令嬢の護衛、何故か美女達に迫られている件 作:究極の闇に焼かれた男
追記:色々と考えた結果、ラストを変更しました。
「お前はいきなり何を言い出すんだ、アニス!?」
アニスの「レオンとユフィリアをください」と言う台詞を聞いた直後、一瞬だけ目が死んでいたレオンは何とか意識を取り戻すと同時に思わずそう叫んでいた。
レオンの叫びに、アニスは笑顔のまま口を開き始める。
「だってユフィリア嬢を助手にするんだったら、当然レオンも一緒じゃないとダメでしょ?」
「それは確かにそうかも知れないが、少しは言葉を選べと言ってるんだ! 見てみろよ、陛下が胃痛のあまり思いっきり気を失ってんじゃねぇーか!!」
レオンにそう言われてアニスが視線を移すと、そこには目を見開きながら意識を失っているオルファンスの姿があった。
「あっ!?」
「どうすんだよこれー? 陛下が頭痛と胃痛の合わせ技を喰らったせいで、白目剥きながら完全に意識がぶっ飛んじまってんじゃねーか!?」
「ど、どうしようレオン!?」
「それは俺の台詞だ、この馬鹿!!」
レオンとアニスはオルファンスが気を失った事にしばらくの間、傍から見たら夫婦漫才の様な事を繰り広げるのだった。
そんな中、レオンとアニスのやり取りを見ていたユフィリアと言うと、
(レオンとアニスフィア王女があんなに親しいなんて知りませんでした。 ……どうしてでしょうか? 先程よりも心が凄くザワつく)
内心そんな思いを抱いている彼女の瞳が少し濁っていたことに誰一人として気づくことは無かった。
──────────
それからしばらく経った後。 何とか意識を取り戻したオルファンスを見てレオンとアニスは安堵しつつ話を再開、そして2人の提案は無事に承認される事となった。
話が終わると同時にモルドは念の為と言い、夜会にてユフィリアを断罪した貴族の子息及びシアン男爵令嬢に事情聴取をするべく執務室から出て行った。
そして暫くしてから執務室を後にしたレオンとユフィリアと言うと、アニスに率いられる形で離宮内をを歩いていた。
「全く……アニスのせいで一時はどうなるかと思ったが、何とか承認されて良かったよ」
「ごめんって言ってるじゃん、レオン」
「ごめんだけで済むんだったら陛下が意識を失って無いだろうが!」
「それはそうだけど〜」
「それより、お嬢様の方は大丈夫ですか?」
「……私は大丈夫です」
「お嬢様?」
「っ!? だ、大丈夫ですので安心してください!」
ユフィリアが一瞬素っ気ない声で返事を返してきた事に対しレオンは心配気な視線を向けると、ユフィリアは「ハッ!」とした様子で言葉を返した。
「本当でございますか? もしも無理をなさっているのであれば遠慮なさらず仰ってくださいね?」
「…それなら今度レオンにお願いしたい事があるので、その時に頼みますね」
レオンの言葉に少し逡巡した後に、ユフィリアはそう告げるのを見てレオンは頷きながら「かしこまりました」と答えるのだった。
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アニス率いられながら歩き続けること数分、新しくユフィリアの部屋にとなる場所への案内が終わると、アニスはレオンに顔を向けてくる。
「それじゃあユフィリア嬢は私に任せて、レオンはイリアに部屋まで案内して貰ってね!」
「了解した。 イリア、よろしく頼めるか?」
「お任せ下さい。 それでは、ついてきてください」
レオンはアニスのお世話をしているメイドのイリアに案内を頼むと、それを承諾したイリアはレオンを新しい部屋の前に連れて行くのだった。
残されたユフィリアはアニスと共に新しく自身の部屋となる場所へと入るのであった。
「それにしても、レオンも大変ご苦労していらっしゃる様ですね」
部屋に向かう途中、イリアから唐突にそう言われたレオンはどこか自嘲気味な笑みを浮かべながら口を開いた。
「そんな事は無いよ。それに……お嬢様が婚約破棄された事に少しだけ安心してるかな」
「安心…ですか?」
「ああ……今回の婚約破棄は国として見れば大問題だけど、俺個人としては、お嬢様が『王妃と言う生き物』に成らずに済んで良かったと感じてる」
実はレオンは心の底ではユフィリアとアルガルドが婚約関係になった事に対して少し不満を持っていた。
この国の未来を考えるのならユフィリアとアルガルドが婚約関係となるのは正しいのかも知れない。 だが、その為だけにユフィリアがユフィリアで無くなる可能性が高い事にレオンは懸念を持っていた。
「お嬢様は確かにあらゆる才能を持っているけど、それ以上に自分という存在が余りにも無いように感じるんだ。 まるで王妃と言う中身の無い生き物に成り果ててしまう気がして、正直に言うと我慢ならなかったんだ。 ……すまん、この話は聞かなかった事にしてくれ」
ユフィリアの従者として長い間仕えてきたレオンは、彼女をずっと傍で見守ってきたからこそ、彼女の未来を心から案じ続けていた。
だが、それを下手に言ってしまえば自身の恩人であるマゼンダ公爵家と国王陛下に迷惑を掛けると考えてきたが故に発言してこなかったが、それでも彼の言葉からはユフィリアの未来を憂う気持ちを感じ取ったイリアは、何も言わずに静かに頷くだけに留めることにするのだった。
──────────
イリアに部屋へと案内してもらったレオンは、部屋に入るとそのままベッドの上に倒れ込む様にして寝転がった。
「……この先の未来か」
レオンは小さな声でそう呟くと、静かに考え始める。
(今思うと、お嬢様の今後の事ばかり考えてきたからなのか知らないが、俺って自分の未来について全く考えずに過ごしていたな。 俺も少しは自分の未来の事を考えるべきなんだろうけど……)
今までは主人である少女を支える従者として生きてきたが、それ故にレオンは自分自身が望む将来のヴィジョンが見えなかった。
(……俺の未来か)
どれだけ志向を張り巡らせるも、レオンは答えを見つける事が出来なかった。
(でも…どんな事があろうと、俺はこの命に変えてお嬢様を守ると誓ったんだ。 それが俺の選んだ道だから…)
内心そう思いながら、レオンはそっと瞼を閉じると暫くして静かな寝息を立て始めるのだった。
次回もお楽しみに!
追記:レオンにとっての優先的に守ると決めてる人物
1:ユフィリア(自分の身を犠牲にしてでも守りたい人)
2:アニスフィア(誰よりも素敵な夢を抱いている事を尊敬している)
3:グランツ(自身の命の恩人故に)
4:国王陛下(この国の国王故に)
5:イリア(気の利いた友人だから)
6:アルガルド(放っておけないやんちゃ坊主)