令嬢の護衛、何故か美女達に迫られている件   作:究極の闇に焼かれた男

14 / 15
今回はレオンの鍛錬風景とアニスの恋についての話となります。


レオンの鍛錬/王女の恋情

 

 

 

あの婚約破棄騒動から少し経った。

 

ユフィリアはイリアを連れて、かつて自分の住んでいた場所へと荷物を取りに向かっていた。

 

レオンも共に向かおうとしたがユフィリアの口から「レオンはあの時頑張ってくださいましたから、少し休んでいてください」と言われてしまい、やる事も無く暇を持て余していたレオンは離宮の中庭にて1人で剣の鍛錬をしていた。

 

 

 

──────────

 

 

 

 

風が流れる音が耳に入る。

 

稀に鳥の囀りが聞こえてくるが、それもあまり気にならない程度の物である。

 

意識を集中させて剣を握る掌と腰に力を入れて強く踏み込みながら剣を振るう。

 

その一つ一つの動作と太刀筋は一目見て洗練されている事が分かると同時に、どこか美しくも荒々しさも感じさせるものだった。

 

だが、それが自然に思える程までにその剣舞は磨き抜かれていた。

 

そんな剣を無心で振り続けるレオンが踏み込みを強めながら剣を振るっているのを隠れて見ている人物が居た。

 

その人物、アニスフィア・ウィン・パレッティアはユフィリアに言われてやる事が無くなったらしいレオンを探して、「どうせなら魔学の研究を少し手伝って貰おう」と考えていたのだが、偶々立ち寄った中庭にてレオンを発見するも鍛錬を行っている事に気付き、邪魔しない為にその場を去ろうと考えたが、素振りを続けるレオンの姿を目にしたアニスフィアはその動きに目を奪われていた。

 

 

「綺麗……」

 

 

レオンの動きの一つ一つを目の当たりにしたアニスが真っ先に抱いた感情がそれだった。

 

そして、その光景を見ていたアニスは不意にレオンと初めて出会った日の出来事を思い出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

それは遡る事、12年前。

 

 

その日は良く晴れていて風向きも丁度良かった事も有り、アニスは魔学を用いて作り出した魔法箒を使っての飛行実験を行おうとしていた。

 

そんな時だった。

 

 

「──何をしようとしてるのか知らないけど、その箒の持ち手の部分少し壊れてるぞ?」

 

 

突然聞こえて来た男の声にアニスは肩をビクッさせながら、恐る恐ると言った様子で後ろに振り返ると、そこには見知らぬ1人の少年が立っていた。

 

 

「あなた……誰?」

 

「俺? 俺の名前はレオンだ。 グランツ公爵の命で暫くここら辺で待ってろと言われて、特にやる事が無くここに偶々立ち寄っただけのマゼンダ公爵家の使用人とでも言っておこう」

 

 

マゼンダ公爵家の名前を知っていたアニスは、少年の発言を聞いてとても驚いたことを今でも良く憶えている。

 

父である国王と古い友人であり、この国の実質的なナンバー2として知られるマゼンタ公爵家の使用人を名乗った少年、レオンをジッと見つめていた。

 

 

(…この人、ほかの男の人と違う)

 

 

そんな感想とともに、アニスが初めてレオンを目にした時に最初に感じたのは不思議と心が安らいだ事だった。

 

本来のアニスは男性への恐怖心で家族以外の男と居ると強い嫌悪感と吐き気を覚える程だったが、初対面にも関わらずレオンに対してだけは恐怖心を抱く事が無かったのだ。

 

 

「それで、君は誰で箒を手に何をしてるんだ?」

 

 

レオンの言葉にハッとなったアニスは、気を取り直すと自己紹介をし始めた。

 

 

「わたしの名前はアニスフィア、親しい人からはアニスって呼ばれてる」

 

「っ!? まさか第一王女であるアニスフィア様だったとは、知らなかったとはいえ無礼な口と態度をとってしまい申し訳ございません!!」

 

「わっ!? い、良いよ別に……むしろ王女様だからって変に気を遣われる方がわたし的にはしんどいだけだから」

 

「ですが……」

 

「だったらあなたに罰を与えます。 これからする魔学の実験を手伝ってくれたら許してあげる!」

 

「魔学?」

 

「あっ! そこから説明しないと駄目だよね♪」

 

 

思い出したかの様に言い出したアニスは魔学について説明して行く。

 

 

 

 

 

数分後…

 

 

 

 

「なるほど……魔法に科学の力を合わせた代物で、これさえ完成すれば誰でも魔法を行使する事が可能な上に、空を飛ぶ事も出来ると……」

 

「うん! だからこそ、わたしは魔学で作った箒で空を絶対に飛ぶのが夢なんだ!」

 

「魔法で空を飛ぶか……」

 

「……やっぱりおかしいかな?」

 

 

アニスは自身の夢である魔法で空を飛ぶ事を伝えるとレオンが考える素振り見せた事に対して不安になった。

 

この夢を聞いた殆どの貴族達が「魔法への冒涜」だの「くだらない」等と言ってきた事も有り、アニスは「もしかしたら彼も馬鹿にするのでは?」という不安が脳裏を過ぎった。

 

 

 

だが、それは気鬱に終わった。

 

 

「良いね……最高の夢だな!」

 

 

「え?」

 

「だって魔法で空を飛ぶ事ができるなんて、凄く浪漫があってワクワクするだろ。 それに空を飛ぶ事ができれば、一々馬車に乗って揺らされる必要も無くなるだろ。 それって、凄い画期的な発明だろ!」

 

 

他人に対して自分の夢を語ったにも関わらず、それを馬鹿にされなかったのは初めての経験だった。

 

その事実がアニスの心に微かな温もりを与えていた。

 

 

「アニス。 出来ることならそれについてもっと詳しく話を聞かせてくれると……っ!? アニス、大丈夫か!?」

 

「え?」

 

 

気が付くとアニスの瞳から熱い雫が流れていた。

 

その事に気付いたアニスは別に悲しかったり辛かった訳では無く、むしろ嬉しくて心が暖かい気持ちで溢れていた。

 

故にこの雫は嬉しさから来るものだと気付いたアニスは暫くの間それを流し続けた。

 

一方のレオンはアニスが涙を流し出したのを見て、かなりテンパりながら必死に宥めるのに苦労するのだった。

 

 

 

その日の出来事を境にアニスはレオンと会っては、その度にレオンを誘って魔学の実験を手伝って貰う様になっていた。

 

レオンと共に過ごして行く日々はアニスの心を満たし続け、そして気付いた時には自分がレオンに恋心を寄せていた事実に強い衝撃を覚えた。

 

自分は男性とだけは一生恋をしないとだろうと思っていたのに、そんな自分が1人の少年に恋をしている事実にアニスは顔が熱くなるのを感じた。

 

生まれて初めて抱いた想いに気が付いたアニスは、レオンがユフィリアの護衛となった後も決して変わる事は無かった。

 

 

 

 

 

 

──────────

 

 

 

 

 

 

そして現在、アニスはレオンの鍛錬風景を見ながらレオンと初めて出会った日の出来事を思い出し頬を赤らめていた。

 

 

(ああ……私って本当に、レオンの事が好きなんだ///)

 

 

その事を再確認したアニスは、心臓が高鳴るのを感じながら素振りを続けるレオンの後ろ姿を見続けていた。

 

そしてレオンが鍛錬を終えると同時に、アニスは話し掛けるべくレオンの元へと駆けて行くのだった。

 

 




アニスの過去話を作ってみましたが如何だったでしょうか?

次回はアニメで言う所の第二話辺りの話を投稿しようと思います。
コメントがございましたら、是非お願いします!
(モチベーションの向上に繋がります)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。