令嬢の護衛、何故か美女達に迫られている件 作:究極の闇に焼かれた男
それと今回はオリキャラが出ます!
王城にある国王の執務室──そこに3人の人物が居た。
1人はパレッティア王国の現国王を務める『オルファンス・イル・パレッティア』。
もう1人はマゼンタ公爵家の現当主、『グランツ・マゼンタ』。
そしてもう1人は一見20代に見える姿をしているが、実際はオルファンスとグランツとは旧知の仲にして同じ年齢である男──『モルド・ファーレンガルド』、王族を守護する近衛隊の隊長である。
「全く…アニスフィアには困った物だ」
仕事がある程度一段落して休む事にした3人は紅茶を飲んでいると、不意にオルファンスがそう言い出す。
「どうした? また子供についてでも頭を悩ませているのか?」
「頭を悩ませなかった事などないわい!」
「気持ちは察するが、少し落ち着けオルファンス」
からかう様に問い掛けるグランツの言葉にオルファンスは苛立ち混じりに言葉を返したのをモルドが宥める様に言う。
それにより少しは落ち着きを取り戻したオルファンスは気を取り直しながら言葉を紡いでいく。
「最近は大人しいが、嵐の前触れではないかと戦々恐々とするばかりだ」
「まぁ、確かにアニスフィア王女は嵐の申し子と言っても過言では無いからな」
「嵐の前の静けさと感じても仕方ないか」
「何面白そうに笑ってるんじゃ、私は何も面白くないぞ」
笑いながら言葉を返した2人の発言にオルファンスは思わず頭を抱えていた。
「あいつももう17歳だと言うのに、落ち着く気配が見えないのはどうしたものか……」
「落ち着いてしまえば、それはもうアニスフィア王女ではないだろう?」
「寧ろそんなアニスフィア王女の姿がオルファンスは想像できるのか?」
「止めよ、気が滅入る……」
「致し方あるまい。 アニスフィア王女の振る舞いを許したのは我々なのだからな」
「そういう事だ、大人しく受け入れるしか他はないだろう」
2人の言葉にオルファンスはガックリとした様子を見せつつ言い出す。
「世の中、何故問題というのは尽きないものなのかのぅ」
「だが、その気苦労ももう少しは楽になるんじゃないか?」
「む……。それはアルガルドとユフィリアの事か?」
モルドの言葉にオルファンスがそう返すとグランツが言う。
「間もなくあの子達も卒業だろう。今後、本格的に次期国王と時期王妃として立って貰う事が増える。そうすれば自分達で他を導く機会も増える」
「……そうすんなりと行ってくれると良いのだがな」
「……例の噂を気にしているのか?」
オルファンスのぼやきにグランツは目を細めながら問い掛ける。
「ユフィリアにも確認は取ったが……アルガルドの奴め、男爵令嬢を囲うのは良いのだが節度というものを持って貰わなければ困るな」
「それに関してレオンも『こんな事では、王家が無理を言って叶えた婚約が危うくなります』って、頭を抱えていたな」
「レオンか…」
レオンの名前が出た瞬間3人の空気が変わり、それぞれの表情に陰が差し込む。
「……もしもレオンが本来の家名を名乗れたのなら、アニスフィア王女と婚約させられんだがな」
「モルドそれは……!」
「でも事実だろ?」
「しかし……」
モルドの言葉に2人は何とも言えない表情をする。
彼の言う言葉が事実であるというのは2人が一番良く知っているからだ。
「それでも……レオンにはあの様な宿命を背負って欲しくは無いのだ」
「……すまない」
オルファンスの悲痛な思いが宿った言葉に対し、グランツは何も言う事が出来ずにいると、そんな2人の様子にモルドも申し訳なさそうに謝る。
3人は表情を暗くしたまま話を続ける。
「モルドの言う通り、レオンに本来の家名を名乗らせてやれたらアニスフィアと婚約させる事も考えたのは事実だ。 しかし、我々は未だにレオンの血筋の事を伝えられていない」
「もしもそれをレオンが知ってしまえば恐らく、優し過ぎるレオンは自ら死を選ぶかも知れない」
「…伝えられないってのは、こんなにも辛いものだとは思わかなかったな」
そんな会話を繰り広げる3人はレオンの実の両親の事を思い出す。
レオンの両親はその血筋故に命を狙われ表舞台から姿を消さざるを得ない状況に立たされていた。 かつての友人を救えなかった事は、3人の心で未だに癒え無い傷として深く残っているのだった。
そんな時だった、廊下からドタドタと誰かが執務室の扉を開け放ちながら入って来たのは。
「ご機嫌麗しゅう、父上! 急な訪問、真に申し訳なく思っています!」
「急な訪問、申し訳ございません陛下、グランツ様。 大至急御2人にお伝えしたい事が有ります!」
そこには気を失ったユフィリアを担いだアニスと件の青年、であるレオンの姿があった。