緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍達の決戦 緋緋の巫女と晴眼の将

「ハァアアアアアアア!!!!」

「オォオオオオオオオ!!!!」

 

白雪のイロカネアヤメと夏侯僉の剣と鞘が火花を散らしぶつかり合う。

 

純粋な腕力は夏侯僉に分がある……受け流しや弾き返しなどの技術力は白雪……剣速は殆ど互角……総力に殆ど差はない。

 

一毅は剛剣の使い手なので最終的に前回は比較的剣種近いもの同士の戦いになり実力さが如実に現れたが今回は違う剣種同士……どちらかと言えば力を中心に剣と鞘と体術を混ぜ合わせ更に並外れた反射神経と動体視力により相手の攻撃を無効化しつつ押して押しまくる攻撃の剣である夏侯僉に対して返し技や受け流し等のカウンターを多く用いて技術を主とした防御の剣を得意とする白雪……違う種類同士の剣のぶつかり合いは往々にして長くなることが多く実力に差があっても決定打が打つことができずに既に数えるのも面倒なくらいだった。

 

「ふぅ……」

 

一旦白雪はバックステップで距離を取ると息を吐く……自覚している以上に消耗しているのは分かっている。白雪の剣は質より量の一撃が多い。それに対して一撃でも喰らえば危険な夏侯僉……しかも未だ眼帯をつけてるとはいえそれでも回避能力が高く白雪の剣撃が入りにくい。気を抜けば危険なのは簡単に理解できる。

 

「流石桐生の仲間だな……やっぱりつえぇな」

「そっちもね……」

 

白雪は一瞬封じ布を解く事を考えるがあれは長続きしない。協力である反面その分使いどころをちゃんと考えなければ途中で動けなくなりこのような援軍が来ない一対一の状況では逆に危ない。

 

まだその時ではない。今はまだこのままでいるしかない。

 

「考えは纏まったか?」

「待っててくれたんだ?余裕だね」

 

夏侯僉の言葉に白雪は皮肉で返す。すると、夏侯僉は頭をガリガリ掻く。

 

「いや、そういう意味じゃなくてだな。これでも一応考え事してる相手に対して攻撃するほどKYじゃないって言うか……あれだ、戦隊物とか仮面ライダーとかも変身シーンを邪魔しないだろ?あれみたいなもんだよ」

「成程ね。大丈夫だよ、纏まった」

 

白雪が頷くと夏侯僉は「そうか……」と言って眼帯を外して剣打の構えを取った……両眼になって見せる眼光に淀みはない……油断もない……もうふざけるのは終了だ。

 

「じゃあこっからギアを上げていくぞ」

「良いよ」

 

そういった瞬間白雪の懐に夏侯僉が突っ込んできた。

 

「オォ!」

「っ!」

 

夏侯僉のハイキック……それに対して白雪は伏せて躱した。だが更に夏侯僉の振り下ろしが白雪を狙う。

 

「ハァ!」

「ちっ!」

 

ガギン!っと派手な音を立てて火花が散る……続けて鞘が白雪の肩を狙う。

 

「くっ!」

 

それを体を捻って白雪は躱すとその回転を利用して斬撃を放つ。それを剣で防ぐと夏侯僉の回し蹴り……

 

「がっ!」

 

腹に決まった蹴りに白雪は後方に自分から跳びながら衝撃を逃がすがそれでも衝撃は相当なものだ。

 

「オラァ!」

「っ!」

 

空に浮いたところを夏侯僉の剣の縦切り……は何とかイロカネアヤメで受けたが、

 

「ぐげっ……」

 

鳩尾にめり込む鞘の突きに白雪は嚥下づきながら吹っ飛んだ。

 

「くっ……げほっ!」

 

吐き気を覚えながらも立ち上がって構え直す。

 

「オッラァ!」

「っ!」

 

そこに来た夏侯僉の剣撃……それを回避して切りつける。

 

だが夏侯僉はブリッジできそうなほど大きく体をそらして回避……一毅から聞いていたが夏侯僉の回避能力は驚異で先程から白雪の攻撃をかなり余裕をもって回避している。更にそこから崩した体制から放たれた夏侯僉の突き……だがそれを白雪は危なげながらも回避しきった。

 

「そう簡単に終わらねぇか………」

 

夏侯僉は肩を竦める。

 

「そりゃあここで負けたらキンちゃんに顔向けできないからね」

 

それを聞いた夏侯僉は少し首をかしげた。それから意を決して、

 

「一つ確認したいんだが……」

「なに?」

「お前……もしかして遠山キンジに惚れてんの?」

 

すごく今更だが実は夏侯僉は根っこが色恋より喧嘩の方が好きな性格だ。その為全く気づかなかったのだがその言葉に白雪は頬尻をあげる。

 

「そうだよ。あ、勿論ちゃんと異性として愛してるよ?キンちゃんにだったら私の全てを捧げてあげれるし捧げたいと思う。下の世話だってできる!」

「……いや、それは少々……というか滅茶苦茶重たい気がするんだが……気のせいじゃないよな?」

 

どういうわけか遠山 キンジの周りには何だってこんな色んな意味で残念系美少女(アリアとか白雪とか理子とか陽菜とか)ばかりなのだろうか……夏侯僉は少しだけキンジの女難に同情した。そのうち純粋んkキンジの世話をしてくれる優しくてかわいい女の子が現れてくれなければキンジは死んでしまうんじゃないだろうか……

 

「だ、だけどな?遠山キンジはどう見ても神崎アリアしか見てないようだが?」

 

アリアのは分かりやすいので夏侯僉も気づいたがそれをいった次の瞬間後悔した。

 

「あ゛?」

「っ!」

 

夏侯僉は後ずさった。何か今白雪の顔が般若になっていた……R18指定だ絶対。

 

「違うよあれは……絶対にそんなことないもん!二人は絶対にくっついちゃダメなんだよ!」

「?」

 

何か夏侯僉は引っ掛かった。好きな相手が別の女とくっつきそうなのがいやなのは分かる。だが今の白雪の口調はそれだけじゃない感じがした。彼女しか知らない何かもっと奥にある秘密のようなものを夏侯僉は何となく感じ取った。

 

無論……それに対して突っ込む気はなくそっとしておく。凡そロクな事でないのは20年ほど生きてきていれば勘だが分かると言うものだ。

 

「で?どうやって遠山 キンジを奪うんだ?」

 

夏侯僉が聞くと白雪が表情を引き締める。

 

「言ったでしょ?何でも捧げたいって」

「そう言うことか……」

 

白雪はイロカネアヤメ切っ先を夏侯僉に向ける。それを見て夏侯僉も納得した。何でもというのには自分への勝利と言うのも入っているらしい。勝って……キンジに誉めてもらって自分を見てもらう……それからどんな手管を使うかは彼女しか知らないがそんなところだろう。

 

間違いなく彼女のは盲目的な愛……陽菜の一種の師弟愛から派生した恋慕の愛に理子のどんな手を使っても略奪したいと思う愛……それに対して白雪はバカみたいに一途にその男しか見ない愛。どれも彼女たちの地の性格上好かれる方は命懸けで遠山キンジの場合好きな相手ほどボコっちゃうアリアも居て……だけどそれだけに純粋な恋心なんだろう……好かれる方は苦労するがまあそこは運が悪かったと言う奴だろう……諦めろとしか言えない。

 

「OK OK……良いぜ、来な……報われない恋に燃えるお嬢さん」

「理子さん風に言うなら……無理ゲーの方が燃えるんだよ!」

 

白雪の放ったのは片手平突き……突進の勢いも利用し全身のバネも使ったかなりの速度が出ているがそれに対して横に最低限だけ跳んでミリ単位で躱した夏侯僉に対して白雪は横凪ぎに変化して追う。

 

「オラァ!」

 

それを夏侯僉は打ち上げで防ぐ……元々見切りに関しては普段片目で過ごすことで磨いていたし一毅戦以降更に磨いてきていた。だがそこから来たのは白雪の体当たり……無論たいした威力は白雪の力と体重ではない。だが夏侯僉の体勢を僅かに崩す……そこに夏侯僉の顎にイロカネアヤメの柄が打ち込まれた。

 

「うごっ!」

 

ギリギリ顔を逸らすことで衝撃を逃がすがそれでも顎だ。かなりの衝撃ではある。

 

「これでさっきの蹴りの分はお相子かな?」

 

更に体を捻って回転した白雪の回転切りを放つ……

 

「ちぃ!」

 

それを夏侯僉は剣で防ぐ……

 

『……………………』

 

一瞬静寂が包む……そして次の瞬間、

 

『ダァアアアアア!!!!!』

 

そこから互いに打ち合う剣撃の雨霰……無数に飛び交い斬撃が乱れ咲き刃がぶつかった際に起きる火花がまるで散り桜の花びらのようだ……だがそんな中でも夏侯僉は見切り……白雪は受け流す。互いの得意な剣術を使いあって相手にぶつける。

 

「しつ!こい!んだよ!いい加減!諦めろ!」

「しつこい!くらい!が!丁度!良いんだよ!」

 

鞘と剣時々来る蹴りや拳を全て弾きながら白雪は封じ布を一気に捨てた……この密着状態での拮抗した今こそチャンスだ。

 

「オォ!」

「あっぶね!」

 

白雪の剣速が急に加速した……だが夏侯僉の動体視力はそれを見逃さない。最低限の動きで躱すと後ろ回し蹴り……

 

「ぐっ!」

 

それを白雪は腕で防いだ……明らかに頑丈さや腕力が羽上がっている。

 

「だから嫌なんだよなぁ……超能力者は!」

 

だがそれで終わる夏侯僉じゃなかった。そこから体勢を入れ換え白雪にはなった旋風脚……

 

「くっ!」

 

それを白雪は下がって回避すると夏侯僉の剣と鞘を手に回転し遠心力も味方に着けた攻撃を放つ。だが白雪はイロカネアヤメに火を灯し夏侯僉の鞘にぶつけて止めた……すると、

 

「あづ!」

 

夏侯僉の使用する鞘は武器としても使うため鉄製である。鉄だと言うことは熱が伝わる……しかも白雪の炎は超能力のためか熱伝導が高いのか一瞬しかぶつかっていないのに一気に熱くなった。

 

たまらず熱くなった鞘を手放したが夏侯僉はそれでも強引に斬撃を放った……普通であれば常軌を逸してると言えるが拮抗した今は白雪にとってチャンスであると共に時間が限られており急ぎ足になりやすく防御が二の次になる傾向があるため夏侯僉にとってもチャンスであった。

 

それを夏侯僉は見たわけではないのに何となく歴戦の勘とも言うべき勘で剣を振り下ろした……無論それは正解でこのままいけば白雪は真っ二つだったかもしれない……だが、

 

「なっ……」

 

夏侯僉は絶句した……何と白雪は咄嗟に制服の防刃ネクタイを取ると夏侯僉の剣に絡めて止めたのだ。

 

「前にうちの戦妹(アミカ)がこの手を使われたことがあったんだよ……」

 

そして白雪は剣術で言う無刀取りと呼ばれる技術……相手の刀を取って捻って夏侯僉から剣を奪い取った……そして白雪は二刀流となると力を解放する。

 

「星伽候天流……緋炫毘(ひのかがび)双虎(そうこ)!!!!」

 

イロカネアヤメに夏侯僉の剣の二刀流に火を灯し降り下ろす。

 

「ぐぉ!」

 

だが夏侯僉は二刀の間をすり抜けて回避した……だが少しだけ焼き斬られた……斬撃と体が焼かれる痛みを同時にくらうのは初めての体験だ。その為初めての苦痛に顔を歪めるが回避にだけ今は専念だ。

 

緋火虜鎚(ひのかぐつち)焔二重(ほむらふたえ)!!!!」

 

重い炎の斬撃……夏侯僉はそれを横にとんでギリギリで回避する……全体的に振りが大きい今の白雪の攻撃は一毅のに比べて回避しやすい……だがそれなのに白雪は二刀とも腰だめの体制に持っていく。これが最後の一撃……その思いを込めて力を集約させていく。

 

だが見逃してやる夏侯僉じゃない。拳を握ると白雪の顔面を情け容赦なく殴り付けた……女の顔を殴るのは悪い気がしたがそれでもこれからでかいのが来るのはわかっていたし遠慮はできない。だが白雪は殴られながらも笑った。

 

「報われないかもしれない……見てもらえないかもしれない……好かれないかもしれない……嫌われるかもしれない……でもそれでもキンちゃんが傷つかないなら良い……キンちゃんがアリアと一緒に居て辛い思いをしないでほしい……それに何より……」

「ちっ!」

 

夏侯僉は更に白雪に後ろ回し蹴りを放った……ガスッ!!っと派手な音がして白雪の体が横にいく……だが白雪は踏ん張った。意識が飛び掛けたが半ば意地である。

 

そして白雪は集約させた力を全て爆発させた。

 

「そんな程度で簡単に諦められるような恋はしていないんだ!!!!!星伽候天流 奥義!!!!!!」

 

腰だめの体制からの居合い……そこから生まれる圧倒的な爆発熱……その破壊力はあらゆるものを燃やす炎獣だ。熱波と衝撃波の炎獣は夏侯僉を飲み込んでまっすぐ飛ぶ。

 

緋緋星伽神(ひひのほととぎがみ)二重流星(ふたえのながれぼし)!!!!!!!!!!!!!!!」

「っ!」

 

咄嗟に後ろにとんで回避しようとしたが既に遅かった……夏侯僉は無意識に腕を交差させて防ごうとしたが所詮は文字通り焼け石に水……その熱波と衝撃波は夏侯僉を包み込み吹っ飛ばす……無論立ち上がれるはずはなくそのまま地面に倒れ伏す。

 

「はぁ……はぁ……勝ったよ……キンちゃん」

 

白雪は刀を掲げた。

 

 

 

――――勝者・星伽 白雪――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、

 

「次の階上がれば屋上……っ!」

「んなっ!」

 

ホバースカートのアリアに運ばれていた一毅とキンジは突然何かに引っ掛かったような感覚がして遠心力と共に吹っ飛んだ。

 

「ぐぉ!」

 

咄嗟に一毅は受け身をとったがアリアとキンジはそのまま飛んでいき木箱に突っ込んだ。

 

「なんだぁ?」

 

すると顔を出したのは姜煌だ。成程、恐らくチェーンウィップみたいなやつでアリアの足を引っ張ったのか……それと共に出てきたのは貂蘭……一毅にライフルを向ける。

 

「ちっ!」

 

一毅が刀に手を掛けたがそれより早く貂蘭に発砲したのがいた。まあレキである。

 

「貴女の相手は私ですが?」

 

咄嗟に転がって躱した貂蘭をレキが睨む。

 

「あらあら。もう上がってきたの?」

 

レキと貂蘭の視線が交差する。

とりあえず今のうちに……

 

「おーい、お前らだいじょ……」

 

大丈夫か?と聞こうとしたところに一毅は固まった……何故ならキンジは咄嗟にアリアをかばったらしくその際に何と顔をアリアのスカートの中に突っ込むと言うとんでも行動をとってしまったのだ……

 

そして鼻一杯に入ってくるクチナシの香り……眼前に広がるトランプの柄の布地……これは……ならない方がおかしい。

 

「だいじょうぶかい?アリア」

「………………はっ!キンジあんたねぇ!何だってこんなときまで!」

「そりゃあアリアが可愛いからさ」

「んなっ!」

 

ボボン!とアリアの顔が赤くなる。

 

「言っただろう?どんなときだってアリアが一番かわいいんだってね」

「あ……う……あ……」

『……………………』

 

それを周りは冷ややかな目で見た。

 

「なんですかあれ……私の不意打ちで何だってあんな桃色空間作れんですか?というかあんなピンポイントなラッキースケベってあり得るんですか?」

「それがキンジだからなぁ……」

 

一毅が言うとレキも頷く。

 

「さて、アリアとレキの相手はここみたいだし……俺たちは屋上にいこうか」

「そうだな。レキ!」

 

一毅はレキを見る。

 

「負けんなよ!」

「愚問ですね」

 

それを聞いた一毅はニッと笑って走り出す。

 

「アリア、頼んだよ」

「ええ」

 

軽く拳をぶつけてキンジも上に向けて走り出した。

 

「さてレキ……さっさと終わらせるわよ」

「ええ、そうですね」

 

「さっさとですか……舐められたもんですね」

「まあこっちも油断できる訳じゃないのよねぇ~」

 

戦いは遂に後半戦へと移行する。




やっとここまでやって来た!次回は全員釘宮病にされないように注意して下さい!
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