ありふれない原神は世界最強   作:クラウディ

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推しのガチャが控えてるのに忍の凸をしたくて50連溶かした阿呆は私です()





序章:第1話 新しい世界

「う、ぅん……すぅ……」

「ふふふっ、かわいい寝顔ね。まるで丸くなって眠っている子熊みたいだわ」

 

気絶してしまったフリーナを横にして寝かせた後は、各々が自由にくつろぎ始める。

そんな中で可愛らしい寝顔を浮かべるフリーナの頭を撫でながら、ナヒーダは微笑みを浮かべてそう言った。

その声色は慈愛に満ち溢れており、彼女の外見にそぐわぬ雰囲気を纏っていた。

 

そんな二人の様子を見ていた女性――"雷電影"は、ナヒーダの傍に近寄り、彼女に声をかける。

 

「ナヒーダさん、でよろしいですかね?」

「ええ。あなたは影さんと呼んでいいかしら?」

「はい。……それにしても不思議ですね……『前の私』とは明らかに違う名前なのに、自分でも違和感なく受け入れてしまうとは……」

「そうなのかしら?」

「はい、()()()。……ですが、特にこれといった不便はなさそうなので気にすることではないですね」

 

影の疑問も尤もだ。

普通、いつもと違う名前で呼ばれることには必ずと言っていいほど違和感があるはずだ。

 

だが、彼らは不可思議な存在によって『転生』させられるという特殊な経験がある。

更には『以前の自分』の名前を言おうとしても、まるで変換機に通されたかのように、『今』の名前が自身の口から出てくる。

それを変だと思わない自分に、何とも不思議な感覚がするのであった。

だが、生活をするうえであまり不便なことは起きなさそうだと考えた影は、冷静に処理する。

 

そんな影の様子を見ながら、ナヒーダは少し寂しそうに口を開く。

 

「影さんはあまり驚いていないのね? ……少し、不思議だわ」

「そうですね……あの存在がこのような神がかったことをしてまで、私達に何をさせたがっているのはよくわかりませんが、私のやるべきことは変わりません」

「やるべきこと?」

「はい」

 

ナヒーダの疑問に毅然とした態度で影は答えた。

 

「『私は人として、守りたいと思う人達を守りたい』。それが、私のやるべきことです」

「……すごいわ。でも、それはとても難しいことなのかもしれないわ……もしかしたら、その手から取りこぼしてしまう人もいるのかもしれない……」

「ええ。ですが私は誰一人として取りこぼしたくはありません。……あの日を繰り返さないためにも」

「……ごめんなさい。(わたくし)、もしかしたら辛いことを聞いてしまったかもしれないわ……」

「……あ、だ、大丈夫ですっ、心配しないでくださいナヒーダさん……! 私が勝手に言ったことですからっ……!」

 

強い意志を見せたもののどこか後悔の念を抱えている影の姿に、思わず地雷を踏んでしまったのかとナヒーダは謝罪する。

落ち込んだ彼女の姿に、慌てながら宥めようとする影は、先程までの姿とは似ても似つかないほど普通だった。

 

そんな風に慌てる影の姿を見たナヒーダは、ぽつりぽつりと言葉を紡いでいく。

 

「……ごめんなさい、(わたくし)、こういったことが()()()()()()()()なの……」

「えっ、なにもかも……とは?」

「……『前の(わたくし)』は、少し変わった体質を持っていたの……そのせいなのかしらね、周りの皆からは『神様』と呼ばれていたわ」

「……続けてください……」

「ありがとう……でも、その代わりなのかしら、いつも寝たきりだったの。太陽の光を浴びることもできなくて、何も見ることができなくて、美味しいものを食べることもできない……」

「……すみません……」

「いいえ、大丈夫よ影さん。今はとっても幸せなの。こうしてあなたと話すことができて、誰かと触れ合えることができて、世界が不思議でいっぱいなの。だから気にしないで?」

「……ありがとう、ございます……」

「ふふっ、これでお互い様ね?」

 

先程とは逆の立場になったものの、互いに少しでも話すことができてうれしいと、影の頭をなでながらナヒーダは微笑んだ。

そんな時、三人のいる部屋から外に出るための扉が開かれ、ウェンティと長身の男性――"鍾離"が入ってくる。

 

「ただいま~」

「そちらは問題なかったか?」

「おかえりなさい二人とも。(わたくし)達は少しお話をしていたの。これがガールズトークというものかしら?」

「ちょ、ちょっとナヒーダさん……」

「うふふっ」

「はっははは、同じ女性にフリーナ殿を任せた方が良いと思ったが、仲が深まっているようで何よりだ」

「やっぱり、これから協力していく上では仲がいい方が良いもんね~」

 

少し恥ずかしそうにする影と、微笑んでいるナヒーダの様子を見て、鍾離とウェンティはフリーナの見守り役を二人に任せておいてよかったと笑いながら言った。

そんなことを言いつつも、鍾離は卓袱台の前に座り、話を切り出していく。

 

「自己紹介をし終わって早速だが、これからの方針を決めていこうと思う」

「僕と爺さんは……あ、爺さんは鍾離のことね。話を戻すけど、さっきまで色々と情報を集めてたんだ~」

「それで、どういったことが分かったのかしら?」

「ふっふっふ……それがね~……」

「「???」」

 

ウェンティの意味深な笑い方に首を傾げるナヒーダと影。

そして満面の笑みでウェンティは口を開いた。

 

「なーんにも分からなかった♪」

「…………」

「あらそうなの?」

「はぁ……冗談はやめておけウェンティ」

「あっははは、冗談が通じないんだからも~ちゃんとわかったことがあるって~」

 

流石に悪ノリが過ぎたと軽い謝罪をしながらウェンティは本題を話しだした。

 

「まず、僕達は転生させられた。これが皆共通なのはさっき確認したとおりだね」

「はい。あの"正体不明の存在"によって今の体を与えられ、目が覚めたときにはここにいたというのも理解しています」

「影殿の言う通り、なぜかこの場にいる全員が同じ存在に出会って転生させられた……それも()()()()()

「理解しているわ。そして、彼に()()()()()()()()()()()()()()と頼まれているのも同じだったわよね?」

 

彼らの間でよどみなく会話が進んでいく。

何故ここまでスムーズに会話できているのかについては、フリーナが気絶した後に続いていた自己紹介で確認していたからだ。

そうして分かったのは、全員が『同じ状況』で『同じ相手』に『同じこと』を頼まれていたからである。

 

「運命を変えるなんて、特に強制されたわけではないけど、頼まれたならやっておきたいよね~」

「あぁ、助けられた相手に頼まれ、そして了承したからには、俺は約束を果たすつもりだ」

「それが『守るべき対象』なら私もやらなければなりません」

(わたくし)も賛成よ。(わたくし)自身は微力かもしれないけれど精一杯頑張るわ!」

 

そして、その件に関してはほぼ全員が賛成の意を示した。

ならばその目標を達成するために行動すればいいのだが……。

 

「そして、これが困っちゃったところ。僕達は具体的に『()()()()()()()()()()()()()()()()』これが分からないんだよね……」

「それに関しては……その存在曰く、フリーナ殿が一番詳しく知っているとのことだが……」

「あの人はどうして皆に言わなかったのかしら? もしかして、急いでいたのかしら?」

「……今考えてもどうしようもないことですね……フリーナさんが起きるまで待っていましょうか」

「分かったよ~」

「そうだな」

「ええ」

 

議論を開始したものの、結局のところは目標自体が分からないということで、一番詳しく事情を知っているであろうフリーナが起きるまで待つことにしたようである。

 

「あぁ、だが、その間に買い出しに行くとしよう。必要最低限の家電はあるようだが、食材がない」

「僕も行くよ~お酒買いたいんだ~」

(わたくし)も行きたいわ!」

「あ、それなら私はフリーナさんが起きるのを待っておきますね」

 

そうして、フリーナが気絶している間にも彼らは行動を開始したのであった。







※人物紹介※

・雷電影
しっかり者のお姉さんのようだが何やら重い過去を背負っているそうな。
今のところの目標は知り合った四人を守ることにしている。
「あれ、そういえば料理って誰が作るのでしょうか?」

・ナヒーダ
『前』の時には特殊な体質を持っている代わりに体がとても不自由で、いろんなことを知っているのに体験したことがないという過去を持っている。
見た目にそぐわず精神的に大人びているように見えるが、何もかもが初めて尽くしでいろんなものに目を輝かせている。
「ねぇ鍾離! これは何というものなのかしら!?」

・鍾離
早くも皆のまとめ役が板についてきた精神的には最高齢のお爺ちゃん。
あまりにも順応が早すぎるのは『前』の自分の経験からだそうな。
「あぁこれはだな……」

・ウェンティ
悪ノリはするもののなんだかんだ言ってちゃんと状況を見ている。
どうしてこんな人物が転生したのか……まだ分からない。
ちなみに酒は買えなかったらしい。
「えぇ!? お酒買っちゃいけない!? いやいや僕は子供じゃなくて!」

・フリーナ
今回の話でずっと気絶してた人
多分次回からはちゃんと出番あるから……。
「うぅん……」


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