背伸びした奴が本物に分からされる話   作:パレード

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ネルケ「ようシオン!今日は天気が良くてキモイーな!」
シオン「………!?」


キハダ「でも、シオンは美味しいって言ってくれたぞ!」
ミモザ「あのサンドウィッチを?めっちゃ気使われてるじゃん……」



他人に厳しく、自分にはその100倍厳しく

 

『ロトロトロトロト………』

「あれ?校長先生から電話だ……」

 

 好奇心の赴くまま、パルデア各地に突き刺さる謎の杭を解き放って回っていた所、アオイのスマホにクラベルからの着信が入る。

 

 まさかレホール先生から情報が漏れたか………?

 

 まじゅい…………

 

 全身から汗が吹き出る。だがこんな時こそ慌てず落ち着いてだ。

 

『もしもしアオイさん。私、クラベルです。今お時間よろしいですか?』

「はひ!大丈夫でしゅ!」

『それは良かった。では早速本題に。この度お電話を差し上げたのはアオイさんに名誉あるチャンスが訪れたからです。イッシュ地方のブルーベリー学園をご存知ですよね?』

「…!」

 

 ブルーベリー学園。その名を忘れるハズが無い。林間学校で友達になったスグリとゼイユ、そしてアオイが執着を抱いているシオンが在籍している学校だ。

 

「シオンがいる学校……ですよね」

『!どこでそれを……いえ林間学校でご一緒した方からお聞きしたのですね。実は私の古い友人がそのブルーベリー学園で校長先生をなさっておりまして。アオイさんを交換留学生としてぜひ迎えたいと………』

「行きます!絶対行きます!」

『そ、そうですか。でしたら諸々の手続きをするため1度校長室までお越しください』

「今すぐ行きまーす!!」

 

 杭なんて抜いてる場合じゃねぇ!!

 

『とにかく学校生活を楽しめよ!後輩!』

 

 初めてシオンと出会った時の言葉が、今でもアオイの指標になっている。

 

 だからとりあえずは目前の学校生活を楽しんで卒業してからブルーベリー学園に行こうと決めていた。

 

 だが、学校の行事で行けるなら話は別だ。交換留学は立派な学校生活の一環。

 

 まさかこんなに早く再会出来るなんて思ってもみなかった。

 

「コレってさ。運命だよね?……シオン」

 

 アオイの頬が吊り上がる。

 

 おそらくシオンの方は微塵も再会を望んでいないだろう。鈍感なアオイにもそれくらいは分かる。だがそんなの知った事か。

 

 勝手に惚れさせて、勝手に嫌って、勝手に居なくなって………

 

「……どれだけ逃げても追いかけ続けるから」

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「どうしてこんな事も出来ないんだよ!!……試合用のポケモン5匹は育ててって言ったよな!?」

 

 ブルーベリー学園に来たばかりだが、アオイはパルデアに帰りたくなった。

 

 近未来的な外観の学校で格好良い制服を身にまとい、久し振りのダブルを堪能した後はテラリウムドームで初めて見るポケモンと次々に遭遇。

 

 そして再会したゼイユとポケモンバトル。まさかテラスタルを使ってくるとは思わずに驚かされた。

 

 短い時間だったが最高に楽しい時間だった。だがこの瞬間、その気持ちは打ち砕かれる。

 

「え?え!?あれ、スグリ?」

「シー!静かに!」

 

 今、名前も知らぬ誰かを怒鳴っている人物がスグリだとすれば、アオイの知るスグリとはもはや別人だった。

 

「ご、ごめん。今月は家の用事で忙しくて………」

「だったらさぁ、事前に言ってくんねぇと!なんで直前に言うんだよ!」

 

 あんなにハッキリモノを言える性格ではなかったし、苛立ちを行動に出すタイプでもなかった。

 

 スグリがああなってしまった原因、オーガポン以外には考えられない。

 

(また、また私が余計な事をしたから……)

「……イ!アオイ!聞いてんの!?」

「え?……あ、うん」

 

 怒ってどこかに行ってしまったのだろう。気付けばスグリは居なくなっていた。

 

「………驚いたでしょ。スグ、見た目も性格もちょっと変わっちゃって、林間学校終わってからかな。あれからなんか……」

「じゃあ、やっぱり私のせいで…」

「それは違うわよ!偶然が重なってそう見えるだけだから。あんたが気にする事は」

「やっぱりチャンピオン様は厳しいねい」

「ゲッ」

 

 ゼイユの言葉を遮って、生徒の男の子が会話に割り込んでくる。

 

 さっきのスグリより更に奇抜な髪型をしている。

 

 反応からしてゼイユにはよく思われていない様子だが……

 

「よ!アンタ、噂の交換留学生だろ?例のワケありさん」

「面倒なのに見つかった……!」

「おいおい…紹介くらいしてくれよ」

「……これ、カキツバタ。いけ好かない男。一応リーグ部で一番強い………強かったやつ」

 

 この人が一番?

 

 ちょっと、いや結構いい加減そうな人だが……

 

 でもバトルの強さは見た目によらないし、ゼイユが言うなら事実なのだろう。

 

「んで、こっちはアオイ。あたしの友達の………」

「スグリとも!友達なんだろぃ?アンタ」

「え?……そうだけど」

「ほーん。やっぱそうかい!そいつはいいなあ!そいじゃアオイ。オイラたちの部室、案内するぜぃ」

「は?なんでよ!」

「なんでって、アンタまだ部活入ってないだろ?どっか部活入っときゃ学園も過ごしやすくなるし、何よりリーグ部にはスグリくんがいるぜ?」

「………うん。行くよ」

「アオイ!?」

 

 ゼイユは気にしないでいいって言ってくれたけど、このまま見なかったフリをするのは絶対に嫌だ。

 

 またシオンの時みたいになるのだけはゴメンだ。

 

「ついてきな」

 

 そう言って歩き出したカキツバタの後を二人で追いかける。

 

「人振り回すやつムカつく〜!!」

 

 隣で威嚇するゼイユは見なかったフリをした。

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

「てくてくてくっと!」

「お、おじゃましまーす…」

「あの子は……ホッ、いないわね」

「あいつはしばらく部室にゃ来ねえよ」

「そう……」

 

 道中での威勢はどこへやら、部室につくとゼイユはしきりに入口を気にし出した。

 

 余程アオイとスグリを会わせたくないようだ。

 

 そんなゼイユが見えていないのかカキツバタは半笑いで言葉を続ける。

 

「あらためまして、ここがリーグ部の部室だ!リーグ部を代表して歓迎するぜぃ」

「えっと、ここはどんな事をしてる部活なの?」

 

 名前からある程度予想は出来るけど、詳しい事を知りたい。

 

「へへん。よくぞ聞いてくれました!」

 

 そこからアオイはカキツバタからリーグ部の詳細を教わった。

 

 成程、ランク制で、強い4人が四天王って呼ばれてて、それより強いスグリがチャンピオン。

 

 だいたいこんな感じか。

 

 説明を受けて仮入部した後は部室のパソコンの使い方を教わって…………

 

 色々あったのでお腹が空いて、我慢できずにお腹が鳴ってしまう。

 

「へへ、オイラもちょうど腹減ってたんだ。先に食堂行ってるからよ、正式に入部してえって腹ァくくったら食堂デートしながら話そうぜぃ」

「デ!?」

「んじゃなー」

 

 この学園の食堂にはどんなメニューがあるのかなー。有名なヒウンアイスがあったら嬉しいなんて考えながらアオイはカキツバタを追おうとする。

 

 しかしゼイユに羽交い締めにされた事で食堂への道は阻まれた。

 

「え?ちょ、何!?」

「あんた話聞いてた!?行ったら入部させられるのよ?悩むところでしょ!!」

「悩むところなんてあった?」

「……はぁ、あんたってそーいうヤツよね」

「うん!じゃあ食堂デート行っちゃおう!」

「デ!?だからそのデートってなんなのよ!!?」

「デートっていうのはね……」

「意味は知ってるわよ!」

 

 

 

◆◇◆

 

 

 

 結局ゼイユは来ない事になり、1人で食堂にやってきたアオイはカキツバタの隣の席に座った。

 

「お、来たな?とりあえず食いもん頼んじまおうぜ。ツバっさん的にオススメは学園定食!全体的に柔けえからあんま噛まなくてもいいのよ」

「おー美味しそう!私コレにしよ!」

「へっへっへ。アンタわかってるじゃねぇの」

「すみませーん!学園定食5個くださーい!」

「……………え?」

 

 本当は10個でも良かったけど、大食いに思われるのは恥ずかしかったので5個にしておいた。

 

 夜まで持つだろうか……やっぱり7個にした方が良かっただろうか?

 

「おー、へー……………おっ、おいでなすった」

「ん?誰が?」

 

 カキツバタが視線を向ける方にアオイも目をやる。

 

 そこにはネリネ、タロ、知らない男の子、そしてスグリの姿があった。

 

 こう、近くでスグリを見てみると、記憶の中の彼の面影が見えた。

 

 じっくりスグリを観察するアオイとは対称に、スグリはまだアオイには気付いていない様子だ。

 

「……カキツバタ、話って何?」

「何もなにもさ、ここ食堂よ?一緒にメシでもどうよって誘っただけなんだがねぃ」

「……くだらない。そんなヒマあるなら少しでもポケモン強くしたら?」

「あーあ、フラれちまった。スグリのだぁい好きなお友達がいても難しいかぁ」

「…えっ、アオイ!?」

「スグリ……えと、久しぶり!」

 

 いざ対面してみると、なんて話したらいいのか分からずに、無難な言葉しか出てこない。

 

 何とか、何とか話題を見つけなければ………!

 

 必死に記憶を呼び起こす。キタカミの里で話した時、2人で共感出来る話題が無かったか………

 

 オーガポンの話が駄目なのは流石のアオイでも分かる。

 

 だったら………

 

「そういえば、この学校にシオンがいるんだよね?今どこにいるの?」

「………!!」

「おお、アンタ、シオンとも友達だったのかい、だったらアイツもここに呼んで………」

「ダメだ!!!!」

「スグリくん?」

 

 食堂にいた全員が話すのを止めてコッチに注目する。

 

「…………アオイは、学校で宝探ししてたって言ってたよな」

「あ、うん」

「電話で呼ぶのは簡単だけど、そんなのつまんねえよな。また宝探しするってのはどうだ?」

「この学園で?」

「あぁ。リーグ部に入って、チャンピオンの俺を倒せたらシオンの場所を教えてやる。……どうだ」

 

 スグリは冷たい目でアオイを睨む。

 

 その迫力に一瞬怯んだものの、アオイも睨み返す。受けて立つ。と。

 

「まずは四天王倒してきなよ、その上で叩き潰す。アオイが相手でも、俺は負けない」

 

 





『スグリ』
他人に厳しい、自分にはもっと厳しい。
そんな彼だからこそ慕っている者も多い
ゲーム程厄介者扱いはされていない

『カキツバタ』
ゲームよりもスグリヘイトは低い

『アオイ』
トウコメイと比べてキャラが薄かったので突如大食い設定を生やされた。
シオンが絡むと獰猛になる
絡まないと案外普通。
主人公力が凄まじく。バトル中にポケモンが状態異常治すし、瀕死寸前で持ち堪えるし、息を合わせて技をかわしてくる。
何もせずともイベントが向こうからやってくる

『シオン』
アオイが来ると知ってから毎日人気のない場所で修行してる。
テラリウムドームのどこかにいるが、ゲーム的に色んな条件を満たさないと現れないし戦えない。
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