大人の責任(ガチ)(notエロ)   作:教頭

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独りぼっちの愚か者の茶会

 

 

 トリニティで今からやるべき事リスト!

 

 

 ・打倒ベアトリーチェ(must)

 やんなきゃ、キヴォトスはおしまい。しかし、彼女だけ倒せば良いという訳でも無い。

 ・聖園ミカの制御(must)

 壁をぶち抜く死亡フラグの塊。助けたいが、私の人間としての徳が足りない気がする。

 ・桐藤ナギサと縁を作り、助ける

 そもそも一章で失態を犯している為トリニティと縁が無い。あと、彼女もかなりキツい精神状態の筈なので早めに助けたい。

 ・百合園セイアの生存・所在確認・証拠確保

 聖園ミカを任意のタイミングで制御する為には必須

 あと、未来視の喪失イベントは発生させないとヤバいかも

 ・スクワッドを含むアリウス生の救出

 ベアトリーチェを倒せば、形だけは救われるが、心まで救う為には複雑な手順が必要。

 ・シスターフッドの変革

 どうすればいいか、さっぱりわからない。歌住さんと接触した所で何か変わるのだろうか。

 ・正実の監視から外れてること

 そりゃ、性犯罪者が居た組織なんて現地のお巡りさんの監視が付くよね。見張られてたら何も出来ない。

 ・救護騎士団長、蒼森ミネとの接触

 百合園セイア共々、知己を得ておかないと最後の方で不都合が多い

 ・古関ウイへカタコンベ関連の調査依頼

 アリウス自治区の制圧に必須

      ↓

 これら全てを大体なんとかしてくれる浦和ハナコの懐柔(不可能)

 

 ……さて、茶でもしばくか。ここはトリニティだ。きっといい事あるさ。

 

 エデン条約が差し迫るも、当シャーレには当然のようにゲヘナからもトリニティからも声が掛からなかったので、私は未練がましく一人トリニティ自治区を訪れていた。

 

 うーん、本当に味方が一人も居ない。それどころかゲマトリアからすら声も掛からない。とっくに神秘をドブに捨てる者としてシャーレごと見限られているのだろう。先にSRTを何とかする事も考えたが、例の二人のせいでヴァルキューレや連邦生徒会との関係が最悪な以上、導入からしくじる気がする。それに、順番を無視してトリニティを放置すると多分碌な事にならないと思うのだ。

 

 因みに、今のところイベントも全ロスである。だってそもそも弊シャーレに何かを依頼する物好きが存在しないからね!依頼が来ない以上、時系列が分からないので手の打ちようが無い。

 

 最早取りこぼしなどというレベルでは無く、悉く詰んでいる。

 

 きっと、この罪が許される事はないだろう。

 

 だとしても、私は足を止める訳には行かない。

 

 何もしなかった、という事が私の原罪であるが故に。

 

 

 ▲

 

 

「ああ!偉大なるティーパーティの一人!フィリウス分派を束ねる聡明なお方。桐藤ナギサ様!会えて光栄です!ああ、どうかお慈悲を!私を、私の身をお助け下さい!」

 

 酷く愚かであると見られる事は、時に無視できない強みになる。

 

 自分より遥かに愚かであるという確信はある種の信用と同義であり、正面から信用を勝ち取るより、ずっと容易に話を聞いて貰えるのだ。

 

「はぁ、やはり最後の一人も愚者でしたか。もういいですよ。下がってください。超法規権限の擬似的な譲渡を代償に、トリニティ自治区内での貴方の生活と安全を保障する、という話でしたね。了承してあげますから、早くこの場から去りなさい。紅茶が冷めてしまいます」

 

 桐藤さんはこちらの狙い通り、私の人物評を最低ランクに設定したようだ。そりゃ公的組織の人員が、権限を売っぱらって保身に走るとか、論外にも程があるからな。

 

 加えて、補習授業部が『先生』抜きとはいえ、原作に近い方で召集される可能性がグッと高まった。こうなれば、阿慈谷さんの主人公力と白洲さんの信念の強さで原作程で無いにしろ、少しずつ良い方向に行く筈である。

 

 ……失った超法規権限を取り返す算段は現状、特に無い。それくらいの事をやらないと聡明かつ軽いパラノイアを発症している彼女に、真に裏の無いただのバカ判定される事は不可能だと判断したのだ。

 

 兎に角、あらゆる勢力から、取るに足らない間抜けだと錯覚させろ。信用も信頼も無く、奇跡に値しないであろう私が使えるのは莫大な罪と果てしない愚かさだけだ。

 

 その先に、ほんの数瞬の隙、物語を制御するチャンスが産まれるのだ。

 

 

 ▲

 

 

 私は補習授業部への嫌がらせ人事として、部の顧問に就任する事になった。……間抜けを演じた甲斐があったというものだ。存在そのものが嫌がらせになると確信されている。流石にセクハラはしていないが。

 

 私が飛び切りの愚か者である事は、トリニティの陰湿さを以てすれば瞬く間に自治区中に知れ渡るので内からも外からも、この部活がゴミ箱である事は認識されるだろう。

 

「え〜、はい、その、皆さん、合格に向けて頑張りましょう。え〜、努力は人を裏切りません。頑張ればきっと何とかなると思います。私は皆さんを信じてます」

 

 露悪的な言葉より、薄っぺらい正論。

 

 あからさまに気持ちの悪い言動より、頼りなさそうな覇気の無い言葉使い。

 

 特に悪い事をせず真面目なのに、一目みたら分かる無能を演じる。

 

 真に愚かであり続ける、というのは殊の外難しいもので何処かでボロが出るのではとヒヤヒヤしているが今のところバレる気配は無い。

 

 というのも、人間、自分より明らかに劣るものに潜在能力の可能性を疑うというのは難しいものである。ただでさえ自分より優っている物が目に入る日々の中、そんな事していたら、精神衛生上非常に生きにくいからだ。

 

 で、補習授業部顧問になったらやる事は二つ。

 

 まず、「トリニティの裏切り者」が私である、という解釈における逃げ道を作り彼女らの精神負荷を軽減する事。まぁ、後、共通の敵が居れば団結も早くなるだろう。光属性の彼女らに何処まで効果があるかは疑問だが。

 

 そして、もう一つ。聖園さんに取り入り、アリウスとのパスを作る事。

 

 ……そう、私がやろうとしている事はわらしべ長者である。

 

 愚かさで桐藤さんの嘲りを買い、その嘲りで補習授業部の顧問の座を手に入れる。補習授業部の顧問の立ち位置から、恐らく接触して来るであろう聖園さんへ取り入り、すぐにアリウスとのパスを形成、あとはベアトリーチェの所まで行った瞬間に大人のカードを抜き放ち私がアリウスの支配者になるという算段だ。

 

 控えめに言って最低の作戦であり、何も無い私にはおあつらえ向きだ。

 

 逆に他の生徒からの信頼が少しでもあると愚かさ具合が疑われ、容易に失敗する為、ある意味、原作の『先生』に唯一勝る部分である。

 

 聖園さんが私に接触してくるか、という部分は賭けだが私的にはかなり勝算の高い物だと考えている。

 

 というのも、自分が何かやらかしたり、罪悪感を抱えている時は、下を見て安心したくなる物であると私は思うからだ。私だって、例の二人と自身を比べて心を落ち着かせている醜い心理的側面を否定出来ない。

 

 さて、愚か者の蛇足が吉と出るか、凶と出るか。

 

 正攻法で攻略する資格の無い私に残された手段は、ズルと場外戦術しか無いのだ。

 

 心を救うのは本物の『先生』に託し、私は彼/彼女に託すため生徒の命を繋ぐ事に集中する。自分如きに出来る事を過信する事は、真に愚かな事だから。

 

 

 ───生きてさえいれば、何処からでもやり直せる。

 

 彼女達はまだ、子供なのだから。

 

 

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