緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍のチーム登録

京都から帰還した次の日……

 

『あ……』

 

一毅がドアを開けて外に出るとちょうどキンジと鉢合わせた。

 

「アリア達は?」

「先に行くってよ。レキは?」

「こっちも同じようなもんだ。ま、アリアは間宮の見舞いにでも行ってるんだろ?」

「白雪も多分佐々木のだろうな」

 

二人は歩き出す……二人は現在黒い制服を着ていた。

名は【防弾制服(ヴィローザ)(ネロ)】……これからキンジ達はチームを本登録して写真を撮るのだが何時撮ったか分からなくするために皆で歴代皆で同じ服を着て視線を逸らして撮るのだが……

 

「お前がその制服着るとマジで怖いな」

 

制服とはいえ基本的にブラックスーツみたいなものだ。端から見たら一毅はマフィアのドンみたいだ。

 

「喧しいわ」

 

キンジの言葉に一毅は肘で突いて笑う。するとキンジは一瞬タイミングを計るような雰囲気を出してから……

 

「一応今回の戦歴は……俺たちの勝ちで良いと思う」

 

そう切り出してきた。

 

「そうだな。どんな形であれ俺たちが勝って相手は撤退した……勝った数は向こうの方が多いけどこっちは数が減ってないのに向こうは減らされてる。まあギリギリってところだろうな」

「ああ……でもさ……一年生達……特にライカとかな……」

 

負けたショックですっかり折れてしまってる。

 

「まぁ……俺はライカに話があるから少し体育館に寄っていくぞ」

「俺も風魔に土産渡してからいく」

 

じゃあ後で……二人はそう言って一旦別れた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

風魔は白装束を着て紙を噛むと脇差しを抜く。

 

「我……人生に一辺の悔い無し……あいや、師匠のお土産の八つ橋食っていないことがさり気に悔しいで御座るが……まあ良いで御座ろう」

 

風魔は和紙を出すと筆に墨をつける……

 

【師匠へ……此度の任の失敗は一重に拙者の力が及ばなかったため……師匠は全く気にやむことはありませぬ……さて、此度の失敗の責を取って潔く腹を切ろうと腹を決めましたがその前に師匠へ伝えたいことがあるで候……拙者師匠は初めて会ったときは突然押し倒してきた上に甘く囁く軟派男と思っておりました。ですが師匠は実は素晴らしい方だと知ることができました……拙者は……あいや、私は……そんな師匠……ではなくキンジ先輩が……その……す……す……】

 

風魔の筆が止まる。

 

「こ、ここから先が書けぬで御座る……」

「何が書けないって?」

 

風魔はビックリ仰天しながら振り替える。

 

「お前玄関に鍵もかけてねえしチャイム鳴らしてもドアを叩いても反応ねぇから勝手に入らせて貰ったぞ……て言うかなんだその格好……しかもなんか書いて……」

「キャウワァアアア!!!!!!!!!!!!」

 

風魔はキンジが覗こうとしたのを体を張って阻止して紙を丸めると口に放り込みゴックン!と飲み込んだ。

 

「おま!腹下すぞ!」

 

今度はキンジがビックリした。

 

「つうかホントなんだよその格好……まさかお前切腹でもするわけじゃあるまいし」

「そのまさかでござる」

 

風魔は脇差しを抜く。

 

「師匠……ちょうど良いので介錯を」

「できるか!」

 

スパーン!っとキンジは風魔の頭を叩くと脇差しを奪う。

 

「全く……何したいんだよお前は」

「ですが師匠……此度の敗北一重に拙者の力不足……」

「馬鹿……だったら力つければ良いだけだろうが」

 

キンジは頭を掻く。

 

「お前はやられっぱなしで終わる気か?」

「師匠……」

「あのな、一回二回負けたくらいで死んでたら俺は何回死ぬことになるんだ?」

「そんなに負けていたんでござるか?」

「普段の俺は勝率最悪だよ」

 

ヒステリアモードになってれば話は別だが……素の状態ではアリアにはボコボコにされるし一度だけ一毅と殴り合いを演じたがあれだって一毅が自分に合わせて戦った故で本来だったら一毅の方がずっと上だ……多分……バスカービルでは自分が最弱。でも……

 

「でも俺は自分が弱いと言う気はない」

 

言葉にしたらそこで止まってしまう気がするから……言葉にしたらそれを言い訳に努力を辞める気がしてしまうから……

 

「武偵にとって普通敗北は死を意味する。それなのにお前は生き長らえた……それはすごい幸運だ。ならそれを利用しない手はないだろ?」

 

二度目がある幸運を使うのだ………使って強くなって次に勝てばいい……キンジはそう言う。

 

「師匠……」

「俺ももっと強くなんねえとイケないしな」

 

キンジは風魔の隣に座りながら頭を撫でてやる。

 

「お互い強くなろうぜ」

 

キンジは優しく言う。

風魔は自分の頬が熱くなるのを感じた。

 

「はい……」

 

消えそうな声だったが風魔はそれでもしっかりと頷いた。

 

「さて、この生八つ橋でも食べて元気出せ」

 

キンジが袋を渡す。

 

「感謝でござる……む?何でござるかこれは」

「ん?服だ。序でに買ってきた。お前に似合いそうだと思ってな」

 

黒を基調として所々明るいラインも入ったワンピース……風魔は普通の服をろくに持っていない(家が物凄く貧乏だからだ)ため1000円セールの物だが買ってきたのだ。

 

「し、師匠……」

 

風魔は感動した顔だ。そんな感謝されてもキンジとしては安売りの物なので少し罪悪感がある。

 

「これは家宝にするでござる!」

「いや、着てくれた方が嬉しいんだが……」

 

キンジはため息を吐く。

 

「じゃあ風魔……俺はそろそろいくぞ」

「あ、その前に師匠」

「ん?」

「拙者のことを陽菜と呼んでは下さらぬか?そうしたら拙者もっと元気が出るきがするでござるよ」

「はぁ?」

 

しょうがない後輩だとキンジは肩を竦めると……

 

「待たな、陽菜」

 

そう言ってから出ていった。

 

「……プハァ!」

 

その場には鼻血を吹いて倒れる白装束の少女が一人いるだけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方……

 

「はぁ……はぁ……」

 

ライカはサンドバックを叩くが力がない……体力が限界だ。

 

「荒れてんなぁおい」

「っ!」

 

体育館に入ってきた一毅をみてライカは顔を逸らす。一番顔を会わせたくない人だった。

 

「ほら!」

 

一毅は冷たい缶ジュースを投げるとライカはキャッチする。

 

「全く……そんな無茶苦茶突いたって意味はないって」

「分かってます!」

 

ライカは自分でも驚くほど大声をあげた。

だが一毅は優しげな笑みを浮かべる。

 

「何があった。ただ負けたんじゃないだろ?昨夜は俺も事情聴取で部屋に帰れなかったし今日になって戻ってみればお前も居ないし心配したんだぜ?」

「…………」

 

ポツ……っとライカの足元に滴が落ちた……

 

「使いこなせないって言われました……二天一流は私には使いこなせないそうです……何ででしょうかね……何で私は……でも一番許せないのは一毅先輩が凡愚だって言われたのに負けたことなんです。自分に一番腹が立って許せないんです……」

 

一毅は黙って聞いていた……そして口を開く。

 

「分かっていたよ」

「え?」

「お前に使いこなせないのは分かっていた……でもな」

 

一毅はライカを見る。

 

「あくまでそれは()()()()って注釈は付くけどな」

「どう言うことですか?」

「大方お前は体格が大柄な訳でもなければ力だって弱いとかそんなもんだろ?言われたの」

「はい……」

「じゃあココで問題だ……桐生が皆俺みたいだったと思うか?」

「?」

「聞き方変えよう。桐生が皆大柄で力に恵まれていたと思うのか?」

「それって……」

「確かに大多数はそうさ……でも中には例外がある……時々居たんだ……体格に恵まれず腕力にも恵まれなかった桐生がな」

「っ!」

 

ライカは目を見開く。

 

「だがそいつらも人生の中で戦い続けた歴戦の戦士だ」

「どうやって……!!!!!!」

「二天一流の技は……才能で使いこなせるかが決まる。お前に教えたのはまだ第一段階。使いこなせるかは第二段階……つってもそこで終わりなんだけどさ」

 

一毅は一度呼吸を吸う。

 

「二天一流の技は秘剣、組小太刀、豪剣、必殺剣……そして拳技で5つある。桐生はどれも使えるけどやっぱり得意なのは人それぞれだ……でも実はどの技も未完成なんだよ」

「……はい?」

「二天一流は多くの技があるけどどれも完成はしていない。いや、敢えて完成させてないんだ。そうして未完成の技を基礎に覚えさせてそれぞれが完成に持っていく」

「っ!」

「分かるか?二天一流は使うものがそれぞれ違う形で使っていくんだ。だから俺が使う二刀流の技と親父が使う二刀流の技は違うんだぜ?まあ俺もまだ改造中だけどな」

「……つまり……」

「ああ、お前は確かに今のままじゃ使えない。でもな、お前が自分自身で使える二天一流にすることはできる。火野 ライカ専用の二天一流に変えることができる。いや、するんだよ」

 

ライカは自分の体に電撃が走ったような気がした。

 

「私の?」

「ああ、俺が教えた二天一流を自分のやり方で作り替えるんだ。相談には乗るけど……お前が自分でやるしかないぞ」

ライカは自分の手を見た……

 

「出来るんでしょうか……」

「出来るよ……俺はお前の才能を信じてっからな……それにお前の拳は真っ直ぐだ」

「え?」

「まっすぐで……素直な拳だ。きっと出来るよ」

 

一毅はライカの頭に手を置く。

 

「信じてるぞ」

「……はい!」

 

やっとライカは笑った。

 

「じゃあ俺もう行くからな」

「一毅先輩!」

「ん?」

 

ライカに声をかけられ見る。

 

「次は勝ちますから……絶対に勝ちますから!」

「……ああ、勝てよ!」

 

一毅がサムズアップをするとライカもサムズアップで返す。

 

「今夜は焼き肉だぞ」

「やったぁ!」

 

ライカが飛び上がったのを見てから一毅は集合場所に向かった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「二人ともおそーい!」

『悪い悪い』

 

同じく【防弾制服(ヴィローザ)(ネロ)】を着用した理子の文句を聞きながら一毅とキンジは苦笑いする。

 

「ほらほら急ぐわよ」

「キンちゃんカズちゃんはやく」

 

アリアと白雪も二人を引っ張る。

 

「一毅さん、ライカさんは大丈夫ですか?」

 

レキの質問には一毅はニッと笑って答える。

多くの言葉は要らないのだ。

 

「おらぁ!お前ら!さっさと集まらんかい!」

 

蘭豹の怒声に慌てて並ぶと斜を向く。

 

「チーム・バスカービル結成!!!!!!」

 

そうしてパシャっとシャッターが切られ登録が完了した……

 

 

因みに余談だがシャッターが切られる直前白雪がバランス崩して転びアリアを巻き込んだが今度はアリアがキンジを引っ張って更にキンジが一毅を引っ張り一毅が理子の髪を引っ張って最後にレキを抱き込んで全員で転んだ結果登録写真は全員で地面に突っ伏した状態と言う何とも締まりの無いが中々バスカービルらしい写真が撮れたのであった……




やっと終わりました!次回談話挟んでもうひとつ何かやってそれから戦役が始まります。
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