緋弾のアリア その武偵……龍が如く   作:ユウジン

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金と妹の日常

自称妹ことかなめが無理矢理家に来た次の日の朝……キンジは沈痛な面持ちで食卓についていた。

宅の上にはかなめが時価数億ドルの予算で作られた万能バイザーで作ったカレーライス(作った人が泣きそうだ)がある。

一見楽しい楽しい家族の団らんだがかなめには別の狙いがある。

それはお兄ちゃん(キンジ)と一線を越えた関係になってイチャラブすること……その為か昨夜来たばかりなのに甲斐甲斐しくキンジを世話していた。

 

(まあ朝からカレーでも俺は良いんだけどな……)

 

キンジは若い男なので朝から比較的カロリーが高くて濃いめのものでもあまり困らない。むしろ食う量は最近増えた方だ。

 

「美味しい?」

「ん?あ、ああ……旨いぞ」

「良かった~」

 

そんな安心したような嬉しいようなそんな顔をするなよ……やりにくくなるだろとキンジは微妙な気分になる。

 

そんな朝食を終えて歯磨きを終えて登校の準備を済ませると、

 

「そういえば昨日隣の部屋から物凄い殺気したけど何かあったのかな?」

「さぁな」

 

一毅の部屋からだったが何かあったのだろうか……しかも物凄い音が聞こえていたが……まあ何か一大事であれば何か言うだろうし大丈夫だろう。

 

「まあいいや、ほらお兄ちゃん学校行こうよ」

「あ?お前は来れない……何でいつの間にか制服に着替えてんだよ」

「今日から私も武偵高校に編入したんだ~」

「何だと!?」

 

キンジが驚く中かなめはキンジの腕に抱きつく。

 

「さ、行くよ」

 

キンジはかなめに引っ張られつつ、

 

「嘘だろ……」

 

そう呟いた……

 

 

 

 

 

 

 

「おうキンジ……」

「か、一毅か?」

 

外に出ると一毅に会う。だがキンジの表情はこわばった。一毅の顔はまさにボッコボコといった風情だ。

両目にアオタン(まるでパンダだ)やほっぺに引っ掻き傷に殴られ後と思われる傷まである。

 

「お前……一体どうしんだ?」

「いや、少しな……」

 

一毅は遠い目をした。すると、

 

「あ、キンジさんおはようございます」

「あ、キンジ先輩もこれからですか?」

「おはよー」

 

レキ、ライカ、ロキの三人が出て……

「え゛?」

 

キンジは絶句した。

なんとレキとロキまでボロボロだった……ライカも少し怪我してるようだが見たところ巻き込まれた結果という感じだ。

 

「何があったんだ?」

 

するとライカが、

 

「昨日レキ先輩とロキがバトっただけです」

「は?」

「どうにか居住権だけは得たもんね……」

「住むのを許しただけです……」

 

どうやら昨日の騒ぎはこの二人が喧嘩した音らしい。

 

「で、ライカは巻き込まれたと?」

「だって行きなり帰ってきたかと思えばロキに出ていくように言ってそれを拒否したら……」

 

ライカが昨夜のことを語り出す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ロキ、今ならまだ間に合いますからこの部屋の外に出なさい」

「やだよーだ。ベー!」

 

ロキがあかんべーをするとレキの眉が寄る。

 

「あまり聞き分けがないと実力行使といきますよ?」

「やれるならどうぞ~。運動神経は昔から私の方が良かったしぶっ!」

「っ!」

 

目撃者ライカは語る。レキが放った平手打ちは強襲科(アサルト)の目で見ても腰の捻りやタイミング等があまりに完璧で更に当てる位置も鼓膜を破かないようにだが脳は揺れるように絶妙な角度と威力を組み込んだものだったと……

 

「いったぁ!なにすんの!」

「ぐっ!」

「っ!」

 

だがロキも咄嗟に首を叩かれた方向に捻って衝撃を逃がすと素早く体を捻ってレキに掌打を打ち込んだ。

 

『………………』

 

ゴゴゴゴゴ……と二人の間に炎が燃え上がる。

 

「あ、あの二人とも落ちつい……」

『邪魔(です)!!!!!』

「がっ!」

 

止めようとしたライカはレキとロキのダブルアタックでぶっとばされた……

「い、つつ……」

「ら、ライカこっちだ……」

 

すると一毅に影に引っ張られた。

 

「か、一毅先輩なにし……」

 

ライカは固まった……

 

「そ、その顔……」

「さっきここに入る前にレキにボッコボコにされました……」

 

アオタンや引っ掻き傷をつけた一毅は傷を手で抑える。

 

「て、て言うか止めてくださいよ。部屋が惨状になりますよ!」

「あれを止めろと?」

 

一毅が指差すと既に二人の背中には鬼神と魔神がそれぞれ顕現していた。

 

「と、止まりませんね……」

「だろ?」

 

一毅は遠い目をしてるとレキとロキの喧嘩が始まる。

無論女子同士だしどちらも腕力的には非力な位置に属する。

間違ってもリンゴジュースが飲みたいからリンゴを素手で潰して汁を搾って飲むピンク武偵とかと一緒にしてはならない。

だが二人とも狙いが恐ろしいほど良い。一応命に関わる人体急所を狙わない良識は残っているようなのが幸いだが、その分引っ掻くわ叩くわ姉妹だけあって全く遠慮がない。と言うかする気がない。

 

「この!」

「く!」

 

ベチン!っとロキのビンタ、

 

「ふん!」

「つ!」

 

ガリッ!とレキの引っ掻き、

 

「この無愛想!」

「誰が!貴女こそ胸にそんな肉塊ぶら下げて!」

 

最終的に罵り合いにまで発展した。いや、レキのロキに対する罵倒はあまり罵倒じゃない。

 

「食らえ!」

「っ!」

 

ロキの背負い投げ……だがレキはきっちり受け身を取りロキの足を引っ張るとロキを転ばす。

 

「きゃ!」

「油断大敵ですよ」

 

ベシベシとレキが往復ビンタを見舞ってやっている……

 

「そ、そろそろ止めた方がいいよな?」

「そうですね」

 

一毅は覚悟を決めて立ち上がる。

 

「ん?ライカ少しホッペ赤くなってるぞ」

「あ、さっき叩かれたから……」

「見せてみろ」

 

一毅の顔が近づくとこんな場合だがライカは照れる。

 

「む……赤いのがわからなくなった……」

「そ、それは……」

 

すると、

 

「人が……」

「喧嘩してるのに……」

『え?』

『何してる(んですか)(の)!!!!!』

 

ライダーキックよろしく飛び上がったレキとロキの狙いはいつのまにか一毅に定まっており為す術もなくダブルキックに吹っ飛んだ。

 

「がはっ!……ちょ!二人とも落ち着け!」

『フフフ……』

 

レキとロキの二人が笑った……目は笑っていなかったが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「と言うことがありましてですね」

「いやその後は?」

「思い出すのも怖くて……」

 

何があったのだろうか……凄くキンジは気になったが藪を突いて蛇どころか魔王が出てきそうなのでやめておく。

とりあえず喧嘩してロキは実質的にその部屋のヒエラルキーの頂点(一毅は最底辺にいる)にあるレキから住むことは許可して貰ったらしい。

 

「で?フォースが何でここにいるんだよ」

「今日から武偵高校に通うことになったからよろしくね」

『…………』

 

一毅たちがフォースの言葉に唖然とする。

 

「俺も何がなんだかだしなぁ……」

 

キンジは頭を掻く。

 

(そう言えば……)

 

レキが内心呟く。一毅は忘れているがアリアたちを部屋の前に待機させておいたのだが喧嘩を終えたあといつの間にか消えていた……何処に行ったのか後で聞いてみようとレキは決めた……

 

「取り合えず行こうぜ。遅刻する」

 

因みにその後学校にいって一毅達のボロボロ状態に皆が驚愕したのは言うまでもない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんな事はキンジにとって一毅の問題なのだからある程度までは別に良いのだ。

一番の問題はかなめ……かなめは編入初日からキンジは自分の兄だということを宣伝して回りあっという間にキンジにはすごい美人の妹がいると知れ渡ってしまった。

更に不幸なのはアリアたちが学校に来ていない。何でも何か依頼が入ったらしいが三人纏めて居ないのを考えると何かしらの意図があるのだろう。間違いなく反撃の機会を狙ってると考えられる。

 

(こりゃ何時も通りなるようになるさ作戦で行くしかないか……)

 

キンジは一人廊下を歩きながらそんな適当作戦を考えていると背中をつつかれた。

 

「おにーちゃん」

「かなめ……?」

 

キンジは怪訝な目で見る。今はまだ昼休みだ。特に用事があるとは……

 

「はいお弁当」

「……ああ」

 

キンジはそれを見ると屋上に誘う。意外と誰もいないのだ。

 

「えへへ」

 

かなめは上機嫌でキンジに着いていく。

トントン軽い足取りで二人は上がっていく。

 

(相変わらず身軽だな……)

 

一緒に住んだのは昨日からだ。だが探偵科(インテスケ)のせいで相手の身体的な特徴や動きを見る癖がついている。

それで思ったがかなめは比較的と言うか見ての通り小柄で軽量級……だが自分と同じく蹴りが得意なだけあって歩くときも足音が殆んどしない。さっきだって背中をつつかれるまで全く気づかなかったくらいだ。

更にソファを軽くジャンプして飛び越えて自分の隣に座ってきたりも昨夜してたしその身体能力の高さは目を見張る。

 

「どうしたの?」

「何でもない」

 

キンジはドアを開けると適当な場所に座ってかなめから弁当を受けとる。

まさかカレーじゃないよな?等と考えつつ開けると普通だった。可笑しいところと言えばハートとかが多いことくらいだ。無視しておこう。

 

「幸せだな~」

「なにがだ?」

 

突然のかなめの呟きにキンジは首をかしげる。

 

「お兄ちゃんと一緒に昼に一緒にお弁当食べて嬉しいなぁって……」

「…………」

 

お兄ちゃんじゃない……そう言いたかったが何となく言えなかった。

 

「ねえお兄ちゃん」

「……なんだよ」

「キスしよっか」

「…………………」

 

今度ばかりはスルーできなかった。何と言って?

 

「な、何だって?」

「キスしようよ」

「い、意味わからん!兄妹でとか絶対可笑しいだろ!」

「何で?アメリカでは普通だよ?私がしたいのは意味が違うけどね」

「絶対拒否だ!」

「だってヒスるかもしれないじゃん?」

「っ!」

 

キンジは目を見開く。

 

「ヒステリアモードのことは普通理解されることはない。何故なら性的興奮と言う興奮による変化だもんね。でも私は平気だよ?これからは私でヒステリアモードになれば良いよ。私はお兄ちゃんを受け入れる。そうして互いでヒステリアモードに成れれば最強の兄妹だよ?」

「……俺は別に最強に成らなくて良いし俺を受け入れてくれるやつはいる」

「桐生 一毅のこと?でも異性には……」

「居るぞ」

 

え?とかなめが今度は驚く番だ。

 

「俺の事を言っても受け入れてくれた女は居る」

「……神崎 H アリア?」

「そうだ……俺のパートナーだ」

「ふぅん……」

 

かなめはやっぱりあの女は邪魔だなぁと言う感じだ。

 

「だからって言ってもあいつに手は出すなよ……そんときは俺はお前の敵だからな」

「分かってるよ」

 

かなめはにっこり笑った。

だが心からの納得からは程遠い感じはある。

 

(少し見張ってもらうか……)

 

現在連絡とりにくいんだけどな……とキンジは内心ため息を吐きつつ弁当を完食した……

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