ソウエイから思念での連絡があったのは、ついさっきの事だった。
(リムル様、少し宜しいでしょうか)
(どうした?)
(街道付近で怪しい男を発見、現在対峙しています。リムル様の元に連れ、尋問しますか?)
(どこの国の奴か分かるか?)
(それが、どこの国の者とも違う雰囲気でして)
(……うーん、とりあえず連れて来てくれ。あんまり怪我はさせるなよ?)
(御意!)
そこで、ソウエイからの連絡は終わった。あいつなら負ける事は無いだろう、多分。帰って来るまで暇だったので、シオンに抱きしめられながら休憩を始めた瞬間……
「リムル様、只今戻りました」
「お、おう……」
帰って来た。俺が休憩出来た時間、僅か二分。
《告。正確には、一分四十五秒です》
そんな事は言わなくて宜しい。……っと、今はソウエイが確保した男が先だな。俺は擬態により人間態になり、男が気絶しているという部屋に向かった。
「あいつです」
部屋にはベッドがあるのに、男は糸で体をグルグル巻きにされて壁にもたれて座らされていた。
「うーん、この扱いでいいのか悪いのか……」
着ている白いスーツは装飾こそ少ないが、どこか気品を感じさせる物だった。金髪ロングも相まって結構な美男子って感じだ。ただ、その、なんというかその……結構「濃い」。何がとは言わないが彫りが深そうだ。具体的に表現するなら……作画が違う、的な?
俺が色々思案していると、男が薄っすらと目を開けてこっちを見ていた。
「……」
「あ、起きた?」
男は部屋を見回し、ソウエイと目があった。
「この方が我らの主、リムル=テンペスト様だ」
「この世界に来てからいきなり捕らえられるとは……六聖拳の名折れだな」
「この世界に来てって……お前も!?」
オイオイいきなり衝撃の事実が明らかになったよ。にしてもこいつは前世でもこんな格好してたって事か……?
「とりあえず、この糸を取れ。こんなに全身に巻かれては切れる物も切れんわ」
「安心しろ、その糸は以前よりも硬く作っている。人間に切れる物では無い」
「切ったの!?」
「はい。手刀で切られました」
「君……人間?」
「人間に決まっておろうが!!」
ソウエイの粘鋼糸を切るとなると、相当切れ味が良い物を使うしか無いと思っていたけど……どうやら本当に人間だし、手刀で切ったらしい。
「ま、とりあえず開放しとくか」
俺はソウエイの粘鋼糸を切る。自由になった男は立ち上がり、粘鋼糸を片手で持って宙に浮かせた。
「フンッ!」
もう片方の手で、粘鋼糸に突きを入れる。だが、粘鋼糸は切れていなかった。
「切れんか……」
「言っただろう。人間には切れんと」
「えーと、まずは名前を教えて貰ってもいいかな?」
「そうだったな。俺はシン」
「シンか。改めて、俺はリムル=テンペストだ」
シンが立ち上がる。デカいな。多分180は越えてる。体格もしっかりしてるし、前世では格闘家か何かやってたんだろう。
「さて、シン。お前さっき『この世界に来て』って言ったよな。何か声が聞こえなかったか?」
「声?知らんな」
「そうか……」
「おい」
ここで突然、俺に付いてきたシオンが声を上げた。何だか声が尖ってるような……
《解。間違い無く尖った声色です》
うん、分かりきった事だよね。
「お前、さっきからリムル様に向かってその口の聞き方はなんだ?」
「……お前達にとっては主かもしれんが、俺にとっては赤の他人。お前に態度をどうこう言われる筋合いは無い」
「ほう……」
「待て、シオン。確かにシンの言ってる事も一理ある。別に俺は気にして無いからな?」
シオンもシオンだがシンもシンだ!この男、恐れと遠慮が全く無い!
《解。二人で話した場合、問題が起こる確率は九十%程減少します》
ですよね。俺は智慧之王さんに従い、シオンとソウエイを部屋から退出させた。
◇ ◇ ◇ ◇
……動けん。俺はあの男に意識を狩られ、今目を覚ました。全身に糸が巻き付いているのが分かる。
薄っすらと目を開けると、目の前で俺を見ているのは水色髪の金色の瞳を持つ……少年?もしくは少女。中性的な見た目で紛らわしい。
「……」
「あ、起きた?」
とりあえず周りを見る。すると、俺を倒した男が奥にいた。隣には同じく角を生やした女もいる。
「この方が我らの主、リムル=テンペスト様だ」
そうか、こいつが……どう見ても奴より年下にしか見えんな。試しに力を入れて糸を切断しようとするが、ビクともしなかった。
「この世界に来ていきなり捕らえられるとは……六聖拳の名折れだな」
「この世界に来てって……お前も!?」
自虐を込めて呟いたが、何故か反応してきた。その後糸を切断するよう頼むと、何故か人間かどうかを疑って来た。
「人間に決まっておろうが!!」
どの世界にも失礼な奴もいるものだ。糸を切って貰い、立ち上がる。
(本当に小さいな……)
こちらが見下される形だったから分からなかったが、このリムルとかいう者、まぁ小さい。子供とより少し大きい程度だろう。
その後、角女に絡まれたので、リムルが二人で話そうと提案をしてきた。勿論、俺はそれに乗った。