背伸びした奴が本物に分からされる話   作:パレード

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次回のつなぎ


2人揃ってバトルしても楽しくなさそうな顔してるよ

 

 ガンガンガンガン。

 

 ドアが激しくノックされる音で、目を覚ます。

 

「……だれだ」

 

 起き上がるとまず時計を見る。

 

 時刻は………11:00だと!?土曜日だからって寝過ぎたか。

 

 腹が減っているがそれはいったん無視して少しだけ身だしなみを整えた後、玄関の扉を開ける。

 

「遅いわよ!あたしが来たら10秒で出るのよ!」

 

 訪問者はゼイユか………。

 

 ノックの乱暴さからまさか女の子だとは思ってなかったけど、別に意外では無いな。ゼイユだし。

 

「……もしかしてあんた、今起きたの!?もう昼よ!」

「あー……昨日寝るの遅くなってさ」

「はぁ〜!?ちゃんと寝ないと身長伸びないわよ?」

 

 180超えが言うと説得力が違うな……

 

「………で、さ。なんの用?」

「用も何も、あんたが今日会う約束してたって子がいるから探してたの!何処にもいないと思ったら部屋で寝てたなんて……」

「今日会う約束?」

 

 はて……そんな約束誰かとしてたっけな。

 

 寝起きだから思い出せないだけかもしれないが、記憶に無い。

 

「あんたねぇ………あんな強い友達がいるんなら先に言っときなさいよ!!次同じ事起きたら噛み付くわよ!」

「負けたのか」

「ゆ・だ・ん。してたからね!本気でやったら負けないわよ!」

「うんそうだね。で、俺に会いに来たって奴は今どこに?」

 

 ゼイユに勝てるって事は結構強いトレーナー。それでいて俺の友達………

 

 ネルケは……ゼイユが子って呼んでたし流石に違うか。うーん分からん。

 

 身に覚えが無い以上、ソイツに会ってみないと始まらないな。

 

「あんたを探しに行くから待っとけって言っといたから。エントランスにいるハズよ」

「じゃあ行くか」

「待たせてるんだから、10秒で準備しなさい!」

「よし!5分待っててくれ」

 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

 

「なんか……凄い人集りだな」

「もー!なんなのよ!さっきまでこんなに人いなかったのに!」

 

 エントランスに行くとそこには尋常ではない数の生徒が集まっていた。

 

「これ、まだいるかな?別の場所に避難してるんじゃ……」

「このあたしが待ってろって言ったんだからそんな訳ないでしょ?二手して探すわよ!!」

「あ………」

 

 ゼイユが人集りの中に飛び込んでいく。

 

 せめて対象の特徴を教えてから行ってほしかったな。

 

 さて。こんな所で突っ立ってるのをゼイユに見られたらメンドーな事になるので探すだけ探してみるか。

 

「とりあえず制服着てない奴を探しますか……」

 

 外部から来た人間なら当然ここの制服は着てないハズ。

 

 ザッと確認しながら人混みの中心へと進んで行く。

 

 しかしコレがマジで見つからない。こんな真っ白な制服なんだから1つだけ違う色が混ざってたら余裕で見つかると思ってたけど…………。

 

「いや、本当に人多いな。なんでこんな集まってんだ?」

 

 場所的にバトルの観戦目的なのは分かるがこんなに人が集まるって誰がバトルしてるんだ?

 

 可能性があるのはリーグ部のチャンピオン戦だけど、それはもう昨日やってるハズだ。

 

 いったい誰と誰がバトルを?

 

 背伸びして確認してみる。

 

「アカマツと…………見えねぇ!」

 

 片方がアカマツだって事は分かったが、その相手がちょうど真反対にいて見えない。

 

 だがそのトレーナーが使ってるポケモンは確認出来た。

 

 コバルオンと、エンブオーか!いいよね、エンブオー。

 

 そんなハイセンスなトレーナーの顔を拝むため人を掻き分けて前に進む。

 

 そして最前列までやってきた俺が見たのは、まっすぐコッチに突っ込んでくるバシャーモの姿だった。

 

「え…………ぎゃ!?」

 

 何の抵抗もできずそのまま激突して、下敷きになる。

 

「わー!ごめんシオン先輩!大丈夫?」

「なんとかな……」

 

 ぶっ飛ばされる方向なんて自分で決められないしな。仕方ない。

 

「お前は大丈夫か?バシャーモ」

「シャ……」

「戻れバシャーモ」

 

 バシャーモが赤い光に包まれアカマツのクイックボールに戻ってゆく。

 

「いやー負けた!やっぱりチャンピオンは強い!敵わなかった!」

「チャンピオン……スグリか?」

「ん?」

「え、違うのか」

「違う!」

 

 だったら誰なんだ。

 

 と思っていると横から誰かが俺に手を差し伸べた。そういや転んだまんまだったな。

 

 有難く手を借りて立ち上がらせてもらった。

 

「ありがとうトウコ……………なんでここに居る?」

「……………!」

 

 自然に手を差し伸べてきたのでスルーしそうになったが、なんでここにいるんだ。

 

「いや、確かにバトルの約束したし場所も教えたけど……!」

 

 まさか昨日の今日で来るとは思わないじゃん。

 

 飛行機じゃこんな短期間で来れないよな?どうやって来たんだよ……。

 

「……………」

「あぁいや!来てくれたのは嬉しいんだ。早いなーって思っただけ。そんな話よりバトルだろ?」

 

 コチラを睨むトウコにバトルをチラつかせ挽回を図る。

 

 バトル好きのトウコなら無条件で釣れる。なんて考えていたがどうにも反応が著しくない。

 

「…………」

「あ、おい」

 

 それ所か俺とバトルをせずに帰ると言い出した。

 

「バトルしに来たんじゃなかったのかよ?」

「………僕はね、ライバルとは最高のバトルをしたいんだ。今のシオンとは多分出来ないから」

「……そうか」

 

 そう言われてしまったら何も言い返せなかった。

 

 今の状態でバトルしても、多分俺は最高に楽しむ事は出来ない。

 

「………………」

「あぁ、また」

「…………ゼクロム」

「バーバリバィーッシュ!!!」

 

 ボールの中から現れたのは電気を帯びる巨大なポケモン。

 

 トウコが背中に乗るとソイツは飛び上がりあっという間に海の向こうまで飛び去った。

 

 周りの生徒達はその光景を見て唖然としている。

 

 当然だ。伝説のポケモンなんて普通に生きてればお目にかかれない。ソレをこんな間近で見たのだ。

 

 かく言う俺もあんなに巨大な伝説ポケモンを見るのはコレで2度目だ。

 

 バトルがしたい。久々にそう思わせてくれる位に厳かなポケモンだった。

 

「シオン!あの子見つかった!?」

「うん。見つかったよ」

「ホントに!?どこ?どこにいんの!?」

「帰った」

「はぁ!?」

 

 人が混んでるから〜!と地団駄を踏むゼイユ。

 

 そりゃ元チャンピオンだしな。とは言わない。言ったら「なんで最初に言わないのよ!!」ってなるのが目に見えてるから。

 

「あれ、スグリじゃん!」

 

 アカマツが声を上げる。

 

 俺とゼイユが釣られて顔を上げると確かにそこにはスグリがいた。

 

「珍しいじゃない。あんたがコッチまで来るなんて」

「別に、チャンピオンがいるって聞いたから相手してもらおうってだけ」

「何言ってんの?チャンピオンはあんたでしょ」

「え?ゼイユ先輩真っ先に勝負してたじゃん。知らなかったの?」

「は?………まさかあの女!?」

 

 あぁ、アカマツ余計な事を……!

 

「聞いてないんだけど!!」

「こうなるから言わなかったんだ!アカマツ!」

「えぇー!なんかごめん!!」

「……へへ」

「「……!」」

「お。スグリが笑ってるところ、なんか久しぶりに見た気がする!」

「…………、それでチャンピオンはどこいるんだ?」

「惜しかったね。ついさっき帰っちゃったよ!」

「そっか」

 

 目当ての人物がいないと分かるとスグリは無言で翻る。

 

「スグリ、また徹夜で特訓とかしてないだろうな?」

「………ポケモンはちゃんと休ませてる」

「ポケモン"は"?」

「寝た方がいいってのは分かってる。でも俺にはこのやり方が一番なんだ」

「あ!今度またバトルしようよスグリ!」

 

 ただ否定するだけじゃ駄目ってのは良く分かってる。

 

 俺が今するべきなのは代案を出すことだ。なのにそれが出来ない自分の未熟さに腹が立つ。

 

「あんたたち、ありがとね」

「………なにが」

「スグのこと気にかけてくれるヤツ、もうアンタら位しかいないから」

「でも、アイツが悩んでるのに何もしてやれてない」

「相手の問題全部解決しようなんて、そんなの友達じゃなくて奴隷よ。一緒に居てくれるだけでスグには十分だから」

 

 ハッとした。

 

 確かにそうだよな。こんな事初めてだったから混乱してたけど、それで俺まで参ってちゃ何もなんないよな。

 

 スグリの事元に戻そうと躍起になるより、どんなアイツだろうとまずは受け入れなきゃ友達じゃないだろ。

 

「ありがとうゼイユ。だいぶ、いやめっちゃ元気出たよ」

「……なによ急に」

「とにかくスグリの事は任せとけよ!友達だからな」

「オレも!みんなが言う程話しにくい相手じゃないし!」

「ふーん………ありがと……」

 

 ゼイユがコッチから顔を背ける。

 

「それじゃ、あたし用事あるから。またね!」

 

 そう言って寮の方へ走っていく。

 

「行っちゃった……ねぇシオン先輩!オレとバトルしない?」

「今からか?」

「うん!!」

「でも、ポケモン回復してないだろ」

「あ!すぐやってくる!」

 

 こうしてエントランスには俺だけが残った。

 

 思えば、ここに来るのは入学して以来だ。

 

 懐かしいな。この潮風。

 

「………あれ、校長?」

 

 潮風を堪能してるとエントランスにやって来た校長の姿を目撃した。

 

 キョロキョロして誰かを探してるみたいだが……

 

「あ!シオンくん!」

「え、俺を探してたんですか?」

「おー、僕が人を探してるってよく分かったねー」

 

 そりゃあんなキョロキョロしてたら誰だって気付きますよ。

 

「でも、僕が探してるのはゼイユちゃんなんだよね」

「ゼイユならさっきまでここにいましたよ。寮に戻っちゃいましたけど」

「すれ違っちゃったかー。うーん……あ!じゃあシオンくんが代わりに言っといてよ。それじゃお願いね」

「いやいや、内容を俺に言わないと、何伝えればいいのか分かんないですよ」

「おーそっか。あのねー、ゼイユちゃんが推薦してくれた子、交換留学生に選んどいたよー。って。名前は……確か……」

 

 交換留学生…………確かグレープアカデミーと交換留学するって先生が言ってたけどソレか。

 

 それをゼイユが推薦したって、グレープアカデミーに知り合いがいたのか?

 

「あの、名前まで言わなくても、来るよって伝えればいいだけなので」

「うーーん……」

「シアノ先生?」

「あ!思い出した。名前はねー、アオイちゃんだ!」

 

 ……………へ?アオイ?

 

 いやいや、まだ名前が同じ別人ってだけかも…………

 

 あ、そういえば林間学校で知り合ったってゼイユが言ってたな。

 

 ………へぇ、結構な事じゃないか。

 

 もう会う事無いなんて格好付けた手前少し顔を合わせ辛いが、アイツに負けたのは結構悔しかったりする。

 

 リベンジ、させてもらおうか。

 

 あの時よりも俺は格段に強くなった。お前はどうだ、アオイ。

 

 今からでも楽しみで仕方ない。

 





『シオン』
落ち込んだと思ったら秒で立ち直った人。
学園でどんな状況でも動じない心を身に着け、バトル中は基本的に無表情。バトルがつまんなそうな顔をしてる人その1
世界が意地でもアオイに入り込む隙を与えさせないようにしている。

『スグリ』
彼にとってバトルとは楽しむ物ではなく勝つ物。
バトルがつまんなそうな顔をしてる人その2

『トウコ』
今ん所主人公勢の中では一番強い人


『アオイ』
次回襲来する人。
今のスグリとシオンを見てどんな行動を起こすのか……
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