背伸びした奴が本物に分からされる話   作:パレード

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【小話1】

「このルッコてアイドルお前に似てない?」
「え!?……そう、かな」
「可愛い子だよな〜」
「あ、ありがとう!」
「え?」
「あ!いや、なんでもない……」


【小話2】

「このリオルガールの女優お前に似てない?」
「可愛いですよね」
「そうだな」
「結婚したいですよね」
「それはいいや」
「…………」



【前回のあらすじ】

「キャンプをしにガラル地方に行こう!」
 ↓
「遭難した!どうしよう!」
 ↓
「女の子に助けて貰った!お礼にバトルをしました!」
 ↓
「何故か着いてくるようになった!旅の仲間が増えたぞ!」


 この話は『【IF】パルデア地方じゃなくてガラル地方だったら』の続きです。2時間くらいで書いたので超短いです。


【IF】異世界のポケモントレーナー

 

 突如、空に穴が空いた。

 

「なに、アレ」

 

 そこから黒い、ポケモンかも分からないナニカが出てきた。

 

「ジュナイパー!!」

 

 相棒が二度とバトルが出来ない傷を負った。

 

 こうしてミヅキの島めぐりは幕を閉じた。

 

 

◆◇◆

 

 

「暑ぃ〜……」

 

 母からお使いを頼まれので、街に向かってダラダラと歩くミヅキ。

 

 引っ越してきた当初は気持ちよかった陽光は、今となってはただただ煩わしい。

 

「あ!おいミヅキ!」

「………」

 

 面倒なのに見つかった。とミヅキはため息を吐く。

 

 絡んできたのは街に住む男の子。名前は覚えてない。コイツは何故か事ある毎にミヅキに突っかかってくるクソウザイ野郎だ。

 

「俺、ついに明日ポケモンを貰えるんだよ」

「へー」

「もちろん島めぐりも始めるぜ。絶対最後までやり遂げてやる。誰かさんとは違ってな」

「…………チッ」

 

 ジムバッジ集めと違って、島めぐりは誰でもクリア出来るよう設計されている。

 

 だからこうして島めぐりを途中で脱落した者はとても馬鹿にされる。

 

 歳の近い者からでは無い。本当にどんな人間からもだ。

 

 この前なんか知らないおばさんから「島めぐりはもういいのかい?」って小馬鹿にされた。

 

 アローラ地方。来た当初は素晴らしい場所だと思ってたがとんでもない。

 

 どうしようもなく窮屈な所だ。

 

 何も悪い事をしていないのにまるで犯罪者になった気分だ。この狭い場所でこれからも生きていくと思うとゾッとする。

 

 そもそも、元々ジム巡りをしたかったミヅキは島めぐりなんてやるつもりはなかった。

 

 でもアローラに住む子供は島めぐりをしなきゃならない。それが『ふつう』だからだ。

 

 アローラで住むからには、アローラの『ふつう』に従うしかない。

 

 その『ふつう』を出来なかったらどうなるか?

 

 ミヅキは身をもって思い知った。島めぐりを達成するという『ふつう』を果たせなかったミヅキは今、まるでいちゃいけないみたいな扱いだ。

 

 反吐が出る。一瞬でもこんな所に来て良かったなんて思った自分が恥ずかしい。

 

 早くカントー地方に帰りたい。このままじゃ、二度とポケモンバトルが出来なくなる。

 

 

◆◇◆

 

 

 家の近くにある誰も来ない砂浜でただ寝転がる。

 

 これがミヅキの日課だ。朝から夜になるまでずっとこうしている。

 

 誰とも会わずにこうしているのが、一番幸せだから。

 

 だから……

 

「お!こんな所に人発見!」

 

 自分の領域に踏み入る者は誰であろうと排除する。大嫌いなポケモンバトルで。

 

「よーし行けジャローダ!」

 

 

 

 

 

「ルガルガン!」

 

 コイツ……この人は強い。今まであった誰よりも。

 

「よーし。バトルが終われば自己紹介!俺はシオン!イッシュ地方から来たトレーナーだ!」

「じゃあ、外の人なんだ」

「あぁ。アローラ地方には観光に来たんだ」

「私はミヅキ。最近ここに移住したんだ」

 

 アローラ地方は住むにはクソだが、観光するだけなら楽しいだろう。

 裏の部分を知らず、ただ楽しい思いだけして帰れる。

 

「ここに住んでんのか!羨ましいなぁ」

「何も知らないから、そんな事言えるんだよ」

「え?ミヅキはアローラ地方嫌いなのか?」

「うん。大っ嫌い」

 

 アローラ地方では『ふつう』じゃないミヅキは『ふつう』に過ごせない。だから嫌いだ。

 

「ふーん。じゃあアローラ地方から出るつもりなのか?」

「…………へ?」

「違うのか?ミヅキのポケモン、良く鍛えられてたからさ、他の地方でポケモンリーグに挑戦するつもりなのかと思ったんだけど……」

「それだ!!」

 

 恐ろしい。アローラから出たいと思うだけで、実際に出て行こうなんて考えた事も無かった。自分がアローラの『ふつう』に染まりかけていたと分かり吐き気がした。

 

 そうだ。そうだよ。こんな所からさっさと飛び出して、夢だったジム巡りをしよう。

 

「希望見えてきたー!!」

「うわっ、急にキャラ変わったな」

「コッチが素だからね!さっきのは忘れて!」

 

 濁っていた目はすっかり澄みきって、声音も随分高くなった。

 

「よっしゃー!そうと決まれば早速旅の準備だ!」

「あ、ちょ………行っちゃったな」

 

 一人残されたシオンは、とりあえずポケモンを回復させるためポケモンセンターに向かう事にした。

 

 

◆◇◆

 

 

「はぁはぁ」

 

 これからの事を思うとワクワクが止まらない。アローラ地方に引っ越す事が決まった時より楽しみだ。

 

「はぁはぁ」

 

 やっぱり最初はカントー地方がいい。その後はすぐ隣のジョウトか、シオンが言ってたイッシュって所も良いかもしれない。

 

 嗚呼、本当に楽しみだ。ジムに挑む事。そして何よりアローラ地方から出られる事が。

 

 坂を上ると、自分の家が見えて………

 

「は?」

 

 家の上に、穴があった。

 

 あの黒い化け物が出てきたのと全く同じ穴が。

 

「お母さん!!」

「あら?どうしたのミヅキ。そんなに息を切らして」

「早く外に出て!」

「え?ええ?」

「ニャースも!」

「うにゃ!?」

 

 無理矢理母親とニャースを外に連れ出し、もう一度空の穴を見上げる。

 

「……来る」

 

 穴から化け物が飛び出した。巨大な金平糖からケーブルが生えた、ポケモンとは形容し難い姿だ。

 

 ソイツはミヅキたちを認識した途端、鳴き声と思わしき音を鳴らして襲いかかってきた。

 

「バンバド………あ、なんで」

 

 モンスターボールを握ろうとしたが、上手くいかない。手の震えが止まらないのだ。

 

 駄目だ。あの黒いので、完全にトラウマになってる。

 

「BRYYY!!」

 

 電撃が迫る。動かなきゃ死ぬのに、動けない。

 

 死ぬ………

 

「受け止めろマッギョ!!」

「シオン!」

 

 もうダメかと思ったけど、シオンのマッギョが電撃を防いでくれて助かった。

 

「空に穴が空いて何事かと思って来てみれば、大丈夫か?ミヅキ」

「なんとか……」

 

 なんとか立ち上がり平気なフリをするも、身体の震えが止まらない。

 

 するとシオンがミヅキの身体をギュッと抱きしめる。

 

「頑張ったな。もう大丈夫だ」

「……うん」

 

 安心する。もう離れたくない。一生このままで……いや、それだと迷惑なので手を握るだけに留める。

 

「実はな、ここに来るまでに他にも何個か穴を見たんだ」

「……え」

「とにかく街の方に行こう。護衛を頼むエルフーン」

「ふもふーん」

 

 街に行く途中も、化け物は大量にいた。どうやら野生のポケモンを闇雲に襲っているらしい。

 

 可哀想だが、助けに行く勇気も実力も無い。今はとにかく街に避難しなきゃ。

 

「……アレは」

 

 道中、ある光景を見てミヅキは足を止める。

 

「ミヅキ、どうした?」

「シオン、ママとニャースをお願い」

「おい!」

 

 走る。走る。

 

「ナッシー『ドラゴンハンマー』!!」

 

 あれだけ怖かった化け物相手に不意打ちを仕掛けた。克服した訳じゃない。寧ろ恐怖は膨れるばかりだ。

 

 だったらどうして無謀な行動を取ったのか。

 

 それは、その化け物に襲われていたのが野生のポケモンじゃなくて、昨日ミヅキをバカにしてきた男の子だったから。

 

「ミ、ミヅキ!」

「いいからさっさと逃げる!金髪のトレーナーに合流すれば守ってくれるから!」

「ぁありがとう!」

 

 そう言ってみっともない走り方で逃げていく男の子。そんな背中をチラリと見て、ため息を吐いた。

 

 格好付けたものの、勝てる見込みは0。逃げようにも足がすくんで動かない。これが詰みというやつか。

 

(怖い。怖いよシオン。もう一回抱きしめてよ。そしたらもう一生何があっても離さない)

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

「アローラ地方にぃ……来たー!!」

「来たー!!」

 

 アローラ地方に着いたシオンとユウリは声高々に叫んだ。

 

 さて、やって来ましたアローラ地方。どうしてここに来たのかと言うと、南国=陽キャだからだ。

 

 陽キャを目指すシオンとしては、寧ろ行かない理由が無い。

 

 因みにユウリだが、チャンピオンが留守なのは流石にマズイと思い最初は同行を断ったのだが、『旅の仲間』という魅力に抗えず結局連れてきてしまった。もちろん後悔はしてない。

 

「よし!アローラと言ったらやっぱり海!行くぞユウリ!」

「うん!」

 

 早速一番近い砂浜に向かって走り出す。

 

 暖かい太陽。気持ちのいい風。見た事の無いポケモン。そして空の穴。

 

 テンションは最高潮…………空に穴?

 

「なんだ、アレ?」

「さぁ」

 

 ポケモンでも出てくるのかと思い、しばらく穴を見ていると、中から女の子が飛び出した。

 

 女の子は気を失っているのか、ピクリとも動かずに頭から落下している。

 

「ちょ、やべぇ!」

「助けないと」

 

 走って女の子の真下を位置取る。

 

 なんとか2人で女の子の下敷きになり最悪の事態は免れた。

 

「穴から降ってきたよね、この子」

「見間違いじゃなきゃ」

「うん、うぅ………」

「!意識が……」

「おい大丈夫か!?自分の名前は分かるか?」

「わ、私は?」

 

 女の子は目を覚ましたが、まだ意識が朦朧としてるようだ。

 

「お前は穴から落ちてきたんだよ」

「あ、な?」

「あぁ。空の穴から」

「あ、あ、あぁぁぁああぁ!!!!」

「おいどうした!」

 

 女の子を落ち着かせようと近付くと、女の子はシオンに抱き着いた。

 

「なっ、シオンから離れて!」

「やっとつかんだ」

「お、おい」

「シオン、シオンだよね、もう離さない。絶対に!」

 





【異世界のシオン】
生まれついての陽キャ。
陰キャシオンくんよりは強くないがモテる。

【ミヅキ】
吊り橋効果ヤンデレガール。

【ユウリ】
着いてきた。呪いの装備。

【シオン】
異世界の自分が育てたヤンデレを放り投げられた。
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