緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と金の高校生活

「しっかしあんな奴も居るんだなぁ」

 

一毅の言葉にキンジは同意する。

とは言え言葉の意味はあんなナイフの扱いに不馴れな人間もいるんだな。という意味である。まあ刃物系の扱いであれば武偵高校内では敵無しの一毅と普段からSランク武偵の銃撃や斬撃から逃げるキンジだ。

ズブの素人のレベルの低さが余計に際立って感じるのだろう。まあ比べるものを間違えている。

 

「だけどこの調子でその下っ端が見つかんのか?」

「まだ潜入一日目だ。焦っても仕方ないだろ」

 

そう言って角を曲がると見えてきた……伝統的な日本家屋……そして門の前でホウキを動かすのは……

 

『ただいま金三』

「ダァアアレェエエエガァアアア金三だごらぁあああああああああ!!!!!!!!」

 

GⅢこと金三がお出迎えである。

このキンジの実家を拠点にしたのは昨日からだがなぜかその時から当たり前のようにGⅢと……

 

「うわぁ~キャラメル色の柿だ~」

 

かなめがいたのである。

 

現在キンジの祖父と祖母は健在でこの家の主であるのだがこの二人も普通に納得している。なにか感じたんだろう。

 

「あ、お兄ちゃんと桐生一毅お帰り~」

「お~!それ一個くれよ」

「あの柿は俺の家のなんだがなぜお前が当たり前のように食う」

 

キンジから突っ込みを受けた。すると中から角刈りの白髪頭の爺さんが出てきた。

 

「おお、キンジに一毅。帰ってきたか」

 

着流しの半纏の袖を揺らしキンジの祖父にして国ひとつ喧嘩売っておいてちょっと若気のいたりで一毅の祖父の一心とヤンチャをしましたと言い切る妖怪爺、遠山 (まがね)が門の前に出てくる。

 

「おい爺。今度こそ文句ねぇだろ。向こう三件まで掃除を終えたぞ」

「ふむ……じゃあ次は風呂掃除じゃな」

「おい!奥義を教えてくれる約束はどうした!」

「わしは掃除しろと言ったが一言も玄関掃除だけだとは言っておらん」

「んあぁああああああ!!!!!!!!」

 

頭をガシガシ掻きつつGⅢは風呂掃除に向かった。

 

「取り敢えず入れお前達」

「ああ」

 

キンジが頷くとそれに続いて一毅とかなめも続いて入った……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あらお帰りなさい」

 

優しげな笑みを浮かべて台所からキンジの祖母であるセツさんが顔を出す。

 

「もうすぐご飯だからね」

「ああ」

 

キンジと一毅は荷物を置く。

 

「よぉーし!かなめぇ!将棋で勝負だぁ!今日は勝つ!」

「昨日は30戦0勝30敗だったもんね」

「今日は負けんっていってるだろ!」

 

一毅とかなめは縁側で金叉の形見である将棋盤をだして打ち始める。

 

「ったく」

 

キンジはそれを炬燵の中でお茶と金華の揃い踏みを口に放り込みつつ十手目にして既にかなめ優勢の盤を遠くから覗き見る。

 

「おい爺!風呂掃除終わったぞ」

「ふむ。じゃあ庭の草むしりじゃな」

「はぁ!?いったいいくら働かせる気だよ!」

「修行じゃ修行」

「ちっ!」

 

意外と素直なGⅢに少しキンジは目を丸くしていると鐡が来た。

 

「しかし昨日いきなり当分この家に戻ると言われたときは驚いたぞ」

「仕方無いだろ?あの学校に通うのに丁度よく徒歩圏内だったんだからさ」

「くっくっく……」

 

すると少し鐡は笑った。

 

「強くなったなキンジ」

「そうかな?」

「うむ……少し金叉に似てきたようだぞ」

「うーん」

 

そんなに似てるかなぁと首をかしげる。

 

「まあよいまあよい。さて金三が行ったところでお前に遠山家秘伝の技を教えてやろう」

「え?なんであいつに教えないんだ?」

「今から教える技はあいつには使えんものだ」

 

それを聞いてキンジは興味を持った。はっきり言って素の戦闘能力はGⅢの方が強い。更に技は自分とほぼ同質の物を使ってくる。この間の戦いに勝てたのは奇跡だ。そんなあいつに使えない技とは……だがこれからの戦いは更に過激になっていくのは明白だ。知っておいて損はないだろう。

 

そんなことを思っていると鐡は金庫を取りだしカチカチと開け始める。秘伝書でもだすのか?

 

「見るがよいキンジ……これが遠山家秘伝の技!【春水車】じゃ!!!!」

 

ババン!っと言う効果音がつきそうな動きでその場に広げた物にキンジは目を見開きひっくり返りそうになった。

 

そこに広がるのは女の肌の写真……つまり綺麗なお姉さんがあられもない格好で写っており……間違ってもベットの下に隠したりしてはイケない代物……何を言いたいのかと言うと要はエロ本である。

 

「な、何ちゅうもんを出してんだよ!」

「何を驚くキンジよ。遠山の男は返對使いこなしてこそ一人前じゃぞ」

 

すっかり忘れていたよこのエロ爺の性格を!

 

「ほれキンジよ。これなんじゃどうじゃ?黒髪の大和撫子じゃ」

「っ!」

 

何故か紐で亀甲縛りされた白雪似の写真にキンジは後ずさって視線をそらす。

 

「これ目を背けるな」

 

だが鐡はキンジの頭を掴んで無理矢理向かせる。

 

「これは儂の好みじゃないんじゃがどうじゃ?お前達に分かりやすく言うならロリっこというやつじゃ」

 

なんで今度はアリア似なんだよとキンジは大声を出したかった。狙ってやっているのかこの爺は!

 

「それとも「あなた……」なんじゃいいまいいと……ころ……」

 

鐡はサァーっと青ざめていく。

キンジにとっては救世主、鐡にとっては地獄からの使者の見えるだろう。

 

「またそんなものを……」

「げぇ!セツ!!!!」

 

鐡はズザザと距離を取る……

 

「しかもキンジにまで見せようとは」

「ま、待て!キンジとて18じゃ!問題はなごふぅ!」

「だからといって態々見せる必要はない!!!!」

 

次の瞬間ゆっくり放たれたセツの拳で鐡は吹っ飛ぶ。

 

(しゅ……秋水……)

 

キンジは呆然と見た。

 

今セツが放った技は遠山家の技で秋水と言う。

ボクシングなんかで体重を乗せてパンチを打てと言うがこれは百パーセント乗せることで遅くとも重くて破壊力のある一撃を放てると言うのものだ。

 

因みに鐡が吹っ飛んだ先には……

 

「見えた!逆転の一手!」

 

一毅がキラーン止めを輝かせ駒を取る。

 

「これで詰みだ!かな……「ごふぅ!!!!」ノォオオオオオ!!!!」

 

吹っ飛んだ鐡は将棋盤を吹っ飛ばしそのままGⅢが掃除したゴミの山に頭を突っ込んだ。

 

「なんちゅう事するんですか鐡さん!!!!」

「おいこら爺!汚すんじゃねえよ!!!!」

 

吹っ飛ばしたのはセツなのだが悪いのは鐡になっている。まあ仕方ないだろう。

 

「これはおばあちゃんが片付けておくからね」

「あ、うん」

 

キンジは大人しくしたがった。まあいつも通りである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてそんな遠山家の日常も過ぎて次の日……一毅とキンジは学校に登校する。

 

教科書は今日から持ってきているがはっきり言おう。

偏差値がとんでもなく低い武偵高校で常になんとか赤点を回避している程度の点数しかとれないキンジと中学の学力の時点で既に怪しい一毅ではそこそこの進学校であるこの東池袋高校の勉強にはついて行けない。

 

(もし無理矢理でも転校すると言う意思が残っていたらこういう目に会ってたってことか)

 

キンジはしみじみと分相応と言う言葉を勉強していた。

 

「よし桐生!徳川幕府最初の将軍は?」

「織田信長!」

『…………』

(いや、それでも少し勉強しておこう)

 

徳川幕府だといっているのに何故か織田信長と答える馬鹿を見つつキンジは教科書に目をおとした。

 

 

 

 

 

 

とは言えこの二人も活躍できる場があった。その一つは体育である。

 

「おっらぁ!」

「げっ!」

 

一毅は飛んできたボールを打ち返す。

今日の体育の競技はソフトボールだ……一毅の無茶苦茶なパワーで打たれた球はあっという間にホームランである。

因みに一毅は現在全打席ホームランを敢行中……

 

「お、おい桐生が打席に入ったら全部外すしかないぞ!」

 

とは言え競技に慣れた人間ならともかく体育の時間にやる程度の技術しかない腕ではわざと外すのも上手くいかずに一毅の手にあるバットにバキーン!っと良い音を立てさせる。

 

そして守備ではキンジの活躍である。

 

「でかい!」

 

球が飛んでいく……だがキンジが走り込んでいくと……

 

「この!」

 

キンジは飛び上がると空中でギリギリキャッチする。それからミットをつけていない素手の方を地面に着けると力を込めて飛び上がり空中で逆さになったままボールを投げた。

 

「ナイスボール!」

 

一毅は別段驚くこともなくそのままボールをキャッチしてタッチしてダブルアウトだ。

まあクラスの皆から驚きと称賛を貰ったのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあなあ遠山。このあとカラオケ行かないか?」

「え?」

 

放課後……バックに教科書を詰めているとクラスメイトから誘いを受けた。

名前は知らないが時々いるクラスの盛り上げ役といわれる人種である。

 

「俺は……」

「俺も行って良いか?」

 

すると一毅がきた。

 

「ああ良いぞ」

「ほらキンジもいこうぜ」

「……分かった。ただ金がないから一時間だけな?」

「OKOK。他にも来るやついる?」

 

そいつが聞くと、

 

「わ、私も」

 

望月が手を上げた。

 

「え?珍しいな、委員長も?」

「う、うん」

 

望月は少し照れ臭そうに言った。

 

「じゃあいこうぜ」

 

何だかんだで十数名でカラオケにいくことになった。

キンジも妙に望月が話しかけてくることとカラオケで一毅の選曲があまりにも渋くてクラスの皆が若干引き攣ったのを覗けばそんなに嫌な事はなかったのは別の話だ。

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