリボテの毒ガス装置から着色ガスが噴射される。

 

その瞬間、ゼロはスザクを抱えて走り出し、ノワールも後を追う。

 

ガスが噴射されたことに市民達はたちどころにパニックに陥った。

 

ゼロ達はそのまま道路から飛び降りる。

 

背後では銃声とぶつかり合う音が聞こえていた。

 

逃走を阻止しようと軍人をジェレミアが全力で妨害したのだろう。

 

一方のゼロ達は横から射出した物体が柱に刺さった後、落ちていた三人をあらかじめ用意されていたネットが受け止める。

 

ネットのお陰で三人は怪我することなく、脱出用トレーラーの荷台に入り込む。

 

「今だ車を出せ!」

 

「了解!」

 

トレーラーの運転席に待機していたカレンはゼロの指示に従い、フルスピードでこの場から離脱する。

 

 

 

 

 

それから追手が来ることなく、トレーラーはゲットーにある劇場近くで止まった。

 

「私は彼と話したいことがある。ついてきてくれるか、枢木スザク?」

 

「………わかった」

 

すでに首につけられていた装置は外され、スザクと一緒に劇場の奥に入っていく。

 

ノワールはエントランスでゼロを待つべく、備えてあったソファに座る。

 

待つ間に劇場のエントランスには扇の仲間たちが集まっていた。

 

「まさか本当に枢木スザクを助け出すなんて」

 

「一体何なんだ、あいつは?」

 

「馬鹿馬鹿しい!あんなはったりが何度通用するかよ!」

 

文字通り不可能を可能にして見せたゼロの力。

 

そのことでメンバーはゼロのことを話していた。

 

「ねえ?ちょっといい?」

 

そんな中、カレンがノワールの隣に座って話しかけてきた。

 

「シンジュクゲットーで助けてくれたサザーランドのパイロットって、貴方?」

 

「……ああ」

 

「そっか。あの時は助けてくれてありがとう」

 

「気にしなくていい。こっちの方も今回の件で助けてもらっったんだ、ありがとう」

 

「……」

 

「何だ?」

 

「いや、お礼を言われるとは思わなかったからさ」

 

「礼を言うのは当然だ。今回の奪還計画では君達の協力があったからこそ成功したんだ」

 

「ふ~ん、何か思っていたのは違うんだね」

 

「どう思っていたのかは知らないが、俺は協力してくれた人間に礼ぐらい言うさ」

 

「そう。けど、あの状況で怖いとか思わなかったの?」

 

「確かにあの状況ではそう感じるだろうが、ゼロならあの状況をひっくり返すと信じていたからな」

 

「へえ~そんなに信頼しているんだ」

 

「まあな」

 

そうしてカレンと話していると、ゼロが戻ってきた。

 

ゼロは扇と話すと劇場を出る。

 

ノワールも後を追い、劇場をでる。

 

扇グループと別れ、ゲットーを二人だけで歩く。

 

「それでスザクは?」

 

「法廷に出席するために戻った」

 

「そうか……」

 

「何も言わないのか?」

 

「何か言ってほしいのか?」

 

「言葉遊びをしているわけではない」

 

「確かにスザクは向こうに戻ったけど、ゼロという真犯人が出たんだ。多分大丈夫だろう」

 

とはいえ、今の軍はゼロやジェレミアのとった行動でスザクどころではないだろう。

 

「先のことはこれから考えればいいんだ。それよりも早く帰ってナナリーの傍にいてやれ。スザクのことはナナリーの方が人一倍心配しているんだから」

 

「……そうだな、そうさてもらうよ」

 

「けど、これからだな」

 

「ああ。これから始めるんだ。ブリタニアとの戦争を」

 

今回の件でゼロという存在は軍からマークされる。

 

皇族を殺し、軍に対して敵対行動をとった危険人物なのだから。

 

「また何かあれば連絡する」

 

「わかった。それじゃあナナリーによろしくな」

 

「ああ」

 

そして、ルルーシュと別れて帰宅したカイルはすぐさまルルーシュから連絡が入ることになるのであった。

 

 

 

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