緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と契約

「ようしレキ!帰ろ…【パン!】…さてキンジ!今日はちょっとだけ遅くまで居ても良いか?」

「ぜ、是非居てくれ!」

「………………」

 

レキを連れて逃亡を図ろうとしたがその前にアリアに顔の真横を弾丸で掠められた…明らかにワザとだ…次は当てると言う意思表示だろう。

 

「んで?どういう意味だよ」

「キンジは強襲科(アサルト)に戻って来て私とパーティーを組むのよ」

「はぁ?無理に決まってるだろ!つうか俺はあんな死ね死ね団と一緒が嫌だったから比較的まともな探偵科(インテスケ)に転科したんだぞ!」

(俺もその死ね死ね団の一人だけどな)

 

一毅が内心突っ込んでいると、

 

「無理、疲れた、めんどくさい…この三つは人間の可能性を押し止めるよくない言葉よ、もう使わないこと。あとそうね…キンジと一毅はフロントでレキはスナイプって所ね」

「なあ、お前日本語通じてる?」

 

一毅は呆れた…まず話が通じていない…因みにフロントとはホテルの受付のことではなく戦いにおいて最前線に立たせられる強襲科(アサルト)の花形で負傷率ダントツのトップのポジションで、スナイプは読んで字のごとく遠距離からの援護を主とするポジションである。

 

「通じてなかったら会話できてないわよ。あんたバカなの?」

「あ?」

 

一毅のコメカミに青筋が浮かぶ。

 

「一毅さん落ち着いてください」

 

レキに止められた。そうでなければアリアを窓から投げ捨てていたところだ。

 

「と・に・か・く!俺は組まないからな!」

「ふんっ!長期戦は想定済みよ!」

「え?」

 

アリアは部屋の隅にあったキャリーバックを指差す。あれ…お泊まりセットらしい。キンジは口をあんぐりと開けている。

 

「取り合えずお腹減ったわね…何かないの?」

 

アリアはソファーに撓垂れ掛かるように座る。それはドコか色っぽいポーズなのだがアリアみたいなチビがやってもな…レキなら嬉しいけど。

 

「ね、ねぇよ…」

 

だがキンジはお気に召したらしく顔を赤くして視線を反らす。おいおいお前…

 

「ロリコンだな」

「ロリコンですね」

 

一毅とレキの声が重なった。

 

「誰がロリコンだ…」

 

キンジは二人を見る。

 

「お前だ」

「あなたです」

 

何を言ってんのお前…みたいな目で一毅とレキの二人はキンジを指さす。

 

「シャ!」

 

そこにキンジの蹴りが一毅に跳んだ。

 

「うぉっぷ!」

 

一毅は上半身を逸らして躱す。

 

「俺はノーマルだ!」

「えぇ~」

 

一毅は信じらんなーいと言わんばかりの雰囲気を出す。

 

「てんめぇ…」

 

キンジは歯軋りしている。

 

「取り合えず飯だろ?台所借りるぜ」

 

一毅はからかい飽きたのか台所に立った。

 

 

取り合えずキンジの部屋の冷蔵庫には毎朝キンジのお世話をする白雪が色々と置いていっているためそこそこの物が結構入っている。

 

「今日はしょうが焼きにでもするか」

 

一毅は豚肉(黒豚だ…)と生姜と一緒に飾るキャベツ(どっちも有機野菜だった…)を出し準備をして行く。

その間に米を炊き、味噌汁を作りながらキャベツを切っていく。

それから生姜を磨り下ろし醤油と酒とみりんを混ぜたタレに小麦粉をつけた豚をつけて焼く。

その間に素早くキャベツを刻んで盛り付け米が炊き上がる。

更に味噌汁に切った油揚げとキャベツを入れて味噌を溶きながら肉をフライパンから出して皿に乗せていく。

 

「完成!」

 

手際よくあっという間に三十分ほどで作り上げて持っていく。

 

「ほら」

 

一毅が持ってくると皆は手を合わせ…

 

『頂きます』

 

食べ始める。

 

「んで?何時まで居る気だよ」

 

キンジは生姜焼きを口に放り込むと半眼で聞く。

 

「あんたたちが良いと言うまでよ」

 

アリアは答えるが、今度は一毅が聞く。

 

「どんな内容の仕事だ?少なくともそれが分からないと考えることもできないぞ」

 

一毅としては基本的に組む事はやぶさかでもないと考えている。何となくだがなにか事情がありそうな感じだ。

 

「武偵殺しよ」

「あれは逮捕されただろ?」

 

武偵殺しとは数ヵ月前に起きた事件で武偵を狙って来ると言う名前の通りの事件…確かにキンジの言う通り逮捕されたはずだ。

 

「あれは別よ、本物は別に居る…」

「どうしてそう言えるんだ?」

「勘よ…」

「勘てお前…」

「で、でも絶対そうなのよ!………そうよ…あいつらは人に罪を擦り付けることだけは天才的なんだから…」

「え?」

 

アリアの言葉の最後の方が聞こえず一毅は聞き返す。

 

「な、何でもないわ!取り合えずあんたたちは私の奴隷になればいいのよ!」

「アホか!絶対組まねぇよ!」

 

キンジは残りのご飯を掻き込むと茶碗をドン!っと置く。

それを見たアリアはプルプル震え…

 

「こんの…分からず屋!ちょっと頭冷やしてきなさい!!!」

 

アリアはガバメントを引き抜き…げ!

「風穴祭り(フェスティバル)!!!」

 

ガバメントが火を吹く。

 

『うぉ!』

 

キンジと一毅は横に飛ぶ。更に一毅はレキを庇いつつ転がりレキを小脇に抱えると猛然と走りだしドアをぶち開けると自分の部屋に逃走した……とは言え部屋は隣なのだが…

 

「ひ、ひでぇ目に遭った…」

 

一毅はレキを下ろし肩で息をする。何て凶暴な女だ。

とは言えうちのレキも喧嘩の時に撃ってくるし武偵校ではそんなに珍しくないだろう…しかし突然来て奴隷のなりなさい宣言…とんでもない人間に睨まれたものだ。

 

「明日の学校サボろうかな…」

「そうしたらここに乗り込んで来ますよ」

 

それは勘弁して欲しいところだ…

 

「となれば仕方ねぇや…」

 

一毅はスマホを出すと電話を掛けた…

 

 

それから次の日…

 

「お久し振りです」

「おう」

 

光一さんは一毅たちにお茶を出す。

一毅は本阿弥堂を訪れていた。キンジの方は何か依頼で飛び出していったがまあ関係ないだろう。

 

「それで分かりましたか?」

「ああ、一発で出てきたぜ」

 

光一も座ると今日も客がいないお茶屋を軽く見渡しながら話し出す。レキには抹茶パフェでも与えておいてと…

 

「神崎 H アリア…イギリス人のハーフの父と日本人の母親の娘…つまりクォーターだ。そして倫敦武偵局に籍を置いていた。その間にした単独で99回の強襲(アサルト)を全て成功させている」

「うわぉ…」

 

一毅はつい拍手したくなった。普通は一発強襲(アサルト)で成功って相当な実力がなければ不可能だ。

一毅であってもこれまで2、3回程取り逃がしがあった。これは別に一毅の実力が低いわけではなく普通はそう言うものだ。そのために何人かの仲間と協力して行う。一毅の場合はレキが取り逃がしは捕まえていた。それを単独とは…

 

「更にこいつはイギリスの貴族だ。祖母がディムの称号を持っている」

「なんですかそのパンに塗る甘いやつみたいな称号」

「そりゃジャムだ。ディムってのは貴族の称号だ。それを持っていて初めて真の貴族と言う扱いを受ける」

「へぇ~」

 

貴族もめんどくさいものだ。

 

「しかしここまでは分かったんだがそれ以上が分からねぇ…かなりキツイセキュリティーが掛かってる。お陰でこいつの実家の事が分からねぇ…」

「まあわかったらお願いします」

 

見ればレキも丁度食べきっていた。

 

「旨かったか?」

「はい」

 

するとレキの口には食べかすがていたいた。

 

「動くなよ」

 

それを吹き取ってやっていると光一が笑う。

 

「何だかんだでうまくやってるな、最初の頃は少し心配だったが」

「ほんまやな」

「宍戸さん!?」

 

ひょっこりと顔を出したやくざの組長に一毅は驚く。

 

「久し振りやな、元気そうで何よりや」

 

宍戸も座る。

 

「あー桐生ちゃんにはええなぁかわええこがいて」

「ならお前はどうなんだ?宍戸」

「駄目や駄目や全然そう言うのはおらん」

 

宍戸にも光一は茶を出すと笑う。

 

「まあヤクザと好き好んで付き合う女もいないか」

「ま、そうやな…あづづ!」

 

宍戸がお茶を吹くと皆も笑った。

 

 

更に次の日…キンジは部屋のドアを開ける。そこには当たり前のように鎮座したアリアが居た。迷惑きわまりない。

 

「何で入れてんだよ」

「自分で考えなさいな。て言うかあんた入れなかったらドアの前で淑女(レディ)を一人待たせることになるのよ」

 

キンジは鼻で笑う。

 

「何が淑女(レディ)だよ、デボチン」

「デボチンって何?」

「お前みたいな額がでかい女の事だよ」

 

キンジは荷物を放る。

 

「分かってないわねあんた。これはお洒落よ、これでもイギリスもファッション雑誌に乗ったこともあるんだから」

「………………」

 

キンジは黙る。わかってはいるのだ。こいつは可愛い…とんでもない美少女だ。美少女度合いで言うなら白雪とか同じクラスで先程ある依頼を完遂して貰った理子より上かもしれない。

等と思っている自分の思考が恥ずかしくなったキンジは手を洗いに行く。

 

「ふん…流石貴族様だ。身なりには気を使っているんだな」

 

照れを隠すようにキンジは茶化すように言う。

 

「調べたの?」

 

アリアが眉を寄せる。

 

「武偵同士での戦いの基本だろ?」

「やっとらしくなったじゃない」

 

アリアの身の上についてならある程度まで知ることができた。先程いった理子に完遂して貰ったある依頼と言うのがこれだ。誰しにも取り柄の一つくらいあるとは良く言ったもの。理子はアホだが情報収集には使える。

キンジも一毅たちと同じ程度までならアリアの素性を調べあげていた。

 

「しかも単独で99回逃がして事ないんだろ?しかもいままで逃がしたことはない。大したもんだ」

「一回逃がしたわよ」

「なに?」

どうも理子は間違えた情報集めたらしい。一度逃がしてるときた。

 

「どんなやつだよ」

「あんたよ」

「ぶふっ!」

 

キンジはうがいの為に口に含んだ水を思いきり吹いた。

 

「なんで俺なんだよ!ふざけんな!」

「ふざけてんのはそっちでしょ!人の服脱がせといてなに?」

「いや…あれは…」

 

本人は否定しているロリコン説だがその話は横においていいだろう。とにかく前の事件の際に体育箱に填まったキンジとアリア…そのさいに爆風のせいでブラウスの裾が捲れ上がり可愛い寄りも上がりもしないプッシュアップブラをご開帳してしまった…お陰でキンジはいまだにアリアには痴漢扱いを受けている。

 

「だ、だからってお前は俺をパートナーにするのかよ!」

「そんなわけないでしょ、あんたがあのあとやった動き…銃弾を簡単に見切って避けた挙げ句あの蹴りと身軽さ…流石元Sランク武偵よ。そこは見込んであげるわ。だからあんたと同じ一年からのSランク武偵の一毅とレキを加えて武偵殺しを追うと決めたのよ!」

「馬鹿じゃねぇか!今の俺じゃ足手まといにしかならねぇよ!良いとこCランクだ!!!」

「今?あんた条件が合った時に本気になるタイプなの?」

 

しまった…キンジは冷や汗を流す。会話がヒートアップしすぎて冷静になってなかった…バレるわけにいかない…あの時に銃を撃とうと前傾姿勢になった際に胸が当り水饅頭のような柔らかさと暖かさに性的興奮してヒステリアモードと言うものになりましたなど口が裂けたって言えるもんじゃない。だと言うのに…

 

「ふぅん…良いわ、協力してあげる」

「っ!」

 

キンジは驚愕する。

 

「どんな条件だか知らないけど協力してあげるわ、何?言ってみなさい。駄賃の足しに位なるでしょ?」

「ばっ!」

 

キンジは仰け反る。アリアは意味がわかっていないため仕方ないがつまりアリアが言ってることは自分を性的に興奮させてやると言うことだ。それが…どんな意味だか…

 

「キンジ…」

 

キンジの脳裏には放課後の夕日が傾く部屋の中で行われるアリアとの一時…甘く…時には酸っぱい…恐ろしくも…どこか甘美で癖になる…

 

(不味い…ヒスリかけてきた…)

「なんでも協力してあげるから…」

「っ!」

「きゃあ!」

 

キンジは咄嗟にアリアを突き飛ばす。

 

『……………………』

 

その場を沈黙が支配する。

 

「一度だけだぞ…」

「え?」

「1度だけ強襲科(アサルト)の自由履修受けてやる。それでいいだろ」

「……どんなのでも?」

「…ああ、どんなに簡単でも一度だ」

「逆でもいいのよね?」

「ああ…」

「分かったわ…それで勘弁してあげる。その代わり全力でやるのよ?」

「分かってる」

 

素の俺だけどな…とキンジは内心吐き捨てた…

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