緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍と母

キンジとアリアが喧嘩別れして三日目のことである…一毅はキンジを半ば強引に連れて街まで出ていた。レキとのカップル成立一周年記念として何かプレゼントをと思ったが一人ではセンスがあんまり宜しくないことを自覚してる一毅はキンジを連れてきたのだ。

それに何となくだが喧嘩別れしたのも一毅はキンジと入れ違いでアリアへの見舞いにレキと行ったときに気付いていたのでキンジの気晴らしも入っている。

最初は乗り気じゃなかったキンジだが段々あれはどうだこれはどうだと結構真面目に考えてくれる。最終的にハンカチに決定した一毅とキンジはプレゼント用の包装をして貰い店を出た

 

「ありがとな」

「いや、別に」

 

このあと何か食べていくかと話しているとキンジはいきなり後ろを見る。

 

「どうした?急に… 」

「今アリアとすれ違ったんだよ」

「すげぇなこの人だかりの中で…」

 

下手な満員電車より混んでいそうなこの道であの140程のアリアを見つけるとかこの男何者かレベルである。

とは言え言われてみれば確かに居た…随分粧し込んでる…キンジは気になっているようだった。

 

「あの服装…デートか?」

「…………」

 

キンジは一瞬ピクッとした…

 

「気になるか?」

「別に…」

「じゃあ行くか」

 

一毅が帰ろうとするがキンジは動かない。

 

「…キンジ?」

「あ、あいつと付き合おうなんて奇特なやつの顔が見てみたいな!うん!」

「ツンデレ!?」

 

そう言って二人はアリアを追った。

 

 

それから30分ほどで目的地と思われる場所に着く…ってこれは…

 

「新宿警察署?」

「だな…」

 

するとアリアは歩を止め…

 

「下手くそな尾行ね、尻尾が出てるわよ」

『……………』

 

キンジと一毅は目を真ん丸くする…そして…

 

『ツクツクホーシ!ツクツクホーシ!』

「この季節にセミはいないわよ!」

 

等と言うアホをやってから出て来る。

 

「気付いていたんなら何で言わなかったんだよ」

「迷っていたのよ」

「迷ってた?」

 

キンジに返答したアリアの言葉に一毅は首をかしげた。

 

「まああんたたちも武偵殺しの被害者だし連れてってあげる」

 

アリアの言葉に首をかしげつつも一毅とキンジはアリアについて行く。

暫く歩き、アリアは何かの書類に書き込むと面会室に入る。暫く待つと、刑務官に連れられた柔らかな顔をした美人な女性…何か何処かで似た人間と会った気がする…キンジも同意見らしく眼を僅かに開きながらその女性を目で追っていた。

 

「ママ…」

『ママ!?』

 

アリアの言葉に二人は驚愕した。目の前にいる人が母親だと!?っと言わんばかりだ。まあ確かに目の前の女性…アリアの少し年の離れた姉でも十分通じるほど若々しい…もしかしたら飛天御剣流の継承者かなにかだろうか…少なくとも母親と言われる見た目はしていないが確かに何処かアリアに似ている。

 

「あらあらアリア。どちらが彼氏さん?」

「あ、このネクラな見た目に反しあらゆる女性を口説き落とすハーレム王こと、遠山キンジです」

『違う!』

 

キンジとアリアが同時に叫んだ。

 

「誰がハーレム王だこら一毅!」

「こいつと私は一時的に組んでるだけよママ!」

「あらあら…あのアリアが二人もお友達を連れてくるなんてねぇ~。小学校頃休み時間を寝て過ごしていたアリアが…」

「ママ!」

 

どうも昔からアリアはボッチ系だったらしい…

 

「と、とにかく時間がないから手短に話すわ。爆弾魔がやっと尻尾を出し始めたわ…あいつを捕まえればママに被らせられた864年のうち一気に108年は縮められる。他にも差し戻し審を取れるかもしれない」

「アリア…その額の傷はどうしたの?」

「これは…」

「やっぱりね、アリア…貴女は一族の中でも最高の才能を持っている。でもそれには優秀なパートナーが必要なのよ。だから貴女はまずその優秀なパートナーを探しなさい」

「そんな時間はないわ。そんなの居なくたって私は一人で十分よ」

「その結果がその傷よ…私はどうなったっていいの。でもあなたが傷つくのは耐えられない。貴女はもっと自分を大事にしなさい」

「…ママ…」

 

すると、

 

「神崎!時間だ!」

 

そう言うと刑務官乱暴にアリアの母親は立たせられる。

 

「ママに乱暴するな!!」

「アリア…私は良いの…仕方がないのよ」

 

アリアの母親はそう言い残すと外に出された…

 

 

 

『……………』

 

外に出ると雨が降っていた…だがこの方がいいのかもしれない…少なくとも自分とキンジ以外アリアが泣いてることに気づくことはない…

 

「あんな扱われかたして良いわけがない…訴えてやる…」

 

しゃっくりあげながらアリアは呟く。

 

「アリア…」

「何で…何でママなの…証拠だって十分不十分な筈なのに…冤罪なのに…何で…」

「……………」

 

キンジは黙る。気付いてしまったのだ…アリアと自分は似てることに…自分は兄を世間から見捨てられ…アリアは母を見捨てられた。そしてそれゆえに腹が立つ?いや、嫉妬しているのだ…自分は兄のことを諦めて…武器を捨てる決意をした。いや、逃げ出したという方が正しいかもしれない。だがアリアは…武器をとった。世間がなんと言おうと自分の母は違うとその小さな体で戦うことを決意した…それゆえに眩しすぎる光だ…自分にはない強さ…羨ましく…同時に自分には関わってほしくない…関わられれば捨てたものを拾いたくなってしまう。拾って…戦いたくなってしまう…報われなくても…馬鹿にされても良いから…彼女の力になりたいと思ってしまう。

そしてこのときのキンジは気づいていない…その心は羨ましいとか嫉妬とかだけで起こる感情では無い事を…そして後に知る…この気持ちの名を…

 

 

 

「そんなことがあったんですか…」

「ああ」

 

ハンカチをプレゼントした後レキと本阿弥堂でお茶を飲んでいた。

会話の中身は無論昨日の出来事だ。

 

「なんつうか…少しわかる気がしたよ…もう最高裁で時間もない…確かに焦ってしまうし勝手にもなるのかもしれないし…キンジも色々思うとことがあるみたいだけど何かうだうだしてるし…あー苛つく!」

「つまり何とかしてあげなければとキンジさんは思っていながらも自分は武偵を辞めるんだと色々言って動かずに居ると?」

「そうなんだ…何か良い手無いもんかな…」

「ならいっそのこといい加減にしろと言わんばかりにぶん殴って目を覚まさせてあげたらどうです?」

「それもありか…」

 

等と話しているとスマホが鳴る。

着信主は…噂のキンジだ。

 

「はいモシモシ?どうしたキンジ」

「一毅!突然で悪いが羽田に来てくれ」

「はぁ?」

「詳しい事情は後で話す!とにかくまだ武偵殺しは終わっていない!」

「……………」

 

事情は良く分からないが声のトーンで今のキンジはヒステリアモードだとわかるし何か焦っていることがわかる。なら、

 

「分かった。タクシー代は後で請求するからな」

 

そう言って切ると立ち上がる。

 

「何かあったんですか?」

「ああ、ちょっと羽田に行ってくる」

「分かりました。気を付けてください。私は武偵高校で待機しておきます。何かわかったら連絡できますか

ら」

「ありがとな」

 

そう言って一毅は本阿弥堂を飛び出した。

 

 

 

それからタクシーに飛び乗り十分ほどで羽田に着くと丁度キンジも居た。

 

「イギリス行きにアリアも居る…行くぞ」

「了解」

 

武偵は警察に準ずる活動も許されているため緊急時は武偵手帳見せるだけで中に入ることはできる。

 

「で?何があったんだよ」

「実を言うとな…起こると決まった訳じゃないんだ」

「はぁ?」

「あくまで仮説なんだ…すまない…ただ俺の仮説が正しければ絶対起きる」

「……はぁ…とにかく…」

 

二人は飛行機に飛び乗ると近くのキャビンアテンダントに武偵手帳を見せながら、

 

「東京武偵高校の遠山キンジだ!」

「同じく東京武偵高校の桐生 一毅だ!」

『飛行機を止めろ!!!』

「ひゃ、ひゃいいい!」

 

アテンダントは慌てて走っていく。脅かしたような形になるが仕方あるまい。するとキンジは膝を着く。ヒステリアモードが切れたらしい。どんな刺激にかもよるがヒステリアモードは凡そ三十分前後位しかモタナイ。その後は疲れるし全身がだるくて重くなるらしい。

 

「立てるか?」

「ああ…」

 

すると飛行機が動き出した。

 

「すいません!機長がそんな指示は受けていないといって…」

「くそ…」

 

一毅は悪態を吐く。

 

「仕方ない…アリアと合流するぞ」

 

キンジの言葉に頷くと二人は歩き出す。

 

「とは言えどこに居ると思う?」

「まああいつあれでも貴族だしな」

 

そういえば光一がイギリスの貴族だといっていたのを一毅は思い出す。

 

「良い席に居るだろ」

 

そう言ってキンジはファーストクラスのさらに奥のVIPルームドアに手をかけた。

 

 

 

「キ、キンジ!?それに一毅!?」

「ホラな?」

「流石探偵科(インテスケ)だな」

「何であんたたちがここに居るのよ」

「ちょっとな」

「おいキンジ、この部屋冷蔵庫まで着いてるぞ」

「なに勝手に入ってきてんのよ!」

「武偵憲章にもあるだろ?任務はその裏まで完遂せよってな」

「あんたなに言って…」

 

アリアが口を開いた次の瞬間窓が光った。雷だな…

 

「ひゃう!」

 

アリアは飛び上がった…もしかしてこいつ…

 

「ち、違うわよ!そう…突然光ったから銃撃とまちが【ピカッ!】ひゃうん!」

『ぷ…』

 

つい一毅とキンジは笑ってしまう。

 

「あ、後で風穴…【ピカッ!】ひゃいん!!!」

「布団にでも入ってろよ」

「だ、だから怖くな【ピカッ!】キャアアア!!!」

 

パニックを起こしながらアリアは布団に飛び込んだ。

 

「……ぷぷ…アリア~、替えのパンツ持ってきてるのか?」

「あ、あんた絶対後で風穴開け【ピカッ!】ひゃい!」

(相当怖いらしいな…)

 

等とキンジは考えてると、

 

「キ、キンジ~」

 

プルプル震えながらアリアらしからぬ弱々しい声音でアリアはキンジの制服の裾を掴む。

 

「ま、待てって、今テレビ点けてやるから」

 

そう言ってテレビを点けると丁度キンジの先祖、遠山 金四郎 兼元のチャンバラがやっていた。死んだ兄である金一の仮説だが彼もヒステリアモード持ちで諸肌を脱ぐと成っていたらしい。用は露出狂の毛があったのだ。とは言えアリアも珍しいのかそれに見いっている…

もし…この子と普通の学校で普通に出会っていたら…違ったのだろうか…

そう思いながらアリアを見ると目が合う…そしてゆっくりと指と指を絡めて…

 

『っ!』

 

銃声が響いた…

 

「さ、アリアとキンジ。イチャイチャはここまでみたいだぞ」

 

一毅は置いてあったお菓子を食いつくしながら立ち上がる。

 

『イ、イチャイチャ何てしてない!』

「えぇ~一応主人公の俺が空気になるくらいラブラブだったじゃん」

 

すると放送が入る…モールス信号だ。

 

【オ・イ・デ・オ・イ・デ…イ・ッ・カ・イ・ノ・バ・ー・ニ・イ・ル・ヨ…オ・イ・デ・オ・イ・デ…イ・ウ・ー・ハ・テ・ン・ゴ・ク・ダ・ヨ…】

 

そして放送は切れる。

 

「行ってくるわ。あんたたちは来なくても【ピカッ!】ひっ!」

「俺たちは?」

「く、来れば?」

吹きそうになりながらアリアに着いていく。

 

「しかしこんなところで(チャカ)ブッ放すとか何考えてんだ?犯人のやつ」

「それには同感だな…」

「居たわよ」

 

アリアが顎をしゃくると居た…ってあれは…

 

「最初に居たキャビンアテンダントじゃ…」

 

一毅の声が聞こえたのかキャビンアテンダントは振り替える。

 

「待っていたよ…」

 

次の瞬間キンジとアリアが銃を構える。

 

「動くな!」

 

だが次の瞬間アテンダントはバーカウンターの後ろに転がるように落ちる。

 

「逃がすか!」

 

アリアは素早く走りだし椅子を台に跳ぶとガバメントを撃つ。

 

「キヒヒ…」

 

だがアテンダントは地面を転がりつつバック転をしてそれら全てを紙一重で躱していく。

 

(あの女は猿か曲芸師かよ…)

 

一毅は舌打ちすると、キンジも銃を構える。だが、

 

「っ!」

「甘いよ…」

 

銃を抜いた瞬間アテンダントはワルサーP99を抜いてキンジのベレッタを撃ち抜いた…アリアの銃撃を避けながらあの正確無比な射撃…間違いなく素人ではない。

 

「なら!」

 

一毅は殺神(さつがみ)を抜くと走り出す。

アリアも銃では避けられて弾を無駄遣いしてしまうと悟ったのか小太刀を抜く。

 

『はぁ!』

 

だがアテンダントもタクティカルナイフを抜いて応戦する。

 

「らぁ!」

「やぁ!」

「ふっ!」

 

一毅とアリアの振り下ろしを横に跳んで躱しアテンダントのナイフが迫る。

 

「ちっ!」

 

一毅はそれを上半身をそらして躱しつつ…

 

「二天一流・秘剣!霞ノ太刀!」

 

ズン!っと刃が当たったら感触はしたが同時に斬れた感じはしない。案の定防刃仕様らしい…

 

「流石だね…遺伝系の強さを持っているのが3人…まあ一人は役に立ってないけどね」

「てめぇ何もんだ?」

 

一毅は構えを解かずに聞く。

 

「んー?ああ、これ着けてちゃ分からないよね」

 

そう言うと顔からベリベリとマスクを剥がす。その顔は…よく知っている顔だった。

 

『なっ…』

 

3人とも唖然とする。

 

「初めまして?久しぶり?あ、キー君はさっきぶり~。峰 理子だよ!」

 

ダブルピースを決めたクラスメイトに一毅達は何も言えなかった。

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