緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍とカナ

「フー!……フー!……」

「アリアァ……後輩苛めはそこまでにしとけよ」

「キャフー!!!!!」

「……………」

 

猫かこいつは……狂暴性は虎とかライオンだが……

 

さて、一毅が百人組手を不本意ながらやった次の日、アリアは後輩の間宮 あかりとその下僕――もとい、幼馴染みでいつも一緒にいる谷田 辰正をボコっていた。何があったんだ?

 

「なんでも昨日負けたんですって」

「はぁ?」

 

ライカがタオルで汗を吹きながら来た。ライカが言うには見た訳じゃないが時間的に一毅と入れ替わりでアリアはとある人物と此処に戻ってきたらしい。そこで一対一(タイマン)で戦ったが見事に完敗。これ以上にないくらいボコボコにされキンジが止めに入らなければもっと大変なことになったらしい。

 

「ライカ!余計なこと言わない!!!!!」

「は、はい!」

「で?どんなやつだったんだアリア」

「………………」

 

するとアリアはドスドス来ると一毅の隣に座り、

 

「あんたってキンジと何時からつるんでるの?」

「ん?それこそ物心ついたときからだな。まあ住んでるところが別だったから何時もという訳じゃないが基本的に長期休業何か行ったり来たりして遊んでたし、中学から同じ神奈川の武偵中学に一緒に入学してたしな」

 

ちなみにその間はキンジの実家に身を寄せていた。

 

「ふぅん……じゃあ聞くけど……カナってキンジの元彼女?」

「ぶっふ!」

 

一毅は口に含んだお茶を吹いた。

 

「はぁ!?無い無いそれはない。いろんな意味でそれはない」

 

あの人と言うかカナは本来、遠山 金一という男だし兄弟だし……

 

「そう……」

「なんでそこで出てくんだよ」

「昨日言われたのよ……【キンジのパートナーに相応しいか見てやる】って」

「?」

 

何か暗躍でもしてるのか……と言うか一毅としてはアリアが会ったカナが自分の想像したカナと違うことに気づいた。何故ならあの人は死んだ筈だから……遠山 金一は死んだ筈なのだ……

いや、イ・ウーで生きてると理子から何度か聞いたが……どうなのだろう……もし生きていたとしてそのカナが何故アリアの実力を見るような真似をしたのだろう。謎が謎を呼ぶ……

 

「で?後輩に八つ当たりですか?アリア先輩」

「同い年でしょ。一毅……分かってはいるの……キンジとカナは何となくそう言うのじゃないって……でもやっぱり何処か深い所で繋がってる」

 

勘……だと思うが凄いものだ。

 

「やっぱり……キンジはカナを選ぶのかしら」

「……………あいつはさ……」

 

一毅が呟く。

 

「え?」

「ネクラだし口悪いし昼行灯だし戦闘能力だって普段は並だ……それに優柔不断だし女誑しだし……」

「あんた本当にあいつの親友なの?」

「親友だから分かることもある。あいつはな。そんな取り柄が一見無いようなやつだよ。でもあいつはお前のパートナーに成るって言った。それをお前に何の相談もなく切ったりしない。つうかあいつはお前がパートナーを辞めろと言っても聞くような奴じゃない。馬鹿だからな」

「あんたもでしょ」

 

そういうがアリアは笑った。

 

「ま、喧嘩別れしたんだろうけどそこはお前から折れてやりな。それが大人の女性って奴だろ?」

「そうね。ま、明日の警備の練習変わりに神社に行ってあげても良いわね」

「そうそう」

 

アリアはスキップしながら行った。

 

「我ながらあいつらの喧嘩の仲裁の腕が神懸かってきたと思わないか?ライカ」

「確かに慣れてきましたよね。一毅先輩」

 

一毅とライカは苦笑いした。

 

 

 

 

 

その日の放課後……

 

「ふむ……」

 

噂をすれば影……と言う言葉がある。ようはその人の話をしていると話してる人が現れるという言い伝えだ。だがまさか……

 

「あら、一毅じゃない」

「なーんでお前がいるんだ?カナ」

『?』

 

一毅は頬が引き攣りレキとライカは理子がブラドとの一件の時に変装していた顔の人間が来たため驚いている。

 

「あんた生きてたのかよ」

「死んでも生き返ったり死んだと思っていたら実は生きてたりするのは遠山家の宿命よ」

「…………」

 

何だその宿命……

 

「じゃあイ・ウーにいるってのも本当かよ」

「ええ」

「で?何のようだ?」

「ああ、一毅は元気かなって。キンジとその相棒のアリアとは会ったんだけどまだ一毅の顔見てなかったから」

「さよけ」

 

一毅は頭を掻く。

 

「だけどよ。態々今まで死んだ振りしてたのに今更何で顔だしたんだ?」

「ん?アリアを殺しに来たのよ」

 

まるでちょっとそこまで散歩に……みたいな口調で言われ一瞬何を言ったのか分からなかったが少しずつ理解していく……

 

「どういうつもりだよ……」

 

一番先にカナに武器を向けたのはライカだ……

 

「でも安心して。第二の可能性がある限り殺さないわ」

「第二の可能性?」

「ええ」

 

そう言うとカナは背を向けた。

 

「一毅も力が目覚めつつあるし……それに賭けてみるのも良いわ」

「……………」

 

言っている事は分からないが……戦う必要は今はなさそうだ。

 

「ふふ、じゃあね一毅。あと、レキさんとライカさん?私の弟分宜しくね」

 

そう言ってカナは去っていった。

 

「ぷはぁ!」

 

一毅は緊張が解けたように体の強張りを解く。

もしアリアを殺しに行く途中だったなら……ここで戦うしかなかった。多分……負けると思うが。

 

「誰なんですか?あのひと……」

 

レキが聞いてきたがライカも気になると言った表情だ。

 

「あ、まあキンジのお兄さ……じゃなかった。お姉さんだよ」

「あんまり似てないですね」

 

ライカが言うが確かにカナ状態では余り似ていない。でも金一状態だと結構雰囲気とか似てるのだ。

 

(待てよ……と言うことはキンジ実は女装が良く似合う?……まあ無いか)

 

一毅は自分の考えを打ち消しつつも、

 

(しっかしまた何か動き出したって感じだな……)

 

事件の起きる予兆を感じていた……しかも…何となくだがかなりでかい事件だ。もしこの勘が当たったとき……自分はどうなるのだろう。死ぬかもしれない……もしかしたらレキやライカたちが……

 

「大丈夫ですよ」

 

すると一毅の不安を打ち消すようにレキが言ってきた。

 

「私もライカさんはこの先も一毅さんと一緒ですから」

「そうそう。一毅先輩はどんと身構えて安心して敵に向かっていけば良いんです。私達は一毅先輩はどんな相手にも負けないって信じてます」

「…………ふ、そうだな」

 

ここで考え込んでも仕方ない。悩んだって落ち込んだって来る時は来る。ならその時には黙って刀抜いて応戦するだけだ。勝てるかどうか考えても意味はない。

 

「よぅし。帰るか。今夜は天婦羅だ」

「じゃあカロリーメイトの天婦羅もお願いします」

「あ、私はリーフパイの天婦羅でお願いします」

「そんな天婦羅は無い!」

 

三人は笑いながら帰路に着いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カナは歩みを止めた。

 

「本当にやる気なの?」

 

カナは携帯に話し掛けた。

 

【当たり前ぢゃ……明日、祭りにお前の弟と行くらしいからノ……その時に呪いでも掛けてくれる】

「そう」

 

携帯からの言葉にカナは溜め息を吐きつつもどこか悲しそうに携帯を切った……

 

「まだ……夢を見ていても良いのよね?キンジ……第二の可能性は貴方に懸かっているわ……強くしなさい。その強さを……そして自分では気付いていない……でも確かに存在している未だ完全には芽吹いていない小さな種子のような想いを……」

 

カナは一度息を吸う。

 

「そして一毅……キンジを助けてあげて……その強さと……他者を慈しめるその心で……全てを切り裂くその刃を……全てを守護するその心力を……キンジに貸してあげて」

 

そして……と最後にカナは続けた。

 

「二人とも……何処までも昇っていきなさい。何処までもその強さを……何処までもその精神を上へ……上へ……天高く昇りつめていきなさい……まさしく、龍が如くね……」

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