魔国連邦の殉星   作:塩焼きそば啜郎

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殉星の転生者の巻

時は世紀末。荒れ果てた荒野が広がるこの世界に、一つの街があった。その名は「サザンクロス」。

そしてその中央にそびえ立つ城の最上階に、二人の男がいた。一人は胸に七つの傷を持つ男。もう一人は金髪で、純白のスーツを着ていた。しかし、そのスーツには十字型に拳の跡が付いており、男が吐いた血で汚れていた。

男はよろよろと立ち上がり、眼下に広がるサザンクロスの街を見下ろす。

 

「この街……ユリアの為に築いたサザンクロスがあいつの墓標になってしまった……見ろ!ユリアの墓標だ!しかし、こんな街も富も名声も権力も……虚しいだけだった」

 

男は、空を見上げて叫ぶ。

 

「俺が欲しかったものはたった一つ、ユリアだ!!」

 

それと同時に、スーツに付いた十字から血が噴き出した。それを見て、男は悟ったような笑みを浮かべる。

 

「……どうやら、ここまでのようだな。だがな、俺はお前の拳では死なん!……さらばだ!!」

「シン!!」

 

男……シンは、自らの居城から身を投げた。全身を風が吹き抜ける中、シンには自分の体が徐々に破壊されていくのがはっきりと分かった。

 

「ユリア……せめて、一度でも……一度でもいい、お前が微笑む姿が見たかった……もう一度、お前に会えたなら……」

 

誰にも聞こえない筈の、最後の願い。風に紛れて消える筈だったその願いは、奇跡を起こし、世界の向こう側へと届く事になる。

 

「ケンシロウ……ユリアを、頼んだぞ……」

 

眼前に迫る荒野。それが、シンが最期に見た光景だった。

 

 

 

◇ ◇ ◇ ◇

 

 

 

そして、次に目を覚ましたのは深い森の中。

 

「……」

 

シンはゆっくりと立ち上がり、辺りを見る。木々の間から日の光が差す、静かな空間が広がっていた。

次に自身の体を見てみる。ケンシロウに付けられた十字の傷も、拳で突き破られた左手も何事も無かったのように元に戻っていた。痛みも全く無い。

 

「……俺は……」

 

これが夢では無い事など、とっくに理解していた。しかし、それでも彼は戸惑いを隠せなかった。

仮にここが死後の世界だとしても、自分のような者がここに来れる訳が無いと思っていた。

 

「本物だ……」

 

試しにそばに流れていた小川の水を掬い、飲んでみる。勿論、紛れもなく水だった。

 

「おかしい……あの荒廃した世界に、こんな場所があるはずは無い……」

 

考えれば考える程、謎は深まっていく。ここが一体どこなのかを知る。それを目的に、シンは歩き始めた。

 

 

 

 

やはりここはあの世界では無い。それが、しばらく歩き続けたシンが出した結論だった。

こんなに豊かな自然が残っている訳もなく、何より空気が澄んでいる。核によって汚染されきったあの空気とは違う、本来の爽やかさがあった。

 

「む……」

 

やがて、視界の奥に石畳で整備された道を見つけた。近くの草陰に隠れ左右を見ると、往来する人々が見える。服装は様々だが、やはりというかあの世界よりは豪華な服を着ていた。

 

「あれは……武器か」

 

全てでは無いが、何人かは剣や斧を所持していた。その見た目は、どこか中世のような印象をシンに与える。

 

「もう少し様子を伺う必要があるな」

 

シンにはここがあの世界では無いという確証があったが、それでも油断はしていなかった。あのようにあからさまに武器を所持しているという事は、それだけ危険性が高い世界という事。そう思い、他の所も調べようと道から離れた。

 

「……!」

 

少し離れた所で、シンは突然背後に振り向いた。

 

「気配は消したつもりだがな」

 

後ろに立っていたのは、青黒い髪に、褐色肌の青年。だが、その額には白い一本角が生えている。

シンは素早く構えをとった。

 

「何者だ」

「それはこちらの台詞だ。何が目的で偵察をしていた?」

「偵察だと?ここに来たくて来た訳では無いわ!」

「……」

 

しばらく黙り込む青年。

 

(どうする……こいつが攻めてくるというのなら戦うしかあるまい。悔しいが、こいつからは逃げれる気がせん……)

「これから、貴様をリムル様の元に連行する。怪我をしたく無いのなら大人しくしておけ」

「……連行して何をするつもりだ」

「答える必要は無い」

 

そう言い、シンの視界から青年が消える。次の瞬間には、青年は眼前へと迫って来ていた。

 

「なっ!」

 

シンは反射的に突きを繰り出す。だが気付いた時には、両足を何かに縛られていた。

 

「は、速い!」

「人間にしては中々の速さだな。まぁいい、後は連れて行くだけ……」

「舐めるなぁ!」

「!」

 

シンは、足を縛り付ける糸を切断した。これには青年も少々驚いた顔を見せる。

 

「六聖拳の伝承者がこんな無様な敗北を晒すなど、この俺の誇りが許さん!南斗迫破斬(なんとはくはざん)!!」

 

素早く接近してからの一撃。渾身の力で振り上げられた斬撃は、あえなくかわされた。代わりに青年の後ろにあった大木の幹が切断される。

 

「素手で大木を切り裂くか。だが、遅い」

「な……馬鹿な!」

 

シンの首に手刀が打ち込まれる。その一撃で、彼の意識は深い闇の中へと落ちて行った。

 

「俺の粘鋼糸を破るとは、人間も案外面白いものだ」

 

一人呟き、意識を失い力無く横たわるシンを抱え、青年はその姿を消した。




転スラの知識は浅いけど頑張って書くんで許して下さい
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