緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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プロローグ
前編 龍の試験


「ったく……キンジ!こっちだ」

「なんとか間に合ったな……」

 

二人の男が学校に飛び込む。

 

「折角遠くの学校にしたって言うのに遅刻して試験失格じゃ洒落になんねぇぜ」

 

大柄で肩幅も広く顔立ちは整っていない訳じゃないがキツめの怖そうな男が言う……名は桐生(きりゅう) 一毅(かずき)……江戸時代から端を発する実戦剣術の一刀、二刀、無手、大太刀、小太刀の5つの型を使う武術【二天一流】の使い手で15才。

一見齢15に見えないが中学を卒業したばかりの高校受験生である。

 

「そう言うがお前だって寝坊したじゃねえか」

 

今しゃべった男は遠山(とおやま) 金次(きんじ)・通称キンジ。

背丈は平均的で少し暗そうだが中々見れる顔だ。

彼は名奉行遠山・遠山の金さんの子孫で、ナイフと銃と我流で少々粗削りな蹴り技を得意とする15才だ。

この二人は昔からの付き合いで、幼馴染みと言う関係であり、そして二人は今、東京武偵高校の受験に来ていた。

 

こ東京武偵高校を武偵を育成する学校である。

武偵とは金を貰えばどんなことでもやる。謂わば何でも屋だ。

そんな学校の試験に二人は来たのだが……

 

「こっちか?」

「地図だと多分そっちだな…」

 

二人が地図と睨めっこしながら会場を目指して角を曲がる……すると、

 

「た、助けてください!」

『え?』

 

二人は唖然とした声を出す。更にキンジは走ってきた女の子と激突かのじょ押し倒す形になる。

 

「おいおい、先客は此方だぜ?」

 

そこに3人ほど柄の悪そうな男たちが来た……武器はない。

 

「つうわけでどぶっ!」

 

男はキンジの肩を掴むが次の瞬間蹴りで吹っ飛んだ。

 

「全く……女性を追いかけたくなる気持ちはわかるが怖がらせるのは頂けないな」

 

スッ……とキンジはゆっくり立ち上がる……先程とは違い別人のような雰囲気……間違いない、成っている。

 

(キンジの奴成っちまったかヒステリアモードに……御愁傷様、柄の悪そうな男達)

 

一毅は男達に手を合わせる。

 

「てめぇ!」

 

男達は拳を構える。

 

「来なよ……ウォーミングアップには丁度良いさ」

 

キンジは我流の蹴りの構えだ。

 

「やったらぁ!」

 

一人来るがキンジに簡単に躱される。

 

「隙ありぃいいいいいい!」

 

そこに男が後ろから拳をを降り下ろす……だがキンジは当たる前に男の金的に後ろ蹴りを思い切り打ち込む……

 

「はぅあ!」

 

男は堪らず脂汗をドッと流しながら金的を押さえる。そこにキンジは飛び上がるとオーバーヘットキックの要領で後頭部を蹴っ飛ばす。

 

「金的の極み……」

「くそ!」

 

先程躱された男が振りかぶる。

 

「喰らえ!」

 

拳がまた迫る……だが当たると相手が踏んだ瞬間にキンジの蹴りが腹にめり込んでいた……

 

「カウンターキック……」

「ぐげろぉ…」

 

男は瞑れたカエルみたいな声を出して気絶する。

 

「ひっ!」

 

最後の男は腰を抜かす。

 

「二人を連れていけば良い……但し二度とやるな……分かったか?」

「は、はぃいいいいいい!」

 

二人を連れて走り去っていった。

 

「あ、ありがとうございます!」

 

女の子に頭を下げられるがキンジはスッと相手の髪を梳く。

 

「全く……昔から君は変わらないね……」

「え?」

「忘れたのかい?俺だよ、遠山 キンジ……それともキンちゃんと言った方が良いかい?」

「き、キンちゃん!?」

 

女の子は驚いたような顔だ。

 

「すっかり綺麗になったけど相変わらずだね、白雪」

 

キンジを頬を赤くしながら見ている女の子……彼女は星伽(ほとぎ) 白雪(しらゆき)。昔キンジと一毅が遊んだ事がある子だ。神社の巫女の家系で妹が沢山いる。15才。

 

「おーい、俺置いて話すな~」

「ああすまないな一毅」

「え?カズちゃんなの?」

「おお、白雪久し振り」

 

幼馴染み三人が久し振りに顔合わせだ。

 

「じゃあ二人もこの学校に?」

「ああ、強襲科(アサルト)だ」

「同じく」

 

キンジと一毅が頷くと、

 

「私はSSRなの」

 

すると放送が入る。

 

【これから試験が始まります、指定の場所に集まりください】

 

「じゃ、じゃあ又後でね」

「ああ」

「おう」

 

白雪と二人は別れると、集合場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、今のキンジの変化について少し説明しよう。

今のキンジは【ヒステリア・サヴァン・シンドローム】……通称【ヒステリアモード】。

これは男が女を守るときに強くなるという本能が極端化したもので所謂……性的興奮をトリガーとした人格変化を含む神経系の強化……という説明を一毅はキンジの兄からされたことを思い出した。

そうしていると教官役の女性が来る。

キンジとは運良く別のグループに割り振られた。一毅はBグループだ。

 

「教官の蘭豹(らんぴょう)や、ルールは一つ。生き残れ、武器は事前予約したやつを受け取ったな?」

 

俺は太刀と小太刀を模した木刀を軽くさわる。

 

「よし、初め!」

 

ルールはさっき説明した通りバトルロワイヤル方式……適当にバラけつつも俺は太刀型の木刀を抜く。

 

「ウォオオオ!」

 

そこにいきなり木刀を降り下ろされる。

 

「ちっ!」

 

俺は体を反らして躱すと構える。

 

「来いよ……」

「だぁ!」

 

相手の木刀を弾く。

 

「うらぁ!」

 

そこに一毅は胴を凪ぐように木刀を振るう。

 

「うご…」

 

そして相手は泡を吹いて気を失った。

 

「くそっ!」

 

今のを見ていた奴等は一毅をロックオンする。

 

「…………」

 

一毅は太刀型の木刀を構え直す。

 

「はぁ!」

 

一人来た。

 

「しゅ!」

 

俺は後ろに跳ぶと、一気に前に出直す、

 

「二天一流・秘剣!疾走斬!!」

 

二天一流の【秘剣】と言うのは一刀、二刀流、無手、大太刀、小太刀の中でも一刀の技をそう呼ぶ。

5つの型の中では攻守共にバランスが取れた戦い型で基本的にどんな相手とでも戦えるようにと技が豊富だ。

一毅の先祖も愛用した型であり一対多数には少々不利ではあるもののこれくらいの相手ならこれで十分……

それが【二天一流・秘剣の構え】である。

そして躱され体勢を崩された顔に木刀が叩き付けられる。

 

「この!」

 

一人が一毅の体に飛び付く……

 

「ウォオオオ!」

 

動けないところにまた来た。

 

「二天一流・拳技!解き投げ!!」

 

拳技は読んで字のごとく無手の技だ。

二天一流の型の中では最も速くやらされる型で、二天一流の技の中では基本中の基本の型だ。しかもこの型の技は刀を持っていても使える技が非常に多い。

ただ威力は低いため剣と平行して使うことが多い。

それが【二天一流・拳技の構え】……

さて、一毅は素早く相手の掴みを解き襲いかかって来た相手に投げつける。

 

「うえあっ!」

 

相手が驚いて避けた所に一毅は走り込むと相手を渾身の切り上げで打ち上げる。

 

「二天一流・秘剣!」

 

一毅は浮いた相手を台に跳び……回転。

 

「空中回転斬りの極み!!!!!」

 

一毅の木刀はそのまま地上の相手を吹っ飛ばした。

 

「ふぅ…」

 

一毅は相手がいない事を確認してから木刀をしまう。

すると、乾いた音が続けて響いた。

 

「なんだ?」

 

一毅は音の方に向かう。

 

「くそぉ!」

するとさっきキンジに唯一ぶっとばされなかった男が走っていった。

だが次の瞬間乾いた音が響きそのあと倒れた音がする。

 

「大丈夫か!」

 

一毅は出ると目の前に見事にゴム弾で眉間を撃ち抜かれて昏倒していた男がいた。

 

「貴方で最後ですね?」

 

一毅は声の主を見る。

相手は綺麗な薄い青色の髪…だがその瞳からは感情を読み取れない。

そしてその少女はライフル狙撃銃を構える。

 

「行きますよ……」

 

次の瞬間マズルフラッシュでその場が光る。

 

「っ!」

 

一毅は木刀で弾く。だが、

 

「ぐぉ!」

 

弾いた弾丸が跳弾し、一毅の脇腹めり込んだ。

計算済みと言うわけだろう。

 

「くっ!」

「まだまだ行きますよ」

 

次々とマズルフラッシュが瞬く。

 

「くそ!」

 

一毅は横に跳んで柱に隠れる。

 

(なんだあいつ……)

 

一毅は木刀を握り直す。このまま居ても拉致があかないのは明らかだ。

 

(よし!!)

 

一毅は飛び出すと少女を睨み付ける。

 

「ウォオオオオオオオオオ!!!!!」

 

一毅は木刀を手に走り出す。

ゴム弾が迫るがそれを次々弾き返す……跳弾に当たることがあるが歯を食い縛り耐える……

 

「どうやって……」

 

少女が眉を寄せる。ゴム弾とは言え当たれば痛いし速度だって並みじゃない。なのに目の前の男は普通に弾いてくる。

 

「弾は銃口から真っ直ぐしか飛ばないから連射されない狙撃銃が相手なら銃口の角度とか良く見て行けば簡単に弾ける!」

 

……と父に習っていたが確かにその通りだった。

そして間合いを詰めると少女の方は冷静に銃剣を振り下ろす。

 

「うらぁ!」

 

一毅はそれを木刀で受けると弾き返しつつ腰を落とす。

 

『っ!』

 

一毅の木刀と少女の銃剣が交差する。一瞬の間の後にゴトっと言って少女の狙撃銃が落ちる。

 

「なぜ私自身には当てないんですか?当てられましたよね?」

「どんな理由があろうと女をぶん殴るのは俺の趣味じゃねえんだよ」

 

一毅は木刀を下ろす。

 

「まあこれは俺の俺の勝ちで良いだろ?」

「ええ」

 

少女は頷く。それを見ると一毅も安心する。

後、こうやって近くで見ると凄い美人だ。きっと学校受かったらスゴくモテるだろう。まあ関係ないことだ。まあ彼女の彼氏になる男には少し同情す……等と考えていると突然囲まれる……

 

「っ!」

 

一毅は木刀を構えながら少女を庇うように立つ。

 

「どういうつもりですか?」

「相手が何もんかわからないが…取り合えず守ってんだよ」

「なぜ……?」

「誰か守んのに理由がいるかよ……しかもお前女だぜ?男が女を守んのは義務みたいなもんだ」

 

一毅は周りを見る。数は凡そ七人……恐らくプロだ……何となく持ってる雰囲気で分かる。

 

「こりゃあ…本気でやるしかねえか…」

 

一毅は相手を見回しながら息を吐ききると左手で小太刀を一気に抜く……右手に太刀型の木刀、左手に小太刀型の木刀、見ての通り二刀流の構えだ。

 

「なんだ?」

 

相手の一人が疑問の声を漏らす…

太刀と小太刀の二刀流はどんな状況だろうが絶対に実戦的ではない……これは少しでも剣を噛じれば誰もが知る事になる真実だ。

純粋に利き手でない方に武器を持つ利点がないのが大きな理由だろう。更に片手で相手の攻撃を受ける事になる等相当腕力が高くないと無理な芸当だ。

小太刀の二刀流ならまだいいだろう。才能があればそこそこ使える。だが一毅の二刀流は駄目だ……誰もがそう重思った。

それ故に油断した……一毅は……いや、桐生と言う一族は才能・恵まれた体躯……それに加え愚直なまでに自らを鍛え続け長い長い時間の中で世界から見ても唯一太刀と小太刀の二刀流を得意とする……己の手足と同等になる程までに昇華させた一族だと言うことを知らなかったのだ……

 

「全員纏めてで構わない……一緒に掛かって来やがれ!!」

 

一毅は相手に向かって走り出した……




武偵の龍のリメイク版です!
まあリメイク前と似たような部分もありますが出来るだけ掘り下げて書いたりします。宜しくお願いします。
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