狩人が異世界なろうする話   作:Leiren

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 組合のボスを気絶させた。此処の出口は教えて貰ったが、突然殴ってきたから咄嗟に反撃してしまい、出口のこと以外は何も聞けなかった。

 さて、ボスの気絶は良いとして、その取り巻きに四方を囲まれてしまった。退路は無い。

 

「テメェ! よくもボスを!」

 

「全く見損なったわ……そんなに短期だなんて」

 

「おいおい、4人も敵に回すったぁ度胸あるじゃねえか」

 

「ボスの敵、コロス」

 

 4人とも個性のある取り巻きだ。あぁ、どうやら此処から逃げるには全員殺す他には無いようだ。

 過去には3人の強者を同時に相手したことがある。どうせそこに1人追加されただけだ。なにも難しいことはない。

 気分でこの組合に囚われている人間を解放するのも悪くないだろう。ならば、真っ先にやることはボスを殺すことだ。

 

 俺は片手にノコギリ鉈を待てば、変形させ、勢いよくボスの脳天に向かって振り下ろす。長身の鉈は気持ちよくボスの頭をかち割り、手前に引けば大量の血と味噌をぶち撒ける。

 

 また血の遺志を獲得する。全く、どいつもこいつも弱者ばかり。

 かつての化け物以下の血の量だ。ボスの記憶が頭の中に流入する。またしても断片的ではあるが、今の組合が完成するまでの部下との出会いが高速に過ぎっていった。

 そして継承する。血の遺志は俺の記憶にある獣狩りの短銃を現像した。

 

 弾は主に水銀弾を使い、それに自らの血を混ぜることで獣に対して威力を高めていた。俺が最初から最後まで愛用していた短銃だ。もう弾は全弾装填されているようだ。ならば。

 

「ウオオオオ! 良くもボスオオオォ!」

 

 恐らくボスの右腕だった男か。妙に言葉がカタコトで、まるで機械人間を模しているような男だ。俺がボスと話している間は至って冷静で、常にこちらを睨みつけてはいたが……、ボスが死んだ今はもう冷静ではいられないようだ。

 まるで鋼のように鍛えられていそうな、割れた腹筋と盛り上がった胸板を圧として放たれたる、大きく振りかぶる薙ぎ払い攻撃。

 

 しかしあまりにも大きな隙はこの短銃の前では最早餌食にしかならない。

 俺は即座に、最も力が入る腕を振り下ろすタイミングで短銃を撃つ。

 

「ウガアアアッッ……アァ?」

 

 一撃で勢いを殺す。男も何が起きたのかわからない唖然とした表情で、膝から姿勢を崩す。そこに俺は男の頭に手を伸ばす。

 しかしそこで……。

 

「させるかああああっ!」

 

 俺の右手首は横から入ってきた少年に深く切られた。完全に切断とまでは行かずとも、ヒビが入るほどに肉だけは断たれた。筋肉が断たれたことでだらりと俺の手首が下に下がるが……こんなものどおってことはない。もう慣れてしまった。

 

「うおおぉ!」

 

 そこから空かさず二本の短剣による連続攻撃、俺はこれをわざと受けながら同時にノコギリ鉈をカウンターで振るい、どうせ避けられようもないので何度も少年の体を切り付ける。

 

「あああああっ! 痛ってえええッ! どうして……お前は動けるんだ……手首は斬った筈なのに……」

 

 少年から飛び散る血飛沫によって手首は急速に回復する。多少の傷など相手の血を持ってすればすぐに良くなる。突然の不意打ちで自分の血を失わないようにすることにお世話になった方法だ。

 

「甘い。次はしっかり切り落とすんだな」

 

「ち、畜生……っ!? ま、まてッ!」

 

 全身をズタズタに切り裂かれた少年は激痛により満身創痍。もうこれ以上先ほどのような激しい動きは出来ないでいた。

 だから殺す。変形させた鉈によって簡単に少年の首を落とした。

 

「敵を弱らせるなど、意味はない。殺るなら全力でやるべきだ」

 

「ケイトオオオオォォ!! ウガアアア!」

 

「あぁ、そういえばお前はまだ生きていたな」

 

 またしても筋肉男は叫びながら大きな攻撃を。何故こうも巨大な敵は隙を見せるのだろうか。どうせ同じことになることはわかっているはずなのに。

 俺はまた短銃を放ち、体勢を崩した筋肉男に対して、腹を手刀で抉ってから、臓物を外へぶち撒ける。

 

「クソクソクソォ! ローズ! なんてもん連れて来たんだぁ! このままじゃ全員殺される!!」

 

「知らないわよ!! 先に手を出したのボスでしょう!?」

 

 あぁ、耳障りだ。残るは二人、どうやら戦意はすでに喪失しているように見えるが……ならば好都合だ。何も考えずに殺せる。

 

「来るなぁああ化け物おおおぉ!」

 

 次は修道服を着た若い男、正面に両手を開いて俺に向かってかざすと、青白い光が急速に手の中に集まり、弾丸として発射された。しかしどれだけ混乱しているのか、避ける必要すら無かった。

 だが神秘持ちか。ならば早急に殺さなくてはない。神秘に長ける力は、いつになっても凶悪だった記憶しかない。相手が本気になる前に殺そう。

 

「やめろやめろやめろおおおぉ! うわああああ!」

 

 青年はがむしゃらになんども神秘の弾丸を発射する。しかし一発さえも軌道はブレまくり、俺に当たることはなかった。

 

「ひいいいいいっ! ぎゃっ」

 

 もう頭を抱えて蹲るので、その頭を鉈でボスと同じようにかち割ってやった。彼らが結局此処で何を目的に活動していたのかは分からずじまいだったが……、このように殺されることは想定していなかったのだろうか。

 ここまで死に対して怯える者の姿をみるのは……初だ。

 

 さてあと残るはローズと呼ばれていた女だが……すでにその姿は無かった。逃げたか?

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