緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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龍達の準備

夜間の教室……星空が見守るその下で複数の男女が時に賑やかに……時に沈黙の中で作業を続ける。その場は一種の聖域……不遜なるものが入ろうとすれば間違いなく成敗されるだろう……だが扉が開かれる。その扉を開け入る男の特徴……オールバック一歩前位にまで上げられた髪……深紅のワインレッドシャツを上のボタン二つまで外し襟をたてる……極めつけにグレーのスーツを着用し靴は蛇柄エナメル靴……それを見た者たちは思う。ただ者じゃない!

 

「や、ヤクザだぁあああああ!」

「武偵高校に殴り込みに来たぞ!!!!」

「何しに来やがった!」

「け、警察……もしくは武偵を呼んで!」

「任せろ……って武偵は俺たちだ!」

 

皆揃って好き勝手言う。

 

「おい!俺だよ!桐生 一毅だよ!!!!!!!!」

 

伝説の極道に扮した一毅の怒りの声が響いた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前似合いすぎだろ……」

 

警視庁巡査の格好に扮したキンジが苦笑いする。

 

「喧嘩売ってるのか?」

「別にいいけど逮捕すんぞ」

「ロリコン巡査か……色々ヤバイな」

「ぜってぇ逮捕したる!」

 

極道と警察が喧嘩する……なんか変な絵面である。

 

「ダメだよ二人とも」

「いいんだよ白雪。ちょうどいいから使い込んだ感じ出すのに少しヨレヨレにしないといけないんだからな!」

「俺にもちょうどいいんだよ!」

 

ボカスカボカスカボカスカ……と殴り会うこと5分……

 

「……………」

「俺に喧嘩で勝つには100億光年早いぜ」

「バカ……光年は距離だ……」

「あ……」

 

キンジは頬を押さえながら立ち上がる。最近すっかり体の頑丈さと復帰までの速さが羽根上がったキンジである…… その内心臓止まっても復活するんじゃないだろうか……流石にないな……ないよな?

 

「で?小学校の先生か?」

「うん」

 

白雪は白のワイシャツに黒のタイトスカートとストッキング……うむ、何かR18指定が掛かりそうな絵である。

 

「ふへへ…色々ダメだよ遠山くん……鍵閉めないとね……」

『?』

 

何かトリップしてるがそっとしておこう。

 

「なあ白雪……」

 

キンジがそっぽ向いてる間に一毅がそっと近づく。

 

「小学校の時の……もっと詳しく言うと小学一年生くらいの時のキンジの写真あるんだけど買う?」

「買います!幾らなのカズちゃん!金に射止めはつけないよ!」

「一枚白雪ならいくら払う?まさか安くはないだろ?キンジへの愛が」

「い、一枚5000円……」

「縁がなかったな。白雪」

「10000円!!!」

「がっかりだぜ」

「12000円!!!!」

「その程度か?」

「15000円!」

「毎度あうぉ!」

「てんめぇ!」

 

キンジの飛び蹴りを慌てて躱す。

 

「何をする!」

「お前こそなにしてんだ!」

 

人のショタ写真を幼馴染みに売ってボッタくろうとする幼馴染みにキンジはぶちギレていた。

 

「別にいいじゃん。正当な取引だ」

「どこがじゃ!」

 

キンジの怒りのドロップキックを一毅は掴んで投げ飛ばす。

 

「ちっ!」

 

キンジは空中で体制を戻して着地すると睨み会う……そこに、

 

「喧嘩は外でしてください。迷惑になりますよ」

『レキ?』

 

研究者の格好をしたレキがポケットから薬を出す。

 

「あまり騒ぐと薬漬けにして実験材料にしますよ?この薬の効果は一年の某毒の使い手の女の子から頂いたため信用できる品です」

『こえぇよ!!!!!!!!』

 

一毅とキンジは同じタイミングで突っ込む。無表情だからか余計にこわい。と言うかその薬の調合人は間違いなく最近あかり達とつるんでいる夾竹桃だ。

 

「バキューン!」

 

そこに理子が登場。ちゃんと銃も古い物だし服もあのギザギザみたいな奴がついている。殆んどがCVRからの借り物の中で自作なのだから恐れ見る。

 

「似合う?」

 

理子の問いに一毅とキンジは素直に頷く。理子はこういう服が着なれてるし物怖じしない。

 

「キー君もカズッチも似合ってるよ~」

「そりゃどうも」

「あんま嬉しくねぇな」

 

キンジと一毅それぞれの反応に理子が笑うと、

 

「遠山くん!」

「ん?その声平賀さあぁあああ!」

「どうしたキンいいいいいいい!」

 

キンジと一毅は飛び上がる程びびった。後ろにはなんとケバケバしい化粧をした合法ロリ……平賀 文である。

 

「遠山くんに頼まれていたグローブができたので持ってきましたのだ!」

「あ、ああ」

 

キンジが受けとる。

 

「名前はオロチ!大事にして欲しいですのだ」

 

キンジはオープンフィンガーグローブと呼ばれるグローブをひとつ受けとる。

 

「ん?もうひとつお願いした筈なんだが」

「少し遅れてますのだ。でももうすぐ完成するから待って欲しいですのだ」

「分かったよ」

 

キンジはポケットにしまう。

 

「お前まさか銃弾逸らし(アレ)を通常技にする気か?」

「まあ……使う事態になりたくはないけどな」

 

両手を#の形にして銃弾をそらす荒業……一毅もやろうと思わない。

 

「そのうちお前銃弾を止めそうだな」

「出来るか」

 

すると、

 

「う~……」

 

廊下から唸り声が聞こえる?

 

「あ、そう言えばアリアも着てたんだ。おーい!」

 

理子が廊下に出ると……

 

「やめなさい理子!!!!!!!!風穴よ!」

「良いではないか~」

 

引っ張り出されたのはアリア……ブラウスにスカートと赤いランドセル……ぷぶ!

 

「く……えん!あ、アリアも出来たんだな」

 

キンジは爆笑を咳で誤魔化す。

 

「はいアリアちゃん自己紹介しましょうね~」

 

白雪も口角が上がりそうなのを表情筋で抑えながら言う。

 

「そうだよぉアリアちゃん」

「理子ぉ……あんたそれ言いたいだけでしょう」

 

一毅も星が綺麗だなぁみたいな感じで空を見上げているが顔のにやけが止まらない。

クラスの中でも笑いを押さえる雰囲気の中でも唯一変わらないのがレキ……ブレないな。

 

「お名前と年は何ですか?」

 

レキが聞く。ちなみに服を着て一時間はそのキャラになりきらねばならない。

 

「か、神崎ぃ!アリア……はははははは8歳ですぅ!!!!!!!!」

 

遂にクラスの笑いを抑える門が瓦解し笑い声と共にガバメントの銃声が夜空に吸い込まれていった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅ……」

 

何時もの防弾制服に戻った一毅とレキは帰路を歩く。

 

「いや~服の都合上弾がマガジン一本分しかなかったのは良かったな」

「と言うかあそこにアリアさん引っ張り出した理子さんはいつのまにか消えましたしねぇ」

「確か誰だかが知り合いが呼んでるとかで理子を引っ張っていったぞ」

「ほぅ」

 

理子の知り合い……どんなやつだろうか。

あんな性格だったら嫌だなぁ……

 

「それにしても皆さん楽しそうですね」

「まあな」

 

ああいう雰囲気は不思議と人の気分を高揚させる。

 

「そう言えば今回の裁判でアリアさんのお母さんは恐らく無罪となるでしょうし……アリアさんとこういった行事をできるのはもう無いんでしょうね……」

「こっちに住めばいいのにな」

「そう言うわけにも行かないでしょう。向こうの武偵庁が手放すとは思えません」

「んのわりに雑に扱ってたみたいだけどな」

 

アリアの功績を自分達の功績にしたりとかな……

 

「ん?」

 

すると一毅とレキの目の前に後ろに一本に縛った銀灰色の髪を揺らし狙撃銃・H&K(ヘッケラー&コッホ) PSG1を持った少女……

 

「久し振り。お姉ちゃん」

「……ええ、ロキ」

「へぇ、ロキって言うのか」

 

多分……レキの下だからロキって言うんだろうが安直な付け方だ。もし姉がレキにいたらルキ、リキ、ラキと上がっていくのだろうか……

 

「俺先帰ってようか?」

 

久々に姉妹水入らずで話したいこともあるだろうと一毅は気を効かそうとする。

 

「必要ないよ。私はあんたに用があるんだ」

「え?」

 

一毅はポカンとするとロキは一毅を指差す。

 

「何れ……私はあんたを殺す」

「どう言う事ですか?ロキ」

 

ロキの言葉を聞いてレキが殺気を滲ませた。

 

「言ったまんまだよお姉ちゃん……この男はお姉ちゃんを不幸にする……事実お姉ちゃんは弱くなったよ……ウルスを出る前はもっと凄かった……こいつがお姉ちゃんを弱くしたのなら……私は桐生 一毅を殺す」

「っ!」

 

レキがドラグノフを向けようと銃を抜こうとする……

 

「やめろレキ」

 

だがそれを一毅は制した。

 

「俺は構わない。俺が気に入らないなら来ればいい……ただウルスは無所属なんじゃないのか?」

「これは極東戦役(FEW)とは関係ないよ。言うならばウルスの問題」

「そうか。で?まさか今やるのか?」

「今はしない」

 

そう言うとロキは背を向けた。

 

「バイバイ」

 

手を振ってロキは去る。

 

「恨まれてんなぁ俺……」

「すいません……妹が」

 

一毅はレキの頭に手を置くとグシャグシャと撫でる。

 

「あいつの考えは分かるから良いよ」

「え?」

 

レキの疑問を無視して一毅は歩き出す。

 

「どう言う事ですか?」

「秘密だ」

 

レキの疑問に一毅は曖昧に笑ってゴマしていた……

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