背伸びした奴が本物に分からされる話   作:パレード

6 / 17



『シオン』
闇を抱えてそうで、何も抱えていない。
ただプラズマ団がムカついたから潰した。それだけ。
なのにネットでは昔プラズマ団にポケモンを奪われた事になっている。

『メイ』
傲慢な性格だったがシオンと出会い軟化。
全てが終わった後、急に明るくなったシオンを見て、改めてプラズマ団が許せなくなった。
今はシオンを探す旅。ついでにプラズマ団の残党も探している。


『シオン君の時系列』
・子供シオン
 ↓
・陽キャシオン(旅の初めからしばらく)
 ↓
・ギラつきシオン(バトルの才能が無いと気付き意地になる)
 ↓
・陽キャシオン(自分の目的を思い出す)
 ↓
・元通りシオン(アオイ)

 プラズマ団はギラつきシオンの時に壊滅させた。



スグリとメイ

 

 むかしむかし。と言う程でもない、ほんのちょっとだけ昔の話。

 

 スグリが暮らす里に、ある少女が訪れた。

 

 話によると人探しの真っ最中でキタカミの里にも、その一環で立ち寄ったらしい。

 

 当時から今に至るまでもスマホを持たないスグリは、里の外の情報を持つ人間に興味を通り越して憧れの感情まで抱いた。

 

 が、しかし。悲しいかな。スグリにとって見知らぬ女子に話しかける。という事は何よりも難しい事だった。姉に付いてきてもらう選択肢もあるが、年頃のスグリは姉と一緒にいる時の自分を見られたくなかった。

 

 結局その日も話しかけるのは叶わず、明日には少女が里から出ていってしまうかもしれない。という焦りを抱えながら、気付けば大好きな鬼さまが住んでいたとされる洞窟に足を運んでいた。

 

 夏の真っ只中、蒸し暑かったハズなのに洞窟に入ると涼しい空気が全身を包んだ。

 

「グルルルルル」

 

 身体を休めていたスグリの耳に何かが唸ったような音が入り込む。

 

 咄嗟に入口の方を見るとこちらを威嚇するポケモンの姿。

 

(そっか。そうだよな。ポケモンだって涼しい場所にいたいよな)

 

 その時、スグリはずっとずっと幼かった。優しく話しかければ、ポケモンも優しく返してくれる。そう信じていた。だからズカズカとポケモンに近付き、手を差し伸べてしまった。

 

 スグリにとって幸運だったのはポケモンのレベルが低かった事。だから『たいあたり』を半袖半ズボンで受けてもスグリは衝撃で気絶するだけですんだ。

 

 

「う…………うん」

 

 目を覚ましたスグリは視界がぼやけたまま辺りを見渡した。一瞬夢だと考えたが、景色は変わらず薄暗い洞窟。

 

 何が何だか分からないままズキズキと痛む身体でなんとか立ち上がる。

 

 すると……。

 

「あ!おはようございます!」

 

 いまだにぼーっとする頭ではそれが人間の言葉だと理解が出来ず、またポケモンが来たのかと身構え、勘違いだとすぐに気付いた。

 

「……?」

 

 声のした方にはスグリが憧れた少女の姿があった。

 

 緊張で頭が真っ白になったスグリをよそに少女は喋り始めた。

 

 なんとか拾った情報を整理すると、要はスグリが少女に助けられた。という事だ。

 

「全く!ポケモンを持たずにこんな所まで来るなんて、次からやっちゃダメですよ!」

 

 長いお説教が締めくくられ、少女『メイ』と共に帰路につく。そこでようやくお説教以外の話が始まった。

 

 お互いの自己紹介や好きなポケモン、好きな食べ物。メイが明るいおかげで会話が途切れる事はなく、なんならスグリから話題を提供する時もあった。

 

 そうして話すうちに、やがてスグリがどうしてあの場所に行ったのかという話になった。

 

「あそこには鬼さまが住んでる。だからあそこに行けば、鬼さまに会えるんじゃねぇかって思うと、無意識に行っちまうんだ」

「なるほど!その気持ち私も分かります。私もある人に会いたいって思って、気付いたら旅に出てましたから!」

「その人の事、そんなに好きだったんか?」

 

 スグリがそう聞くとメイは待ってましたと言わんばかりにその人との出会いを語り出した。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

 ライモンシティにある地下鉄駅『ギアステーション』

 

 そこはライモンシティを様々な駅と繋ぐ役割を持つと共に、バトルサブウェイと呼ばれるバトル施設の発着場でもあった。

 

 当時、更なる強さを追い求めていたメイはその存在を知ると、しばらくライモンシティに留まりバトルサブウェイに入り浸った。

 

 そこで勝っては負けてのバトルを繰り返し、遂にシングルとダブルの分野でサブウェイマスターを倒すに至った。

 

 そうなれば、必然的にマルチの分野に手を出したメイだったがそこで問題が発生した。

 

 自分に付いてこられる人がいなかった。適当に、片っ端から声をかけたがどのトレーナーもメイにとっては足手まといでバトルを楽しむ事が出来なかった。

 

 だからよく観察して自分に付いてこられるトレーナーを探し回った。

 

 そして選んだのがポケモンセンターにいた金髪で目付きの悪い少年だった。

 

「私とマルチバトルしてください」

「…………は?俺?」

「貴方は他の方々より幾分かマシそうなので」

「いや、急になんなんだよお前」

「ポケモンの回復ですか?ならさっさと済ませてギアステーションに行きましょう」

「そこでバトルしたいならそこにいる奴に声かけろよ」

「せいぜい足は引っ張らないでください」

「マジでなんなの?お前」

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

「終わりです」

「えっ?」

「やっぱり恥ずかしいので」

「えぇ…」

 

 唐突に話が打ち切られスグリはほんの少し残念に思う。

 

「じゃあ次はスグリ君の番です」

「へ?おれの?」

「はい。鬼さまの事、詳しく教えてください!」

 

 そう言ってやや前屈みになり両手を胸の前で握ったメイを見て、不思議とスグリの口は動き出す。

 

 スグリは初めに、里に伝わっている話をした。鬼さまが悪者でともっこが正義の味方という話だ。

 

 そしてその後に鬼さまが本当は悪くなくて、悪いのはともっこ達なんだと叫ぶ様に語った。スグリがその真実を知った経緯だけは秘密にしながら。

 

 やがて全てを吐き出したスグリはポカンとしたメイを見てやってしまったと思った。

 

「そうだよな。おれ一人がこんな事言ったって信じられねぇよな」

「そうですね。よそ者の私にはどちらの話が正しいかは判断しかねます」

「でも、それでも鬼さまはっ!!」

「はい。カッコイイと思います!」

「へっ?」

 

 予想外な言葉にスグリは聞き間違いを疑う。

 

 確かに鬼さまがカッコイイのが事実なのは確かだが、スグリの話を信じなかった人間から出る言葉では無かった。

 

「……なんでそう思ったんだ?」

 

 反射的に出た言葉は質問だ。メイが鬼さまをカッコイイと言った理由がただただ気になった。

 

「だって複数に1人で立ち向かうって……私の好みドストライクですもん!」

 

 返ってきたのはそんな無茶苦茶な理由。けど生まれて初めて、自分以外から鬼さまを褒める言葉を聞いてスグリは誇らしくなった。

 

 そして考えた後、決心を固めた。

 

「おれ。大きくなったら旅に出る」

「ほーう、その心は?」

「あんな嘘っぱちを信じてる里の人達には鬼さまは受け入れて貰えねぇ。でも、先入観が無い外の人達なら、本当は優しいって分かれば鬼さまを受け入れてくれると思う」

「なら、まずはスグリ君がその鬼さまと友達にならないとですね」

「見つける。絶対捕まえる。したっけ、最初にメイに証明してみせる!」

「ふふ。約束ですよ」

 

 そこからはさっきまでの様子が嘘のように2人は静かに歩く。

 

 空はオレンジ色に染まり、キタカミの里が見えてきた。

 

 帰りが遅くなった言い訳はどうしようかと悩んでいたスグリの耳はメイの独り言をハッキリ聞き取った。

 

「シオンさん。今頃何してるかなぁ」

 

 直感でそのシオンさんという人物がメイの言う「あの人」であると確信した。が、メイの表情を見て追求するのは止めておいた。

 

 翌日、起きた頃には既にメイは里から立ち去った後だった。

 

 彼女の言うシオンという人物がどうしても気になったスグリは姉からスマホを借り、「イッシュ シオン」で検索する。

 

 するとシオンという少年。そしてメイもイッシュ地方で殿堂入りしたトレーナーだと知った。

 

 いくら世間知らずのスグリと言えど、殿堂入りが凄いということは分かる。そんな凄いトレーナーと昨日までああやって話していたと判明し、今更ながら冷や汗をかく。

 

 その後も色々と調べ、メイが鬼さまをカッコイイと言った理由にようやく納得がいった。

 

(そっか似てたんだな。鬼さまと、このシオンって人)

 

 周りから理不尽に怖がられても、折れることなくたった一人で悪者と戦って勝利する。

 

 調べれば調べる程、シオンへの興味は濃くなっていった。ポケモンリーグ公式チャンネルのバトル映像からシオンについて好き勝手語り合う掲示板のまとめ動画まで見尽くしていた。

 

「ポケモンバトルかぁ…」

 

 スグリがバトルに興味を持ったのもちょうどこの頃からだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「メイは、今どこにいるんだろうな」

 

 自分の部屋で呟いた独り言に答える者は当然いない。

 

「携帯番号聞いとくんだったなぁ……。せっかくシオンがいるってのに」

 

 ポケモンバトルと聞くと輝きを放っていた瞳は霧がかかった様だった。

 

「ごめんな。メイ。約束守れなくて」

 

 鬼さまは、アオイのポケモンになってしまったから。

 

 強くなりたい。それ以外何も考えられなかった。

 

 でもそれでいい。深く考えようとすると、自分が自分でなくなってしまう気がしたから。

 

 あの時はあんなわがままを言ってしまったけど鬼さまにとっての幸せが一番なんだ。だからこの感情はアオイに負けた悔しさなんだ。

 

 アオイに勝てば、こんな思いも消えるはずだから。

 

「待っててな……アオイ」

 

 卒業したら勝ちに行く。だからそれまでに何がなんでも強くならないと。

 

 だから、イッシュ地方でチャンピオンにもなったシオンに鍛えてもらおう。そうすればきっとアオイにも勝てるハズなんだ。

 

 アオイはシオンの事を友達で何度もバトルしたって言ってたから、アオイの弱点を知ってるに違いない。

 

 

『そいつ、別に友達じゃないけど』

 

 

 ガツンと頭を殴られたような感覚に陥る。

 

 アオイがシオンの事を話した時、そういう事に疎いスグリでも恋愛的に好きなんだなと分かった。

 

 それを踏まえて、今のぐちゃぐちゃになった頭で様々な発想が浮かぶ。

 

 スグリの中で何かが崩れた。

 





『アオイ』
へぇー。シオンってブルーベリー学園にいるんだ。
へぇーーー。

『スグリ』
ギリギリの所で嫉妬を抑えていた。
自分でも何をしたいのか判らない時がある。



 前回の投稿から早1ヶ月とちょっと。その間は相も変わらず漫画を読んでゲームをやってました。

 おかげで衝動的に二次創作をかきたくなっては我慢しての繰り返しでした。

 葬送のフリーレンだったりダンガンロンパだったりFAIRYTAILだったり、構想が最後までできたら書こうと思ってますので機会があればそっちの方も是非読んでくださるとさいわいです。

 そうなった場合はポケモンどころか他に書いてるもう1つの方の更新もさらに滞る事に………。

 やっぱ新しいのを書くのは諦めます。

 次回も書き終わったら投稿します。

どれが読みたい?

  • シオンとアカマツ(ア←タになった理由)
  • シオンとアオイ(もう実現しない日常回)
  • シオンとカキツバタ(苦手なヤツ)
  • そんなんいいから掲示板回かけ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。