緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍とくじ引き

『…………』

 

誰も口を開かなかった。キンジに至っては背中に背負ったアリアの漏らす呼吸だけがアリアの生存を教えてくれている気がしていた。

 

「あ、その前に少し寄る場所があるので先にいっていてください」

 

ふらついた足でメーヤが行こうとするので、

 

「俺も行く。先に行ってくれ」

「あら良いんですよ?」

「そんなフラフラで置いて行けませんて……」

 

一毅はメーヤに付き合って道を変えた。

 

「……遠山侍……そんな死にそうな顔をするでない。今はまだ大丈夫じゃといっておるだろう」

「ああ……」

 

レキが撃たれたときの一毅の気持ちが今になって少し分かるような気がした……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのメーヤさん?」

「メーヤで結構ですよ?あまり年下には見えませんし」

 

確かに一毅は背が高いし上背もあるし比較的老け顔だが……

 

「じゃあメーヤ……どう見ても酒だよな?これって」

 

ちなみに一毅とメーヤは現在コンビニにて並んで買い物中である。

因みに一見すさまじい美女に付き従う野獣に見えなくもなく他の男から羨望処か呪詛を送られてる感じがあるがすぐに霧散する。どちらも背中に大剣背負ってるしメーヤが買おうとしてる酒の量……バーボンやらウォッカに飽きたらず焼酎、ワイン、ビールに果実酒と度数の強いものから弱いものまで何でもござれ……

 

「はい、本来は禁止されていますが例外で許されています」

「いや、そこじゃなくて……」

「あ、ついでに私酔わない体質なんです」

「そこでもなくて……」

「せっかく日本に来たんですし日本酒も買いましょう」

「体壊すぞ……」

 

一毅が至極真っ当な突っ込みを入れた。

 

「大丈夫ですよ。超能力や魔法を使うものは使用後に大量に何かを接種しなければなりません。私はお酒なんです」

「へぇ~」

 

そりゃ初耳だ。もしかしてその明らかに重たい剣を背負える辺りはその辺の力が働いてるのかもしれない。

 

「暴飲の罪をお許しください主よ……」

 

暴飲とそういうレベルかなぁと内心一毅は突っ込むが黙っておく。

 

「こ、此方ですか?」

 

店員のひきつった笑みは当分忘れられそうにない……

 

 

 

さて買い物を済ませて外に出る。

 

「あ、お持ちしますよ。私の買い物ですから」

「良いよ別に。これくらいなら男が持つ範囲だ」

「……ふふ」

 

メーヤが笑ったため一毅が眉を寄せる。

 

「何がおかしい」

「いえ、私を女扱いする人は居ないものですから」

「む?」

 

確かにそんな大剣背中に背負った女は珍しいかもだが……

 

「どう見ても女だろう?」

「まぁ」

 

メーヤは少し頬を染めると笑う。

 

「ダメですよ。彼女さんがいらっしゃるのに」

「?」

 

一毅には良くわからなかった。なので話題を変えることにした。

 

「それ振れるのか?」

「はい」

 

そう言って抜いてピュンピュン振り回す……って!

 

「抜いて見せんでいいから!」

「そうですか?」

 

周りの人間も怪訝な目で見てるがメーヤが美人で一見線が細い女性のためかコスプレと思ったらしい。

後さっきは戦闘とかで気づかなかったがメーヤってトンでもなくスタイルがいい。比較的ユッタリとした服であるローブを着ているのに関わらずバインバインと良く揺れる……レキは勿論ライカだって目じゃない位だ。

 

(良かった……俺にヒステリアモードがなくって……)

「どうかしました?」

「イヤナンデモ……」

 

一毅とメーヤは帰路を急いだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

二人がキンジの部屋に着くと丁度玉藻がアリアに何かやって終わったところだった。

 

「桃饅ツリー……」

 

涎を滴ながら寝言を呟くアリア……それを見てやっとキンジも緊張を解いた……

 

「さて水飴はないかの」

 

玉藻は当然のように冷蔵庫を開けて理子のプリンを出すと、

 

「匙……匙はと」

 

当然のように食べ始めた、

 

「おい……」

 

キンジの突っ込みもようやく復活して玉藻をにらむ。

 

「そう急かすな。儂も疲れたんじゃ。少し暗い甘いもんを食べさせぃ。相変わらずせっかちじゃのう遠山侍は」

「俺の先祖を知ってるのか?」

「数代前の遠山侍、星伽巫女、桐生と少しな。まさか今代もその代の再臨になっていたのには驚いたがな」

『あんた一体幾つだよ……』

 

一毅とキンジがボヤくと、

 

「今年で803……って女に年を聞くんじゃない!」

『いでぇ!』

 

バチコーンっと玉藻にぶっ叩かれた。

 

「そう言えば俺の初代も知っていたみたいだけど?」

 

頭を抑えながら一毅が聞く。

 

「あやつが祇園に流れ着いた頃から知っとるわい。あいつと来たら普段は飲んだ暮れとるか煙管吹かしてるかなのにいざというときは便りになるやつじゃった。長いこといろんな男を見てきたが儂ら神格の位に届かんとしたやつはあやつくらいじゃろう」

「そんなに凄かったのか?」

 

一毅が聞くと玉藻は鼻を鳴らした。

 

「少なくとも今ではお主と遠山侍とメーヤが纏めて掛かっても一人10秒持てば奇跡じゃ」

『…………』

 

一毅とキンジはポカーンとしてメーヤ持っていた酒を落としそうになっていた。

 

「まああの時代の奴はそんなのばっかりじゃ。勝負の重さが今とは比べ物にならん。今でも生きるか死ぬかの決着等とほざくものが居るがあの時代はそんなもの言わずとも当たり前の世の中じゃったからの。まあ一馬之介はその中でも隔絶した強さであれと渡り合えたのは殆ど居ない。全くと言う訳じゃないがな」

 

玉藻がプリンを食べ終わると丁度ドアが空いた。

 

「レキ?」

「怪我は……無さそうですね」

 

レキは次にアリアを見る。

 

「安心せい璃巫女よ……アリアは無事じゃ」

「璃巫女?」

「私のことです。一毅さん」

 

レキが手をあげた。

 

「お主らは知らんのか?まあ遠山も桐生も廃れつつあるからの」

 

玉藻は少し目を細める。

 

「世界には三つの色金がある。お主らも知ってる緋緋色金……ウルスが保有する璃璃色金……何処にあるかはわからんが存在する瑠璃色金……それを守護し管理する者を巫女と呼ぶんじゃよ」

「じゃあ緋緋色金のは緋巫女……ん?」

 

一毅が首をかしげる。確かその名前って白雪の……

 

「その辺は追々な……」

 

あからさまにはぐらかして来た。

 

「ともかく今のアリアは一時的に危機を脱したが傍観できるものではない」

「直ぐに殻金を取り戻さなければ……ですね」

 

クピクピお酒を飲むメーヤが言うと玉藻がうなずく。

 

「結局あれはなんだったんだ?」

「抑え弁みたいなものじゃよ。昔の星伽が作った殻じゃ……知らんじゃろうから教えておくが色金の力を使えるようになることを【法結び】と言う。これは問題ないんじゃが大質量の色金を長期間保有し続けるとその先……【心結び】と呼ばれる状態になる」

「なるとどうなるんだ?」

「緋緋神……戦と恋を愛する神になる」

「緋緋……」

「神?」

 

キンジと一毅はアリアを見る。

 

「そうなったらおしまいじゃ。殺せ」

『っ!』

 

キンジと一毅の顔が強張る。

 

「じゃが殻金を取り戻せれば大丈夫じゃ。すべてで七枚。儂とメーヤが二つ揃えたため残り五枚……それを取り返せれば大丈夫じゃ」

「……緋緋神ってのはヤバイのか?」

 

一毅が聞くと玉藻は目を伏せる。

 

「昔居った……帝を拐かし戦を起こさせ遠山、星伽、桐生に討ち取られたのじゃ」

『…………』

 

するとレキが口を開いた。

 

「アリアさんは何時までモツんですか?」

 

聞きにくいこと……ではあるが聞かなければならないことだ。

 

「2、3年じゃろうな。山勘じゃが直ぐと言うことはないだろう」

「どちらにせよ……」

 

キンジは口を開く。

 

眷属(グレナダ)とは戦うんだろ?目的が一つ増えるだけだ。問題ねえ」

「だな」

 

キンジの言葉に一毅はうなずく。

 

「何じゃ今代の遠山と桐生は随分好戦的じゃのう……」

 

玉藻は少し驚いたような顔をしていた……

 

 

 

 

 

 

「おいレキ」

「?」

 

部屋を出ると一毅はレキに声をかける。

メーヤは酒を補給し終えるとカツェを追ってドイツへ、玉藻は鬼払結界(きばらいけっかい)師団(しだん)の人間以外入れなくさせる結界らしい)を張るためにどこかへ消えてキンジはアリアの看護をしている。

 

「何があったんだ?」

「何のことです?」

「誤魔化すな」

『…………』

 

語意が強くなる。珍しく一毅はレキに対して怒った口調だ……

 

「お前の口調が少ないのは何時もの事だ。でもお前は心ここに在らずじゃないか……さっきの狙撃だって明らかにアリアの救出までの行動が遅かったしさっきか何か思い悩んでるんじゃないか?」

「…………」

 

レキは手すりの方を向く。

 

「……今回ウルスの代理大使として来ていた少女を覚えていますか?」

「ああ」

「彼女は……私の妹です」

「え?妹!?」

 

何か似たような雰囲気を何処かで見たような気がしたがそうかレキか一毅は納得する。そりゃ見たことあるはずだ。いっつも顔を会わせてるのだから……

 

「流石に揺れましたね……いきなり自分の妹が居たときは驚きました……」

「……」

「我ながら人間臭くなったものです」

「そうだな……でもいいんじゃないか?」

「良くないですよ……私が不甲斐なかったかぷ!」

 

一毅はレキを黙って抱き締めた。

 

「そうだな。もしかしたらアリアは殻金奪われなかったかもしんないけどIFの話ししたって世話ないぜ?奪われたら奪い返せばいい。今度はしっかりやればいいだろ?あんまり自分責めんな。彼女の失敗の後始末くらい幾らだって手伝ってやるくらいの甲斐性はあるんだぜ?」

 

一毅はレキを優しく撫でる。

 

「さ、帰るぞ」

 

と言っても隣の部屋だけどな。と笑うとレキも笑う。

そうして二人は自室に帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん……」

 

キンジは微睡みから朝日で目を覚ます。

 

「あ……わわ……」

 

目を開けると目の前でアリアが手鏡で自分の首筋を見ている。

 

「こ、こここの……」

「あ、アリアさん?」

 

キンジは恐る恐るアリアを見る。

 

「なんちゅう事してくれてんのよエロキンジィイイイイイイイイ!!!!」

「ええ!?」

 

首筋に唇の形をした赤い鬱血を着けたアリアの右ストレートが決まる。

 

「ぶべぇ!」

 

キンジがゴロゴロと酒の瓶をひっくり返しながら転がる。

 

「いっつぅ……」

 

キンジは素早くアリアのブチキレた理由を推理する。

 

首に唇の形をした鬱血……周りには散乱した酒の瓶……

 

「酒に酔わせて昨日の記憶がないけど流石に分かるわよ!」

 

こっちもアリアがどんな勘違いをやらかしたか分かった。

 

「ま、待てアリぶば!!!!」

 

まあ推理できたからと言ってアリアに事情を説明できるわけなくキンジはアリアが冷静になるまでボコボコにされたのであった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結論から言ってアリアには昨夜の記憶がなかった。そのトホホと言うか本当にシャーロック・ホームズの曾孫か心配になる記憶力だった。

 

「しっかし今朝もすごいですね」

「今朝も?」

 

レキの一言にアリアは眉を寄せた。

 

「毎朝と言うか何時もじゃねえか」

「あんたたち喧嘩売ってるのね?」

 

一毅とレキをアリアがにらむがどこ吹く風だ。

さて、現在バスカービルの面々は体育館にいる。

何故なら今度文化祭をやるのだ。しかも一毅のクラスを含めいくつかの暮らす合同で変装食堂(リストランケ・マスケ)……言わばコスプレ喫茶なのだがこれでは変装技術も評価される。つまりガチでやらねば先生からフルボッコなのだが何の変装するかはくじ引きで決める……

 

「では白雪お姉さま」

「う、うん」

 

白雪は手伝いで回っている志乃の持つ箱からくじを引く。

当たり外れが大きいこのくじは緊張の瞬間……

 

「先生(小学校から高校まで任意)」

 

比較的当たりだ。次に理子、

 

「ガンマン?やるやる!」

 

楽しそうだなぁ~っと一毅は理子を見る。次にレキ……

 

「化学者?良いですね」

 

一応一回までなら引き直しが認められているがここまではバスカービルが順調……すると入れ替わりで今度は陽菜が来た。

志乃の紙がなくなったのだろう。

 

「ささ、師匠どうぞ」

「ああ」

 

キンジは抜く……そこには、

 

「銀河鉄道999?」

 

鉄郎か?車掌か?と続きを見ると、

 

「に出てくるメーテル……出来るか!引き直しだ!」

 

キンジは紙を投げ捨てる。まさか色物の一つである女装を引くとは……理子なんか笑っている。

それを尻目に引くと……

 

「警察官(警視庁・巡査)……まあ良いか」

 

キンジはホッとしながらアリアと変わる。

 

「行くわよ……!」

 

シュバっとアリアはくじを引く……そこには、

 

「アイドル?」

『ぷふぅ!』

 

バスカービルの面々は愚か周りの人間や陽菜まで吹き出しかけた。

 

「ア、アイドルってあれよね?テレビの前で歌ってる……そうよねキンジ?」

「あ、ああ……ププ」

 

でもアリアは……

 

「そうだなアリア……お前はあれだよ。【KONNANじゃない!】とか歌えば似合うんじゃないか?」

「似合うと言うか声は同じ……ぷぷ!」

 

理子は意味不明な事を呟いて笑うのを抑えている。

 

「ええいチェンジよチェンジ!」

 

アリアは引き直す……そして、

 

「小学生(8歳)……」

『ぶは!』

 

遂に全員の笑いを抑える臨界点が限界を迎えた。

 

「に、似合いすぎ!!!!プギャー!」

「うぉら!」

 

ぶちギレたアリアは理子にローキックをかます。

 

「お、落ち着けアリア!」

「キンジ逃げるなぁああああああ!!!!」

 

無論今度は変更を認められないのはアリアも重々承知であるためキンジへの八つ当たりへ移行する。他の皆もキンジへアリアの怒りが向いていれば安全なのを知っているため喜んでキンジを生け贄に捧げた。

 

「あ、一毅先輩」

「おおライカ」

 

一毅はライカの持っていた箱に手をいれる。

 

「ええと……新撰組隊士(三番隊組長)……」

 

多分……当たりだろう……だが自分が新撰組の格好……刀は自前であるが……似合うとは思うが多分客が逃げるだろう。ただでさえおっかない顔なのだ。

 

「チェンジだ」

 

一毅は手を入れ直す。

外れはキンジが先ほど引いたばかりだ。そう引くこともあるまい……そう思っていた。

 

「何々?……………【伝説の極道】?」

 

何か巨大な力が働いたような気がした……

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